LUXMAN L-507Z

12月 8th, 2021

大変久しぶりの投稿になってしまいましたが…
「メインPCの故障」「そもそものネタ不足(「ぜひ書きたい」とまで思えるものが無かった)」「動画がややメイン化してしまった」などなどの理由から停滞しておりました。

中でも「PCの故障」の影響は非常に大きく(動画の方も停滞させてしまうことになり)、ここまでにかなりの時間を掛けることになっしまいましたが(以前ほどではないかもしれませんが)、ここからまた活動再開を本格化させたいと思っております。

…ということで、復帰第1弾はLUXMANからの新製品をレポートさせていただきたいと存じます。

【圧倒的な駆動力が成す、圧倒的な存在感。】

まず先に個人的な雑感で恐縮ではありますが、このところのLUXMANサウンドとはとても相性が良く、かなりの確率で動画やレポート化をさせていただいております。

特に最近?で強烈な印象を残したのが、(2020年11月5日投稿の)L-595A LIMITEDというアンプでしたが、物づくりに於いて“ノウハウ”は脈々と受け継がれていくものだと思いますので、(A級アンプとAB級アンプの違いはあれど)直感的に期待を持たずにはいられない気がしておりました。
L-595A LIMITEDのリポートはこちら↓
http://www.digitalside.net/?p=1169

事実(先入観ありきでの比較試聴はしておりませんが)、増幅回路“ODNF”やボリューム回路“LECUA”(L-507Zでは“新LECUA1000”)などのアンプの中核を成すアーキテクチャには共通性も多く見受けられ、しっかりと血が受け継がれている様子をうかがい知ることができます。

…と、ハードルを上げるだけ上げておいてからの実聴となってしまいましたが、そのサウンドの実力は…。

■LUXMAN [L-507Z]
●(前述にてA級・AB級について触れておりますが)一聴して「507ってA級じゃないよね?」と思うほどにパワフル、且つスピーディな鳴りで1音1音がビシビシと体を叩き付けてきます。(かと言っても、荒々しさや押しつけがましさは無く、基本的には極めてクリアでストレートなサウンドです。)
●繊細で、シャープな線を描くような傾向ではありませんが、音のキレや立ち上がりの鋭さ、鮮明さは高く、躍動感や鮮度感にも優れています。
●しっかりめの低音でありながらダブつきのないタイトさがあり、深さ、解像度が良好で高域~低域の帯域バランスも自然です。
●(当店特有の表現ですが)いわゆる“アグレッシブ系”に属し、パワー・ドライブ感が高い「鳴りっぷりの良いタイプ」でありながら、小音・少音時などの静寂感も抜群に良好で、基本的なS/N感や制動力にも優れ、見通しの良い「上質なサウンド」をもたらしてくれます。
○強いて言えば「わずかに低音寄り」と言える傾向であり、ソースや好みによっては最高域にもう一伸びあればと思うことがあるかもしれません。そのため、サウンドは「やや雄々しい」といった印象があり、(特に)女性ボーカル再生時には少しBASSを落として聴いた方が個人的にはフィットしました。
黒江的好み度:S

…と、期待通り、期待以上のプロダクトではないかと思われます。(当店の環境にはありませんが、鳴りが重めの大型スピーカーも軽々駆動しそうな予感がします。)

ラインナップ的には先代の「L-507uXII」のモデルチェンジ版となるのですが、当方の記憶に違いが無ければ『かなり印象が異なる→ほぼ別のサウンドと思ってよい』との認識であり、L-507uXIIの後継機種というよりはL-507uXIIの(価格帯的な)リプレースモデル(フルモデルチェンジ版)と考えております。
(L-507uXIIはもう少しマイルドで伸びやかなサウンドがベースにあった記憶です。)
(当ブログなどで幾度となく言及させていただいておりますが、LUXMANのアンプはこの5~6年くらい(L-550AXIIあたりから?)でサウンドの傾向がかなり変わっている印象です。)
よって、ご検討の際は以前のL-507uXIIや従来のプロダクトの印象から一旦離れてご試聴・ご検討いただけますと幸いです。

動画もぜひご覧ください。↓
LUXMAN L-507Z ■ザ・ステレオ屋 レポート動画 『フルモデルチェンジ(L-507uXIIの後継モデルではありますが)もはやまったくの別物アンプです!』
https://www.youtube.com/watch?v=zBsJzMXI4Ks

DALI RUBICON 6 BLACK EDITION (RUBICON 6 SE)

6月 16th, 2021

久しぶりのブログ更新となります。

情報発信として、動画が多くなっていることや“ブログを書くほどまでは”どハマりしていないアイテムが多かったことが挙げられますが、やはり動画の影響が多いでしょうか。
よいアイテムに巡り合えればどんどん書いていきますので引き続きよろしくお願いいたします。

【音場感と音像感を両立させた感嘆のフロア型スピーカー。】

見出しの通りですが、黒江にしては(かなり)珍しくフロア型スピーカーをレポートしたいと思っております。
DALI社より、限定数でのリリースとなったRUBICON 6 BLACK EDITIONですが、はたしてそのサウンドはいかに…。
(※ベースモデルとなったRUBICON 6無印とはサウンドの傾向がかなり異なることなどから、今回はHAYDN GRAND SYMPHONY EDITION(以下:HAYDN)との比較を基にレポートさせていただいております。)

動画はこちら↓
https://youtu.be/Z61YV1h75GM

■DALI [RUBICON 6 BLACK EDITION (RUBICON 6 SE)]
●HAYDNと比較してすぐに感じられるのは、やはりフロア型ということで(音の出口[面積]が多い)ことからも大きく広がるようにサウンドが展開されます。
●広大な音場はフロア型の優位特性であるのですが、その分大鳴りになりやすかったり、各パートが散らばり過ぎてしまったり、高音~低音のバランスに違和感を覚えることが少なくありませんが、このRUBICON 6 SEはそれらのマイナス要素を感じさせず、拡がりつつも程よくまとまりのあるサウンドを聴かせてくれます。
●前述の通り、解像度はもちろんのこと、S/N感・ダイナミックレンジ・帯域の広さとバランスなどの基本的音質に優れ、隙の無いクオリティを誇ります。
●これらに加えて、(本来はHAYDNのようなブックシェルフ型、PMC DB1のようなコンパクトモニターに分があるような)1音1音の分解能・各パートのセパレーション・定位感などの音像特性にも優れており、整ったフォーカスのサウンドとなっております。
●(繰り返しになりますが)大鳴りにならない傾向のため、シャープさ、キレ、低域のタイトさなども秀逸であり、総合力の高さが伺えます。
●(動画にもある通り)更にHAYDNよりも(同じアンプの同じ音量位置で大きな音が出せる)鳴らしやすさが高く、ハイパワーなアンプで無くてもしっかりと鳴ってくれます。
○(動画で分かるかと思いますが)やはり(奥行きもかなりあるので)大きいです…。
黒江的好み度:S (置ける場所あったら買いたいくらいです!)

…ということで、久しぶりに大型、フロア型でかなり気に入ってしまえるプロダクトに出会ってしまいました。

残念ながら(全世界で444ペア、日本国内で50ペア販売の)限定生産ということで「ぜひ定番化して欲しい」と要望しております。
なお、大きな注意点となりますが、おそらく(黒江の記憶では)旧RUBICON 6(無印)とは『兄弟機とは思えないくらい異なるサウンド』だと思いますので、このレポートを参考にRUBICON 6無印を検討されないようにお願いいたします。

当店では、少量ですが希少な在庫を確保できておりますので、ぜひお問い合わせいただければと思います。
manager@digitalside.net
または
0459033900
まで、よろしくお願いいたします。

YAMAHA A-S1200 and A-S2200 part2

12月 21st, 2020

前回の続きになりますので、未読の方は先に下記をご覧ください。。

前回のエントリーはこちら
http://www.digitalside.net/?p=1178

【流石あの弟のお兄さん、順当・妥当なクラス上位モデル。】

前回はA-S1200を主にPioneerのA-70(※AやDAの付かない無印)と比較したレポートになっておりますが、今回はA-S1200と(一つ上位の兄弟機)A-S2200との比較レポートになります。

■YAMAHA [A-S2200]
●パッと聴きの基本的音質(S/N感など)は1200と2200でそこまで大きくは変わりません。(逆に言えば1200も十分、十二分に基本的音質が備わっており明らかに2200に差を付けられている感じではないと言えます。)
●その上で「流石にクラス上だな」と感じられた点をまとめさせていただくと…もっとも高く感じられたのは情報量の高さです。
●情報量といっても「1200で聴こえない音が2200で聴こえる」といったことではなく、1音1音の密度感が高く感じられる傾向であり、1200ではやや細く、軽く感じられたような音が2200ではしっかりとした音として描かれているといった感じになります。
●この密度感の相乗効果でもありますが、パワー感・ドライブ感はより高く、(よく車やバイクで言うところの)1クラス2クラス程度リッター数の高いサウンドとなっております。
●音のスケール感、音場性なども1クラス高い印象で2200の方が部屋全体に音が広がるイメージです。
○シャープさ、キレ、抜けなどは1200の方が高く感じられ、スピード感を重視したい場合は1200を選びたいところです。
黒江的好み度:A

個人的な好み度はA-S1200のシャープさが好きなので1200に軍配が上がりましたが、1200のエンジンの排気量をアップさせたようなA-S2200のサウンドは正に順当なクラス上といった印象です。

…ということで、当店ではパワーを取るならA-S2200、スピードを取るならA-S1200を推奨させていただきます。
ショッピングサイトではご購入いただけませんので、お問い合わせやオーダーはmanager@digitalside.netにお願いいたします。

YAMAHA A-S1200 and A-S2200

12月 18th, 2020

今回は少し遅ればせながらになりますが、YAMAHAの新アンプ群をレポートさせていただきます。

【“あひるのこ”転生?…新種のモンスターアンプ。】

(動画でも述べておりますが、個人的にレジェンドアンプの1つに思っている)某アンプによく似たサウンドであり、非常に高く評価させていただいております。
その某アンプとはPioneerのA-70(※AやDAの付かない無印)でありますが、まずはそちらのエントリー(レポート)をご覧いただけますと幸いです。
動画はこちら↓
https://youtu.be/TDojmWGZOTI

Pioneer A-70
http://www.digitalside.net/?p=727

…といった内容でしたが、端的に言えば「ただし、BASSを絞った状態でのレポートとなりますのでご注意ください。」この部分が今回まったく同じ状況であります。
(YAMAHAさんに関してはパッと聴き野暮ったい、デザインも野暮ったいとは思いませんでしたが…。当時のレポートのテンションが高くてお恥ずかしい…。笑)

なお、特に気に入ったのがA-S1200の方ですので、まずはA-S1200を中心にレポートし、その後1200との対比でA-S2200をレポートさせていただきます。

■YAMAHA [A-S1200] ※BASS(低音の量感)を少し減衰(デフォルト時計12時位置を10時半~11時に)させた状態です。
●音場のノイズ感(フロアノイズ)も非常に低く、クリアな見通しでトータル的な解像度も十分、基本的な音質がかなり高いアンプとなっています。
●A-70に比べると硬質度はやや軽減され、非常にクールな印象だったA-70よりもノーマル寄り、とは言えファット・ウォーム感は無く、クール寄りの分類です。
●ひたすらシャープでキレッキレだったA-70に比べるとミドル付近に張りを感じられ、ビシッ・バシッとしたアグレッシブ系の要素も上手く含み溶け込んでいます。
●適度な硬さで硬過ぎないため音色のニュアンスが絶妙であり、ドラム(スネア・タム・バス・金物)やギターの音の描き分けがバランス良く保たれています。(ニュアンスが少し偏るとスネアの皮の表現が良い分、金物の響きが抑えられてしまったり、ディストーションギターの歪みがリアルでも重いバスドラムが軽めになってしまうなどのトレードオフが起きやすい。)
●トップクラスとは言えないもののスピード感やキレはかなり高い方に分類され、鋭敏な立ち上がり、雑味の無い粒子感、しっかりとしたエッジ感で1音1音が描き出されてはスッと消えていくのでシンプルながらも無理(矢理感)を感じさせないスムースな印象です。
●それでいて、A-70よりはパワー感・ドライブ感が高く、(繰り返しになりますが)ハイスピード系を基調に適度なアグレッシブ系が溶け込んだような、個人的にはかなり理想的なサウンドになっております。
○(黒江的には)もう少しだけ高域(特に超高域)の伸びが欲しかったです。(こちらもTREBLEで少しだけ持ち上げてあげれば良さそうですが。)
黒江的好み度:S (BASS DOWN時)

A-70同様、初見(一聴)時では「んんん?」といった印象だったのですが、A-70の経験が活き、すぐにBASSを下げることに辿り着けました。
そして、BASSを下げた後の出音には感嘆です。

なお、(先入観を持って欲しいわけではありませんが)こちらのA-S1200はアンプの主要な動力部に昔ながらのMOSFETとトロイダルトランスという組み合わせを採用しており、これまで数多の(MOS-FET+トロイダルトランス)アンプを聴いてきたわけですが、この組み合わせで「紛れもなくハイスピード」と言えるようなアンプには出会ったことがないため非常に驚いてしまいました。(アグレッシブ系ならあり得ると思いますが、組み合わせ的には鈍足になりがちでしたので…。)

今となっては、何をどうすれば、どこをどうしたのでこのようなサウンドになったのか、興味津々ですのでいつか開発・技術の方にお伺いできたらしてみたいと思っております。

…ということでYAMAHA A-S1200は2020年のベストアンプの1台になりそうです。
ショッピングサイトではご購入いただけませんので、お問い合わせやオーダーはmanager@digitalside.netにお願いいたします。

次回、A-S2200とA-S1200の比較レポートを追記させていただきます。

Pioneer PD-50AE

12月 7th, 2020

今回はPioneerからの新製品であるSACDプレーヤーをご紹介させていただきます。

【名機となるか、集大成プレーヤーの放つ輝き。】

まず先に1つ述べておきますと、このPD-50AEはベースが(2017年秋発売の)PD-70AEということであり、実質的にもかなりPD-70AEに近いサウンドとなっておりますので以下のリンク先(PD-70AEのレポート)も参照いただけますと幸いです。
http://www.digitalside.net/?p=993
※「“デ***”と“ネ****”が良くないのでは…?」となっているところはデザインとネーミングですね。(何で伏字にしたんだろう。笑)

ネーミングについての疑問は本機でも同様で、70AE→50AEとなると2クラス以上は下のイメージですが実際は若干のコストダウンモデルといった印象なので(65AEでもよいくらいで)60AEくらいが妥当ではないかと思うところではあります。(プライス的にも僅かですしね。)
また、PD-70AEは現状では終売になりそうであるため、このPD-50AEは実質70AEのリプレースモデルと言っても過言ではなさそうです。
その点なども踏まえた上でレポートしていきたいと思います。

■Pioneer [PD-50AE]
●やはり高いS/N感と解像感が顕著ではありますが、S/N感重視のクリア系だった70AEに比べると、50AEはやや情報量(高密度)系に拠っているような印象です。(当店ならではのワードだと70AEの方がややハイスピード系、50AEの方がややアグレッシヴ系といったところです。)
●70AEと同様に全帯域が揃っておりバランスは良好、凸凹感の無いすっきりとした出音であり、立ち上がりもスピーディです。
●70AEよりは硬質感は感じさせず、その分“張りのあるサウンド”の印象があります。低域はタイトで量感も過不足無く好印象、高域もしっかりと伸びておりやや鮮やかさや明るさの高めの印象があります。
●70AEと同様にやや“ウェットさ”を感じますが、声の再生に関しては色気や艶、パワフルさに繋がっており生々しさが魅力的です。
○70AEに比べるとやや1音1音の粒が大きい印象です。※後述のD-03X比較にて
黒江的好み度:S

…と、このようなサウンドに仕上がったようですが、すべて通常のCD再生(44.1kHz/16bit)での考察となっており、且つDIRECTモード時のものとなっております。※アップサンプリングモードなどにすると音場が広大になりますが、音像がややぼやけ、低域もゆったりと床を這うようなサウンドに変化します。→これだけ変わる(変えられる)なら「それはそれで使い勝手が面白い」とも言えると思いますが。
(なお、PD-70AEとの直接比較はできておりませんが、以前のレポートやLUXMAN D-03Xとの比較(D-03XとPD-70AEの比較時の記録を参考に)で一部述べさせていただいております。)

(動画https://youtu.be/Zzc0oc8k-yUにもある)現在のリファレンスLUXMAN D-03Xとの比較試聴に於いてはシャープさ、分解能、切れなどはD-03Xの方がやや優勢、情報量と低域の深さ、空間の広さはPD-70AEの方がやや優勢といったところですが、個人的な好みの範囲かと思いますので(動画も参考に)吟味していただけますと幸いです。

(色々と大人の事情もあって)流通量が非常に少ないプロダクトとなっておりますので、ご購入の際はお早めにご注文していただけますようお願い申し上げます。

LUXMAN L-595A LIMITED

11月 5th, 2020

今回はLUXMANの新製品をレポートさせていただきます。

【遂に出会ってしまった…(黒江的)史上最高のA級アンプ!】

まず先に幾つか述べさせていただきますが、プライスが税別98万円と高額なモデルでありますのでビギナーさんには大変恐縮でありますこと、加えて製品名にLIMITEDが付いている通り限定数300台とのことなので常時入手可能ではないモデルになりますことを予めご理解いただけますと幸いです。

…と、見出しで既に匂わせていますが、少しハードル(敷居)が高いプロダクトでありながらも強行にレポートを書かせていただきたくなるほどに素晴らしいサウンドであったので早速レポートしたいと思います。

■LUXMAN [L-595A LIMITED]
●純A級、クラスAのアンプというと(やや安直なイメージですが)力強さ、音の吹き出しの勢いなどは優秀だけれど(AB級やクラスDに比べると)濃密でややクリア感には欠ける(物も中にはあるかな…といった)イメージがありましたが、このL-595A LIMITEDはそんなイメージを払拭させてくれました。
●もちろん、A級らしい力強さ、音の吹き出しなどはしっかりと(抜群に)備えており、1音1音が引っ掛かりを感じさせず“スッ”“バッ”“ドンッ”“ガッ”と鮮烈に明瞭に明確に放たれます。
●その上で特筆したいのがA級アンプの土壌・基調をベースにしつつも、S/N感・クリアさの高さと高音の伸び、キレの良さと突き抜けるスピード感といった音調が上乗せされており、(当店でいうところの)アグレッシブ系(の中低域)にハイスピード系(の中高域)をアドオンしたようなサウンドになっております。
●とは言え、無理やり乗せた(合せた)ような違和感は無く、低域~高域まで見事に調和されていて不自然さはありません。
●低域はしっかりと引き締められていてタイト、ビシッと定位しブレがありません。中域は音の切れ、立ち上がりが鮮明で張りがありながらもシャープに分解されています。高域は(今まで聴いてきたA級の中に於いても)驚くほどによく伸びていてキンと高く張り詰めながらも歪みっぽさの無い透明感を感じさせてくれます。
●加えて音の抜けも良好、スピード感もハイスピードと呼べるレベルでありハイレスポンス、スピーカーからリリースされた音が一瞬で(耳の中で)消えてなくなるような印象です。
○強いて言えば「逆に言えばあまりA級らしい(分厚くて、濃厚で、熱い)サウンドではない」ように感じられました。
黒江的好み度:S (~S+→括弧付きの理由は最下段にて)

…ということで「久しぶりにすごいアンプ聴いてしまった…圧巻だ」と思わず呟いてしまいましたが、非常に能力の高いアンプではないかと思います。
ただ、前述の通り(当店の試聴音源・環境では)ホット・ウォーム系のサウンドには感じられず、むしろクール系のサウンドの印象の方が強い点や、そのルックスなどからもオールドLUXを想像しやすいのですがオールドLUX(LUXトーン)には程遠いと思われるため、その手のサウンドを期待されている方にはベストなチョイスとはならないのかもしれません。

個人的には(以前から高く評価させていただいている)L-550AXIIを最高峰・極限までブラッシュアップさせたサウンドなのではないかと感じておりますのでL-550AXIIのレポートも併せてお読みいただけますと幸いです。
LUXMAN L-550AXIIのレポートはこちら↓
http://www.digitalside.net/?p=922

しっかりとしたサウンドでありつつ、こんなに抜けやキレ、スピードを併せ持つアンプから放たれるサウンドは今までに感じたことのない感動・感激・感嘆でした。

製品のお問い合わせ等は↓こちらのアドレスまでお願いいたします。
manager@digitalside.net

P.S.
(黒江的感性ではございますが)デザイン性を無視すれば好み度は「S+」ということになります!
(オーディオの評価に「デザインを含めてもよいのかどうか」でS~S+ということです。個人的には音だけでよいと思いますが…。)
このままサイズダウンとプライスダウンとデザイン少し変えた廉価モデル出ないかしら…。笑

ELAC DS-A101-G

10月 30th, 2020

今回はやや遅ればせながらになりますが、以前から非常に気に入っているリファレンスアンプをレポートいたします。

【機能性・機動性と抜群のサウンドに省スペースとGoodデザインの名品。】

まずはじめに動画配信(下記URL)の詳細欄でも述べている通り、このアンプのサウンドは旧モデル(EA101EQ-G)とほぼ準じているためレポートを率先して書いておりませんでしたが、その後使い続けてゆくにしたがって“どんどん魅力に取り込まれる”プロダクトでもありましたので少し遅ればせながらになりますが題材とさせていただきました。

動画URL
DALI OPTICON 1 and ELAC DS-A101-G
https://www.youtube.com/watch?v=75Y6XwqZKsY

Nmode X-PW1 MKII vs ELAC DS-A101-G
https://www.youtube.com/watch?v=P2X6YDIeTVA

旧モデルEA101EQ-Gのレポート
http://www.digitalside.net/?p=967

サウンドの特徴などはEA101EQ-Gのレポートを参考にしていただければと思いますが、改めて聴き直してみると新モデルDS-A101-Gは旧モデルEA101EQ-Gよりもクリア感、抜け感が改善されていてよりハイレベルのサウンドになっている印象があります。
(クリアさと抜け感が向上することで、1音1音のキレや定位感、スピード感も相乗的に改善されており(黒江的に)より好みに近づいてはおりますが、旧モデルでも既に好み度[S]とさせていただいておりますので好み度は引き続き[S]にしたいと思います。)
とは言え、やはり全体的にパワフル・ドライブ感・アグレッシブといったワードの方が直感的に浮かびやすいサウンドが基調となっておりますが、その分歌物やアコースティックなどはより自然なナチュラルテイストとも言えますし、硬質系・寒色系のサウンドではないことからも(ジャンルを選ばない)“ストレートな傾向のアンプ”といった位置付けでよいかと思われます。

…と、今回あえてレポートを書こうと思った最大の動機ですが、見出しの通り、その機能性・機動性が1つにあります。
まずは豊富な入力端子(機能)として、LINE入力(2系統)・同軸デジタル(COAXIAL[COAX])・光デジタル(OPTICAL)・有線LAN(ETHERNET)・無線LAN(Wi-Fi)・Bluetoothなどを装備しており、(おそらく)オーディオ周りほぼすべてのプレーヤーなどを接続することが可能です。
中でも注目なのがネットワーク対応という点であり、音楽サーバー(DLNA/UPnP)やSpotify、AirPlayやRoonを気軽に手軽に楽しめるのが「正直こんなに有意義だったとは」実は最近まで気が付いておりませんでした。
※音楽サーバーの再生は各種別アプリを使用(アプリに拠って操作に難点が生じることもございますが、環境依存の問題でもありますので詳細なサポートは出来ない場合がございます。)

なお、この有意義さにはもう1つのポイントがあるのですが、それが(スマホ)アプリの存在です。
製品と同名のDS-A101-Gというアプリでは「各種入力の切り替え」「ボリューム制御」などの機能は当然のこと「(高音・低音の加減を調整できる)イコライザー機能」「(サブウーファー端子に繋いでいれば)サブウーファーの音量調整」「スピーカーの左右バランス」「ディスプレイの輝度調整」などなど、ほぼすべての機能をアプリだけでコントロールできるので、アンプに触ることなく(近寄る必要も無く)思い通りに使うことが可能です。

…ということで(元々はサウンドだけでも高評価だったので)サウンドは抜群でありましたが、使い込んでみたら「機能の充実さ、便利さに驚いた」ということで、多くの方にお勧めしやすい1台ではないかと思っております。

P.S.
個人的にはデザインも非常に好みです。
デザインの好み度:S (笑)

marantz SACD 30n and MODEL 30 (postscript)

10月 12th, 2020

新しいラインナップとなるmarantz 30シリーズ、3連載の最終編です。
新製品をカップル(つがい)で聴いた時のまとめを簡潔にレポートさせていただきます。

【相性は良好、お互いのウィークポイントを補完し合える関係。】
(…とはいえ、ウィークポイント(弱点・欠点)と言うほど双方レベル・クオリティが低いことはないので、あくまで見出し的な表現ということでご理解ください。)

個別のレポートを読んでいただけると分かるかと思いますが「MODEL 30は鳴りっぷりが良いけれどやや低重心」「SACD 30nは少し穏やかだけれど高音~低音まできれいな伸び」といった感じであり、2機種を対で繋ぐことでブレンドされ、よりナチュラルなサウンド傾向としてアウトプットされます。

MODEL 30は(ドライとは言いませんが)やや(良い意味で)カラッとした傾向なのでSACD 30nのウェットさで上手く調和されています。高域のレンジ感もSACD 30nはきれいに伸びており程よく補完されている印象です。

SACD 30nは上質できれいな鳴りですが、その分音が前に向かって来ず、少し穏やかで落ち着いた音調なのでMODEL 30でドライブすると音にメリハリが付いて躍動感が付随します。やや平面的だった音場(サウンドステージ)も立体的になる印象で良いフィット感だと思います。

…と、音調・傾向的には上記のようなマッチング・フィット感となり、黒江的には好印象のペアだと考察しております。

なお、SACD 30nが多彩なデジタル入力・デジタルソースに対応しており、デジタルステーションとしての活躍が見込めるため、この『SACD 30n と MODEL 30』にお気に入りのスピーカーを組み合わせるだけでシステムがほぼ完結するので非常にシンプルで高音質・高機能なオーディオを構築することができる点もお勧めしやすいポイントとなっております。
(リモコンも1つでプレーヤー・アンプ両方の操作が出来るので扱いやすく便利です。)

ぜひセットでのご検討もよろしくお願いいたします。

P.S.
こちらの製品はショッピングサイトではご購入いただけませんので下記メールアドレスまたはお電話などで直接お問い合わせください。
manager@digitalside.net

marantz SACD 30n and MODEL 30の動画はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=2GKrInNqJrw

marantz MODEL 30

10月 9th, 2020

前回に続いてmarantzからの新製品をご紹介させていただきます。

【中庸的アンプのベストリファレンス!】

前回のSACD 30nのパートナーとして30シリーズにラインナップされたアンプ「MODEL 30」を今回はレポートさせていただきます。
(結論から申しますとかなり気に入ってしまいました!)

■marantz [MODEL 30]
●黒江の称するところで言うとタイプ的にはアグレッシブ系に近い傾向ではありますが、(ヤンチャで攻撃的なサウンド一辺倒とは異なり)一般的なオーディオファンにも受け入れられる普遍的なサウンド要素を併せ持っています。
●S/N感・解像度・パワー感・セパレーションなどの基本的音質に優れ、それぞれが過不足無くバランスの取れたチャートを示していて“ストレートな増幅”の印象を受けます。
●いわゆる(癖の無い)ニュートラルタイプと言えますが、決して硬くなりすぎずモニター的ではありません。自然な増幅装置として(ミドルレンジ価格帯では)最高峰の一角に入る出来栄えと個人的には評価しております。
●「かなりの音のキレにかなりのハイスピード」とは言えないところですが、音の立ち上がりは良く、全帯域タイトで緩みも無く、なかなかのスピード感が相まって「抜けの良い開放的サウンド」といったイメージがあります。
●総じてまとめると『ピュア感・パワー感・ドライブ感』などが絶妙なバランスで配合されており、アグレッシブ系に少しピュア系、スピード系要素を足し込んだ(溶け込ませた)感じです。ザクザクのギターリフから、ピアノの音色、パンチのあるドラムまで隙の無いリアリティが魅力的なアンプです。
○少し高音域が穏やかになり過ぎている印象があり、やや低重心になっています。(黒江的にはトーンコントロールで高音を少し持ち上げた聴き方がベストでした。)
黒江的好み度:S

これまでは、どうしてもミドルレンジ(の価格帯)以上になると「音に色艶を足してしまっていたり」「優雅に、華やかに音楽を聴かせようとしていたり」「暑苦しいほどの情報量を詰め込んで来たり」と“プライスへの説得力”を音に込め過ぎてしまっているような印象のものが多かったのですが、このmarantz MODEL 30は価格帯に恥じないハイレベル・ハイクオリティでありつつもサラッと鳴ってくれて押しつけがましくないサウンドとなっているように思えます。
このMODEL 30と同価格帯のアンプを比べると(低価格帯に不足しがちな)解像度・S/N感・ドライブ感などにはアドバンテージを感じさせつつ、(逆に)音への化粧や余計な脚色などをすることを控えているように感じられます。(“Simple is Best”とは言いますが、なかなか簡単に出来ることではないのではないのかな…と。)

…ということで、しばらくぶりにアンプのミドルレンジ帯にお勧めの製品が入ってきてくれました。
当面は(A級アンプなのにキレとハイスピードを持つ)ハイスピード系のLUXMAN L-550AXIIと、ニュートラル&アグレッシブ系を基調に鳴りっぷりの良さとストレートさのmarantz MODEL 30がミドルレンジ帯のリファレンスになりそうです。

LUXMAN L-550AXIIのレポートはこちら↓
http://www.digitalside.net/?p=922

P.S.
こちらの製品はショッピングサイトではご購入いただけませんので下記メールアドレスまたはお電話などで直接お問い合わせください。
manager@digitalside.net

marantz SACD 30n and MODEL 30の動画はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=2GKrInNqJrw

marantz SACD 30n

10月 8th, 2020

今回はmarantzからの新製品をご紹介させていただきます。

【家庭円満をもたらすかも?ポリバレントな優等生キャラ。】

この度、30シリーズとして装い(フェース)も新たに(デザインはレガシーモデルを踏襲しているそうですが)したラインナップが登場することになりました。
サウンドやデザイン・フォルムに関しては“最新鋭でありつつも原点回帰”といった方向性を奥底に持っているようですが、はたしてどのようなサウンドを聴かせてくれるのでしょうか。期待を胸に試聴させていただきました。

■marantz [SACD 30n]
●ファーストインプレッションとして「よい意味で無難な傾向かな…」といった印象を持ちます。基本的音質性能であるS/N感・解像感・レンジ感などなどがすべて納得のいくレベルであり、音質面に於いて一切の疑問を感じさせません。
●音色面での癖が少なく、素直なサウンドをベースに少しウェットで少し落ち着き・穏やかさのある仕上げになっています。
●派手さ、煌びやかさなどを感じさせる傾向には無いですが、(だからと言って)無機質であったり硬質な音調ということもなく、極めてニュートラルな音の部類に属します。
●同様に、抜群のキレ、スピードとはならないものの、音像感・音場感はしっかりとしていて安定型です。全帯域で音の緩み、余計な余韻などがなくすっきりとした見通しです。
●音の傾向からしてもオールラウンドタイプと言え、ジャンルを選ばずに良く鳴らしてくれますが、どちらかと言えばアグレッシブサウンドよりはソフトなサウンドの方が(より)得意に思えました。
○個人的にはもう少し硬さやシャープさが欲しかったかな…と思います。→その点だけでスピードやキレも向上しそうです。
黒江的好み度:A

…と、いわゆるオールラウンド系ですので「無難で何かに突出していないサウンド」ということで問題は無く、むしろ歓迎されるべきことと捉えておりますが、歓迎したい大きな理由としてこの「SACD30n」の持つ特徴が挙げられます。
それはSACD30nには『非常に豊富な入出力機能』が備わっている点です。CDプレーヤーとしては当然のこと、他には主なものでUSB(DAC)・有線LAN・無線LAN(Wi-Fi)・Bluetooth・同軸デジタル・光デジタルに対応しています。

仮に(仮説として)このSACD 30nを『リビングに設置して家族で共有できるオーディオシステムの中核』とした場合、テレビやBDプレーヤー(レコーダー)や各種ゲーム機を同軸や光デジタルで繋ぎ、PC/MacとはUSB DACまたはBluetoothで接続、インターネットラジオ程度ならWiFiで、NASがあればネットワークのハイレゾ音源も全てSACD 30n経由でオーディオシステムで鳴らすことが可能になります。
また、普段はスマホ・タブレットで音楽を楽しまれている方も、AirPlay 2やBluetoothですぐにオーディオに接続できるので「その音の良さに喜んでくれるかもしれません」が、ロックやポップスも“無難に、安定的にこなせる”ので誰の音源(ソース)でもWelcomeではないかと思います。

あらゆる機器(人間関係)の間に入って上手く橋渡し、仲を取り持ってくれる。そんな出来る子がファミリーに1人(1台)あると素敵なのかもしれません。
まだまだ家でコンテンツを楽しむ時期が続くことと思います。ぜひこの機会に新しいファミリーを迎えていただければと存じます。

P.S.
こちらの製品はショッピングサイトではご購入いただけませんので下記メールアドレスまたはお電話などで直接お問い合わせください。
manager@digitalside.net

marantz SACD 30n and MODEL 30の動画はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=2GKrInNqJrw