Aura vivid & vita

1月 24th, 2012

2012年の1発目は新しいの年のはじまりらしく、タイトルの通りAuraの新製品[Newcomer]からです!

【比翼連理】

こんな四字熟語をご存じでしょうか。

※参考:Wikipedia
語源は中国の漢詩、長恨歌(ちょうごんか)という古い長編の漢詩に登場する一節のようで、原文は『在天願作比翼鳥 在地願爲連理枝』となります。
『天にあっては願わくは比翼の鳥となり、地にあっては願わくは連理の枝となりましょう』…という訳になるそうですが、要は『2つで一対とか、片時も離れずとか、(そのことからも)主に夫婦が仲睦まじい(または「そうなりましょうね)』という意味です。

これを「天にあっては比翼の鳥のように」「地にあっては連理の枝のように」のように短文とし、「比翼の鳥・連理の枝」と簡略されたものを更に略して『比翼連理』となったそうです。
(ちなみに「比翼の鳥」は雌雄が左右それぞれ一翼ずつの鳥で、“雌雄一対”でしか飛ぶことができない鳥です。)

…ということで、もうお分かりいただけた気がしますが(笑)、このvividとvitaは黒江にしては“かなり珍しく”「セットでの購入を強く推奨したいモデル」となりました。
(逆に言えば、単体での購入はちょっとオススメしたくないかもです。)

いつものようにサウンドの傾向をレポートしていきます。
(比較対象はいつもの通り、[Aura neo & TEAC AG-H600]のザ・ステレオ屋リファレンスです。)
なお、まずは[Aura vivid & vita]をセットで組み合わせた際のサウンドについてです。

■[Aura vivid & vita]
●さすがに[neo & AG-H600]にはわずかに劣るものの、上々なハイスピードサウンドです。
●音にキレがあり、シンバルやディストーションの粒立ちもきめ細かく、アタック音も鮮明で明瞭なサウンドです。
●[neo]のようなクールさはさほど感じられず、[neo]よりもやや熱っぽさのある(アグレッシブな)サウンドです。もちろん、暖色・ウォームといった言葉には無縁でそれでもクール系の部類であると思います。
(特にシャウト[ボーカル]はかなり激熱な感じであり、ここ数年の中ではベストかも知れません。)
●[neo & AG-H600]と比べるとややS/N感や解像度が落ちます。(ただし、価格的には申し分ないです。)
●奥行感や上下の高さ、左右の広がりなど、広大なサウンドステージを描く傾向ではありません。
●(矛盾したことを書きますが、)「アグレッシブでありつつもクール」であったり、「やや粗っぽさが感じられるけど繊細」といった両面性を持っている印象があります。(考察は後述いたします。)

…ということで、強いて言えば“クリアネスと(音の)抜け”があと少し欲しい気がしますが、それが備わってしまうと「驚異のCPです!」なんて書かなくてはいけないかもしれないので、価格的には十分(以上)な資質であると思います。

その上でCDプレーヤー[vivid]とアンプ[vita]をそれぞれ単体で聴いたケースのサウンドをレポートいたしますと…

■[Aura vivid]
●かなりのハイスピードです。[neo]にも引けを取りません。
●低域が非常に薄いです。低音フェチではない黒江が「低音が全然出てない…」と、こぼすほどです。
●主に高域の輝度が高く、やや艶掛かっています。
●全体的に音の薄い傾向です。音の芯が目立ち、厚みの無い薄っぺらいサウンドとも言えそうです。
●S/N感はとても高い印象です。

■[Aura vita]
●全体的に重々しく、やや抜けの悪い、やや鈍足気味のサウンドです。
●低域過多の印象で、エッジがしっかりしていないのでタイトさに欠け、且つ解像度も決して高くはないのに量感が多いので余計に目立ちます。
●全体的にどっしりとしたサウンドです。“濃厚”とは言いませんが、シャープなサウンドでないのは確かです。
●情報量の豊富な傾向で、(スペック上の数値面ではなく)ドライブ感・駆動力の高いアンプだと思います。

…と、以上が言葉を選ばすに書きだした雑感です。

更に言葉を選ばずに端的に表現すると『低域の無いシャラシャラしたサウンドのvivid』『高域の無いドワドワしたサウンドのvita』とでも言ってしまおうかと思います。
…が!僕が思うにこの2機種は最初から一対・つがいで使うことを前提に音決め・音作りをされているのではないでしょうか。
そのくらい、(各機の個々のレポートをご覧いただければ分かる通り、)[vivid]と[vita]を組み合わせて聴くことで凸と凹が上手くピッタリと合わさり、絶妙なバランスのサウンドになっているのです。
(組み合わせた時に感じる“矛盾した印象が成立してしまう”のはこれらの対極的な個性が上手く「いいとこ取り」されているからではないかと。)

確かに、[neo]のつがいである[groove]も、[neo]がクール系ならややウォームより、[neo]がキレのあるスピード系ならパワーのあるドライブ系でした。
(※[groove]よりも、もっと暖色でマイルドなものが多いので黒江は[groove]を決して“ウォーム系”とは位置づけておりません。)
このことからもAuraのCDプレーヤーとアンプに対する音の作り方には共通しているものがあると思います。
([neo]や[groove]はそれぞれ単体でも成立するサウンドでしたが、このシリーズは互いに少し個性が強すぎかな?と思っております。)

なので、【比翼連理】です。一生忘れることができないであろう2011年の漢字一文字“絆”です。
デザインの統一感も取れますし、ぜひセットでご検討していただきたいと思います。

P.S.
[vivid]はUSB端子がないのが残念でした。
それにしても、同メーカー同士での聴き比べでも[neo]の良さを再確認してしまいます。
USB端子やCDプレーヤーだけの購入の際はぜひ[neo]にもご指名ください!

Klipsch RB-41 II/RB-51 II/RB-61 II

12月 20th, 2011

本日は表題のスピーカーをレポートさせていただきます。

【ドライでアグレッシブ、“畳み掛ける系”サウンドの急先鋒。】

Klipschを一言で言えば、↑こんな感じなのではないかと思っておりますが、今日はこのKlipsch新シリーズの3兄弟をご紹介いたします。

まず、共通のポイントとしては…

●ウェット感が少なく、非常にドライなサウンド。
シンバルなら『スプラッシュよりライド(クラッシュ)』、ギターなら『ディストーションよりオーバードライブ』、ボーカルなら『色気のある女性ボーカルより(しゃがれた)ハスキー』、『擦る弦楽器(ストリングス)より打楽器』などなどの方がフィットしているかな…と思っている次第です。
(ただし、ラッパ[トランペット・サックス・他]は金管の艶もよく出ていてとても好印象です。)
●とにかくアグレッシブ。
音(も唾も)が飛んでくるような前へ前へと迫ってくるサウンドな一方、(見通しの良い)奥行き感を作り出すタイプではなく、眼前を音で埋め尽くされるようなラッシュ系のサウンドです。
●熱っぽい(情熱的)サウンドで、黒江的には『赤・黄』といった暖色系のイメージ。
決してウェットな音や冷たい(感じの)音が出せないわけではなく、よりハマる音の傾向がしっかりしているという感じです。
●スピード感は上々。
キレのあるスピード感というよりは、噴き出すようなドライブ感の高いスピード感。
●荒さ(粗さ)が感じられ、クリアさにも一歩欠けるのがウィークポイント。
JBLのモニターと同様、鳴りっぷりの良いハツラツ系の代償ですので仕方が無い点だと思います。
●高能率!
これだけスペックの話になっちゃいますが(笑)、特にビギナーには嬉しい(高能率なのでミニコンポなどの出力の小さなアンプでも充分に鳴らせるのが)ポイントです。

…という点を踏まえていただき、3兄弟をそれぞれレポートします。

■RB-41II
【Klipschらしくないものの、もっともバランスの取れた名小型モニター。】
●ウーハーサイズの関係からやや低域がさみしいところもありますが、その分キレがあり、高音~低音まできれいに揃っていて定位も良好です。
●音の細かさ(分解能・粒立ち・粒子感)も3機種で随一。このRB-41IIだけはスッキリとした見通しを感じさせてくれます。
●ただし、Klipsch独特の響きやドライさも少なく、癖が非常に少ないので“Klipschらしくない”サウンドなのでご注意ください。
●このキレとスピードならHEAVY METALもバッチリです。
●黒江的には今年の(新製品?)スピーカー群ではベストかもしれません。
黒江的好み度:A(~A+)

■RB-51II
【3兄弟の中ではもっとも気難しい(性格?の)真ん中次男モニター。】
●試聴前は最も(バランスが取れているだろうと)期待していましたが、(黒江的には)中途半端に感じられてしまい残念な結果となりました。
●低音(重低音)を無理に出そうとしており、結果的にブーミーに。
●低音を出そうとするため、中音が(マスキングされたり、鳴りきれずに)伸びず、ボーカルやギターが遠く感じられます。
●一方で、高音は吹き出すようにギンギンと鳴りますので、高音と低音が主張されたドンシャリサウンドの感が否めません。
●低音の解像度が今一つなので全体的に混濁気味になってしまっている印象です。
黒江的好み度:C(~E)

■RB-61II
【RB-41IIとは対照的にKlipschらしいハツラツサウンド。】
●RB-51IIと比べてもエンクロージャー(筐体)が一気に大きく感じられるようになり、大型モニターの部類に入るサイズが象徴的です。(購入前にサイズのチェックは必ず!)
●伴ってウーハーサイズが大きくなりますが、(ウーハーサイズの恩恵で)低音にRB-51IIのような無理やり感がなく、締まりのあるしっかりとした低音がポイントです。
●中音域もしっかりと鳴っていて、帯域バランスが良く、ベースやバスドラがブリブリと聴こえる上にボーカルやギターが埋もれることなくバシッと飛んできます。
●スピード感も上々で“ごきげんなハードロックサウンド”といった無骨さと、アッパーな鳴りっぷりはこのRB-61IIにしか出せないサウンドです。
●音像(特にボーカルの口の大きさ)は大きめで、ちょっと散らかったような、ややまとまりに欠ける(エッジが明瞭でシャープに定位するタイプではない)面もありますが「これぞKlipsch!」と頷いてしまうサウンドなので、Klipschサウンドの支持者にはぜひご一聴いただきたいモニターです。
●黒江的にはHARD ROCKや80年代のLA METALなどはコイツで聴きたいです。
黒江的好み度:A-(~B+)

■総括
“黒江的好み度”でお分かりかと思いますが、3兄弟の中ではRB-41IIが断トツにハマりました。
…が、(黒江はJBLの4312系も結構好きだったりするので)「ザ・Klipschサウンド」のRB-61IIも正直に言って捨てがたいです。(買うとしたらRB-61IIかも。)
RB-51IIは個人的にはダメでしたが、逆に「(3兄弟で)これが一番いい!」という方も多いのではないかとも思っておりますので、RB-51IIユーザーさんは誤解の無きようにお願いします。
強いて言えば(3兄弟)すべてバスレフ型なので「密閉タイプも作っていただけたら」と思っている次第です。
(※特にRB-41IIはリアバスレフなので壁から30cm~50cm程度は離して置いてあげられるとベストなのですが、小型モニターを検討されているユーザーこそ、それが出来ないんですよね…。せめて棚に押し込めたりしないでください。)
(※※RB-41IIの密閉型orフロントバスレフ型が出たら絶対に買います!)

…ということで、Klipschのサウンドにならって「ちょっとアツめの」レポートでした!

ネットワークオーディオ report 4 【LANケーブル編】

11月 11th, 2011

タイトルは異なりますが、昨日の続きです。

さて、「これにて一件落着」と思っていたのですが、もう1つ妙に引っかかります。
「NASの音と(PCとの)USB接続の音が何でこんなに違うんだろう…。」
個人的には『長いLANケーブルやハブ・ルーターを介する分、音質が低下するネットワークオーディオ』に対し、『OSやPC/Macという(音質に悪影響を及ぼす)コンピューターというハードを介したPCオーディオ』は一長一短のような気がしているので、“どちらかが極端に高音質となる”のは少し違う気がしているのです…。

これまた、ふと思い立ちます。
「そういえばルーターとNASを繋いでいるLANケーブルがものすごーくチャチなモノだったなぁ…」と。

そこで(まずはルーターとNAS間を)FRUTECHのLANケーブル『LAN-10G』とTIGLONのLANケーブル『MGL-1000L』に交換して聴き比べてみることにしたわけですが…。
(他のブランドも数種試していますが、文脈的に端折っていますのでご容赦ください。)

「…………(USBケーブルに続いて)何で?何で音がこんなに変わるの…………。」
しばらく唖然としてしまいました。

…が、よくよく考えると膨大なデータを送受信するための大動脈とも言えるケーブルなのですから、USBよりは変わることにも頷ける気がします。
(しかも、交換前のケーブルは随分前に購入したハブか何かの付属品でとってもボロな「Category 5e」に対し、『LAN-10G』と『MGL-1000L』は「Category 6a」と「Category 7」ですしね…。)
現に、LANケーブルを交換した後はNASとのやりとりのレスポンス(スピード)も飛躍的と言っても良いくらいに向上しています。
(交換前が「モッタリ」だとすれば、交換後は「サクサク」って感じです。)

ただ、やっぱりそれでも納得できないのは「音質(特に情報量・S/N感・解像度)が向上するのはともかくとして、音の傾向やバランスが(ケーブルのブランド毎に)変わる」ことです。
USBケーブルの時と同様に、LANケーブル(内)で高音や低音、シンバルの音やディストーション、クラッシュやシャウトを選り分け(聴き分け)られるはずもないのに、こういった1音1音の出音がケーブルごとに異なるのです。

…ので、“納得できない”とは言いつつも、特に気に入った2本を軽めにご紹介してみます。

■FRUTECH : LAN-10G
『同社のUSBケーブルやロジウムメッキACプラグのような、シャープさとキレ、スピード感。』
●やや明るめで、スパッとした鳴りです。
●低域はタイト、高域はややキラキラ(ギラギラとも言えるかも)とした輝度の高いタイプ。
●ハッキリ、クッキリの明瞭系。
●音場はやや広めな感じです。
●バッと前に向かって来るサウンドですが、鳴りっぷりが良いという傾向ではなく、スピードとキレで突き抜けるような傾向。

■TIGLON : MGL-1000L
『S/N感・解像度・情報量が高く、中庸で堅実なサウンド。』
●(LAN-10Gなどと比べても)頭抜けてS/N感が高く、曲中の静寂感や微弱音が非常に繊細に再現されています。
●LAN-10Gよりもトーンは落ち着いた感じ(暗め)で、スピード感も中速。
●低域はやや(濃く・太く)厚めで、ガチっとした輪郭を描くタイプではありません。
●高域の分解能は抜群と言っても良いと思います。(若干、伸びが足りませんが…。)
●音場はやや狭い感じです。
●音の傾向は少し控えめですが、安定感が高くてバランスも良く、定位感も良好です。

…と、要約すると(双方ニュートラルに限りなく近い前提で)「キレやスピード感に長ける(やや)ライブなLAN-10G」と「解像度やS/N感に長ける(やや)デッドなMGL-1000L」といったところでしょうか。
(同じく双方ニュートラルに限りなく近い前提で、ややコールド[寒色系・硬質系・無機的]寄りなLAN-10G、ややウォーム・ホット[暖色系・重厚系・有機的]寄りなMGL-1000Lとも言えるかもしれません。)
ただし、双方ともに黒江が採用を決めたくらいですので、基本的には「ゆるゆる・もったり・味や化粧の濃い」傾向ではなく、モニター的なサウンドであることには間違いありません。

…で、なぜ2本いっぺんに紹介したかと言いますと「どちらか一方に決められなかった」ので『これらをハイブリッドして使用するのがベスト』という結果となったためです。
なので、結果的には「LANハブからPCへはLAN-10G」を用い、「NASとLANハブの間はMGL-1000L」を用いて、両者を足して2で割ったサウンドで落ち着いています。
(MGL-1000Lが高いから短くて済むところに入れたのは内緒です!笑)

くどいようですが、USBケーブルといいLANケーブルといい、(こんなに音が変わること自体)黒江自身がなんだか未だに理解できないのですが、変わるものは変わるので自信を持ってオススメしたいと思います。
僕と同様に“疑って仕方がない”という方にはお貸し出しなども出来るものがございますので、まずはお問い合わせください!

Pioneer N-50 [postscript]

11月 10th, 2011

昨日に書いたばかりの「Pioneer N-50」レポートですが、もう少し書き足させて頂こうと思います。

【クールとワイルドが同居したようなアグレッシヴサウンド。】

まずはじめに、少しお詫びを申し上げなければいけません。(お詫びしたり、フォローを入れるような内容ではなかったですが。)
この「Pioneer N-50」を昨日のレポートでは『(音の傾向は好きだけど)音質は価格相応・価格なり』と断言しましたが、もう少し褒めてあげても良さそうです。
いえ、黒江的にはちょっと褒めてあげたいです。「Pioneerさん、よいモノ作ってくれました!」と。

ことの経緯はと言いますと…
本製品は『ネットワークプレーヤー』という主眼である製品ということもあって、実は試聴の際にはNAS経由での再生ばかり聴いておりました。
レポートを書くにあたって十分な情報が得られたので昨日のレポートを書いたのですが、ふと「USB接続をちゃんと聴いてないかも」と気が付きます。

※当店では、例えば当機のような「USBメモリ(前面ポート)・USB DAC(背面ポート)・ネットワーク(NAS)」などといった、同じフォーマット(MP3・WAV・FLAC・AACなど)が聴ける装備がある場合、すべてのモードで同様のファイル(例:“XXXXXXXXXXXXX”という曲で44.1kHz/16bitのWAVファイル)で聴き比べるのが基本です。(当然ですが。)

こうなると気になって仕方がないので、レポートをUPしてからすぐに再び聴き比べをしてみたところ…。
「あれ?USB接続がめちゃくちゃ音いいじゃん…。」

…ということで、NAS経由とUSB DAC(PC)経由で同じ曲を聴き比べた印象を述べていきます。

●“やや速い”感じでハイスピードではないと書きましたが、なかなかのハイスピードサウンドです。(「ぶっちぎり」ではないけど、満足できる感じです。)
●気になっていた抜け、キレもだいぶん良好な感じです。
●S/N感も1ヴェール、2ヴェール拭ったように見通しが改善しましたが、解像度とレンジ感はそこまで改善せず。
●全体的な音の印象・傾向はあまり変わらず、より洗練・ブラッシュアップされたサウンドに。

専用ドライバーが優秀なのか、今のところ非公開?のDACチップ(Pioneerオリジナル?)が優秀なのかは分かりませんが、しばらくアレコレ色々な曲を聴いてしまうくらいイイ感じです。

もう一回まとめてみます。
●音の傾向は「元気・アグレッシヴ・ハイスピード・タイト」といった感じ。
●(Essensioなどの高価格帯と比べると)S/N感・レンジ感・解像度にはやや難あり。それでも価格には見合ったクオリティ。
●エッジを立ててきたり、鋭い切れ味のあるサウンドではなく、アタックのしっかりしたパンチのあるサウンド寄り。(“寄り”とあるように、もちろんエッジがボケているワケでもなく、キレも十分あります。)
●低域・高域ともに伸びきってはいないものの、帯域バランスも良好で、定位感も上々です。
●AirPlayが地味に便利です。(^-^;
黒江的好み度:A(~A-)

…と、見出しの通り、基本的にはモニター調でクールに淡々と鳴っている感じですが(価格の分、少し粗っぽいせいか)、所々にちょっとヤンチャな感じがあるのが個人的には好きです。
「Essensioはまだちょっと高価だな…」という方、マルチな機能が欲しい方、とりあえずUSB DACだけでも欲しい方(他の機能は手にされてから有用なことに気が付くと思います)などに、ちょっと強めにオススメしておきます。

※その後、NAS経由の音もかなり改善するプロセスがありましたので次回のレポートに。

製品紹介ページ
http://pioneer.jp/components/networkaudio/
専用ドライバーダウンロードページ
http://pioneer.jp/support/download/home/n-50/

Pioneer N-50

11月 9th, 2011

先日の「LUXMAN DA-100」に引き続き、2011年秋冬モデルのUSB/ネットワーク系のDAC(D/Aコンバーター)を数機種ご紹介したいと思います。

【現時点でのネットワークオーディオ(エントリーモデル)大本命!】

もちろん『黒江的』にですが、見出しの通り現時点でのラインナップの中では非常に僕の好みのサウンドとなっています。

●音質面に関しては解像度とS/N感に加えてもう一抜け欲しいところなので、「(価格が)倍以上もするような機種をも凌駕する」といったような圧倒的なクオリティではありません。
●…が、『こもってる・にごってる』などといった『ちょっと聴けたものじゃないサウンド』ではなく、最低限のS/N感や解像度を持っており、価格よりは高いクオリティの印象です。
●サウンドはとってもストレート(素直)な印象で味付けや癖が非常に少なく、どんなジャンルも録音に逆らわず、違和感を感じさせないサウンドです。
●比較的モニター調であり、低音はタイトにくっきりと鮮明、高音はやや抑え気味ではあるものの、プレゼンス(高音の強調)を効かせたような“いやらしさの感じられるサウンド”ではないので、いかにも「いい音でしょう?」なんて感じのサウンドがお好きでない方には好印象だと思われます。
●自然な中にもメリハリがあって、ちょっと元気な感じ。
●(黒江の大好きな)スピード感は“やや速め”といったところで(これまたお好きな)“キレッキレ”といったタイプではなく、“ビシビシッ”とクッキリ・しっかり・ハッキリと畳み掛けてくるタイプです。
●音の繊細さ、分解能・解像度はもう少し欲しいところです。(…が、この価格なら十分です。)
●繰り返しになりますが、強いて言えば解像度とS/N感、総じて抜けがもう少し良ければ…といったところでした。

なお、この「N-50」は豊富な入出力を持っておりますが、メディアファイルを再生した場合は(前面の)USBメモリーが最も音質が良好で、PCやMacとのUSB接続とNAS経由に関しては環境次第といった感じです。

操作のレスポンスは上々で、(※一足先にレポートをUPした弟分のblogでサンプル機の操作レスポンスを量産機と誤解して「非常にレスポンスが悪い」と書いてしまいました。この場を借りて訂正・お詫びいたします。)評価の高かった「marantz NA7004」とも双璧をなすレベルですが、肝心の選曲メニュー時の操作性・操作感が今一つなので紹介しておきます。
この「N-50(N-30も)」は本体のディスプレイは“リスト部が”4行表示となっているのですが、例えば曲名を表示させた場合に…
1.AAAAAAAA
2.BBBBBBBB
3.CCCCCCCC
4.DDDDDDDD
…と表示され、4曲目から下のリストにアクセスすると…
5.EEEEEEEE
6.FFFFFFFF
7.GGGGGGGG
8.HHHHHHHH
…と、ページ送りになってしまうのです。
つまり、
3.CCCCCCCC
4.DDDDDDDD
5.EEEEEEEE
6.FFFFFFFF
といった、好きなところでリストを止められないので、感覚的な操作が出来ません。

なお、iPhone/iPad/iPod touch用のアプリでも同様の操作感であり、iPhone/iPad/iPod touchのディスプレイにはまだ余白があるものの4曲(4アルバム・4アーティスト)ずつしか表示されません。
(※最初は「なんでこんな仕様に…?」と思ったのですが、このアプリは本体とシンクロさせて本体の表示をアプリに送っている仕様であると気が付きました。)
修正の余地および可能性は高いと思われますが、本体のファームウェアとアプリを連動してアップグレードさせなくてはいけないので少し時間が必要かもしれません。
(Pioneerさんに期待しておきましょう。)

もう一つ言うならば、この機種には(テレビと同様に)主電源とスタンバイ(スリープ)機能があり、リモコンや一定時間の無操作でスタンバイ状態に切り替わるようになっていますが、スタンバイ状態から「本体のどのボタンを押しても復帰できない!&アプリからも復帰できない!」という残念なところがあるので、こちらもアップデートに期待したいところです。

総括としては、音質・操作性などには一定の不評があるものの、価格を考えれば満足のゆく仕上がりです。(特に音の傾向が好みなので。)
黒江的にはNASやPC経由ではそこまで音質にはこだわらず、(リビングなどで)気軽に聴ける方が良いと思っているので一気に購入意欲が湧いてきてしまいました。
ネットワークはもちろん、USB DACとしても使えるし、DVD/BDレコーダーなどからデジタル入力も出来るしなのでマルチな活躍をしてくれると思います!
みなさんも、ぜひ要チェックでお願いします!

N-50/30用アプリの表示例1:下の余白がもったいない…。

N-50/30用アプリの表示例1:下の余白がもったいない…。

N-50/30用アプリの表示例2

N-50/30用アプリの表示例2

LUXMAN DA-100

11月 2nd, 2011

話題の新製品を軽めにレポートいたします。

【ほんのりLUXトーンの省スペース実力機!】

はじめに黒江的ポジションからの結論を述べておきますと…
黒江的好み度は“C”前後(“B-”に入るか入らないか)ではありますが、音質という面ではかなり高く評価したいモデルです。
もちろん、価格(定価71,400円)が価格ですので『100万円クラスと聴き比べても引けを取らない!』なんてことは言いませんが、お好みに合えば倍近くの製品よりも魅力的なサウンドに感じられる方がいらっしゃっても何ら不思議ではないくらいに『サラッとさりげないハイクオリティ』なサウンドの印象です。

「サラッとさりげない」とある通り、音は比較的スッキリ系で、滑らかに・しなやかに・緩やかにといった濃密さを感じさせるサウンドではなく、(ちょっと他の方とは意見が異なるみたいですが、)いわゆるラックストーン(ラックスマントーン)・ラックスサウンド(ラックスマンサウンド)とは異なる癖の少ないサウンドの部類に入ると思います。

具体的には…
●(価格的に突出したのもではないが)高いS/N感と解像度で繊細かつ丁寧に1音1音が作られている印象です。
●帯域のバランスは(黒江的には)極めて自然であり、低域が持ち上がったり、キンキンとした高音を入れ込んでくる傾向ではありません。
●ラックストーンではないと言いつつも、ややしっとりしていたり、(ややウェットな感じに)艶がかっていることからも(見出しにある通り)ほんのりとラックストーンを感じさせる“薄化粧サウンド”と呼びたいイメージです。
●スピード感は“鈍足”ではないですが、お世辞にも“ハイスピード”とは言えず、“普通くらい”といったところです。
●サウンド全体も“シャープ”とは言えませんが、緩々としているワケでもないので“ややタイト”といったところです。
●総じて、音に個性(キャラクター)を加えてくるタイプではなく“ニュートラル”“ナチュラル”といった印象の方が勝ります。
●J-POPや歌物・アコースティックなどは相性バツグンだと思います。

…と、ここまでは注目の機能である『デジタルフィルター』をデフォルトの“df1”(FIR)で聴いた印象なのですが、“df2”(IIR)に切り替えると…
●しっとり感・ウェット感などが抑えられて、音抜けが1抜けも2抜けも向上します。
●音がシャープになり、ちょっとエッジが立ってビシッとしたサウンドに傾きます。
●ギターの歪みやシンバル、シャウト系のボーカルのザラザラ感といった分解系のサウンドが鮮明になります。
(悪く言えばスカスカした感じ、粗っぽくなった感じとも言えますが、これにスピード感が加われば黒江の好み度は一気に“A-”くらいまで上がりそうな感じです。)
●今時の疾走系メタルはちょっと無理そうですが、ハードロックやトランス、テクノなどあまり速すぎないサウンドであれば気持ち良く聴けそうです。
(“df1”(FIR)を“薄化粧”と称するなら、“df2”(IIR)は“(近所で見かけるような=お高くない)すっぴん美人”とでも呼びましょうか。)

…ということで、聴いてみる前は「大人向けのサウンドかなぁー」と思っていましたが、『デジタルフィルター』のおかげもあって10代~40代くらいまでの「J-POPやロックが好きな世代」にもオススメしやすい1台です。
黒江自身も「歌物を中心で聴く時用に1台買おうかな…」と思ったくらいですので、ぜひ「はじめての1台に」「2台目のサブに」と、ご検討いただければと思います。

黒江流『PCオーディオ/USBオーディオ』のススメ report 8 【USB DAC編】

10月 19th, 2011

ペースは遅いですが、順調に第8回目まで進んでまいりました。
(途中の紆余曲折・試行錯誤はかなり端折っていますが、)ここまで『リッピングソフト(CDからデータへの変換ソフト)・再生ソフト・USBケーブル』とそれぞれの(黒江的)マイベストを紹介してきておりますが…、(※以前のレポートもご覧ください。)
今回は表題の通り『USB DAC』のマイベストをご紹介させていただきたいと思います。

■north star design : Essensio
まずは、以前にも「大絶賛」させていただいた『north star design : Essensio』です。
以前のレポートは↓コチラをご覧ください。
http://www.digitalside.net/?p=444
以前のレポートでは主にCDプレーヤーからS/PDIF(=同軸デジタル・COAXIAL)での接続によるサウンドの印象を述べておりますが、USBによるサウンドも“vsレポート”の『Aura design : neo』とのCDプレーヤー比較と同様にEssensioの方がS/N・分解能・解像度・レンジ感など、軒並みに(Essensioの方が)上回ります。

更に言えば、Essensioは“192kHz/32bit”という音楽用のデジタルデータ(フォーマット)では現時点での最高峰の規格にまで対応しており、この音質・デザイン・価格などを総合して考えると向こう数年のロングランが見込めるモデルだと思います。
つまり、今買っても「しばらく買い替える必要はない」ということでもありますし、これからコツコツと貯めていただいてからでも遅くはないとも言えると思います。
ただし、ネットワークオーディオには対応していないのでネットワークを必要とされる方や、ネットワークラジオ・AirPlayなどに魅力を感じている方はその辺りの検討もしつつ、入手をご検討いただければと思います。(黒江としては、いずれ外付けのネットワークオーディオデバイスが各社から発売されるのでは…と思っておりますが。)

※同north star design社の兄弟機・上位機種である『usb DAC 32』はアナログ回路用とデジタル回路用の電源トランスを分けたダブルトランス仕様となっており、Essensioをより高S/N・高解像度・高情報量とベースアップさせたサウンドになっております。(キレやスピード感はEssensioの方が良好ですが、)こちらも非常に優秀なDACだと思いますので併せてご検討いただければと思います。

■NuForce : μDAC2
こちらも以前にレポートを書いていますので↓コチラも併せてご覧いただければと思います。
http://www.digitalside.net/?p=432
…が、こちらはあまり気合いの入ったレポートじゃなかったので、もう少し書き足してみたいと思います。

【やや粗く、情報量不足気味ではあるものの、精悍でクリアなハイスピードサウンド。】

端的に言えばこんな感じですが、価格(15,750円)を考えると驚異的な音質であると言えると思います。以前のレポートでもお分かり頂ける通り、数万円~10数万円までのモデルをかなり聴き比べていますが、CP(コストパフォーマンス)という面でμDAC2を凌駕出来たものには出会えていません。(黒江個人ならμDAC2の次はEssensioを買うと思います。)
全体的にスッキリ系のサウンドで、音の輪郭や粒の細かさ、音抜け・キレが良い爽快なサウンドです。

ウィークポイントは低音が薄めであること、(やはり低価格なりに)音が粗めであることや、それなりのS/N感であることに加えて音の濃さ・密度感などは低く、情報量を感じさせてくれるサウンドではありません。
しかしながら、決して他のモデルより見劣りするサウンドでもなく「クリア・シャープ系」の最右翼とも位置付けることが出来ると思います。

ちなみに、初代モデルのμDACは(μDAC2と比べると)『(やはり)やや粗めだけど、もう少し身の詰まった感じで、力強くタイトなサウンド』とった印象で、μDAC2はより明瞭になって線を引き締めた(ら、少しガリッとしすぎちゃった)感じの「μDACの余計な贅肉(=音的には付帯音)をシェイプアップさせた」ようなサウンドになっています。
「ちょっとガリッとした」「情報量不足気味」とあるように、初代μDACと比べて少しスカスカした感じと低域の量感がやや薄いので、これを良しとするかは好みによると思いますが黒江的にはかなりの高評価・好印象のサウンドです。

価格が価格ですので、(黒江的サウンドがお嫌いでない方なら)「絶対に買って損はしないと思う」モデルとも言えるのではないでしょうか。
なお、μDAC2はPCやMacからUSBを介してS/PDIF(=同軸デジタル・COAXIAL)信号に変換する“D/Dコンバーター”機能も持ち合わせているのですが、これがまた秀逸なので「お気に入りのDACは持ってるんだけど手ごろなDDCが無くって…」という方にもオススメです。(ただし、96kHz/24bitまでなのでご注意を。)

P.S.
黒江は初代のμDACとμDAC2を自宅用にも購入しており、(途中USBケーブルもaudioquedt[CARBON]とKIMBER KABLE[silver USB]を何度も何度も交換しながら)15,750円のUSB DACを何度も何度も繋ぎ変えては聴き比べたのですが…、なかなかハマっちゃうもんですね…。^-^;&今までなら「この音・音質がガマンできない!」となって辞めてたと思うのですが、uDAC2が本当に高CPだったおかげでお安く楽しませてもらいました(今でも楽しませてもらってます)。

黒江流『PCオーディオ/USBオーディオ』のススメ report 7 【USBケーブル結論編】

9月 28th, 2011

前回の続きです。
(『USBケーブルで音が変わるのか?』については前回のレポートで言及していますので、そちらもご覧いただければと思います。)
今回は表題の通り、“黒江的USBケーブルの決定版”をレポートしたいと思います。

まずは…

audioquest [CARBON]
【S/N感・解像度が高く、すっきりとした見通しのハイCPモデル。】

前回のレポートで紹介したaudioquest [CINNAMON]を聴いて、『理由・理屈・理論は分かりませんが』USBケーブルによって音質に圧倒的な違いが生じることが分かりました。(もちろん、それまでに聴いていたaudioquest [CINNAMON]以外の安価なケーブルでも音に違いがあることは感じ取っていましたが「圧倒的」と書いた通り、付属のケーブルを基準とした場合に於いて音の質の向上はもちろんのこと、『音色を変える(与える)ことで良くなった気がする』といった疑わしい要素が感じられなかったことが大きかったです。)
それではと同audioquestのもう1つ上位のモデルであるCARBONを聴いてみることにしました。

●基本形は癖の少ないクリアなサウンド傾向、強いて言えばわずかにウェット。
●それまで、PCオーディオ/USBオーディオの限界なのでは?…と感じていた「スピーカーの表面に音が貼り付いて剥がれてこない」といった印象から一変、スッと音が体(耳)を通り抜けるようなサウンドに。
 (今まで聴いてきたサウンドを「ベタベタ」とすると、「サラサラ」になったという感じです。)
●全体のヴェール感が2枚も3枚も取れたように透明感が向上し、1音1音や微弱音までが鮮明に聴き取れるように。
●高音はスッと高く伸び、低音は(量感はやや抑え気味ではあるものの)しっかりと出てキチッと収まりの良いサウンドに。
●帯域バランスは非常にきれいで(黒江的には)フラット、キレッキレではないものの、抜けやS/N感の高さでスピード感もかなりの上々。
●音場感は(上下左右に)やや広がりがありますが(もっと広いものがあり)広すぎず、個人的にはこの点も好印象。(広がりすぎるものは好きではないので。)

…と、もちろん、基本的には黒江が好む『シャープ&タイト&ハイスピード系』なのですが、特筆すべきは高いS/N感だと思います。
(結構な高額のモデルまで聴き比べましたが、これ以上(同等はあっても)にはまだ巡り会っていないかもしれません…。)
とにかく(僕だってUSBケーブルで音が変わるなんて「ある意味今でも」信じてませんでしたけど)、はじめて「これならぜひ導入したい!」と思ったケーブルです。(もちろん、実際に買わせていただきました。)
(※セールスポイント的には0.75mなら定価12,600円、1.5mなら定価16,800円と特に1.5mを必要とされる方には非常に高いCPが得られると思います。その他、audioquestのUSBケーブル・HDMIケーブルは軒並みCPが高いですね。)

…が、実はもう1つ、すごいケーブルに行きついてしまいました!

KIMBER KABLE [silver USB (B BUS Ag)]
【HIGH SPEED and AGGRESSIVE SOUND !!】

このサウンドを聴くまでには随分と時間が掛かり、ドラマがありました…。
黒江が好きなKIMBER KABLEですから、もちろん期待はしていましたが同社の電源ケーブルのように黒江的には“大ハズレ”になる予感を抱きつつも、まずはお借りして聴いてみることに…。
USBケーブルにはCu(銅)とAg(銀)があるようですが、ラインケーブルと同等の傾向であればCuの方が“より”好みなはず。…と、まずはBBUS Cuの手配をお願いします。

数日後に届いたCuモデルを聴いてみたところ…………正直、微妙です…………。
音にパンチがあり、パワフル、見通しも良好…と、決して悪くはないのですが、今1つすっきりとしない印象です。全体的に音が太めだし、そのせいかちょっと鈍足気味ですし、やや暗い感じもします。
「うーーーーん。はぁー。」…と、ちょっと落胆しましたが、「んんんん?待てよ?」と思ったわけです。「CuのウィークポイントはAgなら解消されるかも?!」…と、早速Agモデルをお願いしてみます。(って、本当は両方同時に来るはずだったんですけど手配ミスがあったんです…。笑)

更に数日後に届いたAgモデルを聴いてみたところ…………正直、すごいです!

●基本形は癖の少ないクリアなサウンド傾向はCARBONと共通、こちらも少しだけ艶やかな感じがあります。
●CARBONに比べると音場は狭く、広がり感は望めません。
●やはり低域はモリモリの量感ではなく、少し抑え目。
●音のキレ・粒子感・分解能は抜群・秀逸。(シンバルのジャリジャリ感・ディストーションのザラザラ感が最高です。)
●S/N感はわずかにCARBONに軍配が上がりますが、奥行き感・スピード感はsilver USB (B BUS Ag)が圧倒です。
●低域の輪郭やスティックやビーターのアタック音、巻き弦の歪み・粒立ちと尖った(ピーク)サウンドの再現力が秀逸です。
●フォーカスが非常に良好で、各パートの定位感も抜群だと思います。

…と、USBケーブル1つでこれだけのサウンドが出ることに驚いてしまいましたが、とにかくイチオシのケーブルです!(もちろん、こちらも買わせていただきました。自宅でもお店でも2つを使い分けています。)
(※セールスポイント的にはCARBONに比べるとあまり大きなことが言えず、1.0mが定価18,900円、1.5mなら定価28,350円とちょっとお高め…なので、1.0mで足りる方にオススメしたいです。)
『ちなみに、KIMBER KABLE [silver USB (B BUS Ag)]は限られたショップでしか取り扱っていないので、ぜひ(当店:ザ・ステレオ屋)にお問い合わせください!』

オマケの見出しとして、
【アグレッシブならsilver USBを、オールラウンド&スタンダードならCARBONがベスト。】
【コストパフォーマンスは1.0mならsilver USBに、1.5mならCARBONがベター。】
とも書いておきます。

黒江以外にも「USBケーブルで本当に音が変わるの?」「どのくらいのを買っておけばいいの?」という方が多くいらっしゃるかと思いますが(『黒江的サウンド』でよろしければ)、この2つの決定版のどちらかをお求めいただければと思います。
(もう少しお安いモデルだと、前回のレポートのFURUTECHや最近発売されたMONSTER CABLEなどもお勧めです。※MONSTER CABLEは後日にレポートを少し書く予定です。)

P.S.
しかし、USBケーブルでなんで音が変わるんでしょうね…。

黒江流『PCオーディオ/USBオーディオ』のススメ report 6 【USBケーブル編】

8月 31st, 2011

大減速気味の連載ですが、今回からは総括として機材の方をご紹介させていただくことにしました。

…って、前回の最後で『黒江的に』絞り込んだラインナップはすでに察していただいたことと思いますが…。

【なぜ音が変わるのか、ハッキリ言って分かりませんが効果絶大のUSBケーブル!】

まずは[USB CABLE]です。
見出しの通りではありますが、電源ケーブルと同じくらいかそれ以上に「なぜ音質・音色(傾向)が変わるのか本当に不思議」です。
まず、USBケーブルはPC/MacからUSB-DACへ『データ』を送っているに過ぎません。

この際、送られているデータを「例えば0.1秒間分だけ取り出して並べてみた」とします。
すると…
『0010100011101010010101101101010110101111101010110111010111010101』
…このような感じでデジタルのデータが流れているわけです。
(実際はもっと多いですし、低ビットレートのMP3と高ビットレートのFLACであれば、同じ0.1秒間でも送られているデータの量が100倍くらいの差になることもあります。)

…で、みなさんは(例えば上記の様な)このデータだけで(それが必ず何らかの音楽(音声)データだとしても、)MP3なのかWAVなのかWMAなのかFLACなのか、ビットレートがどのくらいであるか分かりますでしょうか。(少なくとも僕には分かりません…。)

つまり、データとして送られている時点ではまだ“音”ではなく、ただのデータなのです。

踏まえて、話を元に戻します。

「なぜ音質・音色(傾向)が変わるのか本当に不思議」なのですが何よりも一番不思議なのはUSBケーブルによって低音の量感が上がったり、高音がより聴こえることがあることです。
アナログの音声信号を送っているのであれば、導体のインピーダンスやわずかな抵抗値、外来からのノイズや物質的な振動係数などで多少の変化が生じる可能性はまだあると思います。(それでも僕は理論的に、科学的には証明できませんが。)
しかし、USBケーブルは(まだ高域も低域もない)データを伝送しているだけなのに明らかに聴こえてくるサウンドのイコライジング(周波数帯域の山)がUSBケーブルによって違うのです。

これでは『USBケーブルは自分が流しているデータを解析・分析して、低域・高域に分けていることになる』わけです。(んなこと、あるわけないんですが…。)

…なので、ハッキリ言って「USBケーブルで音が変わるなんて、(特に低音や高音が強調されたり減衰するなんて)理論的にはありえません。」が、変えてみると音が違うので非科学的でも構わないという方だけこの先をお読みください。(笑)

(もう随分経っちゃいましたが、)聴いてみたのは…
FURUTECH・ortofon・Fostex・Zonotone・SAEC・ACOUSTIC REVIVE・WIRE WORLD・NORDOST・MONSTER CABLE・audioquest・KIMBER KABLE・etc….
…と、主要な国内外ブランドはほぼ全て(全モデル)です。

最初はFURUTECH [GT2]が(黒江的には)申し分のないサウンドでリファレンスに決定しかけていました(高価なモデルも色々と聴きましたが、好みと異なるものばかりで…)が、
audioquest [CINNAMON]を聴いたところから(黒江のベストセレクトは)一気に動き出すことになります。

気に入ったものだけ手短に書いてみますと…

FURUTECH [GT2]
いわゆるクリア系。サウンドが曇らず、立つところは立ち、キレが良いのが初期ベストの理由です。
やや高音がギラ付いてウェットな点、S/N・解像度・抜けといった基本的な音質の水準、低音の丸みが気になりますが比較的安価なので初めての1本には最もオススメしやすいです。

audioquest [CINNAMON]
こちらもクリアではありますが、クリア系を主張するような「白よりも白い」感じではなく、自然な透明感。バランスもきれいで癖が少なかったのでGT2と良い勝負になりました。
GT2に比べるとやや高域がさみしい点とスピード感やキレがもう少し欲しいところです。

…続きます。

黒江流『PCオーディオ/USBオーディオ』のススメ report 5 【再生ソフトの黒江的結論】

7月 12th, 2011

(キリがないのでとりあえず、)再生ソフトの最終回です。
(前回同様に先頭の◎○△×は大まかな評価です。黒江的好み度はSランク→A+ランク→Aランク→A-ランク→B+ランク…と続きます。)

今回は、まだコメントを書いていないソフトもありますが、タイトルの通り『黒江的』ランキング形式で発表してみたいと思います。

さて、(栄えある?)黒江のベスト1に輝いたのは…………!?

[No.1]
◎StealthAudioPlayer
MidRadio PlayerやFrieve Audioと比べると「わずかにアタック感が弱いか?」という点があるだけで、スピード感・定位・粒立ち・アタック音(音の立ち上がり)・キレ…と音に関しては言うこと無しです!
中でも何よりも評価したいのが“高いS/N感”であり、何もない空間にパッと音が現れては消え、現れては消えるといった感じであり、音像も明瞭に定位します。
音の傾向はASIOドライバーを使用するためか“cPlay”と似ていますが、こちらはcPlayよりも更にS/Nが高くクリアで(黒江的には好まなかった)cPlayの(アップサンプリングをしたような人工的な?)音場の広さなどのような癖が無く、1音1音も音像もタイトなのが決め手でした。
黒江的好み度:A

…が、一方で使い勝手は最悪の部類です。
曲送りやストップまですべて“XXXXXXXX.BAT”というバッチファイルと呼ばれるファイルを実行して行わなくてはならず(これが地味に面倒…)、且つ、ASIO(4ALL)必須・(デフォルトでは)MP3再生不可と3重苦。
更にPCオーディオの“超利点”とも言える「簡単にたくさんの音楽ファイルをリスト再生できる」という利点にはほど遠く、一度にたくさんの曲(アルバム単位・ジャンル単位・アーティスト単位・任意)を聴くためには「CUEファイル」というリスト用のファイルを作成しなくてはならず、これがまた面倒…。
(その時の気分で1曲ずつファイルを拾って再生できる「手元に余裕のある方」向きですね。)
…ということで使い勝手は「ホント最悪」です!(GUIのコントローラーでも作ろうかな…。笑)

[No.2]
◎Frieve Audio
StealthAudioPlayerと比べて不満があるのはS/N感と(そのS/N感不足から来る?)総じての抜けが「あと一歩」という感じだったためです。
ただし、スピード感・アタック感は抜群で「下手な細工を感じさせない」聴いていてスッキリと耳に飛び込んでくる高鮮度サウンドです。
とにもかくにも、やはりStealthAudioPlayerの「空間にパッと音が浮かび上がる」ような感じがあと少しあれば…といった(No.1目前の)非常に惜しいプレーヤーでした。

実はこのFrieve Audioは2007年に開発が終了している老舗プレーヤーソフトであり、昨今のPCオーディオ(ブーム?)の前からすでに高音質と定評の高かったソフトだったので黒江もはじめて目にする名前ではありませんでしたが、今回はじめて聴き比べた次第です。(改めて先人達の感性の良さに脱帽いたしました。)
使い勝手もStealthAudioPlayerに比べれば“超イージー”であり、WAVはもちろんMP3も簡単に再生できるのでPCの操作に長けていない方にもぜひお勧めしたいです。
黒江的好み度:A

[No.2]
○(~◎)MidRadio Player
さんざん悩んだ挙句、Frieve Audioと同順位の2位とさせていただきました。(気持ち的にはFrieve Audioが2.0位、MidRadio Playerが2.1位って感じです。)
解説に関しては以前のレポートをご覧いただくとして…、
上位2種との簡潔な比較レポートを書くとすれば「StealthAudioPlayer・Frieve Audio」はCDプレーヤーで言えば「Aura neo」のような切れ味とスピード、S/N重視という位置づけに対し、「MidRadio Player」はPRIMARE(旧シリーズ)やTEACなどのアグレッシブ系のサウンドです。
とにかく鳴りっぷりが良く、1音1音がクッキリ・ハッキリと明瞭のことに加えて、アタック音・シャウト・ディストーションのエッジが立っていて、ドライブ感と疾走感を併せ持った「暴風雨サウンド」みたいなところが非常に好みでした。
なお、ASIOドライバーなどは使用しておらず(使用できず)、難しい設定なども必要なくWAVやMP3を簡単に再生できるのでASIO(4ALL)非対応のデバイスをお使いの方には決定版となるソフトかもしれません。
黒江的好み度:A

[No.4]
○(~◎)Wave File Player for Reference (& for Experimental)
「4位」と位置付けるよりは番外編と位置付けた方が正しいのかもしれませんが、ソフト名の通り「WAVファイルを鳴らすためだけ」のWAV専用プレーヤーです。
まず、他のものと比べて「高い解像度・情報量」が特徴として挙げられます。
(何が正しい音かは分かりませんが、)総じてきれいでフラット、奇抜なサウンドではなく安定感を感じさせるサウンドで「これもまた1つの正しい音」と思わせる丁寧さを印象づけます。
2つのエディションが用意されていますが、(原則同じサウンドがベースで)Ref.はS/N型でよりスッキリとしたサウンドステージ、Exp.は情報量型でダイナミックレンジに優れアタック音が明瞭といった印象でした。
ガツンと前には来ませんし、キレっキレのエッジ感もありませんし、シャープなスピード感があるわけではありませんが、体を通り抜けてゆくようなハイレゾリューションサウンドだと思います。
黒江的好み度:B+

【総評・考察】
まず、すべてのソフトに於いてアップサンプリングなどのサウンドを加工する機能は使っておりません。WAVファイルは44.1kHz/16bit、MP3なら128kbps~192kbpsの元ファイルのまま比較試聴をした結果です。
なお、主な使用機材は…

[PC]
hp : nx6320 (Windows XP SP3/MEMORY:1GB)

[USB CABLE]
KIMBER KABLE : silver USB (B BUS Ag)
audioquest : CARBON

[USB DAC]
NuForce : μDAC2 (uDAC2)
north star design : Essensio
Aura : neo (USB入力)

(※機材やUSBケーブルについては次回以降のレポートにて!)
…となっており、アンプは相変わらずのTEAC AG-H600またはONKYO A-7VLのデジタル入力を使用しています。

……と、総括・考察だけでもう少し長くなりそうなので一旦ここまでで更新します。