TIGLON MS-12A改 [ザ・ステレオ屋ver.]

9月 18th, 2009

今日は3連続の投稿です!

タイトルの通りですが、先日ご紹介したTIGLON MS-12Aに当店オリジナルのカスタマイズモデルが誕生します!
…って、カスタマイズなんて言ってもただプラグを上位モデルに交換しただけですが。(笑)

プラグには「FI-20 R&FI-20M R/FI-25 R&FI-25M R」と当店のベストプラグとして君臨し続けるフルテック社の新たなロジウムモデル「FI-28(R)&FI-28M(R)」です。

このザ・ステレオ屋オリジナルの『MS-12A改』をノーマルのMS-12Aと比べると…
●S/Nがかなり向上しています。
●高域が(出ていなかったところまで)伸び、低域も(出ていなかったところまで)沈み込んでいてレンジ感が増しています。
●解像度(音の細かさ)が改善しています。
…と、項目的にはたったこの3点です。
(飛躍的に向上!とか、別次元です!なんてことは言いません。)

が、伴う(良い意味での)副作用と言いますか、相乗効果も多く、
●音像定位が向上しています。
●音から余計な贅肉(付帯音)が落ち、1音1音も明瞭に。
●抜け、キレ、立ち上がりが明確に。
●いわゆるハイスピードに。
などなど、かなりの進歩/進化をしています。

前回のレポートで僕がもう少しと思っていた点や、書いていた点が上手く改善されていると思います。
…って、ノーマルモデルを聴いて「このプラグにすればこうなるだろうなぁ」とすぐ思ったので、実行したまでなのですが。

近々に正式な発表をさせて頂きます。ご期待ください!

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PRIMARE CD21 vs HEGEL CDP2A

9月 16th, 2009

昨日に引き続き、TEAC PD-H600をレポートしようかと思っていましたが、先にリファレンスのCDプレーヤー2機種をレポートします。

【バーッと覆い被さるCDP2Aにピシピシと粒を投げつけるCD21】

いつものように「分かったような分からないような」例えからで恐縮ですが、HEGEL CDP2Aの熱気があって包容力のあるサウンドに対し、PRIMARE CD21は音の見通しが良く吹き抜けていくようなサウンドです。

ググッーっと深みのある低音やボーカルの力感(熱気)はCDP2Aの方が重厚で情報量があるので優勢ですが、重なり合う音数が多ければ多いほどその重厚さと情報量ゆえに暑苦しく、ゴチャゴチャした中の見通しに難があります。
逆にググッーっと深みのある低音やボーカルはやや淡泊に感じますが、切れのあるギターやシャウトなどは粒の細かさでCD21の方が優勢に感じ、重なり合う音数が多ければ多いほどゴチャゴチャした中でも1音1音の存在感や位置が聴き取れるという印象です。

一見、このように書くと「CDP2AはホットでCD21はクール」とも取れそうですが、基本は双方共にホット(…というよりはエモーショナル系と言った方が適当かな?)で、音がお上品に、おしとやかに、遠慮がちに鳴っている(草食系?な)感じではなく、グイグイと迫ってくる、襲いかかってくる(肉食系?な)感じです。

ただし、(前述の通り)CDP2Aは迫ってくるとは言ってもどこか包容力のある音でありアンプにも共通する開放的な大らかさを感じますし、CD21も吹き抜けていくような爽やかさがあるので「肉食系=がさつ」みたいなワケではありませんので…。(人間の肉食系も然り!)

当店での実績では正統派のプログレッシブなどを筆頭に幅広いジャンルを好まれる方はCDP2Aを、僕のように狂ったようなサウンド(失敬!^-^;)を重要視している方はCD21を好む方が多いようです。(個人的にはPRIMAREのサウンドが好きです!)

ちなみに、レポートの内容はブランドカラー(音色)にも通じるところがあり『タイトで張り出すような弾け飛ぶようなPRIMARE』『一旦(一瞬バッと)大きく広がった音が(一転して一気に)グーッとリスナーを包み込むようなHEGEL』というのが僕の総合的な印象です。

PRIMAREの上位機種との「vs形式」もレポートしたいですね。

http://www.noahcorporation.com/primare/primare_01.html
http://www.electori.co.jp/hegel/CDP2A.pdf

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TEAC AG-H600

9月 15th, 2009

(なにせ、METALやJ-POPを主体に鳴らそうなんて感覚のお店は他にないわけですから)『ザ・ステレオ屋系サウンド』を求められるユーザーからは日々「お勧めはなんですか?」と聞かれているのですが、座右の銘?口癖?の如く、「お勧めはありません。○○さんが聴いてて一番フィットする、しっくりくるものがお勧めです。」と答えるしかありません。

…が、『ザ・ステレオ屋系サウンド』でXX円くらいで買うとしたら何がありますか?と、聞かれればその時々で一番(僕が)好きだったモノをご紹介してきました。
要は、そんなモノ達がこれまでのザ・ステレオ屋リファレンスを形成してきたのですが、意外に少ないのが国内ブランドの(インテグレーテッド)アンプでした。

結構な以前までさかのぼるとmarantzのPM-14(SA)&PM-17(SA)を息長くお勧めしていて、随分と間があってONKYO A-1VLが登場するまではUNISON RESEARCH Unico iやARCAMあたりの輸入物くらいしか候補が無かったな…と、そんな中(思い出話はよいとして)久しぶりに国内ブランドでイチオシ出来るアンプがリリースされました。

(「よいとして」と書いておきながら)思い出話に(ロックに合うと評判の)あのメーカーが無いんじゃない?と思われた方、まずメタルというジャンルは=ロックではありません。
ロックというジャンルをベースにしていますが、メタルというジャンルなのです。(最近は更に細分化が著しく、僕の好むのは極端に激しくてテンポの速いもの。)

なので、(ロックに合うと評判の)DENONというメーカーはハードロックにこそ合うと思っていますが、ヘヴィメタルには合わないと考えているのが僕の以前からの持論です。
(理由は、低域重心で鈍足、加えて音が濃い傾向なので、エッジの立ったキレのある音ではないため。)
(コクがあるとか、マイルドとか、どっしりしているとか、情報量の多い、なんて表現も当てはまると思います。)
たぶん、ロック=低音が必要で、重厚なサウンド(ヘヴィ=重々しいという意から?)でなくてはならないという解釈から、ロックとメタルを一緒くたにしての意見ではあると思うのですが、ちょっと安直なのではないかなぁ…と思ったりしています。

なんでこんなことを書いているかというと、今回紹介するTEAC AG-H600が正に「DENONはロック向き」と誤解されてきたサウンドの傾向を納得できるサウンドとして実現していると考えているからなのです。

…と、本題のAG-H600のサウンド傾向を書いてみます。

【和製PRIMAREといった印象の押しの強いサウンド】

DENONと共通するのは…
●厚みのある、やや芯と肉付きの太い音。
●重心は低めで、華のある明るいサウンド傾向ではない。
●霧状にめいっぱい広がるようなサウンドステージではなく、音が四方八方に放られるようなイメージ。
●艶のある色気や水気を帯びた音色ではない。
などが挙げられます。

DENONと共通しないのは…
●音の輪郭はやや厚め(の皮)で硬すぎない(弾力的)が、しっかりとエッジの見える傾向。
●上下左右への音の拡散が小さく、前面に音を張り出してくる感じ。(やや荒っぽい。)
●低域の存在感は十二分にあるけど、量感が過ぎるようなことはなく、(高域のレンジがやや狭いのを除けば)フラットなバランス。
●余韻が乏しい分、音の立ち上がりやインパクトが明確でキレがある。
などでしょうか。

総論としては「広がりがあって、音が部屋いっぱいに充満するような傾向がある(ちょっとファット)」DENONに対して、「音場は狭めだけど、ストレートに飛んでくる傾向がある(ややマッチョ)」TEACという感じで、その分、スピード感に優れているTEACの方が(特に僕の好む)メタルに合っていると思うのです。

シャープでソリッドでハイスピードなアンプを『無数の音の針(orレーザー)が耳に目がけて飛んでくる』とすると、AG-H600は『音の(パイ)生地が顔面に叩きつけられる感じ』とでも言えばよいのでしょうか、この感じがPRIMAREのアンプに似ているので和製PRIMAREと称してみました。

最後に、DENONを悪く書いているように見えるかと思いますが、そんなつもりは一切ありません。
万が一そうであったとしても、それは僕の感覚であり、僕の好みというだけです。
(※今回は比較対象として書いているだけであり、実際にDENONサウンドが合うと思った方にはDENONをお勧めしています。)

http://www.teac.co.jp/audio/teac/agh600/index.html

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NODOST MAGUS

9月 12th, 2009

この度、NODOST社の電源ケーブルがPASS(Laboratories)のオプションケーブルとして販売開始されました。
オプションケーブルと言ってもPASSの製品にしか使えないわけではなく、通常のコンセントプラグ(3P)にインレット(IEC 15A)ですのでどんな機器にも使用可能なのですが、ノードスト社の線材構造上、日本のPSE規格に通らないため、このような扱いとなっています。

逆に言えば、「通常は入手し難い構造=規格品では出せないサウンド」とも言えますし、確かにその構造から来るメリットを感じさせてくれます。

【NODOSTらしいスピード感とNODOSTらしくないワイルドさ。】

ちょっと意外かもしれませんけど、一言だとこんなイメージです。
※はじめに断っておきますと、この「最も下位のモデルは」ということです。

ノードストって、以前からハイスピード、ハイ・スピードって自称していましたけど、僕にとっては(まず先に言うほどの)ハイスピードではなくて「音が細かく、あっさり系で、抜けが良い。」といった印象で、スピード感は「とっても」ではなく、「まずまず」という感じでした。

そんな今までの印象を持ちつつ、今回のMAGUSを聴いてみた(主に「GRACE design m902/NuForce Stereo 8.5」にて)のですが…
●今まで聴いてきたものよりもレンジは狭め、だけど、中域がしっかりしていて高域、低域がでしゃばらない。
●きめ細かいという感じではないけど、もちろん目が粗いということではなく、神経質すぎない程度に分解されているといった感じ。
●音がピシッとかたどられて、張り出す感じ。
●輪郭がしっかりしていて、キレが良い。
●今まで聴いてきたものよりも断然ハイスピード。
…と、そんな感じです。

約40万円(!)という、VALHALLAも聴いてみましたが、このMAGUSはどうやらNODOSTでありながらも少し異端児のサウンドを持っている様子。

先にVALHALLAの方のショートレビューを書いちゃいましょう。
●一番「珍しい!」&「これ面白い!」と感じたのは、高級モデルなのに低域の量感が全然無い(少ない)こと。
 (オーディオ機器もそうだけど、ケーブル類も普通はやたらと低域が主張してくるモノが多いのに…。)
●なので、帯域バランスは高域が一番強めで、低域が一番弱めの「▽逆三角形タイプ」。
 (高価な大型フロアスピーカーを使用されていて、低域がブンブン/ボンボン(失礼かもだけど)バカ鳴りしている方にはぜひ一度聴いて頂きたいです。)
●さすがに解像度、S/Nなんかは抜群。
●音はしっとり、少し水っぽくて艶のある傾向(=シルキー?)。
●余韻なんかもかなり細やかで綺麗です。
それで、2モデルを聴き比べて分かった(感じた)のですが、
「そうか、NODOSTの言うハイスピードっていうのは音場のスピード感(超端的に例えれば、パラパラマンガをめくる速さ)だったんだ。」
と思ったのです。

でも、MAGUSは立ち上がりが速く、インパクト音も良好、エッジもしっかり、キレも上々なので、僕の思うハイスピード。
ひとしきり聴き終えたので、最後に資料に目を通してみるとMAGUSだけは銅線で、その他は純銀線です。
「なるほど(MAGUSは異端児的だったり、VALHALLAは艶っぽかったり)」と思う点も多く、なんとなく納得しました。
(でも、銀だからこう、銅だからああ、とは決めつけてません。)

…(銀線を使った高級モデルが代名詞であるブランドなのに)最廉価モデルで銅線のケーブルを高評価しちゃうのが僕らしいというか、なんというか…。(^-^;

輸入元エレクトリの公式サイトなどに情報が掲載されていませんので、価格表を掲示しておきます。

MAGUS (2m) 28,350円 ※MAGUSは2mのみの展開。(長尺の特注も無し。)
SHIVA (1m) 43,050円
SHIVA (2m) 52,500円 +12,600円/1m
VISHNU (1m) 86,100円
VISHNU (2m) 94,500円 +21,000円/1m
BRAHMA (1m) 189,000円
BRAHMA (2m) 210,000円 +42,000円/1m
VALHALLA (1m) 388,500円
VALHALLA (2m) 430,500円 +94,500円/1m
ODIN (1m) 1,470,000円
ODIN (2m) 2,100,000円 +682,500円/1m
★特別販売価格などお問い合わせください!

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Mark & Daniel Maximus-Mini+

9月 10th, 2009

引き続きスピーカーのレポートとなりますが、最近第3のリファレンスとなりつつあるのが、
この『Mark & Daniel Maximus-Mini+』という色々な意味で一風変わったスピーカーです。

【稀に聴く綺麗な高域と、音像の定まった中低域が絶妙に交わったサウンド。】

特徴だらけのスピーカーではありますが、その代表格になるであろうと思われるのが「人工大理石(コーリアン)」を用いたエンクロージャーです。(※メーカーでは合成大理石と表示しています。)
オーディオという世界では、(なぜか)旧来から木製の箱にスピーカーユニットを取り付けて鳴らすという定石(常識)が長く続きましたが、最近やっと非木製のエンクロージャーが台頭(受容)してくるようになりました。

(昔は「箱鳴き」なんて言葉が当たり前に使われていたくらいだから、「箱も鳴らすもの」ということだったのかもしれませんが、)
このコーリアンで形成されたエンクロージャーは(いわゆる木と石の差で)硬く、音が響いたり、漏れたり、箱が振動したりすることがほぼ皆無となり、結果、スピーカーユニットから発せられる音だけでサウンドが形成されています。

そのことから、オーディオをよく知る人向けに一言で云えば「バスレフ型なのに、密閉型のようなタイトフォーカスなサウンド」と言えば伝わると思いますが、音に(取り方によっては無駄な)響きや被りが無く、端正でストレート。とも言えるサウンドです。

ここで肝心になるのが各スピーカーユニットということになりますが、高域を担うツイーターユニットは「ハイルドライバー」と呼称されるタイプなのですが、非常に繊細な高音を出すことが出来るリボン型にこだわり何度もTry and Errorを重ねながら開発されているようです。
中域~低域を担うウーハーユニットもわずか約10cmという小口径ですが、かなり奥行きのある形状となっており、このストロークを高速にピストンさせることによって、ハイスピードながらも最低域をしっかりと描き出すことが出来るように考えられています。
双方共に自社製ということもあって、「自信のあるユニット開発」→「ユニットの特性を最大限に引き出すためのエンクロージャー」という流れが伺え、これはスピーカーブランドとして非常に大切なポリシーではないかと感じています。

…と、大体ここまでの流れで音の傾向は分かってくるかと思いますが少しまとめてみます。
●スピード感はGood. (S-1Gには一歩及ばずですが、遅い音、速い音の鳴らし分けが非常に巧みです。)
●高域がとにかく繊細。 (「キンッ」と鋭利に切れ込んでくるというタイプではなく、「ピンッ」と張り詰めて出た音が「サーッ」と霧状に消えていく感じ。)
●中低域の音像感が秀逸。 (音の輪郭や定位が明瞭で、音の位置関係などが際立っています。)
●少し芯の太い音で、肉付きは薄め、輪郭はやや強め。 (「シャープな音」とは言えませんが、「タイト」という言葉がとても合います。)

決して「足して2で割った音」とは言いませんが、「立ち位置的には」ATC SCM7とVienna acoustics HAYDN (S-1G)の中間にポジションする感じです。

物足りないと言いますか、もう少しと言いますか、実はまだ本格的に鳴らし込んで(追い込んで)ないので、黒江的にどう鳴らすかということを挙げると…、
●高域の出方と中域~低域の出方を揃えたい。 (高域は綺麗なのは良いんですが、切れ込みがないのでソリッドに、中低域は芯が強めなのでもう少しシャープにしたい。)
●広がりがない音なので、もう少し広く? (高さ方向には広めのサウンドステージがあると思います。左右方向は狭めかと感じましたが、個人的にはコレくらいが好きなのでこのままでも良いかな?…と。)
●少し音が重いので、明快/軽快に。 (これも好みですが、もう少し明るいサウンドに出来たらな…と。)

こんなところですが、結論としては「久しぶりに欲しくなってしまった」ので、黒江的にはアリです。
(僕が好むのですから)もちろんメタルもイケますが、SlipknotのようなタイプよりはIN FLAMESのようなタイプがより合いそうです。(音にシャープさを出せればSlipknotもかなり良くなるハズ!)
あとは、高域が綺麗なので女性ヴォーカルもイイ感じです。

リファレンスが3機種もあるのは嬉しいような気もするし、悩みの種でもあるし…ですが、みなさんにも自分の一番好きな音を探し出してもらえれば幸いです。

http://www.mark-daniel.jp/

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ATC SCM7

9月 8th, 2009

前回に引き続き、現在のザ・ステレオ屋リファレンスモニターのもう一角となるモニターのレポートです。

【速攻のHAYDN vs 堅守のSCM7】
何となくそんなフレーズを書きたいような気になったので書いてみましたが、俊敏で鋭利でキリッとしたHAYDN(S-1G)に対し、安定感やバランス感が良く、力強くもあり穏やかさや包容力のあるようなサウンドであるのがSCM7です。

そもそも、ATCというブランドは一頃前まで「鳴りも(重量も)重く、大変なアンプ喰い」というのが定説であったくらいに「吹き出すような鳴らし方」をするのが大変なブランドでした。
僕個人の経験談や印象としては「(今回紹介しているSCM7とほぼ同じ大きさ/価格の)もっとも小型なモニターでさえ、300W~500Wも出せるような大型なパワーアンプでドライブしないと鳴ってくれない。」…といった印象で、当然アンプの価格がモニターの数十倍になってしまうので「随分身の丈に合っていないモニターだなぁ…。」と思いつつ、(ハイスピードを好む僕としては)かなりの投資をしなければ思い描く音にならないため、なかなか選択肢にすら入っては来ませんでした。

しかしながら、上手にドライブできるアンプを大前提とした「ハマった流れ」を作れた時の“分厚くも明瞭で、大胆ながら精密”といったサウンドがとても印象に残っていて、決して嫌っていたりしたブランドでもなかったことを覚えています。

…それから少し年月が経って、ある時の製品発表会でのことです。
正直言って最初の印象は「カッコ悪くなったんじゃない?」としか覚えていない、まるでマスクをしたような新型が登場したのです。
でも、(中身が良かったから?)一気にカッコ良く見えはじめたのは、そのヴェールを何枚も何枚も剥がしたような音。
思わず、「はじめっからコレ作っておけばいいのに!」と思ってしまった(言ってしまった)かもしれません。

その音は、今までのATCブランドに抱いていた既成概念をさっぱり忘れ、いつか思ってたATCにしか出せない理想に近かったのです。
その後すぐに店頭に迎え入れ、より好みに追い込むことが出来ることを確信し、気が付けばリファレンスの一角を担うモニターとなりました。

冒頭の通り、S-1Gとは別の性格であり、良い意味で好対照ながら(黒江が好みそうな)共通点も多くあります。
特徴を幾つか挙げていくと…
もちろん、基本的にはハイスピード。([S-1G]や(殿堂入りの?)[PMC LB1]にはもうちょっと及ばないけど。)
低域がタイト。(且つS-1Gには無い深さがあって、5弦ベースなんかもしっかりと聴き取れる。)
定位が良好。(クリア/繊細といった要素が先に来るS-1Gよりも、こちらの方が音の存在感は強い。)
帯域がフラット。(高域が走ったり、低域がもたついたりという印象は受けません。)
力感のあるサウンド。(やや芯は太め、肉付きも筋肉質な感じでしっかり、雄々しく、骨太で、パワーのあるサウンド。でも荒っぽくない。)
…と、こんなところでしょうか。

ちなみに、Yahoo!ブログにて番外編を書き続けている「僕の弟分であり、ドラマーであり、もちろん熱心なオーディオユーザーであるS君」はSCM7の方が(僅差で)お気に入り。僕は僅差でS-1Gがお気に入り。
(ウチで試聴をされて)購入される確率もほぼ五分五分で、
(メタルも聴くけど)ハードロックやジャズ、プログレッシブも好まれる方はSCM7を、
(ロックも聴くけど)ヘヴィメタルが中心で、Jポップやエレクトロニカ(テクノ)も好まれる方はS-1Gに軍配が上がりやすい傾向です。

が、「あの曲はあっちの方がいいんだよなー。」と最後まで後ろ髪引かれている方をよく見かけます。(笑)

…いや、本当にどっちも良いモニターなんですよね…。僕もどっちも欲しいです。はい。

http://www.electori.co.jp/atc/SCM7.pdf

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Vienna acoustics HAYDN (S-1G)

9月 3rd, 2009

現在のザ・ステレオ屋リファレンスモニターの一角を成している[S-1G]ですが、タイトルを見てあれ?っと思う方も少なくないかもしれません。
…実はこのスピーカー、本国オーストリアでは「HAYDN(作曲家のハイドン)」という名前で呼ばれている(売られている)のです。
加えてブランド名も「Vienna acoustics」(ウィーンアコースティックス)ときていますから、ハイドン以外にも名だたる作曲家を輩出したクラシック大国のオーストリアから「クラシックを聴くために」生まれたスピーカーであると容易に想像できるものです。

実際に、専門誌やサイトで取り上げられる際には「クラシック」中心の話題/賛辞/評価ばかりであり、J-POPやHR/HMを聴いての感想はほとんど見受けられません。(見かけたらウチのユーザーかな?)
そんなモデルでありながら、当店では随分と以前からこのモデル(&前身モデル)に着目していましたが、輸入代理店の方は随分と「?」だったそうです。

…と、僕が気に入るくらいですから、それなりに理由があるわけですが、
●とにかくクリア。
 音に濁りや滲みがなく、とにかく鮮明、フレッシュという形容がハマります。
●とても明瞭な音の輪郭。
 加えて、音の形が目に浮かぶほどクッキリとしたエッジを描きます。
●モタつきの無い、スピード感/キレ。
 気持ちいいくらいビシビシ/スパスパと音が刻まれていき、高レスポンスです。
●高い分解能。
 音の輪郭だけではなく、中身(音の粒子感)も高精細。
などなど、僕にとっては大好物の特性だらけです。

もちろん、完璧なもの(音)はないと思っていますし、オーディオにおける特性は「相反する要素を両立できない」バーター形式となると考えていますので、ウィークポイントも多々あります。
●低域のレンジが狭い。
 いわゆる超低音は再生できていません。
●厚み/伸びに欠ける。
 高域の余韻はありますが、中域~低域の伸びがなく、音は軽め。
●全体的に硬質。
 良い部分が総じて悪い部分とも言え、かなり緊張感の高い、悪く言えば神経質なサウンドとも言えるのでちょっと聴き疲れするかもしれません。
●女の子ウケが悪い。(笑)
 my-musicstyleを通じて、かなりの人数の(主に20代の)女の子に聴いてみてもらいましたが、やっぱり女の子は軟らかめの(優しい)音がお好みのようです。

でも、ディストーションサウンドのギザギザ/ガジガジのエッジと、ザラッザラ/ガリッガリの粒子感をこれだけ気持ちよく聴かせてくれるモニターは今までに無かったので、僕にとっては唯一無二の魅力を持っているのです。
ボーカルの口元もビシッと定位してくるし、(深さはないけど)ベースラインは微塵にも崩れずにブリブリと鳴ってくれるし、これはこれで言うこと無しです!

BURRN!でも似たようなことを書きましたが「英才教育を受け、クラシックばかり聴いてきた普段大人しそうで清楚なイメージの令嬢が実は○○だった!」みたいなトコロがまた素敵です。

くだらないシメではありますが、先入観など持たずに一度聴きに来てみてください。

P.S.
S-1Gの兄弟機である、T-2G/T-3Gあたりは黒江的(HR/HM)にはナシです。(良くも悪くも低域がS-1Gにあった良さを消しています。)
ただ、低域はしっかりしているのでロースピードな曲/ジャンルには向いていると思います。(こちらの方はクラシック用と言われても納得。)

http://www.cec-web.co.jp/products/va/s_1g/s1g.html

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HEGEL H2A vs NuForce Stereo 8.5

8月 29th, 2009

双方共に今さら感はありますが、ごく最近に同時試聴(聴き比べ)をする機会があったので覚え書きの意も含めてレポートします。

【大らかなH2Aと四角四面のStereo 8.5 V2】

まず、黒江としては基本的に『アリ(買い)』の2機種であることを書いておきます。
その上で双方に感じられたのは…

HEGEL H2A
●僕は基本的にブックシェルフ~小型モニターを好むのですが、当店のリファレンス達(Vienna acoustics S-1G/ATC SCM7)がかなり大きく広がりを持って鳴らされていて「フロアモニター(中型モニター)になったみたい。」と、思うほどに大らかでスケールのあるサウンドです。

●音が伸びながらも飛んでくる。
経験上、業務機(PA)に多いのは飛んでくるだけのタイプ。ミドルクラス~ハイエンドの民生機に多いのが伸びるだけでキレが無いというか、スカッとしないというか、音離れが悪いというか、抜けが悪いというか…といったタイプなのですが、[H2A]は「ぐぐーっ」と伸びながらも「ぼんっ」と放たれる感じで開放感があります。

●音は芯がしっかり、少し緩めで厚めの肉付き、輪郭は硬くなく少し薄め。
少し濃いめの音であり、厚めとも言えるタイプですが、シャープさも皆無ではなく「ちょっと気を緩めると崩れる/ほぐれる/緩みそうになるところを、びしっとした緊張感で耐えている。」
…というようなイメージです。(分かり辛いかもですが…。笑)

●中域~高域は繊細だけど、低域は少しムラっ気があって暴れ気味。

●音が太めで、粒もやや大きめなので隣接、近接する音を上手くセパレーションしたい感じです。
※音数の少ないソースではすべてが上記の様な印象になりませんでしたが、ハイテンポ(200BPM前後)なTHRASH/COREなどを聴いた感想です。


Stereo 8.5
●H2Aとの対比的な表現が中心となりますが、H2Aはスピーカーの表面積が上がったように感じられたのに対し、こちらは同等~ややコンパクトなサウンドステージ(音場)で、(左右のスピーカー間に)縦横左右、奥行きと3Dの視界に音(各パート)が点在する感じです。H2Aのように迫り来るような、広がるような感じはありませんが、リスナーから見て逆三角形(▽)に前方に切れ込むようなサウンドステージはフルオーケストラのような大編成的ではなく、4,5人のバンド的なサウンドです。(H2Aはリスナーから見て三角形(△)で後方に広がる感じ。)

●音がパッと現れて静止し、次の音がまたパッと現れて静止し…を瞬く間に繰り返す。
いわゆる「定位が良い」と言われる状態で、3Dな立体映像を超高速なフレームレートで(パラパラマンガ?を)見ているようなイメージで、その分(視界が狭いので)開放的な感じはなく、箱庭的と捉える方もいるのではないかと思います。

●音の芯は細すぎず太すぎずの適度(やや細身)、肉付きは薄め、輪郭も薄めだけどやや硬めでしっかり。
僕は普段より、元の音(録音されている音)に忠実なモニター調、元の音をより良く聴こえるようにテイストを加える(与える)オーディオ調と大きく2つの方向性(傾向)に分けて考えていますが、Stereo8.5は基本モニター調にややオーディオ要素が加わっている印象で、H2Aは基本オーディオ調なんだけど、限りなくモニター的といった印象です。

●(ハイエンドに比べると)ほんの少しレンジは狭いかな?…と。ただし、きめ細かさやS/N感が高く、帯域バランスも各帯域のスピード感(位相感)も良好です。

●とにもかくにもサウンド全体の見通し(サウンドステージのパートの配置感)も、1音1音の音のメッシュ(分解能)や音も形が良く(=元の音に忠実)、ちょっと几帳面な感じもするくらいです。そこに音場がコンパクトで律儀(堅そう?)な感じを加えて「四角四面」と例えてみました。
もう少し暴力的に、ルーズに、粗っぽく(荒っぽく)鳴らしてあげると良いかもしれません。

…と、長くなりましたが、2機種のvsレポートでした。
文面にアリアリと表れていますが、黒江的には[Stereo 8.5]が好みですが、文章ほどには180度正反対のサウンドではなく、かなり共通する点も多く感じられました。(お上品じゃないことや、甘い、軟らかい、優しい、緩いタッチではないことなど。)
強いて結論づけるなら、[H2A]はハードロック(or 80年代以前)より、[Stereo8.5]はヘヴィメタル(or 90年代以降)寄りかな…と。(黒江的には。)

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ROCK! ジャケ弁スタイル

8月 28th, 2009

っていう面白い雑誌(小冊子)を見つけました。

面白いというか、実にくだらないというか、着眼点が素敵すぎるというか。最高です。

…って、別冊StereoSound!?

ステレオサウンドってあのステサン?

あ、FuhlenCoordinateとかDYNAUDIOの広告がある…あのステサンだ。

やるじゃん!(やればできるんじゃん!)

…と言うことで、音楽好き(ロック好き)は必読です!

内容は監修(?)のオバッチさんブログにて。↓
http://jakeben.blog111.fc2.com/

P.S.
しかし、数ある中から『SCHIZOPHONIC』をチョイスするなんて…、お弁当にしやすかったから?と思っていたら、どうやらヌーノ好きのようですね。(+相当ロック好きなんだなぁと、ちょっと親近感です。)
&オーディオに混じって全然違う業種(桃屋まで!)の広告が入ってるのは見ててシビレますね!

TIGLON MS-12A

8月 28th, 2009

3エントリー連続となりますが、TIGLONブランドの(既製品)ケーブルより最後のモデルです。

この[MS-12A]は先日の電源ケーブル[MGL-1000A]の下位モデルといった位置づけですが、(型番の法則性からも?)一般的なものの下位モデル(ただ線材の太さを小さくしたなど)とは異なるようです。

※実際に[MGL-1000A]は超極細の高純度銅を57本束ねたものを1本とし、更にこれを7本束ねたものを1芯とし、3芯に(+極1芯/-極1芯/アース1芯)編み込まれていて、[MS-12A]は同じく超極細ではあるものの、もう少し太い銅線を束ねたものを1本=1芯となり、(+極1芯/-極1芯/アース1芯)の3芯構造のようです。(再度確認中です。)

上位モデルの[MGL-1000R]は少し音に丸みが出たり、音のエッジに滲みが出たり、音に少し潤いや艶あると書きましたが、導体の断面積や銅線の細さ(今までの経験上、細いものをたくさん束ねたものは音が軟らかい)などからも、どことなく納得できるような気がします。

…と、とりあえず構造上や理屈はどうでも良いとして、[MS-12A]を聴いた感想ですが、
●上位モデルほどではないが、やはりマグネシウムシールドの恩恵かS/Nがすごくイイ感じです。
●音の力感/エッジ/押し出し/アタックなどが損なわれず、型くずれや抑え込まれる感じがない。
●音の芯は少し太め、肉付きはほどほどあるけど硬め(贅肉っぽくない)、その肉の周りにしっかりとした輪郭があるイメージです。
●欲を言えばレンジは高音-低音ともう少し欲しい気もしますが、バーターしてしまう要素もありそうなので必要十分かな…と。
バランスも良いし、低域も締まっているし、久しぶりに個人的に欲しくなったケーブルでした。
(入手したら絶対プラグ交換するだろうな…。)

…と、いうことでTIGLONケーブル3種のレポート完結です。
どれも買いですが、『黒江的サウンド』の好みからすると上位モデルは『ワンポイントを上手い位置に』、今回の[MS-12A]は『かなり買い』ではないでしょうか。

http://www.tiglon.jp/ms12-a.html

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