LUXMAN D-06u

11月 6th, 2014

…からの、『ザ・ステレオ屋』的、本命CDプレーヤーを紹介いたします!

前回の「LUXMAN D-08u」レポートは“フリ”でした。(笑)
…と言うわけでは無いのですが、このレポートの伏線・布石であったことには間違いありません。ので、ぜひ1つ前のエントリーと併せ読みしてもらえますようお願い申し上げます。((高価すぎるから)読むなって言ったり、読めって言ったりすみません…。^-^;)

【奇跡か必然か、LUXMANから生み出されたピュア・ハイスピードサウンド。】

D-08uが『超ド級の高S/Nプレーヤー』であったことはご理解いただけたことと思います。
その(先行で発売された)D-08uの遺伝子を受け継ぎつつ、コストダウンを図ったとみられる同機種ですが、早速そのサウンドをレポートしてみたいと思います。

■LUXMAN [D-06u]
●D-08u程(の圧倒的)ではないですが、勝るとも劣らない非常にS/N感の高いサウンドであり、(スカした言い回しで恐縮ですが…)『静寂を切り裂く』ようなイメージです。研ぎ澄まされて洗練された出音が眼前にクリアに展開します。
●高域は分解能に優れ、シンバルの金属音(金属感)、ディストーションギターの粒子感にエッジ、シャープな擦れ具合とひりつくような刺激感のシャウトボーカルなどなど、ピークの音が丸められず、且つ繊細に描写されます。
●中域もしっかりとした情報量は保ちつつも色濃く、豊満にはならず、音の隙間や輪郭がしっかりと見えるような癖やお化粧の少ない(ほぼ皆無な)サウンドで、録音に忠実な印象です。
●低域はタイトで音像が乱れず、崩れずにゴリっとしたリジット感のある印象で、やや淡泊で無機質な傾向ではあるものの緩さや甘さの無いサウンドになっています。(量感はやや薄めで肉厚な傾向でもないため、バスドラのアタック音などはやや軽めに感じられます。)
●D-08uと同様に高域~低域のバランスも良好で、各帯域に突っ込みや遅れは感じられません。
●そして、極めつけは「シャープでハイスピード」であることです。“超”が付くほどではないにしろ、かなりのハイスピードであり、1音1音の透明感と相まって体(耳)を通り抜けていくような“抜け感”が最高に気持ちの良いサウンドとなっていると思います。
黒江的好み度:S

…と、LUXMANのサウンドに「ハイスピード」という言葉を使う日がやってくるとは思いませんでした…。
(NeoClassicoシリーズのCDプレーヤーはスピード感が高く、異質な存在ではありましたが…。D-06uと何か関係があるのかも?あとDA-100も傾向としては似ていましたね…。比較的安価な製品を通じてLUXMANさんが“若い方にとっての好みのサウンド”を理解したのかも!?)

そのハイスピードにD-08uの透明感や音の細かさ、繊細さ、スムースさを持ちつつも、より鮮明であり、D-08uには感じられなかった輪郭感を手に入れてしまっているのですからケチのつけようがありません。
(ちなみに、SACDはチェックしていませんがUSB接続でも近いサウンドは得られていますので(デジタル接続時の)、DAコンバーター使用でも有用な存在になることと思います。)

(試聴後に)2機種のスペックや資料を見比べてみましたが、その違いは微々たるもので、トランスポート(D-08uの方に「リジット」という言葉があるけど、D-06uの方がサウンドはリジット…^-^;)と、バランスアンプ回路の部分に少し差異があるだけのようでした。
…ですので、なぜこんなにもハイスピードなのかは分かりません。
あくまで憶測・推測にはなりますが、D-08uにはやはりと言いますか、ハイエンド機にふさわしくなるように“どんな音でも美しくなるおまじない”(お化粧)を少し施していて、D-06uでは(そのお化粧を施さずに)すっぴんに近い音が出ているのでは…?と考察しています。

なお、結果論ではありますが、D-06u/D-08uいずれにもTI社製PCM1792A(TIはTexas Instruments「テキサス・インスルメンツ」の略)のDACを採用しており(型番からすると吸収・合併したBurr-Brown系のようにも見えるのですが)、このTI社のDACは以前から僕が好みのサウンドになりやすいブランドでしたので、この辺りも大きな要因なのかも…と思っている次第です。

お値段がお値段ですので、「良くて当たり前」ですし「どれだけ良くても手が出せない」という方も多いかと思いますが、D-08uと同様に「最後の1台」として(少しがんばってでも)(当店をご贔屓の方は)手に入れておいて損はしないと思っています。

(黒江自身がびっくりしているので)繰り返しになりますが、LUXMANを激推しする日がやってくるとは思ってもみませんでした。…が、上記の通りですのでロック・メタルファンには(ご予算が許す方でしたら)ぜひ一聴していただきたい1台となりました。
とにもかくにも、まずは試聴をしていただけますと幸いです!

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

LUXMAN D-08u

10月 22nd, 2014

(my-musicstyleなどに追われていたので)少し遅めのレポートとなってしまいましたが、たまには(超)高級機の製品をレポートしたいと思います。
(…と言いますか、書かずにはいられないという感じの1台だったので書かせてください!→当blogの中心読者層のみなさまには恐縮です…。どうか読み飛ばしてください。^-^;)

【Softで、Silkyで、これ以上のない上質・上品なサウンド。】

見出しの通り、いわゆる黒江が好むハイスピード・アグレッシブ系のサウンドではありません。
…ので、おそらくはメタル・ロックにはあまり向いてないのではないかと思います。(先に結論だけ述べておけば「黒江的好み度:C+」くらいですので。)
ただし、もう1人の、歌もの(バラード)やアコースティックなどを強烈に聴きたくなる瞬間の黒江であれば間違いなく「黒江的好み度:S」を付けているくらい僕にとっては素敵なサウンドでありました。

いつものように所感・雑感を挙げてみたいと思います。
■LUXMAN [D-08u]
●まず、何よりも特筆したいのが「これ以上を聴いたことがないかも…?という程のS/N感の高さ」です。何もない空間にスッと、1点の曇りも、粗さも、濁りも、滲みも無い音が現れてはまたスッと消えて(溶けて)ゆきます。
●次に、無理やり感の無い自然に広がる音場感です。「(個人的には)音場が必要以上に広いことは良いことでない」と思っているのですが、(当店の防音室でも)広大過ぎない程度に留まっており、奥行きや上下左右の広がり方が自然です。何よりも音場の解像度がまた抜群に高く、細かな音の位置、強弱や余韻なども非常にハイレベルに再現されていると思います。
●また、(黒江的には通常は大嫌いな)CD再生時のアップサンプリングも秀逸で、無理やり写真を大判に引き延ばしたようなピンボケ感が皆無であり、前述のように「やり過ぎ感のない」絶妙なアップサンプリングとなっている印象なので不自然さがありません。
●高域~低域のバランスも良好で、低音のボンつきやモタつきもありません。もちろん、高域が(中低域より先に)走ってくるということもなく、フラットできれいなサウンドステージを描きだします。
●1音1音のエッジ感は鋭さが無く、シャープなフォーカスという傾向ではありません。…が、“輪郭の無い音”ということではなく、輪郭がスムース過ぎるので(輪郭感を)感じられないという表現の方が正しいのではないかと思います。(Retinaディスプレイのフォントのようなスムースさという意味も含め、)まるでRetinaディスプレイを眺めているようなきれいさです。(すでに4K・5Kって言った方が良さそうですけどね…。)
●なお、音の質感・温度感は「ほんのりウェットで、わずかに冷んやり傾向」といった印象で、例えば「ポーン」というピアノの音色が「ポローン」と暖色だったり甘くなるような傾向はありません。
●サウンドは前に張り出して来たり、飛んでくるタイプではなく、やや大人しい鳴り方をしますのでロックやジャズ、フルオケなどでも「ガーンッ」といった迫力を求められる方であれば他の選択肢もあり得るかと思います。(にしても、このS/N感・圧倒的な透明感にやられてしまうかもしれませんが…。)

…と、「ハイスピード・アグレッシブ・シャープ・ドライブ」などのワードとは縁遠いとは思いますが、それ以外に於いてはパーフェクトなんじゃないかな…と感じましたし、考察しております。
(前述のように)迫力を出してくるタイプではないですが、(その圧倒的なS/N感にもフォローされ)微弱音からトップ(ゲイン)の音までのダイナミックレンジ(の表現)も豊かなので、決して軟らかく、優しくなだめてくるサウンドということではなく、癖も強くないので(強くないかも…といったジャンルにも)幅広いジャンルを上質に聴かせてくれると思います。

試聴は主にCD(44.1kHz/16bit)で行っておりますが、USB接続やSACDもCDと同様の傾向・音質であり、隙はありませんでした。
(残念だし、さみしいことではあるのですが、)「もうCDはあまり買わないかな」「今後はハイレゾ主体にしようかな」といった方も多くいらっしゃると思いますが、これまでのライブラリーを考えて「決定的な最後の1台となるCDプレーヤー」を探されている方も少なくないのではと思っておりますが、そんな多くの方の(長く使えれば)“最後の1台”となれる逸材ではないかと感じましたので、当店は自信を持ってお勧めさせていただきたいと思います。

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

Pioneer U-05

9月 9th, 2014

結果的に、(my-musicstyleの関係で)ブログは長期間の休業状態となってしまいました…が、またポツポツと再開したいと思います。

再開第1弾はPioneerが放つ注目の新製品です。
(前評判も良く)すでに好調のスタートを切っている当製品ですが、ザ・ステレオ屋(黒江)流のレポートでご紹介したいと思います。

【ハイクオリティな“走攻守”と多彩なポジションをこなせるユーティリティープレイヤー。】

(黒江的には)N-50・A-70と立て続けに高評価させていただいているPioneerからの(しかも、かなり気合いを入れた)新製品ということで嫌でも期待は高まりますが、前評判や事前の情報からすると個人的には苦手なESS社のDACをメインに使用している模様なので、正直「今回はどうかな…」と思いつつの試聴となりました。

(余談:…そう言えばPioneerの音傾向を好んだのは(N-50以前に)X-Z9/7(←スピーカーを抜いたコアユニット部のみ)・PDX-Z10あたりからだったので、僕自身は結構長いことPioneerファンなんだな…なんて今さら気が付いております。…って、X-Z9(←スピーカーを抜いたコアユニット部のみ)は欧州でいい感じの賞を取ってるんですね!『コア部のみ』ですが…。^-^; …でも、僕と同じ感性の審査員がいらっしゃるみたいで大変光栄でした。)

閑話休題

■Pioneer [U-05]
●パッと聴きの第一印象は“ハイスピードで明快・明瞭”といったスピード系のサウンドです。
●メリハリの効いた傾向で1音1音がハッキリとしており、低音もタイト且つスピード感があって膨らみやブーミーさなどはありません。
●「スピード系」と前置きしながらも、音の粒が力強く飛んでくる“ドライブ感”も併せ持っており、“マッシブ”という言葉が合いそうな「アグレッシブ系」のテイストも持ち合わせています。
●音の輪郭は(黒江の最も好むEssensio・neo・N-50などに比べると)少し太めの線ですが、例えるなら、0.3mmの(シャープペン)芯が0.7mmになったくらいの差異であり、(この辺をかなり気にされる方以外は)そこまで気にする必要はないレベルだと思います。
●音の濃さも(ややあっさり、薄めのEssensio・neo・N-50などに比べると)やや色濃く、しっかりとした発色加減に感じられます。
●…と、良く言えば「ハイスピードを基調としたサウンドにアグレッシブ系が交ざっている」…正に“理想的なサウンド”とも言えそうなのですが…。
○悪く言えば「スピードもアグレッシブさも上々ではあるけど、(2つを両立しようとした代償で)1音1音が少しだけ粗め・雑」に感じられる印象もありました。「少し中途半端なところに着地してしまった感」がある傾向です。
具体的には…
○(Essensio・neo・N-50などと比較すると)もう少しS/N感が欲しいところで、少し音と音が被りあうような印象を受けるので、(音場内での)セパレーションが向上すると更に好印象です。
○加えて、分解能がもう少し高ければ全体の(音)抜けが格段に改善されていたように感じられます。(S/N感と分解能が上がることによって、「耳の中に音が残らない・溜まらない」でスッと消えてゆく→音が抜けるといったイメージです。)
☆ただし、これらはいずれも「強いて言えば」「欲を言えば」…といった要望であり、(価格がEssensio・neoの半分程度なわけですから)『欲を言わなくても十分なサウンド』であることは間違いないと思っております。

総括すると(黒江的には)、ギターの歪みはガリガリ過ぎず、ボヤけず、音痩せもなく良好。ベースはしっかりと出ていて、膨張・暴走することがなく癖が少ない傾向。シンバル(金物)は少し厚めのテイストながら力感(の再現)は上々。スネア・タムはもう少し抜けが欲しいけれどこちらも皮の厚みや力感(の再現)は良好。ボーカル(クリーン)は生々しさと厚み・温度感が程好いですが、シャウト系はもう少し分解が欲しいところ…といった感じでした。
全体的にやや硬質な傾向ではありますが硬すぎず、やや寒色傾向ですが同じくキンキン・カンカンし過ぎていないので、(特に若い方には)広く受け入れてもらえそうなサウンドだと考察します。 

黒江的好み度:A

なお、上記のレポートはすべて(1台3役の)U-05を「単体DAC(FIX出力)」として使用したケースとなりますが、「ヘッドフォンアンプ」「プリアンプ」での使用時も大きな変化はありません。

最後に(思いっきりセールストークになってしまいますが、笑)、少し製品のPRをして終わりたいと思います!

例えば…学生さんのうちは自室でヘッドフォンアンプとして使い、1人暮らしをはじめたら小型のアンプとスピーカーを買い足してDACとして使用し、その後のステップアップ(セパレートアンプ)の際にはプリアンプ(コントロールアンプ)として使用する…などなど、1台で長く多用に使えそうなのもU-05の大きな魅力の一つです。(この価格でこれだけ作り込まれていて、バランス出力までフォローしているのはこれまで類を見ません。)

(前述の前評判にはこの点も含まれており、コンセプト的にも非常に当たっていますので)『持っていて損はしない』と言い切れる製品はなかなか多くはありませんので、ビギナーから上級者まで幅広いリスナーに興味を持っていただけると幸いです。

P.S.
ご覧の通り、ESS社のDACを使用していた点は杞憂に終わりました。
(DACだけで音が鳴っているわけではないので)素材の調理の仕方かな…ということもありますが、どうやら僕があまり好まないのは同じESS社でも「ES9018」というDAC(チップ)のようです。
U-05は「ES9016」を使用しているそうなので、この辺の違いがあるのかもしれませんね。

Pro-Ject Essential II

5月 23rd, 2014

my-musicstyleの準備を進めつつも、少しでも製品レポートが書けるようにがんばりたいと思います。

【ロック・メタル系のアナログファンは必聴の秀逸機!】

(…って、“必聴”って書くと盤の話にしか見えないですね…。笑)

BURRN!誌をご覧いただいている方や黒江の読み物をマメにチェックしていただいている方にとっては、既にご周知のアイテムなのかもしれませんが、久しぶりに“ゴリ押し”したいくらいの黒江的オススメ機と出会いましたのでレポートさせていただきます。

■Pro-Ject [Essential II] (付属カートリッジ使用)
●第一印象は「ストレート」、非常に癖がなく、明快・軽快なサウンドです。
●S/N感も良好で、無駄・ムラの無いすっきりとした“クリア系”のアナログプレーヤーです。
●トレースノイズも目立つようなことはなく、(別途ストロボ使用での測定にて)回転もほぼほぼ完璧でした。
●高音の伸び、低音のピックアップも十分過ぎるほどに良好で、レンジの狭さを感じるような“廉価モデル”要素はありません。
●全体的に1音1音はシャープでやや細めのサウンド、濃さや重厚感を感じるタイプではないので、“よりアナログらしいアナログサウンド”をご所望される方には物足りないのではないかと思います。(フォノイコでカバーできる要素もあるかと思いますが。)
●分解能も良好ですが、雄大・広大な音場感は期待できません。
黒江的好み度:S

…と、“クリア系”のアナログプレーヤーとしては(黒江的には)文句の付けようがなく、実勢売価を考慮するとビギナーには「これ以上ないくらいの存在」になるのではないかと太鼓判を押したいくらいのモデルです。

そのサウンドの秘訣を黒江的に考察してみると…
★ショートストレートアーム…一般的なアナログプレーヤーは(ショートではない、またはロング)S字型アームがポピュラーですが、Essentialのアームは真っ直ぐで短い分、レコードの信号をよりフレッシュに出力できるのではないかと推測しています。
★薄めの筐体…一般的なアナログプレーヤーはかなり肉厚の筐体であるものが多く、自重も重めなのに対し、Essentialの筐体は薄めで(ギターなどと同じく、ボディが鳴らないので)音離れが良いのではないかと推測しています。
★薄めのプラッター(回転台)…こちらも一般的なアナログプレーヤーは厚めのものが多いのですが、Essentialのプラッターはやや薄めであり、筐体と同じようにレスポンスの早さに繋がっているのではないかと推測しています。
…と、要は一般的なアナログプレーヤーとは真逆の構成であることが、結果的に(黒江的に)は功を奏しているのではないかという考察です。

なので、“よりアナログらしいアナログサウンド”とは決して言えませんし、“クリア系”を求めていない方にとっては「これ以上ないくらいの駄作」にもなり得る気もしています。(実際にアナログマニアさんの中には“ショートアーム否定派”という方もいらっしゃるみたいです。)
ただし、決してEssentialがアナログらしくない、CDみたいなサウンド…ということではなく、音の質感やダイナミックレンジなどに代表されるアナログならではのサウンド感というものはしっかりと出せていると思います。

なお、初代EssentialとEssential IIの主な変更点はアームの改良(仔細は割愛しますがかなり改善されました。)とDCモーターに変更されたモータ部で、初代Essentialでは50Hz/60Hz(東日本/西日本)仕様が別々にラインナップされていましたが、50Hz/60Hzが共通となり、より使いやすくなったのも評価できる点だと思います。

…と、最後に2つ注意点があります。
1つ目は、Essential IIにはフォノイコ(USB)内蔵モデルが存在していますが、こちらの音質に関してはノーコメントということで、今回のレポートはEssential II(フォノイコ非搭載モデル)であることにご注意ください。(USBモデルは内蔵フォノイコをスキップできないんですよね…。)

なので、このEssential IIには必ずフォノイコライザーが必要になるのですが、もう1つの注意点は(オチでこんなことを言うのは気が引けますが)今回の高評価は、そのフォノイコライザーにTRIGON [Vanguard II]を用いた場合の評価であることにもご注意ください。
(つまり、TRIGON Vanguard IIがEssential IIと同じくらいに高評価ということです。…Vanguard IIって本当にすごいモデルだと思います。)
Essential IIとVanguard IIをセットでお求めいただくと10万円を超えてしまうのでビギナー向けとは軽く言いたくないのですが、1万円以下のフォノイコもありますし、アンプによってはフォノイコを装備しているものも少なくありませんので、まずはEssential IIを購入し、また予算が貯まったらVanguard IIを購入するのもよいプランだと思います。
(もちろんVanguard IIも“黒江的好み度:S”です!)

とにもかくにも、久しぶりに黒江がこれだけ“イチオシ”を全面的に出すくらいの製品ですので、ぜひご一聴いただけたら嬉しいです!

my-musicstyle vol.9

5月 23rd, 2014

実行委員(のリーダー)である、わたくし黒江がなかなか時間を割けなかったこともあり、長らくお休みさせていただいていた「ビギナー向けのオーディオイベント“my-musicstyle”」ですが、約4年の沈黙を破り、ついに再始動させていただきます!

詳細はまたあらためさせていただくとして、今日は取り急ぎの開催宣言です。

TITLE : my-musicstyle vol.9
DATE : 2014/08/24 Sun.
PLACE : YAMAHA GINZA STUDIO
LINK : http://www.my-musicstyle.com/

Coming Soon!!

ATC SCM7/SCM11/SCM19

4月 11th, 2014

すっかり間が空いてしまい(楽しみにされている方などいらっしゃらないとは思いますが)、ちょっと恐縮しつつの更新です。
(今にして思えば『BURRN!』の(年末の方の)オーディオ特集記事あたりからずーっと何かしらかに追われていたことに気が付かされました。)

…ということで、久しぶりの第1弾はATCの新作(兄弟)モデルをレポートです。
いつもの通りの見出しからマイペースに行きたいと思います。

【“新しい”けど“少し以前に戻った”ATCらしさある3兄弟(機)。】

まず先に述べておきたいのは、このモデル達のモデルナンバー・プロダクトネーム(型番)についてです。
通常は以前のモデルに対して何らかの変化があって然るべきですが、この新シリーズは前シリーズから一切の変更がありません。
端的に言えば、今回の新モデルが『SCM7/SCM11/SCM19』の3機種となり、伴って生産完了した旧モデルが『SCM7/SCM11/SCM19』の3機種となるわけです。(…“カッコ笑い”と書きたくなる状況ですが。)
…ですので、とりあえずこのブログに於いては(いつぞやのiPadのように)“新しい”SCM**と表現させていただいたり、何とかと伝わるようにがんばりますのでお付き合いいただけると幸いです。
(車やバイクみたいに年式で呼べばいいのかもしれませんね。)

閑話休題…まずは大まかなサウンドの傾向から触れていきます。
まず最初の関心事は「ATCらしいサウンドであるか」だと思うのですが、これに関しては「Yes」ちゃんとATCらしさが感じられるサウンドです。

具体的に「ATCらしい」とは『密度感・情報量が高く、しっかりとした芯と肉付きのあるサウンド』といった方向性だと思いますが、黒江的にロックやメタル的な表現をするとしたら『マッシブ&アグレッシブ&ストレート』といったところで、ストレートというのは素直とか癖のない、交じり気のない…というよりは「グンッと音が(伸びて)向かってくる」といったイメージのストレートさであり、馬力のある『重い剛速球』的なパワーがあります。

…が、「ATCと言えば」と書き添えるくらいにATCは「アンプのパワーを求めるモニター」で有名ですが、この辺りもATCらしく、非力なアンプでは(SCMがノって鳴ってくれず)上記のようなパワフルさを感じることができませんので試聴の際にはアンプとのマッチングも同時に行っていただけると良さそうです。
(とは言え、100W程度のそれなりのプリメインアンプでも十分にドライブできますのでご安心ください。)

…と、ここで前SCMシリーズを思い返してみると…「あれ?どことなく旧来のATCに戻ってる?」と自分が感じていることに気が付きました。
参考:http://www.digitalside.net/?p=99
前SCMシリーズは(ATCにしてはですが)だいぶん鳴りが軽くなっていて、幾分かキレ味のあるサウンド傾向にも近づいたのですが今作を聴いたときにはその印象がすっかり(旧来のATCに)戻ってしまっています。
(ただし、最初に聴いたのがSCM7だったことにも起因しています。…ことの顛末はこれから述べさせていただきます。)

んんん?と思いながらも3兄弟を(前SCMシリーズのサウンドを思い出しながら)比較試聴してみると…。

■ATC [SCM7](新しいSCM7)
○前SCM7はブログでも取り上げた通り、(それまでのATCイメージに比べれば)かなりレスポンスが改善されていて鳴らしやすくなったモデルでした。
○また、前SCM7はしばらく当店のリファレンスモニターだったように、そのサウンド・大きさ・価格(CP)などでとても好印象であり、新しいSCM7には大きな期待を持っていました。
●その上で、新しいSCM7はだいぶん大鳴りのモニターになっています。前SCM7にあったタイトさは面影もなく、(黒江があまり好まない)「大きさの割には容量のあるサウンド」を主張してくるタイプであり、良く言えば「このサイズながら大型モニター的な鳴り」とも言えると思います。
●端的にまとめると「低音の量感が豊富で(逆に)高音は控えめ、音場・音像がともに大きく(筐体サイズの割には)広がって鳴り、(音の)大型スクリーンを目の前に拡げられたような印象」といったところです。
黒江的好み度:B-

■ATC [SCM19](新しいSCM19)
○前SCM19は大きさ(に加えて重心の問題でかなり設置が難しい)がネックとは言え、(ハイスピード・シャープ・切れ系ではない)パンチのあるサウンドを出すことができるアグレッシブ系の中に於いては最高峰の完成度でした。
○前SCM19の良好だった点は(ロックやメタルを中心に分析した場合)「ドラムのアタック音・皮の厚みのリアリティ・ベースの音階表現と解像度・ボーカルの力感や熱気感・ギターサウンドのドライブ感」などなど、中低域を軸にしっかりとしたサウンドの中にも見通しの良さがあり、非常に目を見張るものでした。
●その上で、新しいSCM19は基本的には前SCM19に通じて「1音1音が非常にしっかりしており、アタック感やベース音などの量感・質感は健在」ですが、全体的に(新しいSCM7と同様に)大鳴り気味のテイストに変化しているようです。
●ただし、同じ“大鳴り”と言っても「筐体(箱)の容積・バッフルの面積が小さいのでユニットやネットワークで広がりを稼いでいるような印象のSCM7」に対して、SCM19は「筐体(箱)の容積・バッフルの面積が十分にあるので広がりは自然に稼げる分、ユニットからの出音が広がりすぎないように抑えている印象」ですが、前SCM19のようなタイトさはあまり感じられません。
●端的にまとめると「1音1音の量感は十分、やはり(これは以前からATC自体の傾向ではありますが)高音は控えめ、情報量が高く、とにかく前に押し出してくるパワー感とスピード感が高いサウンド」といったところです。
●あえて厳しめに述べるとすれば「前に押し出してくる感が強すぎてしまい、奥行き感や、制動感・制動性のない落ち着きのない(バーッと次から次に音を押し付けられるような)音」になってしまっている印象です。
●ポテンシャルは十分に感じられるので、設置の仕方や環境次第では化けそうな気もしています。(個人的には内ぶり(ハの字)にせず、左右の距離を十分にとっての平行設置がお勧めです。)
黒江的好み度:B~?

■ATC [SCM11](新しいSCM11)
○前SCM11ですが、正直言ってあまりサウンドのイメージを記憶しておりません…。(ごめんなさい。)
○…ので、音のイメージではなく、SCM11の印象の記憶だけザッと書いておきますと「ハッキリ言って前SCM7と前SCM19が好きすぎて(黒江的にはすごすぎて)全然良い印象がありません。し、サウンドも前SCM7と前SCM19の間でどうにも中途半端なバランスだった印象」が残っています。
●その上で、新しいSCM11は今回3兄弟の中でも突出して光っているように思いました。
●(超個人的な意見を更に強調して悪く言えばですが、)小さいのに無理して鳴っているSCM7と、大きいのに落ち着きなく余裕のない鳴りになってしまっているSCM19に対して、今回は上手いこと中間に入ってくれている印象で「新しいSCM11は(くどいようですが)高音はやや控えめですが全体域のバランスが良好で、音の吹き出し方も行きすぎず、しっかりとコントラストが描けている」印象です。
●端的にまとめると「ATCらしく低音の量感・情報量・解像度が秀逸、けれども無理のある低音(爆低域)にならない。1音1音の濃さがありつつも粒が大きくなりすぎない。量感を出しつつも音と音が重ならず、つぶし合わず、分解能や見通しもしっかりとしている。」といったところです。
●力強くしっかりと鳴りつつ、音が前に飛んでくる。…けどゴチャゴチャしないというのは非常に高度なレベルのサウンドであると感じますし、こういったことが相まってアグレッシブ(に感じられる)サウンドを生み出しているのではないかと思います。
黒江的好み度:A

…ということで、さすがに3機種同時レポートは長文になってしまいました(ね)。
文中にもある通り、あくまで黒江個人の印象でもありますし、何よりATCのモニターは設置の仕方や環境やアンプでホントに大変わりするので、あくまで参考にしていただけると幸いです。
特にアンプに関してはATCとの相性が出やすいものがありますので、試聴の際にアンプによる相乗効果で音の印象を決めつけすぎないようにも気を付けていただければと思います。

P.S.
上記で大体お分かりいただけていると思いますが、個人的な好み度は…
前SCMシリーズ:SCM7 >= SCM19 >>>> SCM11
新SCMシリーズ:SCM11 >>>> SCM19 > SCM7
…みたいな感じかなぁと思っておりますが、見事に前回と逆転してしまうところが何とも言えないですね。(笑)
(ちなみに、前SCM7と新SCM11は(同時比較できないので)どちらが上かは分かりません…。)

『Klipsch RB-41 II/RB-51 II/RB-61 II』のレポートと同様に3機種もあれば好き嫌いが分かれてしまうものですね…。

ANTHONY GALLO A’DIVA SE with A-70

12月 9th, 2013

前回のエントリーの通り、少し間が空いてしまいましたが今回はANTHONY GALLO (ACOUSTICS)の新作“鉄球”こと『A’DIVA SE』をレポートしたいと思います。

【ピッチャーとキャッチャー?ボケとツッコミ?…相方次第では最強のサウンド!?】

いつもの通り…なのでちょっと端折って大きさ(サイズ)の話題から入りたいと思います。
(…といっても寸法・数値の話ではなく、)A’DIVA SEは「ちょっと小ぶりの真ん丸メロン」くらいの大きさでボーリングの球よりは遥かに小さく、水球のボールくらい?ではないかと思います。
弟分のMICRO SEはおそらくソフトボールくらいの大きさで、A’DIVA SEと比べると2まわりか3まわり小さい感じです。

次にラインナップの確認ですが「A’DIVA SE」は「A’DIVA Ti」というチタンコーン(チタンを用いた振動面)モデルの後継機種にあたり、これらとは別に普通(ペーパーコーン?)の「A’DIVA(無印)」が存在しています。
“鉄球”という呼び名(あだ名)は前モデルの「A’DIVA Ti」の頃から、その真ん丸さと外装がすべて金属製であることを踏まえて付けたのですが、SEモデルはネット(スピーカーに被せる網)に繊維質が使用されていることに加え、以前はドーム型だった形状もフラットの面取りを施されてしまったので、いささか“鉄球”からは遠ざかってしまいました…。

前置きが長くなりましたが、(その形状はイロモノながら)「A’DIVA Ti」は当店のスタッフが個人で購入するほどの『ザ・ステレオ屋的サウンド』だったので新作にも高い期待を抱いての試聴となりました。
まずはいつものようにザっと書き出してみます。

■ANTHONY GALLO (ACOUSTICS) [A’DIVA SE]
●もっとも大きな特徴であり、個性であり、(好みが合えば)長所でもあるのが1音1音の明瞭感とエッジ感です。エッジ(感)は「太いマジックで強調したような輪郭線ではなく」「あくまでシャープでありつつも立体的でキレのある輪郭」であり、個人的には最高峰の輪郭感ではないかと評価しています。
●スピード感はまぎれもなくハイスピードの部類であり、(前述の通り)キレもありますが、エグってくるようなアグレッシブ系のスピード感も持ち合わせており、こちらもまたかなり高い評価となっております。
●1音1音の分解能も極めて高いのですが、少し繊細さには欠けるので悪く言えば荒々しい(粗い)、刺々しい印象です。
●極めて硬質な傾向のサウンドですので温かみのある音や声などの生々しい感じを引き出すのは少し苦手ですが、痛々しいくらいにビシビシと切り裂くようなサウンドとライブやスタジオの直接音のようなピーキーな(音の)立ち上がりは、その愛らしくユニークなルックスからは想像していなかった“ドSサウンド”とでも呼べるような攻めの(責めの)サウンドです。

…と、この上ないくらいに(黒江的には)褒めているように見えると思いますが、1つ大きな欠点があります。
(真ん丸なので置くのに困る…というのもありますが、専用の置台があります)実はこのA’DIVA SEは低音が非常に乏しいスピーカーなのです。
よって、↑前述のサウンドはすべて“アンプによって低音を少し持ち上げている状態”のレポートであり、低音を下げると(その資質は十分に感じられますが)これらの魅力は引き出されません。

この低音の乏しさは、一聴してすぐに気が付けるレベルであり、(決して低音が豊かではない)Vienna acoustics [Haydn Grand Symphony Edition]と比べても明らかに量感がなく、前[A’DIVA Ti]と比べても瞭然です。

そこで表題の通り(気が付いていただいている方もいらっしゃると思いますが)、Pioneer [A-70]の登場となります。
こちらのアンプは(黒江的には)低音の量感が少しありすぎるため、普段から低音をやや下げて使用していますのでこちらの低音を通常の位置に戻して(DIRECTにして)聴いてみると…「笑っちゃうくらい好みのサウンドじゃん!」ということで、先ほどのようなレポートの結果となりました。

ですので、ANTHONY GALLO [A’DIVA SE]を使用される場合は「低音を調整できるアンプ」と組み合わせていただけると幸いです。

黒江的好み度:B- (ノーマル時)
黒江的好み度:S (A-70低音調整時)
黒江的好み度:S+ (曲により)
(久しぶりのスピーカーでの個人的大ヒットでした!)

P.S.
弟分のblogを見ると10月の中旬に試聴しているようですが、この後すぐに“BURRN!”のお話が入ってきたので同様の内容で同誌にて紹介させていただいております。
こちらのブログの方が(字数の関係もあって)より詳細にレポートしていますので、メタルファンのみなさんには特にチェックしていただけると嬉しいです。
なお、同じメタルでもlamb of godのような重厚系より、A7Xや初期BFMVのようなメタリックサウンドのほうがよりフィットしていると思いますので、試聴の際はその辺も気にしていただければと思います。

twitterはじめました。

12月 4th, 2013

https://twitter.com/the_stereoya

BURRN! 2014年1月号

12月 4th, 2013

11月の更新ができないまま2013年最後の月を迎えてしましましたが、更新ができなかった1つの理由にもなったのが(久しぶりー!の)以前に連載を持っていた音楽情報誌(ハードロック・へヴィメタル)『BURRN!』誌にて特別企画を書かせていただいたことです。
…ということで、(毎月5日発売なので)12月5日発売の『BURRN! 2014年1月号』に登場します!

今回のコンセプトは「PCオーディオとアナログ(レコード)とオーディオの親和性」と(勝手に)銘打ち、オーディオ全般の流れからはじまって、PCオーディオ(ネットワークオーディオ)やアナログまで幅広く、オーディオの楽しみ方や魅力を網羅しています。
もちろん、内容はいつもの通りビギナー層にもできるだけ分かりやすい表現や文章を心がけていますし、ロックやメタルを聴かない方にも十分に伝わるような内容となっていることと思いますので色々な方に読んでいただけたら嬉しいです。

早いところでは今日から棚に並んでいますので、ぜひお近くの書店やコンビニ等でチェックお願いいたします!

P.S.
(反響が多ければ多いほど、次回の登場時期も早まると思いますので)できたら買っていただけると幸いです。

CEC CD3N

10月 10th, 2013

しばらく新製品のリリースが途絶えていた国内のオーディオ専門メーカー「CEC」より、待望のニューリリースが登場いたしました。
満を持して(?)登場したのは、同社が「唯一無二」を誇るベルトドライブCDプレーヤーということで、色々と期待しつつ試聴させていただきました。
その思いや感想を早速レポートしたいと思います。

【ベルトドライブらしさは少し奥の方へ…。】

いつもの如く、分かったような分からないような見出しから考えさせていただきましたが、(なーんとなく)こんな印象を持ったインプレッションとなりました。

(これまたいつもの通り、)まずは箇条していきたいと思いますが、以前のベルトドライブ機(の記憶)と当店が基準機にしているAura neoとの比較を基調としていますので予めご了承ください。
なお、まず先に申しておきますと「黒江的にはいわゆる“好みのサウンド傾向”ではない」ので、ハイスピードやソリッド傾向を求められている方には参考にならないと思われます。
しかしながら、黒江的に「CDプレーヤーとしてのクオリティは太鼓判!」と音質面ではかなりの高評価であることも先に述べさせていただきます。

■CEC [CD3N]
●基本的なS/N感・解像度・レンジ感などなど、オーディオの基本的な音質面は十分であり、同価格帯の中ではCPが高い分類であると思われます。
●以前のベルトドライブCDプレーヤーは音の線が太めで、タッチはマイルド、暖色系、…といったイメージでしたが、本機は音の線は普通~ごくわずかに細め、タッチはサラッとしていて、温度感は中庸~ごくわずかに寒色系…と、「逆」とは言いませんが、かなり中庸路線(ニュートラルで癖の少ない解像度系)に寄せてきています。
(黒江的に例えるなら旧モデルは「うどん」、新モデルは「パスタ」って感じです。旧モデルの方がどっしり、モチッとしていて、温もりのある感じ、新モデルはさっぱり、ツルっとしている感じに思いました。)
●各帯域は超高級機のような広大なレンジ感ではありませんが、過不足のないレンジ感であり、高域が出しゃばることもなく、低域が暴走することもなく、極めてバランスの良い帯域バランスが好印象です。
●1音1音の粒は細かく繊細で、1粒1粒がとても丁寧に描き出されている印象を持ちました。
●パッと聴いた第一印象として「優しい音だな」と思った通り、きめの細かなサウンドながら押し付けてくる感じが無く、ソフトで落ち着いている傾向だと思います。
●ドライかウェットかで言えばウェット寄り、硬質・軟質で言えば中庸、キレやエッジはハッキリ明瞭ではありませんが、ぼんやりぼやけることもなくスムースな輪郭です。
○悪く言えば「ちょっと遠くで鳴っている」「音場感・音像感・1音1音すべてが少し薄い」といった表現にもなりますが、こういった傾向を好まれる方には決して短所にならない音質であると思います。
○また、時にはこれがウィークポイントになるのではないかと思いますが、少なくとも鈍足ではなく思いのほかにスピード感のあるサウンドです。総じて、旧モデルのように「もっとベルトドライブらしい音」(良い意味で鈍足で、滑らかで、濃厚な感じ)でも良かったのではないかと思いますが、癖のあるサウンドは好みの差を生み出しやすいのか、他のブランドの動きと同様にCECも少し「今風の解像度型サウンド」に舵を切ったようです。

なお、フィルター機能が搭載されており、オンオフすることで若干の音色変化を楽しむことが出来ますが、オン(青LEDが点灯)にすると全体の余韻が長くなりスーッと音場が流れるように消えてゆく印象で、これは正に以前のベルトドライブCDプレーヤーのテイストに近い余韻感になるので(試聴の際は)ぜひこの機能もお試しいただければと思います。(&僕の見解ではフィルターの特性と聴感の印象が異なるので確かめていただけた方が良いと思います。)

…といった感じでしたが、普段の黒江(※後述参照)なら「好きじゃない」と言って終わりそうなガシガシ来ないサウンドでもしばらく聴き入ってしまうくらいに完成度が高く、(久しぶりの新製品に)CECさんを再評価させていただきました。

SACDがかかるわけでもなく、USB DACとして使えるわけでもなく、今時とっても素朴な“純然たるCDプレーヤー”ではありますが、音質は間違いなくハイレベルとなっておりますのでご検討の1つに加えていただけると幸いです。

P.S.(※後述)
僕だって、「ぼやけたノロノロのマイルドサウンドは嫌だけど、いつもギンギンギャンギャンのソリッドサウンドで聴きたいわけじゃない…」のです。
そういう(曲の)時はこういったサウンドは本当に好きなので、『“裏”黒江的好み度はA以上』でもいいかも…と思いました。