引き続きスピーカーのレポートとなりますが、最近第3のリファレンスとなりつつあるのが、
この『Mark & Daniel Maximus-Mini+』という色々な意味で一風変わったスピーカーです。
【稀に聴く綺麗な高域と、音像の定まった中低域が絶妙に交わったサウンド。】
特徴だらけのスピーカーではありますが、その代表格になるであろうと思われるのが「人工大理石(コーリアン)」を用いたエンクロージャーです。(※メーカーでは合成大理石と表示しています。)
オーディオという世界では、(なぜか)旧来から木製の箱にスピーカーユニットを取り付けて鳴らすという定石(常識)が長く続きましたが、最近やっと非木製のエンクロージャーが台頭(受容)してくるようになりました。
(昔は「箱鳴き」なんて言葉が当たり前に使われていたくらいだから、「箱も鳴らすもの」ということだったのかもしれませんが、)
このコーリアンで形成されたエンクロージャーは(いわゆる木と石の差で)硬く、音が響いたり、漏れたり、箱が振動したりすることがほぼ皆無となり、結果、スピーカーユニットから発せられる音だけでサウンドが形成されています。
そのことから、オーディオをよく知る人向けに一言で云えば「バスレフ型なのに、密閉型のようなタイトフォーカスなサウンド」と言えば伝わると思いますが、音に(取り方によっては無駄な)響きや被りが無く、端正でストレート。とも言えるサウンドです。
ここで肝心になるのが各スピーカーユニットということになりますが、高域を担うツイーターユニットは「ハイルドライバー」と呼称されるタイプなのですが、非常に繊細な高音を出すことが出来るリボン型にこだわり何度もTry and Errorを重ねながら開発されているようです。
中域~低域を担うウーハーユニットもわずか約10cmという小口径ですが、かなり奥行きのある形状となっており、このストロークを高速にピストンさせることによって、ハイスピードながらも最低域をしっかりと描き出すことが出来るように考えられています。
双方共に自社製ということもあって、「自信のあるユニット開発」→「ユニットの特性を最大限に引き出すためのエンクロージャー」という流れが伺え、これはスピーカーブランドとして非常に大切なポリシーではないかと感じています。
…と、大体ここまでの流れで音の傾向は分かってくるかと思いますが少しまとめてみます。
●スピード感はGood. (S-1Gには一歩及ばずですが、遅い音、速い音の鳴らし分けが非常に巧みです。)
●高域がとにかく繊細。 (「キンッ」と鋭利に切れ込んでくるというタイプではなく、「ピンッ」と張り詰めて出た音が「サーッ」と霧状に消えていく感じ。)
●中低域の音像感が秀逸。 (音の輪郭や定位が明瞭で、音の位置関係などが際立っています。)
●少し芯の太い音で、肉付きは薄め、輪郭はやや強め。 (「シャープな音」とは言えませんが、「タイト」という言葉がとても合います。)
決して「足して2で割った音」とは言いませんが、「立ち位置的には」ATC SCM7とVienna acoustics HAYDN (S-1G)の中間にポジションする感じです。
物足りないと言いますか、もう少しと言いますか、実はまだ本格的に鳴らし込んで(追い込んで)ないので、黒江的にどう鳴らすかということを挙げると…、
●高域の出方と中域~低域の出方を揃えたい。 (高域は綺麗なのは良いんですが、切れ込みがないのでソリッドに、中低域は芯が強めなのでもう少しシャープにしたい。)
●広がりがない音なので、もう少し広く? (高さ方向には広めのサウンドステージがあると思います。左右方向は狭めかと感じましたが、個人的にはコレくらいが好きなのでこのままでも良いかな?…と。)
●少し音が重いので、明快/軽快に。 (これも好みですが、もう少し明るいサウンドに出来たらな…と。)
こんなところですが、結論としては「久しぶりに欲しくなってしまった」ので、黒江的にはアリです。
(僕が好むのですから)もちろんメタルもイケますが、SlipknotのようなタイプよりはIN FLAMESのようなタイプがより合いそうです。(音にシャープさを出せればSlipknotもかなり良くなるハズ!)
あとは、高域が綺麗なので女性ヴォーカルもイイ感じです。
リファレンスが3機種もあるのは嬉しいような気もするし、悩みの種でもあるし…ですが、みなさんにも自分の一番好きな音を探し出してもらえれば幸いです。
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