双方共に今さら感はありますが、ごく最近に同時試聴(聴き比べ)をする機会があったので覚え書きの意も含めてレポートします。
【大らかなH2Aと四角四面のStereo 8.5 V2】
まず、黒江としては基本的に『アリ(買い)』の2機種であることを書いておきます。
その上で双方に感じられたのは…
HEGEL H2A
●僕は基本的にブックシェルフ~小型モニターを好むのですが、当店のリファレンス達(Vienna acoustics S-1G/ATC SCM7)がかなり大きく広がりを持って鳴らされていて「フロアモニター(中型モニター)になったみたい。」と、思うほどに大らかでスケールのあるサウンドです。
●音が伸びながらも飛んでくる。
経験上、業務機(PA)に多いのは飛んでくるだけのタイプ。ミドルクラス~ハイエンドの民生機に多いのが伸びるだけでキレが無いというか、スカッとしないというか、音離れが悪いというか、抜けが悪いというか…といったタイプなのですが、[H2A]は「ぐぐーっ」と伸びながらも「ぼんっ」と放たれる感じで開放感があります。
●音は芯がしっかり、少し緩めで厚めの肉付き、輪郭は硬くなく少し薄め。
少し濃いめの音であり、厚めとも言えるタイプですが、シャープさも皆無ではなく「ちょっと気を緩めると崩れる/ほぐれる/緩みそうになるところを、びしっとした緊張感で耐えている。」
…というようなイメージです。(分かり辛いかもですが…。笑)
●中域~高域は繊細だけど、低域は少しムラっ気があって暴れ気味。
●音が太めで、粒もやや大きめなので隣接、近接する音を上手くセパレーションしたい感じです。
※音数の少ないソースではすべてが上記の様な印象になりませんでしたが、ハイテンポ(200BPM前後)なTHRASH/COREなどを聴いた感想です。
Stereo 8.5
●H2Aとの対比的な表現が中心となりますが、H2Aはスピーカーの表面積が上がったように感じられたのに対し、こちらは同等~ややコンパクトなサウンドステージ(音場)で、(左右のスピーカー間に)縦横左右、奥行きと3Dの視界に音(各パート)が点在する感じです。H2Aのように迫り来るような、広がるような感じはありませんが、リスナーから見て逆三角形(▽)に前方に切れ込むようなサウンドステージはフルオーケストラのような大編成的ではなく、4,5人のバンド的なサウンドです。(H2Aはリスナーから見て三角形(△)で後方に広がる感じ。)
●音がパッと現れて静止し、次の音がまたパッと現れて静止し…を瞬く間に繰り返す。
いわゆる「定位が良い」と言われる状態で、3Dな立体映像を超高速なフレームレートで(パラパラマンガ?を)見ているようなイメージで、その分(視界が狭いので)開放的な感じはなく、箱庭的と捉える方もいるのではないかと思います。
●音の芯は細すぎず太すぎずの適度(やや細身)、肉付きは薄め、輪郭も薄めだけどやや硬めでしっかり。
僕は普段より、元の音(録音されている音)に忠実なモニター調、元の音をより良く聴こえるようにテイストを加える(与える)オーディオ調と大きく2つの方向性(傾向)に分けて考えていますが、Stereo8.5は基本モニター調にややオーディオ要素が加わっている印象で、H2Aは基本オーディオ調なんだけど、限りなくモニター的といった印象です。
●(ハイエンドに比べると)ほんの少しレンジは狭いかな?…と。ただし、きめ細かさやS/N感が高く、帯域バランスも各帯域のスピード感(位相感)も良好です。
●とにもかくにもサウンド全体の見通し(サウンドステージのパートの配置感)も、1音1音の音のメッシュ(分解能)や音も形が良く(=元の音に忠実)、ちょっと几帳面な感じもするくらいです。そこに音場がコンパクトで律儀(堅そう?)な感じを加えて「四角四面」と例えてみました。
もう少し暴力的に、ルーズに、粗っぽく(荒っぽく)鳴らしてあげると良いかもしれません。
…と、長くなりましたが、2機種のvsレポートでした。
文面にアリアリと表れていますが、黒江的には[Stereo 8.5]が好みですが、文章ほどには180度正反対のサウンドではなく、かなり共通する点も多く感じられました。(お上品じゃないことや、甘い、軟らかい、優しい、緩いタッチではないことなど。)
強いて結論づけるなら、[H2A]はハードロック(or 80年代以前)より、[Stereo8.5]はヘヴィメタル(or 90年代以降)寄りかな…と。(黒江的には。)
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