Pioneer XDP-300R vs ONKYO DP-X1A

11月 8th, 2016

前回に続きまして、Pioneer新モデル(XDP-300R)のレポートを軸に双方の試聴比較を取り上げさせていただきます。
※(お約束)『vs』とは両者の「優劣」を決めることではありません。「比較・差異」を分析するレポートですので予めご理解ください。

【前モデルを踏襲したチューニング。】

リリース前の情報などを見るに、今回のPioneerは(前回の)ONKYO DP-X1のスペック(パーツ類)と同等のものを使う。つまり、XDP-300R=DP-X1となるのでは?といった憶測も飛びかいました。
「だとしたらDP-X1のメーカーロゴをPioneerに変えただけじゃん!」「そんなことはないはず…!」と早く実際の音を聴いて確かめたい衝動に駆られていたのですが、実機を聴いて一安心。ちゃんとDP-X1とは異なるサウンドとなっておりました。
(下記はDP-X1「A」との比較レポートです。上記の(パーツが同じとされる)DP-X1「無印」との比較ではありませんのでご注意ください。)

■Pioneer [XDP-300R]
●DP-X1Aと比べると1音1音のエッジ感(輪郭)がはっきりとしており、硬質よりのサウンドとなっております。(輪郭線は細く、彫りの深い音ではありません。)
●DP-X1Aより(良くも悪く)も低音が控えめ(抑えめ)で高音の伸びも(DP-X1Aがよりハイレベルのため)わずかに劣ります。
●音の切れ、スピード感はDP-X1Aよりも1周り2周りも上回り、エッジ感とも相まって“アグレッシブ”さも兼ね備えています。
●1音1音の分解能はDP-X1Aと同等かそれ以上であり、シンバル(金物)のクラッシュ音、ディストーションの歪み感などは非常にハイクオリティです。
●前モデル(XDP-100R)同様に癖の少ないモニター調であり、各帯域のバランス、タイトさ、シャープさ、粒立ち良さなどが好印象にあります。(DP-X1AはXDP-300Rよりも少し音楽的と言えるかと。)
○S/N感・解像度・レンジ感などはわずかに引けを取り、特に情報量(音の濃さ・太さ・密度感)はDP-X1Aに軍配が挙がります。
黒江的好み度:S- (前モデルはA+(~S-))

…といった感じですので、端的に言えばPioneerの方(XDP-300R)は(前回と同じように)ややシャープな音作り、ONKYOの方(DP-X1A)はニュートラル(中庸)を意識した音作りの印象を受けます。(黒江的に言わせれば硬質でモニター調のXDP-300Rの方が正確な音に感じるのですが…。)
2機種を比べるとやはり“ザ・ステレオ屋”的なリファレンスはXDP-300Rですので、そちら寄り(ロック・メタル、ハイスピード系)の方にはXDP-300Rをお勧めし、女性ボーカルやクラシックなどまでオールジャンルで聴きたいという方はDP-X1Aをお勧めしたいと思います。

なお、モニター調と音楽的、ハイスピードとニュートラルなどなど、両者(2機種)を対角的に表している部分もありますが、あくまで両者はよく似たサウンド傾向にあり、Pioneerが「硬質寄り」だからといってONKYOが「ウォームで緩々のサウンド」ということではありません。
両者ともにクリア系を基調とし、音に緩みや膨らみのないシャープさを持っている傾向となります。

…と言うことで、Pioneer・ONKYO共に小幅ながらも(音が大変わりすることなく)確実・堅実なブラッシュアップが図れている良リリースだと思っております!

P.S.
今回もDSPモードやEQなどはすべてオフ、(黒江はバランスの音があまり好きではないので)アンバランスによるヘッドフォン試聴とLINE出力試聴での結果となります。

ONKYO DP-X1A

11月 2nd, 2016

今回はONKYOのヒット製品「DP-X1」の後継モデルを(速報気味に)レポートいたします。

【文字通りのブラッシュアップモデル。】

昔からの機器の型番ルール?(習わし)では、前モデルの最後尾に「A」が付くのは改良版である印。…と言われていますが、正にこのDP-X1Aはその名(型名)の通りに前モデルを1まわり、2まわり成長させたようなモデルになっています。

今回は前モデルDP-X1と新モデルDP-X1Aを同時比較試聴して2台の音の違いを分析できましたので、いつものように(あれこれと)述べさせていただきます。
(なお、前モデル同様にDSPやEQなどをすべてオフ、ゲインはHighで試聴しております。)

■ONKYO [DP-X1A]
●前モデルよりもS/N感・解像度・音の切れ、見通しなどが1ランク向上しています。(前モデルも数あるDAPに於いてトップクラスでしたが…。)
●音のバランス感や音の傾向は前モデルと同様で、バランスは(高域・中域・低域などが強く主張することなく)良好、音に癖も無くクリア系ストレートサウンドということには変わりありません。
●前モデルと同じく「クリア系ストレートサウンド」が基調でありつつ、少し上品で、わずかに艶やか(ウェット)な印象も同じです。
●S/N感が更によくなったことでの相乗効果か、抜け・切れが向上していて、なかなかのハイスピードサウンドに生まれ変わっています。
●(黒江的には)悪くなった点は見当たらず、全体的に文字通りのブラッシュアップモデルと位置付けて良いのではないかと思います。
黒江的好み度:A+ (前モデルはA)

…と、(おそらく大幅な変更はしていないと思うので)「A」を加えるだけの改良に留めたのが良い結果に繋がっていると考察しています。
MQAへの対応などのほかに、ジャックの強化なども施されているようなので(前モデルでは)「様子を見ていた方」「サウンドがあと少しだった方」、前モデルをお持ちの方でも「もう少しスピード感やキレが欲しかった方」などにはお勧めです。
(※Pioneerの新モデルも後日レポートしますので(特にメタル系などの方は)後日のレポートを見ていただいてから照準を合わせるのも良さそうです。)

DELA HA-N1AH40/2 & HA-N1AH20/2

10月 26th, 2016

今回はDELAのNewモデルをご紹介させていただきます。
(※今回の内容はある程度オーディオやDELAについて分かっている方向けですので予めご了承ください。)

【静かなる正統進化。】

DELAは一言でいえば「高級NAS」と称される製品です。その「NAS」とは何であるかと言うと“Network Attached Storage”(ネットワークに所属(加入)しているストレージ(記憶装置))ということになり、簡潔に言うなら(USBとかではなく)「ネットワークで接続されている外付けHDD」といったものであります。

NASは(主な用途との関係で)大容量を求められる傾向なので記憶装置には(より大容量なものが揃っている)ハードディスク(HDD)を搭載したものが多く、上位モデル(高価)には(より書き込み読み込み速度の速い)SSDを搭載しているモデルに分かれます。
この「外付けHDD/SSD(的なもの)」にネットワーク部を加えることでNASが成立しているのですが、実はNASにはCPU(的なもの)も搭載されており、更に言うとOSが入っています。
一般的な外付けHDDなどはファイルの読み書きの際に単純にファイルのみがやり取りされているので、管理は繋がっているパソコンにすべて委ねられているのですが、NASではファイルの種類や保管されたフォルダ(部屋)などが生成されていて、NAS自身がファイル(フォルダ)の管理の一部を担っています。

パソコンからの指示で家(ディスク)や部屋(フォルダ)に入るのが外付けHDD、玄関先で名前(ファイルの種類)や住所(フォルダ)を訪問記録などに書き込んでから入るのがNAS…といった感じです。(分かっている方向けなのでこんな説明は不要かとは思いますが…。)

…と、DELAの話に戻りますが、DELAはこのようなNASの高級バージョンとは言うものの、最先端のCPUを搭載しているとか、ハイパフォーマンスのグラフィック用チップが搭載されている…といった高性能さはありません。(むしろ軽快に動作するのが大前提で、必要最小限のCPUやチップにした方が発熱なども少ないのでオーバースペックにならないパーツを使うのが正解です。)

では、その高価な分はどのようなところにあてがわれているのかというと…

1.まずは一目見て分かるボディ部。(高級そうに見える…というのは冗談ですが、堅牢なボディとすることで振動対策やノイズ対策に繋げています。)
2.徹底的な内部のノイズ対策。(NASは結果的に“ちょっとしたパソコン”であるため、CPUやメモリー、ディスプレイ部などからのノイズ成分がHDD/SSDやデータの入出力部に影響を及ぼします。これらを内部の部屋を分けたり、シールドすることでノイズの干渉を抑えています。)
3.電源部・端子部などの高級化。(メイン基盤をはじめに、電源部や端子に良質なパーツを採用して高音質化を図っています。)
4.HDDやSSDの吟味。(HDDやSSDにも様々なモデルがあるため、より高音質(に感じられた)なものを採用しています。)

…とメーカーカタログみたいなことを書き出してしまいましたが(笑)、要は普通のNASをオーディオ用のNASにするために細かいところまで精査している…ということに間違いはありません。

肝心の音質ですが、まずは普通のNASと旧DELA(HA-N1AH20)を比較試聴してみると…
●S/N感が1ヴェール上がる。(1音1音のノイズ感には大きな差は出ませんが、いわゆるサウンドステージのノイズフロアが低減して全体のすっきり感が上がります。)
●情報量が上がる。(全体的に音の量感が上がり、しっかりとした音になります。)
…(双方ともにまったく同じデータであることからも)超激変!という結果ではありませんが、音質の向上は確かだと思います。(理由は分かりません…。^-^;)

次に、新DELA(HA-N1AH20/2)と旧DALA[/2の有無]の比較試聴です。
■DELA [HA-N1AH40/2][HA-N1AH20/2]
●旧DELAと比べて新DELAは更にS/N感が1ヴェール向上し、見通しが良くなっています。
●見通しが良くなった相乗効果で、抜け感や音の切れ、スピード感が向上しています。
●全体のセパレーションも良くなり、各パートの分離感が向上しています。
●情報量がより上がり、微小音(弱音)の再現性が高まっています。

…と、普通のNASと旧DELAの比較と同じように、「激変!」「全然違う!」とはならないものの、1つ1つはわずかながらも全体的に基本的な音質が向上しております。
なお、旧DELAの情報量の向上は「少し濃くなった」ような(黒江的にはあまり好ましくない)印象も受けましたが、新DELAの情報量の向上は「高域や中域の音数(分解能)」の向上であり、音の濃さは少しさっぱりしたしたように感じられましたので新DELAは癖が皆無に近い印象です。

また、DELAの高い利便性として、(ネットワークでの使用をしなくても)USB DACへのSEND(センド)機能があります。
これはDELAの(HDD/SSD)中に入っているデータを手持ちのUSB DACへ(USB)出力してくれるものであり、USB DACをパソコンに繋いで得られる音質よりも格段に良い音質を得ることができます。
この機能によってネットワークプレーヤー(ネットワーク機能)は無いけれどお気に入りのDACを所有している方もNASの利便さにあやかることができ、且つ音質の良さもあって(ネットワーク接続できるけど)あえてUSB接続で使用するということも可能になるため、製品の使い勝手はとても良いものとなっています。

…ということで、期待通りの新製品となりました。ご興味あります方はぜひお問い合わせいただければと思います。

ONKYO NS-6170 (and NS-6130)

10月 5th, 2016

ONKYO (& Pioneer)からリリースされた、この秋期待の新製品を早速レポートしたいと思います。

【無表情でも情熱的なモダンニュートラル。】

DAPのDP-X1とXDP-100Rが(ほぼ共通部品の)兄弟機であったので、まず先に『N-70AやN-50Aをベースにされたモデルでは?』と思いメーカーに問い合わせたところ基本的にONKYOの完全オリジナル設計(開発)とのこと、以前にPioneer N-70Aには太鼓判を押した黒江的レビューですが、ONKYOさんにも“大きな判子”は押せるのでしょうか…。

■ONKYO [NS-6170]
●S/N感・レンジの広さ・解像度・情報量などなど、基本的音質は上々であり「お値段以上」と言えるサウンドです。
●ややしっかりめの輪郭感で明瞭な音像、適度に広がりのあるサウンドステージ、(低音がブーストされることなく、高音が耳に刺さることなく、)凸凹感の無いバランスの取れたレンジ感と、いわゆる隙の無い(優等生的)ウェルバランス型となっています。
●これらに加えて、黒江的評価ポイントが高かったのが硬軟寒暖の描き分けが上手くできている点です。クール・ウォーム・ウェット・ドライ・ソフト(マイルド)・ハードといった偏りがなく、淡々と鳴っているようで1音1音の質感をしっかりと表現できており、簡単そうに見えてなかなか難しいところができているのには好印象を抱きました。
●後方から突き抜けるような抜け感はあまり感じられないものの、(黒江的に言うと)いわゆるアグレッシブ系タイプであり、高分解で体を通り抜けるというよりは、しっかりと体に音が当たってくる“鳴りっぷりの良い”“エネルギッシュ”な傾向です。
○スピード感は中速よりはハイスピード側に位置する“やや速め”といったところで、個人的には一番残念な点ではありました。(…が、鈍足ではないので十分かとは思います。ハイスピードなマイリファレンスに慣れ過ぎてしまってるので。^-^;)
○加えて、あまり分析的なサウンドではないため(もちろん粗暴・粗雑なんてことは皆無ですが)、1音1音のきめ細かさや緻密さを強く求める方にはややフィットしないかもしれません。
黒江的好み度:A+

…ということで、黒江的にはスピード感(も惜しい!)以外は◎(二重丸)を付けてあげたいサウンドでした。
気に入った(気になった)ポイントは前述にもあるようにシャウトとディストーションサウンドを巧みに描き分けて共存させられる点で、シャウトはしっかりと擦れ具合を出しつつも唸りや嗚咽の(喉の)熱気感があって良好、ギターも巻き弦のビリビリとした物理的振動の歪みとエフェクトの歪みがちゃんとブレンドされていて良好、何よりもこれらの肉体的・機械的な双方を同時に鳴らし分けてくれるところはとても魅力的でした。

なお、(昨今のONKYOの傾向?)DP-X1とNS-6170には共通する点(S/N感・レンジの広さ・解像度・情報量などなど、基本的音質は上々など)も多く、音作り・音決めのベースが同様(の源流)にあるような気がしました。
とは言え、DP-X1はスッキリ・クリア系、NS-6170はしっかり・アグレッシブ系なので源流からそれぞれ枝分かれした感じかと考察しています。
(DP-X1を端正とするなら、NS-6170は精悍と言った感じです。)

歌物からJ-POP/J-ROCK、アコースティックからメタルまで幅広く聴かれる方にはお勧めしやすい製品となっておりますので、ぜひ試聴等をしていただければと思います。

P.S.
NS-6130は…ローコストモデルであることからも察していただければと思いますが、基本的にはノーコメントとさせていただこうかと思います。
低音の量感が欲しい方や、ドスン・どっしりとした鳴りを求める方にはフィットしやすいかと思っております。

CHORD DAVE

9月 16th, 2016

今回は久しぶりの(高額)ハイエンドモデルではありますが、個人的に高く評価させていただいたモデルとなりましたので特別編としてレポートしたいと思います。

【広大で透き通るサウンドステージにふっと音が沸き上がる。】

まずはじめに、このDAVE(デイブ)というD/Aコンバーターは汎用のDACチップを使用せずにFPGAという独自のプログラム(処理)を走らせて「デジタル→アナログ変換を行っている」という一般的な製品とは一線を画するポジションの製品であることがアイデンティティであり、魅力であることが大きな存在感となっています。

そのこと(汎用DACではない)がどういうことなのかと言うと、(音源の)デジタルデータは“0”か“1”であり、わずかコンマ何秒の音を作るためにデジタル(データ)をアナログ(波形)に変換する小さな回路をDAC(チップ回路)と呼ぶのですが(例えば“1010101010101010”というデータをDACに入れると“ザッ”という音に変換れて出てくる)、このDACチップというものが全世界で数社から製造され、ほとんどのオーディオ(音が出るものはすべて)メーカーがいずれかのDACチップを採用し、搭載しています。
(オーディオで有名どころなDACチップのメーカーは[]内は傘下企業等、Texas Instruments[Burr-Brown]/旭化成/Cirrus Logic[Wolfson]/ESSなどがありますが、それぞれのチップメーカー毎に(同じデータを入力しても)少しニュアンスの異なる音の出力が得られるということが一般的です。※もちろん、同じデータから出てくる音(ピアノ・ドラム・ギター・ボーカルなど(の混声))は基本的には全く同じ音です。)

これに対して、CHORDのDAVEはFPGAという(中身のプログラムが書き換えられる)マイコンやCPUのようなチップを独自でプログラミング・設計し、汎用DACの代わりに用いています。
言わば、同じデータから他のどのメーカーとも異なるニュアンスの音を取り出すことができ、唯一無二のサウンドを再現・表現できるということになります。

ただし、黒江が評価したのはこの“唯一無二”“独自”“アイデンティティ”などといった点ではなく、そのフィロソフィーと言いますか、(汎用DACでは聞かれない)デコード(演算)への考え方・取り組み方です。(仔細は割愛します。)
端的に言えば、“聴き心地のいい音”や“美しい音”ではなく、“より正しい音”や“録音に忠実で鮮度の高い音”を目指されているという面です。

…ということで、いつものレポートに入りたいと思います。

■CHORD [DAVE]
●まず目を見張るのが、S/N感の高さです。1音1音にも、広がるサウンドステージにも雑味が感じられません。
●フッと(静かに)沈み込む低音から、きれいに昇華する倍音までレンジの広さは当然のように自然なレンジ感を持っています。
●歪み(っぽさ)が(今まで聴いてきたなかでも)極限的に低く、少なく感じられ、どんな音もスーッと耳に入って(耳の中で暴れたり、絡まったり、溜まったりせず消費され)吸い込まれてゆくような感じを覚えます。
●伴って(1音1音の)分解能も非常に高く、(サウンドステージの)解像度もハイレゾリューション。音と音の存在感を感じつつ、本当に透き通るような見通しが魅力的です。
●音の濃淡は少しパステル拠りで、原色ギトギトといった傾向ではありません。やや艶感もあり、少しウェットな路線と思います。
●スピード感・キレ・抜けは上々ですが、(黒江が好むような)ハイスピード系と比べると少し減速したポジションです。ただし、これは音が“スムース過ぎるあまりに少しゆっくり聴こえる”(猛スピードで動いていると周囲が止まっているように見える)ようなこととの影響も考えられ、局面(出音)によってはスピード感が増減するような印象が残りました。
黒江的好み度:採点不能

一見すると“美音系”のように思われるかもしれませんが、あくまで“解析的”なサウンドであり、どんな録音も正しく再生・再現するという基本線を持っているのは賞賛の一言に尽きます。

…ということで、久しぶりに極上サウンドと呼べるような製品に出会い、「好む好まないを超えて高く評価したい」と思わせてもらいました。
アタック音が、インパクト音が、畳み掛けてくるマッシブさが、アグレッシブさが…とはなりませんが、少し遠目でステージを見るような再現性は非常に優秀で、決して“超メタルに合う”サウンドではありませんでしたが“メタルもなかなか良い”とは自信を持って言える相性であり、ディストーションサウンドなども非常にきれいに再現されていたのが印象的です。
もちろんもちろん、歌物やPOPSは文句のつけようがありませんし、ストリングスやアコースティックなども非常に優秀でした。

『高嶺の花』ではありますが、機会があればぜひ聴いていただきたい一品(ひとしな)でございました。

P.S.
黒江は宝くじでも当たればサブ機として買わせてもらいたいな…と。
&こういうのがじっくり聴けるのは役得でございました。(笑)

Rega Planar 3

7月 28th, 2016

Regaと言えばプランナー(で、プランナーと言えばRega…ではなくてファイナンシャルプランナーとかブライダルプランナー…って、だだ滑りだと思うので括弧書きにて)と言った印象があるくらいにRegaの代名詞的なプロダクトが(バージョンを上げて)久しぶりに再上陸いたしました。

【オールドスクールとモダンのブレンドサウンド。】

以前は赤・緑・青・黄などのカラフルボディを展開していた同シリーズは比較的リーズナブル(現モデルは少し値上がりしてしまいましたが)でカジュアルユーザーにも人気を博していましたが、あれからしばらくの月日を経て登場した、新生Planarはたしてどんな感じのサウンド傾向なのでしょうか。
いつものようにレポートしたいと思います。

■Rega [Planar 3]
●(見た目からで恐縮ですが)薄型ボディに薄型のプラッター(回転台)、ストレートアームと“今風”のデザインですが、実は旧モデルからこんな感じのフォルムだったのでPlanar的には“以前と変わらず”と言った風貌です。(デザイン的には他のモデルがPlanarに追いついてきたと言った方が正解っぽいですね。)
●作りは非常に丁寧かつしっかりとしており、安っぽさがありません。(むしろお値段以上です。)
●回転ムラや針(アーム)の暴れも無く、(見た目、デザインだけではない)いわゆる“ちゃんとした”レコードプレーヤーとして十分な仕上がりとなっております。
●サウンドはやや低重心で低音はズーンと沈み込みのある傾向です。
●中低域は音に厚みがあり、やや先の丸い、ほんのり(ごく僅かに)太さを感じるタイプとなっています。
●高域はきらびやかでやや金属的、中低域に比べるとシャープさと細かさが感じられる傾向となっています。
●パッと聴きで“アナログらしい音”と思わせる印象であり、コシや伸びやかさを持ったサウンドと言えると思います。
○悪く言えば中低域と高域の質感・音色感に少し温度差がある印象で、(モダンな)シャープさのある高域と、(オールドスクールな)太さ厚みを持った中低域が織り交ざるようなサウンドとなっています。

…といった印象のサウンドでしたが、黒江的には決して(本流の)好みの音ではありませんでした。
が、Pro-Ject [Essential II]のサウンドを聴き慣れているせいもあってか、実に“アナログらしい”Planarのサウンドには「こっちはこっちでいい」と感じさせてくれるものがありますし、テンポ・ビートの早いいわゆるメタルやロックではない、歌物などはPlanarの方が「しみじみと聴かせてくれるなぁ」といった印象を覚えます。
高域と中低域の温度差も(本来ならすごく嫌がるポイントなのですが)アコースティックや歌物だと全然気にならず、むしろ金物の鳴りとスネア・バス・タムの皮の厚みがしっかり描き分けられていて魅力にも映ります。
…ということで、珍しく「ゆったりとしたサウンド」をお聴きの方にお奨めしたいアイテムのレポートとさせていただきました。

以前のようなカラフルボディの展開ではなくなってしまいましたが、ルックスの良さは健在で、お部屋のセンスにこだわりを持った方でも受け入れやすいと思います。
「Regaと言えばPlanar」ご興味ありましたら一度ご試聴してみてください。

NuForce uDAC5

6月 22nd, 2016

今回はすでに定番と化しているNuForce uDACシリーズの最新作をレポートいたします。
(初代{1},2,3…と来て、なぜか4が飛んで5ですが“4”は“死”を表すから飛んだのかも…。と思っていたら詳しくは言えませんが当たらずも遠からずな理由でした。)

【手のひらサイズのミニマム・コンパクト・アグレッシブサウンド!】

(定番と述べているくらいにコンスタントに売れ続けている製品なので、あまり細かくは述べませんが)当シリーズはハイスピード(初代)、アグレッシブ(2代目)と黒江的には好きな傾向のサウンドであり、価格的にも推しやすいアイテムとなっていますのでそこそこの期待を持っての試聴となりました。
(鬼門?である)DSDに対応した(DACチップを搭載した)ことが凶と出るか出ないかが命運を分ける気がしておりましたが、果たして…。

■NuForce [uDAC5]
●とりあえず一安心のサウンドスタイル・サウンド傾向であり、全体的に音はタイトで「丸い・太い・濃い・緩い」といったマイルド系のサウンドではありません。
●シャープさ、ハイスピード感、切れ、高分解能といったクリアネス&ハイスピード・シャープ系ではありませんが、(前述の通り)タイトサウンドがビシビシと飛んでくるようなアグレッシブ系のサウンドとなっています。
●キンキン・カンカンの硬質・寒色ではありませんが、やや硬質・寒色傾向であり、ウォームさやソフトさは感じられません。
○レンジ感・S/N感・解像度・音場の広さは(値段なりで)決して秀逸とは言えませんが、及第点のクオリティ(以上)は持ち合わせています。
○以上の点からも、1音1音や各パートの分離感も決して高いとは言えず、全体的に中央に集約されたサウンドとなります。

…といったところですが、“値段なり”と述べているように約3万円という価格からは十分な音質・CPが得られていると思います。
(大きめの)マッチ箱2箱分相当のボディサイズ、USB接続のみで電源不要、ヘッドフォンアンプ・LINE出力・D/Dコンバーター(デジタル出力)の1台3役と使い勝手も良く、何より(超個人的ですが)、アルミボディがすごくクールで素敵だと思っております(タイトさを生み出しているのにも貢献しているかと)。

ちなみに、LINE出力時の適正なボリューム位置は(黒江検証では)ヘッドホン端子のヘッドホンマークが順方向(Ω)の時に2時を指す辺りで、MAXは3時ですが(おそらく)歪んでくると思いますのでジャストな位置は聴感で検証していただければと思います。
(2時だと少し音量が小さいですが、その分アンプのボリュームを上げていただきます。)

手のひらサイズのクールなアグレッシブマシーン、ぜひご検討いただければと思います!

P.S.
D/Dコンバーターの件を追記するかもしれません。

オーディオはじめました。 – 予算と試聴 1 -

5月 18th, 2016

しばらく間が空いてしまいましたが、購入記『オーディオはじめました。』再開したいと思います。
(※連載はカテゴリー【購入記:オーディオはじめました】でまとめ読みできます。)

前回の試聴で『予算の壁と無駄買い(を避けるため)のジレンマ。』を実感した2人。しばらくして再度の試聴をお願いしてきました。
(略記は黒江→黒・番場→DB・湯川→HY・番場&湯川→2人)

2人『予算をもう少し上げる前提で、やっぱりHAYDNとか、ザ・ステレオ屋さんのイチオシ系と(前回のENTRY Siとかを)聴き比べたいです。』

何やら気持ちは動いてきているようですが、無理はさせたくありません。
黒「ENTRY Siも(あの価格帯では)かなりイチオシなんだけどね。(笑)」※ENTRY Siは廃番となっております。
2人『とりあえず、もう少し上のも聴いてみて判断しようかと…。』

…ということで2人のリクエストに応えて、前回の“予算抑え気味システム”と“当店の大定番システム(いわゆるザ・ステレオ屋リファレンスシステム)”を聴き比べてもらうことになりました。

比較試聴機器(1例:以前の記録ですので廃番も多いためご注意ください。)
<前回の組み合わせ>
☆CDプレーヤー&各種メディアプレーヤー:ノートPC(Windows) with NuForce [uDAC2]
☆アンプ:NuForce [iCON2]
☆スピーカー:ALR/JORDAN [ENTRY Si]
↑要は(初回に予定していた10万円で)予算が確実に足りるであろうというシステムです。

<今回の組み合わせ>
☆CDプレーヤー&各種メディアプレーヤー:Aura [neo]
☆アンプ:Pioneer [A-70]
☆スピーカー:PMC [DB1 Gold] & ATC [SCM11] & McIntosh [XR50] & Vienna acoustics [HAYDN GRAND SYMPHONY EDITION]
↑一気に予算は跳ね上がりますが、ここ数年来の「イチオシできるモデル」なスピーカーに注力した比較試聴です。

…と、試聴結果の前に少し当店のスタンス(の一部)を紹介させていただきます。

「(前述にもありますが)当店のデモ機に廃盤品や型落ち品が多い」のは(以前から何度も述べてきているように)そもそものオーディオプロダクトに「ロックやメタルを上手く鳴らしてくれるものが少ない」ことに起因しています。
毎年、1年間を通して(当店の取扱い品目の中心となるものは)ほとんどの新製品を試聴しておりますが、ロック・メタルユーザー(リスナー)に「ぜひ聴いてもらいたい!」と思えるものは極わずかですので、(同じようなジャンルと価格帯のものが見つかるまでは)なかなか以前のモデルを手放すことができないというわけなのです。(気に入っているサウンドのものは比較試聴のリファレンスとしても重宝しますしね。)

ですので、必然的に「ちょっと前のモデル」が残りやすい状態にあるわけですが、この「箱入り娘」達を絶対に嫁がせないというワケではありません。
(デモ機の処分は少しお安くしてあげられるものもあるので)今回のように(予算の関係だったり、音的に代わりが提案できないときなど)嫁ぐべき人が見つかれば喜んで嫁がせているのです。

ただし、誰彼構わずというわけにはいきませんし、こちらが「まだ手放したくない」と考えるうちはお断りさせていただくことも多くございますし、お譲りするとしても、親心としては後者の「音的に代わりがない」=「その子を大切に使い続けてくれる」方が要素としては大きいです。
(そんな親心を貰い手も分かってらっしゃるからか、あまりお安くできなくても「ぜひこの子を僕にください!」という流れになることが多いのですが。^-^;)

…そういった理由から当店には(ブログ等にも)「ちょっと前のモデル」が散見されますが、暖かい目で見ていただけると幸いであります。
(前述の通り、僕たちとの折衝次第ではお譲りすることもできます。…お安くできるかは分かりませんが。)

…といったところで、そろそろ「試聴の結果」を発表したいところですが、(コラムが長くなりましたので)次回に続きます。

LUXMAN L-550AXII

4月 12th, 2016

今回は間もなくの登場となるLUXMANのA級プリメインアンプをレポートさせていただきます。

【けたたましいドライブ感と突き破るスピード感。】

遂にこの日がやってきた(やってきてしまったとも…)という(少し複雑な)心境ですが、LUXMAN製品を当店のリファレンスと謳わせていただくときが訪れました。
まずはいつもの通り、分析・解析レポートを述べさせていただきます。

比較対象機はPioneer A-70(無印:1つ前の型番)で両者には妙な共通点があったのは必然か偶然か…。(笑)

■LUXMAN [L-550AXII]
●(決してお安くはない価格帯ということもあって)さすがのS/N感とレンジ感、ダイナミクスと基本的音質は十二分の性能です。
●純A級動作ということもあって1音1音を押し出す力、音場を張り出す力、音の粒を弾き飛ばす力…と高いドライブ感(パワー感)を感じさせるサウンドであり、主音(強音)はより前に、弱音はそれなりに…と各パートの音像を描きわけながらも(主音を)グッと前に押し出してくれる高い定位感が魅力的です。
●硬質よりのサウンドであり、やや寒色傾向ですが、前述のドライブ感を伴っているためキンキン・カンカン・コチコチといった印象にはならず、適度な厚みと重みも感じさせてくれます。
(硬質度はA-70を10段階中7~8とすると、L-550AXIIは6程度と考察します。「硬質度0で硬くも軟らかくもないという意です。」)
(寒色度もA-70よりは少し穏やかですが、決して暖色傾向とは言えないテイストだと思われます。)
●これもまた純A級の恩恵か、出音を抑えつけるような印象が皆無であり(ハイスピードにしてやろうといった音作りではなく)、結果的に自然なハイスピードサウンドとなったようなネイティブなスピード特性です。
●高域の分解能も良好、帯域バランスも良好(※)、低域の深さと解像感も良好、低域(バスドラやベース弦)の輪郭はぼやけることなくタイト(※)、強いて言えば中域がややウェットでシャウトボーカルの絶望的なザラつき感が少しだけ艶っぽく聴こえてしまうのが(黒江的には)惜しいところでした。
●ディストーションギターはガリガリのエッジ感などはA-70も魅力的ですが、L-550AXIIは芯やコシ、弦のバウンド感が良く、こちらはこちらで正解(正確)なギターサウンドではないかと思われます。
●他にもスネアの皮の張り具合、アタック(インパクト)音、立ち上がり、切れ…と隙のないクオリティは(値段も値段ですが)さすがの一言です。
黒江的好み度:S

…とこのような分析結果となりましたが、1つ大事なことを追記させていただきますと
『↑上記のレポートはすべてアンプの低音(BASS)を2目盛り(時計の針10分程度)を下げたサウンド』
であるということです。
(試聴の際は[LINE STRAIGHT]をオフにしてから、お使いのスピーカーやお好みで1目盛り~3目盛りと気持ちよく聴ける位置を探っていただければと思います。)

(そうです。笑)長らく当店のリファレンスだったA-70(無印:生産完了)と奇しくも同じ使い方をすることで「(黒江的には)高い評価に繋がるものとなった」という結果でありました。

(条件付きながら)アンプでは久々の個人的ヒットなので多くの方にお勧めはしたいのですが、価格の高さはどうしようもなく…(高く評価させていただきつつも)少々恐縮しております。
とは言え、(実勢売価でも30万円を超えてしまう製品ですので「これしかない」といった選択肢には致しませんが)メタルをはじめ、ロック・ポップス愛聴のユーザーさんにはぜひ一聴していただきたいと思える製品となっていますので、機会がありましたら(低音下げて)聴いてみてもらえればと思います。

P.S.
もう少し お安いアンプ ないかしら

VOXOA T50

2月 18th, 2016

VOXOA T50

今回ご紹介させていただくのは、昨今増加している(という)レコード(盤)ファンへのマストアイテムです。

【聴いて良し、録って良し、任せて良しの使い勝手抜群プレーヤー。】

(僕もはじめて知ったブランドでしたので)先にブランド・メーカーについてお話をすると、VOXOAはお隣の大国(大陸)のブランドのようでメーカーとしてのメインアイテムはDJ機器となっているようです。
(VOXOA(ヴォクソア)と読むようですが、本国での発音・イントネーションは不明です。)

DJ機器がメインのブランドですからメインのアナログプレーヤーは(いわゆるSL-1200 MK*的な)DJ用のターンテーブルがラインナップされていますが、この度日本国内で取り扱いがはじまったのは(DJ用ではなく)ベルトドライブのターンテーブルとなります。
DJ(プレイ)に特化したモデルではなく聴くこと(プレイ)に特化したモデルというわけですが、気になる音質等をレポートしたいと思います。

■VOXOA [T50]
●スピード感や音のキレ・抜けを高く感じさせる傾向ではありませんが、癖が無く、素直・ストレートな音色傾向です。
●帯域バランスも良好で、高音(域)・中音(域)・低音(域)など、どこかの帯域が出しゃばる様なことがなく、すっきりとした位置関係を描きます。
●低域はタイトめの傾向で、アナログにありがちな(量感は出てるけど)暴れ気味になるようなこともなく、解像度・解像感も上々です。
●厚めでしっかりとしたサウンドは「アナログらしい音」に分類される傾向なので、聴き疲れも少なそうな印象です。
●『オートプレイ機能』を搭載しており、(確実に盤の端に針を落とせるかの)精度・(ボタンを押してから再生するまでの)速度共に非常に良好です。
●内蔵フォノイコライザーを通したサウンドも(価格にしては)十分な音質と言え、アースも内部で処理されているため、(アース線を繋ぐ端子を持っていないような)デスクトップ型・コンパクト型や、ビギナー向けの(省装備な)アンプでも困らずに使用できるのも高評価できるポイントではないかと思います。
●カートリッジの交換ももちろん可能で、加えて内蔵のフォノイコをオフにすることも可能なので(徐々にステップアップさせていく前提でも)長く使っていただくことが出来ると思います。
●USB接続でレコードの音をWindows・Macに録音することができ、取り込んだ音源も上々の音質です。
○フォノイコが原因か(標準付属の)針・カートリッジに原因があるかは不明でしたが、ランク上の(他の)アナログプレーヤーと比べると少しノイズ感が多く、音のきめ細やかさに於いても少し粗めではあります。(比較対象の価格が倍以上であるため当然の結果でもありますし、CP的には十分な音質です。)
○設置時(にベルトを掛ける必要があるのですが)、慣れない方は少し苦労するかもしれません。

…といったところなのですが、雑感を(好き勝手に)述べさせていただくとしたら…
(昨今、CDショップ・量販店・雑貨屋さんなどで1~2万円の安価なプレーヤーが売れていて(少し流行ってきていて)、主だったものは大抵聴いてきてはいるのですが、正直「ただアナログが鳴らせるだけ」と思うようなものも多かったので)
VOXOA T50を聴いたときには「できればこのくらいの音質で(みなさんにも)聴いていただきたな」…と、思ってしまったのが本音です。
(アナログの雰囲気だけでも十分満たされるのは分かりますが、もう少しちゃんと鳴らしてあげるとアナログ盤も喜んでくれると思うのです。)

VOXOAはそう思わせてくれるくらい「まともな音」であり、接続の簡単さ、オートプレイ、USB録音と欲しいと思える機能が(すべて上々の質で)揃っているためビギナー~中級者あたりまで幅広くお勧めできる1台となりました。
(今年の当たり機種の候補には間違いなく入りそうです。)

アナログレコード再来と言われる今日この頃、“はじめまして”の1台にいかがでしょうか。

P.S.
Windows・Macに接続の際のドライバー(インストールなど)は不要ですが、USB録音できる音質は最大で24bit/48kHzとなります。