ONKYO DP-X1 vs Pioneer XDP-100R

2月 4th, 2016

今回は(話題沸騰中?の)Android型DAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)をご紹介いたします。

【優等生で何でもそつなくこなす兄(機)とちょっと尖っててスポーツ系の弟(機)。】
(何年も以前にどこか[当ブログ?連載等?]で書いたことのある様な見出しになっちゃいましたが。笑)

昨年に(大人の事情で)会社同士がくっついた関係で(腹違いの)兄弟となった両者から、それぞれのDAPが発表されましたが、(会社の統合に伴い)ほぼ同等の共通部品で作られた2機種を聴き比べてみました。
※(お約束)『vs』とは両者の「優劣」を決めることではありません。「比較・差異」を分析するレポートですので予めご理解ください。

■ONKYO [DP-X1] vs Pioneer [XDP-100R]
2機種に共通する点としては…
●S/N感・レンジ感・解像度などの基本的音質は(及第点以上にあることは間違いが無く、価格に見合った)合格点ラインに到達しているクオリティを持っています。
●CPU・メモリー・内蔵ストレージ量(32GB)などの(Android端末としての)ハードウェアスペックも十二分であり、操作性も良好です。(標準のプレーヤーアプリだとフリック時などにフェード効果が掛かるせいか、わずかにラグが生じるような操作感ですがアプリ次第ではないかと思います。)
○あくまで“ザ・ステレオ屋”的の結論ですが、当店では購入直後の初期状態ではなく、『DSPをオフ』にしたサウンドの方が評価が高くなる結果となっており、(むしろDSPを切らないと評価できないくらいでしたので)当店のユーザーさんにはぜひ「DSPオフ」でのご使用(試聴)をお勧めさせていただきます。(※初期状態はDSPがオンになっているので要注意です!)

そもそも『DSP』とは?
簡潔に言えばサウンド効果(サラウンド効果)のような文字通り“効果”(エフェクト)のことです。
音の世界でいう“お化粧”であり、素の音(録音された音)に様々な加工を施して「よりきれいに聴こえるように」調整等をしていますが、悪く言えば癖を付けられた音、余計なおせっかい…とも言えるものです。
更に言えば、お化粧(味付け)の好みが自分にピッタリと合えば素の音よりも気持ちよくなれますが、合わなければ“素のままでいいのに…”と感じてしまうことも…。
今回の両機種に於いては(おそらく)ソフトウェア側で処理しており、オンの時はハード(基盤・回路)から出力された音に後から(アプリのようなもので)2次加工をすることになり、オフにするとハードからの出力をそのまま聴くことができているはずです。

…といったところですが、ここからはそれぞれの印象を書き出していきます。
●DSPをオフにすると両者ともにすっきり感が増し、見通し、輪郭、粒立ちが(非常に)向上します。
●ザ・ステレオ屋的に言うところの『切れっ切れのハイスピード』『ゴリゴリのアグレッシブ』…というわけにはいきませんが、中庸なところを基準とすれば双方ともに、やや硬質気味・モニター調(解析的)・ややハイスピード・タイトな音像(1音1音)と言える傾向にあります。
●ハードの違いは(おそらく)ONKYOには2個ずつ載っているとある部分が、Pioneerは1個ずつとなっているだけで後はほぼ同じです。
●S/N感・解像度(解像感)・情報量はONKYOに軍配が挙がりますが、すっきり感(見通し≠S/N感)やキレ、スピード感はPioneerに軍配が挙がり、ザ・ステレオ屋的にはPioneerの方がより好みに近いサウンドと言えます。
黒江的好み度:A (ONKYO [DP-X1])
黒江的好み度:A+(~S-) (Pioneer [XDP-100R])

…ということで、
(最初は気が付かなかったので)DSPが掛かっている時は双方ともに“がっかり”といった感じでしたが、DSPを切れば満足のいくサウンドとなってくれました。

後はどちらを買うかが悩ましいところなのですが、1つ少しでもアドバイス?にでもなればいいかな…と思うところを述べさせていただきます。
★この製品は単なるDAPと思って買うのではなく、『携帯動画プレーヤー』&『そこそこ高スペックのAndroid端末』に高音質なDAPが搭載されていると思う方が自然です。(iPod touchのAndroid版の高音質モデルとも言えますね。)
(SDカードスロットがが2基ありますので200GB×2枚の最大400GBになり、HD画質の動画でも相当数を常に携帯することが可能です。加えて、現在最高峰とは言えないものの、かなりハイスペックであるためアプリなどがストレス無くスムーズに動作します。※カメラやGPSはありません。)
★部屋にCDプレーヤーなどのディスクプレーヤーが無い方も増えてきていると思いますが、“LINEアウトモード”が搭載されており(リファレンスのCDプレーヤーにはさすがに及ばないものの)、オーディオ用のプレーヤーの代用品にも(それなりにですが)なると思います。
(もちろん、CDは一度DAPに取り込んで…ということです。)

…これらを踏まえて。
☆色々なジャンルを均等に聴く方、基本的音質が少しでも高い方がいい方はONKYOの方をお勧めします。(バランスヘッドフォンに対応しています。※バランスヘッドフォンが=高音質ではありませんが…。)
☆アプリやゲームも楽しみたい方、メタルやロックがメインの方はPioneerの方をお勧めします。(ONKYOの方はスピーカーがありません。)

ただのDAP、ただのAndroid端末と思うと少々割高に感じますが、複合機であることを加味するとなかなかお値打ちの製品ではないかと思っております。

(デフォルトでDSPがオンだとは思わずに匙を投げかけましたが)ONKYO and Pioneerからの新製品、自信を持ってお勧めできるサウンドでした!

P.S.
DSPとかEQはデフォルトでオフにしてください…。^-^;

LUXMAN DA-250

12月 14th, 2015

今回はLUXMANの新モデルです。黒江的には絶賛のD-06u(レポートしてませんがD-05uも上々でした)の再来なるか…といった期待に混じり『ラックスらしさ』がどの程度感じられるか…と少々複雑な心持ちでの試聴となりましたが、感じたままにレポートさせていただきたいと思います。

【硬質・寒色、わずかにウェット、冷淡な鳴り。】

まず先に結論を述べますと、「(旧来の)ラックスらしさ、ラックストーンは(わずかに感じられる面はあるものの)卒業されたようです。」…と言いたくなるようなクリア系の音色傾向となっています。
ラックスサウンドと言えば「太めでコシのある、暖色傾向で重厚になりつつも、穏やか、上品でスムースに耳に入ってくる」(←ここまで言えるのは随分と以前のモデルではありますが)そんな印象でしたので、見出しのものとは“ほぼ正反対”と言えるようなサウンドです。
ですので、アンプも然りですが、D-06uに代表されるように昨今の音作りは間違いなく変化してきているので旧来のファンには受け入れ難くなってきているのかもしれません。

…が、音の傾向はともかくとして、名門ブランドに恥じないクオリティであることは間違いが無く、音質・機能・性能・不具合の少なさなど、品質には確信を持ってお勧めできるメーカーです。
…ということで(本当に卒業したのかはまだ分かりませんが)今回のDA-250は“新しいラックスサウンド”として新しいユーザーに向けて(いつも)のレポートを書かせていただきます。

■LUXMAN [DA-250]
●S/N感・解像度・ダイナミックレンジ・レンジ感(周波数帯域)などの基本的音質は十二分と言えるさすがの高音質です。
●(強めのエッジや、シャープネスというイメージを連想させる)シャープ…という言葉よりは、線が細めという表現がフィットするタイプの描写となっており、色濃く・力強くではない、ややパステル調で見通しの良いサウンドとなっています。(かと言って、薄い・淡い・か細いといった“水っぽい薄まったような音”ではなく、しっかりとした情報量も兼ね備えています。)
●(今までもっとも弱いと感じられていた)鋭さ・(特に立ち上がりの)キレ・ピーク感などもかなり鋭敏になっており、(痛々しいほどのものではないですが)キンキン・カンカンといった金属音や、ディストーションの粒子感、スネアやバスのインパクトなどなど硬質の音の表現(リアリティ)が増しています。
●“ピンッ”と張ったような緊張感の感じられるサウンドで、1音1音がタイト且つ反応(レスポンス)の早い傾向となっています。
○とは言え、超硬質・超キレッキレ・超ハイスピードのような振り切った感じではなく、わずかにウェット感があったり、どことなく抑えられた感があったりとなかなか絶妙なバランスでまとめられています。
○そのため、分解能も上々ではありますが、シャウト(ボーカル)が少し優しく聴こえるかな…といった印象には感じられました。
○また、(その手のサウンドを聴く上では)前に向かってくる、ビシバシと叩きつけてくる、アグレッシブなドライブ感の高いサウンドという要素はそれほど高くはありません。
○良くも悪くも優等生的な面がありますが、(色々なジャンルをこなせるので)重宝しやすいのではないかと感じました。
黒江的好み度:A+ (~S)

おそらくは、(やはりLUXMANなので)「本当にこんな音なのだろうか」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、気になる方はぜひ一度試聴をしていただけたらと思っております。
なお、(ご存知かと思いますが)当店の試聴はメタル・ロック・ポップスをメインとしたケースでのレポートとなっておりますので当該ジャンル以外での聴こえ方とは大きく異なることも考えれます。何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。

ちなみに、今年だけでもASUS Essence One MKII MUSES Edition・north star design Intensoと(レポート出来ていないのですが)CHORD Hugoもかなりいい感じの鳴り方(僕らが聴いた感じでは巷の分析とは異なる結果)でありましたので、DACに関しては豊作であったと思います。
(アンプは数年来の不作続きなので早く巡り合いたいですね。Pioneer A-50DAはなかなかの当たりでしたが。)

P.S.
試聴はハイがブーストされている状態をメインに行っております。(後日修正します。)

P.S.2
LUXMAN関係者より開発担当に関する情報を少し得ましたが、(色々と事情もあり)やはり高解像度・クリア系の傾向となっているのはメーカーとしても認識しているようです。(僕の耳が故障しているわけではなさそうなのでよかったです。^-^;)

Pioneer A-50DA (A-70A / A-70DA)

11月 20th, 2015

Pioneerの新製品アンプ群をすべて比較試聴いたしましたので、(これまたちょっと遅くなりましたが)レポートさせていただきたいと思います。

基本的にはすべてA-70(無印)を基調のリファレンスとし、A-50DA vs A-70A vs A-70DAと比較検証しています。

【自分の子より、弟の子供の方が自分に似てる気がする…(みたいなお話)。】
(自分の子も弟もいないので、あくまで例えですが。^-^;)

結論から述べますと、この数年でもっとも黒江がイチオシ、激オシだった「A-70」の後継として登場したA-70A・A-70DAは「明らかにキャラクターの変化が(大きく)感じられ」(黒江の観点・視点からだと)A-70の代わりにお勧めできるようなサウンドではありませんでした。
(いつかも似たようなことを述べた記憶がありますが)A-70を入手し損なってA-70A・A-70DAで似たような音だと思い込み購入されるのは、まったくもっての見当違いとなりますのでご注意ください。

その代り?と言ってはなんですが、A-50DAはクラス下でありながら上々の出来であると思いますので、踏まえてレポートさせていただきます。
(もちろん、A-70A・A-70DAは黒江の求める音・好みの音からは程遠いということなので絶対的な評価ではありません。ですので、黒江的サウンドを求める方にはお勧めできないというだけですので誤解の無きようにお願い申し上げます。A-70A・A-70DAについてはレポートいたしませんが、黒江的には低音域の力強さに“行き過ぎ”感を感じざるを得なかった点、その他数点です。)

…ということで、(↑のように)今回はちょっと変わった見出しとなりましたが、A-50DAをレポートしたいと思います。

■Pioneer [A-50DA]
●(基本的にすべてA-70との比較検証によるポイントです。)スピード・切れ・クリア感は(定価ベースでも1ランク上の)A-70に軍配ですが、A-50DAはスピード感とアグレッシブさを兼ね備えているタイプのサウンド傾向になっています。
●やはりA-70の分解能(音の細かさ)には及びませんが、A-50DAは1粒1粒の音に力強さがあり、インパクト感のある(A-70よりは)重めの音になっています。
●それでも上々のスピード感があり、音と音が充満して見通しが悪くなるようなこともなく、十分な抜けや透明度を保ったサウンドステージを描きます。
●低音もタイトで緩さを感じる傾向ではありません。
●帯域バランスも良好(ただし、A-70同様にベースを少し落とす)で高音~低音の質感も揃っていて、癖のある音作りではありません。
○下位モデルと言うこともあって、全体的に少々粗っぽさが感じられる場面も。
○S/N感・解像度などの基本的音質面は(価格には十分見合った)上々のスコアを付けられるものの、クラス上のアンプ群と比べるとわずかに見劣りする点があります。
黒江的好み度:A

まとめると「シャープでスピーディで、非常に細かい粒子の硬質(寒色)系だった(旧)A-70」に対して、「もう少し1つ1つの粒子感が大きくなるも、その分パワー感(アグレッシブさ)は増し、キレとスピード感はわずかに低下するも(音が自分にめがけて)前に飛んでくるA-50DA」といった感じでしょうか。(一時のTEACやPRIMAREをもう少し硬質にしたような傾向で、なかなか絶妙なポジションにあると思います。METALには合いますよ!)
メタルやロック、J-POPというジャンルで高く評価したいという点では(型番通りのA-70A・A-70DAではなく)明らかにA-70のDNAを引き継いでいると言えるので、気になった方にはぜひ試聴をお勧めしたいところです。

なお、このA-50DAも以前のA-70と同様にBASSを少し落として(時計の10時~11時くらい)聴いていただくのが黒江的なおすすめポイントですのでご注意ください。

A-70のレポートは↓こちらです。
http://www.digitalside.net/?p=727
http://www.digitalside.net/?p=736

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

HAYDN Grand Limited Edition

10月 30th, 2015

HAYDN GRAND SYMPHONY EDITIONは↓こちらからお求めいただけます。
『ザ・ステレオ屋 オンラインショップ(BASE店)』
https://digitalside.thebase.in/

少々遅くなりましたが、今冬“激オシ”のザ・ステレオ屋リファレンスモニターをご紹介させていただきます。

【『触るな危険』領域のキレと圧倒的なスピード感。】

以前から「ロックやメタル、J-POPなどを聴く上で」最高の出来と声高に述べてきたHAYDNですが、またしても新たな(限定)モデルが登場してまいりましたので早速HAYDN Grand Special Edition(≒ HAYDN Grand Symphony Edition)との聴き比べを行いました。

…と以前のHAYDNのレポートなどは(まだ読まれたことがない方は)下記リンクを先にご参照いただければ幸いです。
http://www.digitalside.net/?p=375

(↑からの抜粋ですが…)
【至上最高の分解能・クリアネス】
もちろん「僕の思うに」であり、「この価格帯&サイズ」という点も含まれますが、この「音の細かさと透明感」はちょっと聴いたことがないです。
…と述べているくらいにHAYDNのクリアさは(ものすごい高いものまで聴いていますが)かなりのハイレベルであることは間違いありません。

その上で「ネットワーク(スピーカーの端子部に搭載されている周波数をコントロールする小さな回路)とツイーターが変更されている」という(未確認)情報の新作はどのような違いを聴かせてくれるのか、非常に楽しみな聴き比べでありました。

■Vienna acoustics [HAYDN Grand Limited Edition]
●パッと聴いてすぐに感じられたのは、高域が更に一伸びしたような印象で(人によっては嫌がられるかもしれませんが)よりピーキーな高音を出せるようになっています。(もちろん、ピーク感を盛っているということではなく、再生音に対してより忠実なピーク感を出せるようになったということです。)
●低音のクリアネスが更に向上しており、エッジ感が強めになっています。最低域の伸びは変わった印象はなく、ATCやPMCのDB1などと比べると少し(深さの)浅めな低音となっています。(その分ブーミーさは皆無ですが。)
●スピード感も(大きくは違いませんが)更に向上しており、これ以上のスピード感を持つスピーカー・モニターには今のことろ巡り合えていません。
○全体的に硬質感が増しており、(硬質サウンドが好きな方でも)いわゆる聴き疲れをし易そうな傾向にあります。
○高域の存在感が上がっているため、やや派手(落ち着きのない・シャカシャカした)な傾向となっていますので(以前のモデルよりも更に)好みが分かれるところであると思われます。
○総じて“より刺激的”になってアグレッシブさが増したという様相です。(ハイスピードにアグレッシブ足したら(黒江的には)敵無しですね!^-^;)
(下の3つは人によってマイナス点となる可能性がありますが、黒江的にはプラス要素でしたので(僕と好みが合いそうな方は)好意的に捉えていただければと思います。)

…と、HAYDN Grand Special Edition(≒ HAYDN Grand Symphony Edition)との聴き比べで感じられた点をザッと挙げてみましたが、やはりツイーターの変更(に伴うネットワークの調整(変更))による(そこまで大きな差ではないのですが)差異がもっとも顕著に感じられた印象でしたが、いずれにしてもHAYDNらしいサウンドであることには変わりなく、上記に列挙した項目以外はほぼ以前のHAYDNと共通ということで間違いありません。

強いて言えば、刺激的、アグレッシブとさせていただいた面がやや荒さに感じられる面もなくはない…かな、と言った程度ですが、この辺りはぜひ実際に試聴などをして各々感じていただけたらと思います。

限定数の生産ということで(リミテッド商法みたいであまり好きではないのですが…)、HAYDNを検討されていた方にはぜひお勧めさせていただければと思います。
(なぜか価格も少しリーズナブルになっているので好機だと思います!)

P.S.
比較した前モデルのHAYDN Grand Special Editionですが、かれこれ丸5年くらい鳴らしているので(エージングがしっかりできているので)Limited Editionが余計刺激的に聴こえているのは…といった推測もしております。
(ので、)あくまでも参考程度にレポートを読んでいただけると幸いです。

P.S. 2
初回投稿時にツイーターが異なると書いていますが、ツイーターに変更はないかもしれません。
(ただし、輸入元ページには「コーティングが施されれている」主旨の記載があり、見た目にも光沢感の有無で少し違いがあるのでマイナーチェンジ程度の変化はありそうです。)

オーディオはじめました。- Prologue -

10月 9th, 2015

「黒江先生…!!    オーディオがしたいです……」

…と涙ながらに言ってきたかは、どうだったかよく覚えていませんが、2人の青年が“あくる日”にいよいよオーディオ導入の決意を固めてくれました。

(仔細は割愛しますが)2人とはプライベートでも仲が良く、僕の良き理解者でもあり、いつも応援してくれていますので(僕がザ・ステレオ屋の経営を支える)店長であることも、誌面等への執筆(内容など)もよく知っていてくれていることと思います。
なので、よく知っている仲だからこそ、(自分の商売である)オーディオを押し付けるわけにはいきません。
それでも、イベントや来店時には「やっぱちゃんとした音で聴くと違うなー」「欲しいんですけどね…」などと言ったり、こちらからも「そろそろ買ってみる?」なんて会話があったりして、「じゃあ次のボーナス出たら相談に来ます」みたいな“未遂”レベルまでは話が深まったりとしていました。(具体的に何機種か紹介してあげたりも…。)
そんなかんなを繰り返しながら月日は進み、前述の“あくる日”を迎えます。

『予算の壁と無駄買い(を避けるため)のジレンマ。』

ここからは会話方式で書き出していきます。(略記は黒江→黒・番場→DB・湯川→HY・番場&湯川→2人)
(くどいですが2人とは仲がいいので黒江が敬語ではないのですが、何卒ご理解ください。)

黒「とりあえず、具体的な予算はどのくらい?」
2人『10万円くらいは確実に出せますが、それだと足りませんか?』
黒「(年齢的にも)やっぱりそのくらいだよね…、(2人は)楽器とかも買うしね。 組み合わせによってはもう少し…ってなるかもね。」
2人『どんなのが候補ですか?』
黒「音の好みにも拠るけど2人は俺(黒江)のリファレンス的なサウンドの方向性でいいのかな?」
DB『自分は今までたくさん聴かせてもらってきて、それでOKです。』
HY『僕も大体OKで、もう少しだけ聴き比べたいです。』
黒「了解です。そしたら、次は大きさの制限かな。(いくつかのスピーカーを見せて)この大きさまでしか入らないってある?」
DB『自分のところは他に物が少ないこともあって大体置けそうです。』
HY『僕はできれば(かなり小さめのモニターを指して)このくらいがいいです。』
黒「PCとか置いてるデスク上の両脇に置きたいんだっけ?」
HY『そうですね。』
黒「了解、だいたい分かったので今日はとりあえずENTRY Siを聴いてもらっておこうかな。」

…と、2人の予算、HY君の大きさ制限に見合って、もっとも黒江がオススメしやすいALR/JORDAN [ENTRY Si]を(とりあえず)聴いてもらうことに。

(試聴後)
2人『音の方向性はいい感じだったので、ザ・ステレオ屋さんのお勧めから選んでもらえれば。』
DB『ただ、自分は結構前から何度も聴かせてもらってきたので、(どうせ買うなら)もう少し上のランクのスピーカーも捨てがたいかな…と思いました。』
HY『僕もENTRY Siは価格・大きさからしたら相当良いと思えたんですが、リファレンスのスピーカーと比べると…。』
2人『悩ましいところですね。』

…とと、ここで(見出しの通り)当初の予算と(本当に欲しいなと思える)実際の予算のジレンマが生じてきてしまいました。
焦って買うこともないですし、HY君は設置の工夫などができるかもあったので「どんどん上げていくつもりは無いけれど、予算に関しては今一度検討してもらうプランも提案させてもらうかも」…と(設置予定空間の採寸もお願いしつつ)2人には伝えて一旦お開きにいたしました。

一先ずは予算で買えるものを買って、後々(人によりますが数か月~数年)に入れ替えていくのもオーディオ購入のセオリーですが、(一先ず買ったものを下取りなどするにしても)買い替える回数が多くなるほど結果的な出費は大きくなるので時には予算を上乗せしてでも長く付き合えるものをセレクトする方が賢明な場合もあります。

2人はどんなプランを選ぶのでしょうか…。次回に続きます。

『DB君・HY君のオーディオはじめました。』(不定期)連載スタート!

9月 4th, 2015

(様々な理由から)しばらく更新の間が空いてしまいましたが、またポツポツと更新してゆこうと思っております。

なお、(↑様々な理由の一つですが)BURRN!誌での連載が9月5日発売(←土曜日になるので多くのところでは本日発売)の今月号より再開されています。
ちなみに、同誌に於いて先月号では同一タイトルのアナログとCDを聴き比べる特別企画を手掛けており、かなりの時間と労力を費やしてしまったのも“blogを留守”にしてしまった一因でございました…。(それだけ大変だった割には「校了で気が抜けてしまったりで」こちらでの告知もやらずじまいでしたが…。^-^;)
今後は連載も再開ということで、ブログが疎かにならないように努めたいと思っております。

…と、タイトルの通り、今までにはなかったタイプの不定期コンテンツをはじめます!

仲の良い(20代の)ユーザーさんお2人によるオーディオ機器(導入)実践編レポートとして、当店が手掛ける『プランニング(買い方)・コーディネート(組み合わせ指南)・テクニック(調整アドバイス/ノウハウ)』などをお届けできればと思っております。
具体的なやり取りなどが読んで取れる内容となっておりますので、このコンテンツを読み進めていただければ、なかなか当店に足を運べない遠方の方・ご多忙の方・スケジュールが合わない方でもバーチャルな(感じで当店との)やり取りを体験していただくことができます。

協力していただいているのは『番場 大輔さん(DB君)・湯川 秀人さん(HY君)』(コンテンツ中は堅苦しくなるので“君づけ”で呼ばせていただきます。)のお2人です。
比較的お住まいも近く、よく知る仲でありますので少々贔屓にした対応(主に機器類の貸し出し)が見受けられることもあるかと思いますが、“ガチな企画”となっていますのでお2人(のオーディオ・音楽ライフ)が成長していく様を楽しんで(少しでもの参考になれば)いただければ幸いです。

ASUS Essence One MKII MUSES Edition

5月 20th, 2015

今回は「思わぬ(メーカーから)伏兵が表れた。」…と、一聴した感想から書かせていただきたいほどにイチオシ…いえ、『激オシ』したくなったDACを紹介させていただきます。

【“音楽の女神”が奏でるハイスピードサウンド。】

まず先にメーカーである『ASUS』さんについて述べざるを得ません。
台湾に本社を構えるASUSは(おそらく)PCのマザーボードメーカーとして産声をあげたブランドであり、少なくともつい最近までは音響機器とは(ほぼほぼ)無縁のメーカーであったと思います。
故に(僕がASUSを知ってずいぶんと経ちますが)今日このような形でDACのレポートを書かせていただくことになるとは夢にも思っていませんでしたが、ASUS自体は「Nexusシリーズ」などでこの数年来、非常に有名になっていると思われますので「聞いたこともないメーカーだな…」といった未知な存在ではなく、(僕は)比較的あっさりと受け入れてしまえました。
(なお、台湾のメーカーであり、○国とは全然異なります。当DAC製品も品質管理やパッケージのきれいさなどは非常にしっかりしています。ので、変な拒絶反応はしなくてもよいのではないかな…と個人的には思っております。)
ちなみに、読みは「エイスース」が公式の読み方(呼び方)です。(黒江はエーサスって読んでいました。笑)

…と、前置きはこの辺にして、Xonar Essence One MKII MUSES Editionを聴かせていただいた経緯を(サラッと)述べておきますと、(いつもとは真逆で)スペック(仕様)や使用パーツをリリースで拝見したことがきっかけです。
前述の通り、今まではオーディオと無縁のメーカーさんであったわけですから交流も無く、細部の仕様を確認せずに“先に聴く”ということができません。
…ので、止む無く先にリリースを見ることになったのですが「この仕様(内容)ならどうみてもウチに合ったサウンドが出そうだな…」と、リリースを見てすぐに思いが過ぎり、取扱い先を探してみるも見つからず、その後(どうしても一度聴いて答え合わせ(確認)してみたかったので)色々、諸々を経て実機を聴けることになった…という流れです。

よって、いつもとは逆に「こんな音が出るんだろうな」…と期待し?思いながらの答え合わせでしたが、いつものようにレポートしたいと思います。
(試聴時の比較対象はAura neoの内蔵DACがメインでneoからの同軸デジタル出力をXonar Essence One MKII MUSES Editionに入力しています。)

■ASUS [(Xonar) Essence One MKII MUSES Edition] (EONE MKII MUSES)
●(過去最速?の)neoと比較してもほぼ互角のスピード感で、タイプは(ガツン・ドカンと来る)攻撃的・暴力的なタイプでは“なく”、スッコーン・スッカーンといった突き抜ける系のハイスピードです。(「ほぼ」と付けたのは極々わずかにneoの方が早い印象だった為ですが、曲によってはそのごく僅かな差も感じられず、極めて「=」の(超)ハイスピードサウンドです。)
●1音1音・音像・音場いずれもクリアネスであり、明瞭なサウンドです。(ただし、仕様(測定値?)ではS/N比が120dBとなっていますが、そこまでの印象はありませんでした。…と言っても十分すぎる高S/N感には間違いありません。)
●キレ・立ち上がり・アタック音も非常に良好で、シャープ・タイトで俊敏・鋭敏に音が立ち上がり、スパッと切れよく収束します。
●高音~低音のバランスもフラットで高音が走って(突っ込んで)ジャリついたりすること無く、低音ももたつきや緩みが無く、ボンついたりすることがありません。
●強いて言えば“わずかなウェット感”があり、極々わずかながら(余計なヴェール感ではなく、音の余韻を帯びたような)“エンハンス感”があります。(←このエンハンス感を上手く伝えるのが難しそうなので、全体の文章を読んで察していただけたら…と思います。^-^;)
●よって、ジャリジャリのシャウトがほんの少し生気を帯びていたり、スネアのアタック音に皮の張り感やインパクトの躍動感がよりリアルであったり、ガリッガリのディストーションサウンドを描きつつも音色が失われなかったり…とシャープさを出しつつも高い情報量も感じられるサウンドとなっています。
●エッジ感はしっかりとした線がくっきりと見える(輪郭強調)タイプではなく、エッジ線自体は極々細いがしっかりと輪郭を描いている(シャープで明瞭)タイプです。
黒江的好み度:S

…と言うことで、neoと比較して「極々わずかなエンハンス感(から来るウェット感)」を帯びている印象以外は(neoと)大きな違いを感じない印象で、ザ・ステレオ屋(黒江)的には大ヒットな結果となりました。
(双方黒江が好きなDACチップですが、neoとはDACチップが異なるのに似たような音に聴こえるのが不思議でした…。)

DSD対応ということもあり、最新機種への買い替えにもお勧めしやすいのでぜひぜひご検討いただければと思います!
(個人的にはnorth star design Intensoとどちらにするか悩ましいところですね。)

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

P.S.
レポートはすべて「UPSAMPLING」はオフを前提に書いております。(オンの音はエンハンス感が強烈に高まってしまい、あまり評価していません…。←歌モノにはよいと思います。)
紹介しているのは「MUSES Edition」です。MUSESでないモデルとはまったくサウンドが異なりますのでご注意ください。(ザ・ステレオ屋では(少しの差でもありますし)圧倒的に「MUSES Edition」をお勧めしています。)

CEC TL5 (and CD5)

4月 22nd, 2015

今回は「そろそろ完全復活かな?」と思わせてくれそうなCECからのニューリリース機をレポートいたします。

【『CD5 – DAC = TL5』に非ず。】

先に述べておきますと昨年秋にCD5がリリースされておりましたが、(バタバタもあって)すっかりレポートをし忘れておりました…。(CECさんごめんなさい…。)
ですので、今回は2機種をセットでレポートさせていただきますが、見出しの通りの印象・結論となりましたので(セットで書く方が分かりやすく、伝わりやすく)結果オーライだったかな…と思っている次第です。

CDを回転させる部分に直接モーターを入れず、アナログレコード(プレーヤー)と同様にベルトを用いて回転させる『ベルトドライブCDプレーヤー』と言えば、世界的にも同社しか生産できないであろうCECの代名詞的製品です。
ダイレクトなモーター駆動とベルトドライブ、理論上では(CDから読み取るデータは回転のさせ方で変わることはないはずなので)同じ音が出るわけですが、その実はベルトドライブでしか得られないサウンドが確かに存在し、その傾向を好ましく感じられたユーザーにとっては他に代えられるものが無い存在であることは間違いがありません。

その傾向・特徴は「やはり(ダイレクト駆動に比べると)アナログチックな柔らかく濃い音」という傾向がとても際立ちます。
この傾向に関しては(前述で理論上では変わらないと述べていますが)モーターがCDの真下に無い分、モーターから発せられる磁力や電気的ノイズの影響ををDAC部分が受けにくい、(回転はより正確になるが)モーターの振動の影響が出やすいダイレクトに対してベルトドライブは振動の影響が(回り続けるDISCにも回路にも)出にくい…などなど「違いが生じてもおかしいとは思わない」要素は幾つか考えられると分析しています。
(ただ、そんな屁理屈をどうこう言うより、パッと聴いた時の同社のサウンドが「とにかくアナログチック」なのですから、難しいことは考えずに黒江は受け入れてしまっていますが。)

…と前置きが長くなりましたが、踏まえて2機種をレポートいたします。
(タイトルとは順序が逆で先にDAC内蔵のCD5、次にトランスポートのTL5です。)

■CEC [CD5]
●(今までの)「ザ・CECサウンド」といった印象のマイルドで濃密な、やはりアナログチックな印象を受けるサウンドとなっています。
●高S/Nで高解像度でクリアに広がり、抜けがいい…といった方向性では『なく』、聴き疲れのしない滑らかでスムーズな傾向であり、“音色”をしっかりと聴かせてくれるタイプの音作りになっています。
●…かと言って、S/N感や解像度に難があるといったことではなく、十分な透明感を確保しつつも情報量を最大限に引き上げたような印象を持ちます。
●暖色でウェットなテイストがありますが、ウェットと言っても「瑞々しく冷たい水っぽさではなく」、「ほんのり湿度・湿気を帯びた暖かい方のウェット感」を持っています。
○キレやスピード感には乏しく、やや鈍足の傾向ですが、丁寧な描き出しで音の実像感がぼやけるような「緩々のサウンド」ではありません。
○(特に高域の)ややレンジ感には欠ける印象で、「キーン」と言った突き抜けるような高音が「ピーン」と少し先丸になるなど、アナログっぽさの副作用が良くも悪くも少し感じられます。

■CEC [TL5]
●CD5のレポートに加えて“CEC”“ベルドライブ”のイメージを合わせれば、こちらもさぞ暖かくて柔らかめのサウンドが出るのであろう…と思っておりましたが、(見出しの通り)CD5からDACを抜いたものが=TL5ということではなさそうです。
●音色のある少し先丸なサウンド、スムースなサウンド、キツさや硬さのない印象はある程度のベルトドライブらしさ、アナログチックを踏襲していますが、TL5は高いS/N感からくるクリアさを併せ持っているサウンドになっています。
●CD5同様にウェット感もありますが、こちらは温い暖色のウェット感ではなく「瑞々しさの感じられるウェット感(かと言って冷たいわけではありません)」。
●キレやスピード感も「ある」とはお世辞にも言えないものの、「中速」程度のスピード感は出せており、緩さや鈍足さを感じるサウンドではありません。
●高いS/N感からの相乗効果か、レンジ感もあり、見通しや抜けの良さも「ある程度」あって上々で、低音がボンついたりモコモコするようなこともないのでポップス系などは歌・オケ共に相性が良くバランスの良いサウンドであると思いました。
○いずれにしても「非常に○○が高い」と言える要素は無く、悪く言えば「器用貧乏」「優等生タイプ」な傾向のプレーヤーとなっています。

…と、なかなか意外でもあり、興味深くもある印象となりました。
双方に通じることは「聴き疲れのするような硬質傾向ではないこと、温度感は異なるがウェット感があること、ハイスピード系ではないが情報量が高く、音の密度間が高い」といったことが挙げられます。
しかしながら、双方はまったく異なる傾向とも言える要素がありますので、一体型を検討するかトランスポートを検討するかの検討材料になれば幸いです。

個人的にはTL5の秀逸さには太鼓判です。(悪く言えば~の通り)突出したジャンルはありませんが、クラシック・ポップス・ロック・メタル(も「あー、これじゃ聴けない!(停止ボタン)とはならず」…とどんなジャンルでも聴けるのは何ものにも代え難いポイントだと思います。
(おそらく、ベルトドライブの利点を活かしつつも高いS/N感を両立したところに勝因があるのではないかと推察しています。)

なお、昨今の(小さな業界内ではありますが)PCオーディオブームで単体DACを所有されている方はかなりいらっしゃるかと推測します。
CDもそれなりに聴くし、それなりのプレーヤーが欲しいけど、DACの音には満足しているし(それなりの値段したし)、DACと同じくらいのCDプレーヤーを買うにはちょっと躊躇いがある…なんてことがある方にとってはTL5は非常にお勧めしやすい1台ではないかと思いました。(普通のCDしか再生できませんが。)

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

Pro-Ject Elemental vs Essential II

3月 4th, 2015

今回は(安価なモデルながら)今現在もっとも評価しているアナログプレーヤーのEssential IIに、ちょっとエディションの異なる“腹違い”な兄弟機(兄機)が登場しましたので弟機と聴き比べてみました。

【○いElemental、■いEssential II。】

本国のPro-Jectメーカーページをご覧いただくと分かりますが、Elementalには(今回紹介する)透明なプラッター(レコード盤を載せる回転台)のアクリルバージョンと(おそらく)Essentialと同等のMDFバージョンがあるようです。

このうち、現在、国内(輸入元ナスペック経由)で入手できるのはアクリルタイプでありますが、兄弟機とは言えど音の質感や傾向の差異が大きい2モデルとなっておりますので、ぜひぜひこのレポートを参考にご検討いただければと思います。

まず、両機の違いは目で見て明らかです。
Elementalはとにかく丸い(○い)です。そして(マットを乗せないでいると)白っぽい透明なのでとっても○(白丸)な感じです。
○の両サイドにモーター部とアームベース部がポツンポツンとくっついているような感じで『非常に無駄のないエレガントなデザイン』といった印象です。

次にEssential IIに目をやると、とにかく四角い(■い)です。(当店のはBLACKです。)
『四角い板にプラッターとアームを必要最小限の設置面積で搭載した』だけのシンプルさで、悪く言えば無味乾燥なデザインといったところでしょうか。
また、(特に肉厚・重厚な造りのアナログプレーヤーが多い中、)Essential IIはプラッターやボディなど全体的に“薄い”といった印象も強く残します。

■Pro-Ject [Elemental] vs [Essential II]
●(以前のレポートの通り)Essentialは非常に癖の少ないサウンドであり、実に素直な出音を提供してくれます。
●(価格を感じさせないくらいに)S/N感が高く、(スー・サー・プチッというようなレコード特有の)トレースノイズ・スクラッチノイズも少なく、付帯音に感じられる要素がごくごく少ないため、(アナログっぽさはあまり感じられませんが、)クリアで明瞭、見通しの良いサウンドステージを展開します。
●かと言って、(情報量が欠如したような)スカスカした感じではなく、十分な音の濃さ、強さ(ダイナミクス)、レンジ感も出してくれていて、正にシンプル・イズ・ベストなサウンドとなっています。
○対するElementalは“しっとりと豊潤”さを感じさせる、滑らか、マイルド、ウェットな傾向にあり、(コテコテのアナログプレーヤーには及ばないものの)アナログらしい印象のサウンドを聴かせてくれます。
○S/N感やダイナミクス、レンジ感はEssentialと差異なく、(前述の通り)そこまでコテコテの音作りではないので、(プレーヤーの音癖を)押し付けられるような強引さがなく、色々なジャンルを気軽に楽しませてくれます。
○かっちりし(すぎて)いる(?)Essentialに比べて、やや先丸で伸びや余韻のある傾向となっていますので、歌モノなどは生々しさがより強調されてハマりやすいのではないかと思います。

なお、初見では『筐体以外はほぼEssentialの流用かな、でも筐体とターンテーブル(の素材)だけでも変わるだろうな…』と思っていたElementalですが、よくよく見るとアームも(作りはそっくりですが)太さが異なっていたり、板の代わりになる筐体ベース部の材質感が異なっていたり…と結構違うものなのだな…と気が付かされました。
(つまり、Essentialの■を○にしたのが=Elementalという簡単なものではなかったということです。)

勝手な推測・考察となるのですが、両機のサウンドが異なる理由はやはり筐体のシェイプとターンテーブルの材質の影響が強いと考えており、よりリジットなEssentialに対して、丸みを帯びていて且つ面積・体積の小さい筐体が、よりアクリルの柔らかさを引き立てている…といったことが非常によく表れていることと思っております。
(あえて近い価格でこの2機種を揃えてきたメーカーが「このサウンドの違いを楽しんでもらうため」であるとしたらすごくいいセンスだな…とも。)
(デザイン先行でElementalという方もいらっしゃるとは思いますが、音あってのプレーヤーです。できましたらちゃんと両機を試聴して選んでもらえれば…と思います。)

…ということで、(価格帯の並び方などから)兄弟機と述べさせていただいてはおりますが、実質的には従兄弟機といった感じの両機ですので、無機質モニター派はEssentialを、アナログらしい派ならElementalをお勧めしたいと思います。
(どちらもコストパフォーマンスに優れた良作であることには自信を持って太鼓判押させていただきます!)

そろそろアナログも聴きはじめてみませんか。

P.S.
当レポートは“USB対応フォノイコライザー【無し】”モデルのレポートとなりますのでご注意ください。
フォノイコライザー搭載モデルには(搭載のフォノイコの音でガラリと変わってしまうので)レポート内の一切の分析や感想が当てはまりません。
また、この製品を使用するにあたっては別途フォノイコライザーが必要になります。
(当レポートは当店リファレンスのTRIGON Vanguard IIを使用しております。)

north star design Intenso

1月 22nd, 2015

2015年最初のレポートです。今年もよろしくお願い申し上げます。

【Essensioの正統後継機と謳わせてもらいたい隔世遺伝の末弟機!】

http://www.digitalside.net/?p=444
http://www.digitalside.net/?p=779

↑以前のレポートをご覧いただければ手っ取り早いのですが、メーカー公称(?)的にEssensioの後継とされていた“Impulso”は(当店の検証では)あまり純血感を感じられない結果となっておりました。
「やはりESS社のDAC(チップ)では難しいかな…」とほぼ諦め状態でいたのですが、(Impulsoが最下位エントリー機と伺っていたので)不意打ちで登場した“Intenso”が見事に良い意味で期待を裏切ってくれることに。(!)

久しぶりの(黒江的)大ヒット機なのでちょっと褒めちぎりなレポートになるかと思いますが、いつものように色々と述べさせていただこうと思います。

■north star design [Intenso]
●north star design社製品の音質や傾向ではもはや鉄板的なS/N感の良さ、音場のクリアさ、1音1音の淀み無さ…などなどは本機でも健在です。余計な音、ザワつき、付帯音などが感じられないすっきりとしたサウンド傾向です。
●目…ならぬ耳を惹くのが(黒江の大好きな)、かなりのハイスピードサウンドで、Essensioと同等のスピード感を誇ります。(おそらく現行機種の中では最上位を争うレベルではないかと…。)
●加えて(これまた大好きな)、高分解能なサウンドであり、ディストーションの歪み、シンバルのクラッシュ音、シャウトの擦れなどなど、音の粒の細かさと粒の量が精密且つピーキーに刺激的な音を正確に再現しています。
●低域はタイトでやや硬め、全体的(全帯域的)にも音像感の強い引き締まった傾向にあります。
●輪郭はEssensioに比べるとほんの少しくっきりしていますが、Essensioがかなりシャープなエッジ感でしたので「これくらいで丁度よくなった」と取れる感もあります。
●「完璧!」などと言うつもりはさらさらありませんが、ハイスピード傾向のEssensioに『アグレッシブさを持たせた』ような正に理想的な傾向となっており、この数年来のモデル中ではザ・ステレオ屋リファレンスの上位を争えるようなサウンドです。
○(やはりEssensioなどと同じく)音場は狭いタイプで、左右のスピーカーの間から正面にフィールド形成してくるイメージの鳴り方をします。
○前に向かってくるタイプのサウンドですので、あまり奥行き感を感じさせる傾向にはありません。
○低域も一般的なものよりはやや薄めであり、量感のあるタイプではありません。
○(後述しますが)ESS社のDACであるからなのか、(ロックやメタルを聴く上では)ほんのりしっとりで(自然ではありますが)ほんのり伸びのある印象です。(かえって好ましく思われる方も多いかもしれませんが…。)
(「ほんのり」というのは「ほぼほぼ気にしなくてもいいレベル」と言っても良いくらいですし、他のDACに比べれば全然しっとりもしていないし、伸びもないと思います。あくまでEssensioなどと比べると…という意です。)
黒江的好み度:S(~A+)

…といったところです。
黒江的には「久しぶりの大当たり!」といった会心作であり、当店で第1号であろう「DSD対応のイチオシモデル」がやっと登場してくれました。(^-^;)

…と、少し考察してみます。こちらの[Intenso]も(黒江が苦手な)ESS社のDAC(チップ)なのですが、これだけ印象の異なるサウンドを出してくれた理由が気になるところです。
もちろんDAC(チップ)なんて所詮デジタル信号をアナログ信号に変えるだけの作業(持ち場・役割)なので、その「取り出したアナログ信号を増幅する」アナログステージと呼ばれるところの影響(黒江にとっては恩恵)が大きいのだとは思います。

(特にnorth star design社のアナログステージは出来るだけ余計なことをせずにストレートに、原音(録音)に忠実な出力を心がけているそうです。)
(逆に言えばnorth star designでは「ESS社のDACに少し癖がある」と判断し、「今回のIntensoでは」その癖をキャンセルさせるアナログステージ作りをされたのでは…と勝手に思い込むことにしましたが。)
(ただし、その癖をキャンセルする中でほんのりESS風味が残っているような印象を受けることも…。↑の補足です。)

それと、以前のPioneer [U-05]のレポート「http://www.digitalside.net/?p=829」でも触れたように、IntensoではESSチップでもES9016を採用しているのが大きいようです。
ですので、黒江が苦手なESSチップは(巷ではもっとも高音質とされている…^-^;)「ES9018」に限られるようで、「ES9018」以下のチップであれば(料理の仕方によって)好みのサウンドに近くなることが分かりました。
(Pioneer N-70AもN-50Aも「ES9018」以下のチップですしね。)

ネットワークにこそ対応していませんがUSB DACが直接繋げるNASも今後増えてきそうですので(後日DELAもレポート予定)これからの購入で“ネットワークレスDAC”はまた熱いジャンルになるのではないかと思います。
ぜひご購入の参考にしていただければ幸いです。

お値段や試聴等、気軽にお問い合わせください。

P.S.
ちなみにEssensioは(Intensoがアグレッシブさを備えた分、わずかに厚め・濃いめにシフトしているので)すっきり感・シャープさ・切れ・細かさなどは少し優勢でした。
DSD対応や、よりハイレゾリューション化を進めたい方はEssensioからIntensoへのリプレースで失敗はないかと思います。
(ちなみにちなみにEssensioは虎の子の最後の1台を在庫しております!)