PMC DB1 Gold [postscript]

10月 24th, 2012

早速のお申し込み、お問い合わせありがとうございます。

前回に引き続き、PMC DB1 Goldについて捕捉させていただきます。

●ユニットの増し締めは必須です。
このスピーカーに限ったことではありませんが、数々のスピーカーと対面してきた経験上で意外に多く見受けられるのが「スピーカーユニット自体がしっかりと固定できていない(または固定が緩んでいる)」ということです。
(特に!)このPMCでは以前から顕著に見受けられ、当モデルDB1 Goldも同様の状態でした。
理由は幾つか考えられ、「輸送中に緩んでしまった」のかもしれませんし「ハナっから緩かった」のかもしれませんが、当店としては増し締めをオススメしたいところです。

締め方は…トルク調整できるドライバーなどを用いるのがベストではありますが、(普通はお持ち合わせでないことと思いますので)比較的簡単な調整方法を書いておきます。
『キュッときつく締めて、少し戻す。』一口に言えばこんなイメージでしょうか。
(締めすぎるとエンクロージャーにめり込むので)力いっぱいではなく、「これ以上は力を入れないと進まない」程度までまずは締めます。簡単にはビスが進まないところまで来たら、そこから少しだけ戻し(緩め)ます。緩める分量は大体30度~45度(時計の針の10分から15分くらい)です。
(大雑把に言えば)きつめに締めると音がタイトになりますが、締め過ぎると音がデッド(量感が落ちる・飛ばない・キレがない)になりますのでご注意ください。

これを(大抵のユニットは4ヶ所)すべてのビスに対して一定の力加減で行います。
厳密に言えば、(時計回り、反時計回りではなく、対角の順番で)4ヶ所をちょっとずつ締め、4ヶ所をちょっとずつ緩めるのが正解ですが、その辺は大らかでも良いかと思います。

なお、締め加減・緩め加減はやはり好みの世界です。
(前述の締め具合に関してはあくまで“締め過ぎない”ための参考です。)
『車やバイクで言うタイヤの空気圧・テニスのガットの張り・料理の塩加減、スパイスの効かせ具合』のようなものなので何度も聴き比べて(味見して)ベストな位置を決めていただけると幸いです。

また、スピーカーメーカーによっては「当社のスピーカーは厳密なトルク調整(トルクコントロール)をしております」といった謳い文句を掲げているところも少なくはありませんので、そういったメーカーの製品を安易にトルク調整してしまうと「そのメーカーのサウンドらしさを失う」ことにもなりかねません。
…が、やはり輸送中の緩みが生じることも少なくはありませんし(少なくともスピーカー自身が振動していますので)長期間の使用では必ず緩みが生ずるものですから、たまにはチェックしてあげると良いかもしれません。

●バイワイヤリング用の金具は必ず外してください。
PMCのジャンパー金具は“とにかく酷い音質”です。…ので、ケーブル(導体)を長く剥き出してHF/LFを貫通させるか、短く切ったスピーカーケーブルを金具代わりに使用してください。

●鳴らし立てのPMCの音はひどいので驚かれないようにお願いします。
(黒江は)スピーカーの初期的なエージングは3段階~4段階くらいに分かれていると考察しています。(初期的とあるのはエージング自体が永続的であるからです。)
初段のエージングは20時間から長いもので50時間くらいで、まずは粗さが取れ、良い意味でほぐれてきます。
2段階目は200時間~300時間(早いもので100時間強くらい、遅いもので500時間)くらいでしょうか、ツイーターとウーハーの繋がりが良くなってきます。(ツイーターとウーハーが別々に鳴っているように感じていたものから、(1つのユニットが鳴っているような)一体感の高いサウンドに変化してきます。
PMCは少なくともこの2段階目のエージングまで進まないと本領発揮とはいかないので到着後しばらくは我慢しつつも、たくさん鳴らしてあげてください。
なお、エージングを早く進めたくても「逆送接続で向い合せての再生」「エージングソフト」「普段聴かないソフト」でのエージングではなく、あくまで現時点でのベストな選曲で手なずけてやっていただければと思います。

●アンプやプレーヤー次第でお好みのサウンドに。
DB1 Goldは非常にレスポンスの良いモニターですので前回のレポートのようなサウンドのみに非ず、様々な鳴らし方に応えてくれることと思います。
例えば、真空管アンプにアナログ(らしい)プレーヤーなどと組み合わせれば、伸びのあるしっとりとした方向にもアプローチできるので様々な方にご検討いたければ幸いです。(とは言え、同じUKモニターだからと言ってHarbethのようには鳴りませんが…。)

●フィニッシュについて。
DB1 Goldはレギュラーモデルのシリーズとは異なり、本国では“Silk Black”と名付けられた仕上げとなっています。実機はシルクというようりはマッドブラックといった感じの仕上げであり、艶・光沢のほとんどないテイストになっています。
無垢材ではもちろんなく、基本はMDF材となり、レギュラーモデルの突板仕上げでもありませんのでその点はご注意ください。(正直なところ仕上げはやや安っぽいです。多少の塗りムラも見受けられますし…。)
(あと、独特な匂いがしばらくお部屋を漂います…。匂いが取れた頃が第2段階のエージング終了かもしれません。笑)

●プライスはお安めです。
DB1iに変わる前のDB1+が定価20万円強でしたのでお手頃なプライスとなっております。

●仕様などについて。
Googleなどで「DB1 Gold」と検索していただければPMCの発行した正規のpdfファイルが閲覧できます。
(なぜかPMCのオフィシャルには無く、よそ様のWEBサイトでしたのでリンクは割愛させていただきます。)

●DB1 Goldの悪い点。
前回は褒めてばかりでしたので端的に述べさせていただきます。
音場は狭く、上下左右の広がりも弱い傾向なのでいわゆる“箱庭的”な鳴りかたです。
また、「ハイスピードかアグレッシブかと訊かれたら…」のくだりの通り、音が目の前にビシビシと飛んでくるようなアタッカーぶりはそこまではありません。
(強烈なヤツが眉間くらいまで迫ってくるとすれば、DB1 Goldは眼前30cmくらいまでしか来ない感じです。それでも十分ですが…。)
黒江的にはもっとヤンチャでも良かったかな…と。(以前は感じなかった雑感なので組み合わせ次第で変わるかもしれません。&以前は防音室でもなかったですし。)

…と、軽い気持ちで書いてみたら長くなってしまいました…。(読破おつかれさまです。)

前回のレポートと合わせて、(ピンときたら)ぜひご検討ください。

PMC DB1 Gold

10月 20th, 2012

一気に寒くなってきた今日この頃ですがオーディオ業界では新製品の発表・発売が多くなる季節ですので、当店では(超高級機は除いて)様々な製品を毎日のようにチェックしております。
(この季節以外も年中してるかな…。笑)
そんな中、“何の前触れもなく”現れた1つのモニターを今日はレポートさせていただきます。

【ハイスピード系コンパクトモニターの(一つの)最終形。】

タイトルをご覧いただければ一目瞭然かとは思いますが、(数年以前の)黒江のマストアイテムであったDB1がこの度(限定モデルではありますが)復刻いたします!
(“何の前触れもなかった”のは限定数での生産であるため、限られたディーラーに案内されたからなのです。)

製品名は「DB1」となっておりますがツイーターがソフトドームであるため、ベースは「DB1+」となります。(本国にも確認済みです。)
かなり以前のコンテンツにメタルツイーターのDB1SMとDB1+を聴き比べたレポートがありますが(自身で読み返して「あれ?こんなくらいしか書いてなかったんだ…」と思ったくらい)、淡白なレポートですので少しおさらいもしつつ新たにレポートさせていただきます。

まず、初代DB1とDB1+は、やはりメタルツイーターとソフトツイーターの差に尽きると言っても過言ではありません。
メタルツイーターの方が冷たく硬質でややキンキンしていますが、「キーン」と張りつめた高音域は天井に向かって突き抜けるような伸びがあってこれはこれで魅力的であると思います。(人によってはこちらを選ぶかと思います。)
一方のソフトツイーターはS/N感と分解能が非常に高く、粗さの無い繊細な高音域となっていますが、反面で金属音に強かった初代に対してこちらはややドライな高音域となっているため金物(特に余韻)の響きに(ほんの)少し物足りなさを感じるかもしれません。
…と、要は“好み”の問題かもしれかせんが、黒江的には「DB1+の方が僅差で軍配」という結論でした。
(その後のDB1iは価格が高くなってしまったのであまりクローズアップしていませんでしたが、そのうちに改めて聴いてみようと思います。)

その上でいつものようにサウンドの傾向を書いてみたいと思います。
(かなり好きなサウンドなので“べた褒め”っぽくなっちゃうと思いますが、予めご容赦ください。)

■PMC [DB1 Gold]
●“キレのあるハイスピードサウンド”この一言だけで終わらせてしまいたいくらいの圧倒的なキレとスピード感です。
アグレッシブさも持ち合わせていますが、「アグレッシブかハイスピードか」と問われたら躊躇なく「ハイスピード」と答えると思います。
擦る音(バイオリンなど)や吹く音(フルート・クラリネット・ラッパなど)よりもアタック音が得意なタイプであり、ディストーションギターのガリガリ・ジャリジャリとした歪みの細かさ、粒立ちとエッジ感やスネア・バスの打音にシャウトボイスの立ち上がりやザラつきなどがとにかく秀逸です。

●PMC社の専売特許とも言える、(14cmウーハー)サイズからは想像できないくらいにしっかりとした低域が出力されます。
ベースの再現力に関しては(ウーハーサイズが大きい)Haydn Grand Symphony Editionよりも高く、ATC SCM7などにも引けを取らないレベル・クオリティでありながら、ボーカルやギターの前に重なってくるような(出しゃばった)出かたでもない“ちょうどいい”加減です。もちろん、ビシッとタイトに描かれていてボワつきやゴワつきなどは一切ありません。

●1音1音・各パート・音像とすべてが明瞭で、抜群の定位感は“とにかく秀逸”といった印象です。
強いて悪く言えば「輪郭の強めなサウンド」です。輪郭の強めということは、テレビなどの映像機器でいうところの“シャープネスを高めにした”状態であり、クッキリとハッキリと見える状態です。
極論を言えば(黒江が日頃から嫌っているような)「作った音」とも言えそうですが、輪郭線は細く、持ち前のスピードとキレで高速に1音1音が描かれるので輪郭を押し付けられるような印象はありません。(音の輪郭がもっと太いか鈍足であれば強調された感じを強く受けてしまっていたかもしれません。)

●全体的にはややドライな音色傾向です。
ドライと言えば「Klipsch」を思い出しますが少し傾向の異なる感じで、Klipschは金属感のある「カンカン」としたドライ、こちらは金属感のない「ザラザラ」としたドライです。
“ウェット感”を感じさせてくれることはまずないと思いますので、「しっとり・マイルド・軟らか」などの傾向が好ましい方は選択肢に入れないでください。

●Handcrafted In the UK
いわゆる“MADE IN UK”です。

黒江的好み度:S

言わずもがなとは思いますが、ハードロック・ヘヴィメタル系のリスナーさんはぜひ注目してやってください!

P.S.
(世界)限定販売ということですが、世界で200セット程度ということのようです。
そのうち日本では20セット程度だけの入荷とのこと。(当店ではその半分程度です。)
(限定品商法をするつもりは一切ないのですが、ピンと来た方はすぐにでもオーダーいただかないとSOLD OUTしちゃうと思いますので)ぜひお早めにお問い合わせください。
レギュラー品(DB1i)もありますからこれを逃してまだ手には入れられます。(音は少し違いますが。)
価格は(オープン価格の限定品と言うことで公に出来ませんが)13万円以下で提供させていただきます!

Cambridge Audio Stream Magic 6

9月 21st, 2012

久しぶりに『ヒット機の予感!』をさせてくれたネットワークプレーヤーと出会いましたので緊急レポートさせていただきます。

【All-Around and All Genre】
“オールラウンド・オールジャンルのダークホース機”
(秋冬の注目機になってほしいかも!)

まずはいつものようにサウンドの分析です。
(弟分が似たようなことを書いてしまっているので面白みに欠けますが…。)

■Cambridge Audio [Stream Magic 6]
●(ほぼ同じ仕様ということと、当店のリファレンスである)N-50と比較すると「N-50は硬質・寒色系・シャープ・タイト・スッキリ系」のサウンドであることがより明確に分かります。
かと言って、Stream Magic 6はその対極である「軟質・暖色系・ファット・マイルド・美音系」ということではなく、その中間でもなく…「限りなくN-50寄りのサウンドだけれど、N-50よりは全体的に音の濃い傾向」と言えるポジションです。
●「ニュートラル・フラット・ウェルバランス」と言った形容が似合いそうなサウンドで、「んんー、この手の曲はグズグズだなぁ」と思うようなことがありません。…が、「ああ、このジャンルがピッタリだな」と思うこともなく、“どんなジャンルでも普通に鳴ってる”という感想に尽きます。(もちろん、褒め言葉として。)
●N-50に比べて“やや厚く、やや濃い”という印象ですが、「低音が緩い、音が丸い、エッジがぼやけている、低音が強い、高音がきつい」などのネガティブ要素は無く、(くり返しになりますが)どんなジャンルでも安心して聴けるのが本機の(音的な)最大のウリではないかと思います。
●S/N感はまずまず良好、見通しも上々、音場も広すぎないのが個人的にはgoodです。
●“超”が付くようなハイスピードではありませんが、“上の下”~“中の上”くらいのスピード感なのでメタルやアグレッシヴなナンバーもお手の物です。
●強いて言えば、若干高域の伸びが弱いので高音域を重要視したい方は(ネットワークプレーヤーじゃありませんが)Essensioの方を強くお勧めいたします。
黒江的好み度:A- (総合評価は◎です。)
…と、サラッと書き出すとこんな感じでしょうか。

サウンドの傾向を踏まえて幾つかのポイントを挙げさせていただくと…

○ネットワークプレーヤーにとって“どんなジャンルでも普通に鳴ってる”ということは最大の武器ではないかと考察します。
USB DACにも同様のことが言えるかもしれませんが、家族や兄弟、恋人などと音楽ライブラリーを共有していることが多い方は様々な音楽ジャンルがそのライブラリーには詰まっているはずですし、
(僕はこのタイプですが)複数で共有していなくても「メタルやハードロックや歌物を筆頭にJ-POP・ELECTRONIC・ACOUSTIC・COUNTRYとか、クリスマス時期用にクリスマス系など幅広いプレイリスト」を所持している方も少なくはないはずです。
こういった面を考えると「あるジャンルに突出したサウンド傾向より、オールジャンルが好ましい」と言えるのではないかと思うのです。

○豊富な機能(接続)がデジタルステーションとしての役割も果たします。
いわゆるUSB DACとしても使用できますし、USBメモリーやUSBハードディスクも接続でき、光デジタル入力・同軸デジタル入力も可能なのでレコーダーやCDプレーヤーなどを接続しておけばデジタル入力の切替機としても重宝します。
さらに無線LANも搭載しているので、ネットワークラジオや(ハイレゾリューション音源などの)高レートな音楽データ再生しないライブラリーのシャッフルプレイ程度であれば余計な配線を1本減らすことができます。(ハイレゾはUSBメモリーやUSBハードディスクなどで聴くのもよいと思います。)

○1つ大きな注意点を述べますと「iPhone/iPad/iPod touch/Android」をリモコンとして用意できない方は購入を控えていただきたいという点です。
ご周知の通り、輸入品であるこのモデルは『本体がまったく日本語に対応できていない』という状態です。
本体のディスプレイでは“ひらがな・カタカナ・漢字”はすべて文字化けか空白でしか表示されませんし、フォルダやファイル名などでの操作もままなりません。
その代り…と言ってはなんですが、コントローラーアプリである“Stream Magic”というアプリケーションはなかなか出来が良く、(N-50とは違って!笑)NAS[DLNA]と直接やり取りをするためアプリ上では日本語もバッチリ表示されますし、動作もなかなか軽快です。(Android版では時折不安定になることも。)

…こういった特徴を持っておりますが、総合的には非常に総合力の高い製品であると思います。
デザインも数あるネットワークプレーヤーの中では(黒江的には)トップクラスに入るのではないかと…。(大好きな黒もありますしね!)

ぜひぜひご購入の検討に加えていただければと思います。

Pioneer A-30 & PD-30

8月 29th, 2012

少し間が空きましたが、久しぶりにレポートを書きましたので更新いたします。
(宣言していた“アナログ系レポート”ではないので恐縮ですが…。)

【ビギナーにオススメしたい、ちょっと無骨な入門機!】

N-50のヒット(当店的には音的にフィット)で波に乗りそうなPioneerさんから(エントリークラスとはいえ)オーディオ機が立て続けに登場していますが、パイオニア関係者曰く「N-50の音決め(軟らかい傾向・シャープな傾向など、サウンドの傾向を決めること)を担当した者が今回のアンプやプレーヤーも音決めしています。」とのことなのでそこそこの期待を持ちつつの試聴となりましたが、感想は(見出しと下記のような)こんな感じになりました。

先に結論から申し上げると、以前にご紹介した
■[Aura vivid & vita]
http://www.digitalside.net/?p=667
と同様にセットで組み合わせて使用していただくことをお勧めします。

理由は「vivid & vita」の時と同様に帯域バランスなどが(上下セットで)程よくなるためなのですが、以下にそれぞれの特徴を挙げていきたいと思います。

■A-30 (アンプ)
●全体的にやや抜けが悪く、低域がやや強め(盛りめ)なので少しゴワッとした印象を持ちます。
●いわゆるパワー系であり、音の噴き出しは良好でドライブ感の高いパワフルな感じの(逆に言えばキレキレの、シャープ系なハイスピードではない)“やや”ハイスピードサウンドといったところです。
●1音1音はタイトで低音も輪郭はまずまずの明瞭さを持っていますが、(価格的に仕方のないことですが)総じてS/N感の不足や全体的にヴェール感や混濁感を少し感じ、これが「ゴワッとした印象」などにも繋がっているようです。
●全体的に音場の見通しが悪く、お世辞にも“スッキリとしたクリアなサウンド”とは言えないという印象です。
●ダイレクトモード(左右のバランスやイコライザーをバイパスする機能)は必須で、よほどの理由がない限りはダイレクトモードをオンにして使用していただければと思います。

■PD-30 (CDプレーヤー)
●S/N感はまずまずであり、価格を考慮すると大健闘しているレベルだと思います。
●アンプとは対極的にこちらはクリア系でありますが、慎重に丁寧にサウンドを精錬しているせいか、スピードが遅めであることが「すごく惜しい」といった印象です。
●加えて、こちらは低音が薄く、黒江的にはギリギリ我慢できるか?というくらい明らかにベースやバスが引っ込んでしまう傾向にあります。
●ちょっと気になったのは高域に歪み?破綻?と思わせるような“音割れ”を感じることです。かなりの高音域まで出せるような女性ボーカルや金物系、ピアノなどの高音域(の中でも更に高音部)がクリーンに鳴る場面などでは気になることがあるかもしれません。
●(今話題の?)DSD再生は(サンプルにお借りしたデモ曲が)分析できるジャンルのものでもなく、元々録音の良さそうな曲ばかりの収録でしたので今一つ説得力に欠けると思いますが「SACDとCDを比べた時の感じに近くて、余韻や微弱音の再現性が高く、S/N感と実像感が高い」といった印象を持ちました。

…と、黒江的には『かなり評価は高い』のですが、少し気になる点もちらりほらりと見え隠れする結果となりました。
…が、それでも価格的には『十分に満足できるサウンド』であると思えたのでレポートを書かせていただこうと思った次第です。
それぞれ実売が4万円前後ですので、はじめてのオーディオ入門にぜひご検討ください。

P.S.
ちなみに、見出しの「ちょっと無骨な」の意味ですが…デザインと言いますか、その風体のことです。
(特にビギナーの方には「ちょっと大きすぎるかなぁ…」と思ったり、思わなかったり。)
Pioneerさん、もうちょっとスタイリッシュでスリムなものも出してください!(笑)

SONNETEER Sedley USB

6月 30th, 2012

前回の予告通り、アナログ関連製品のレポートを書かせていただきます。

【中庸でモダンなテイストを匂わせつつもアナログらしいサウンド。】

本来であればTRIGON [VANGUARD II]との“vs レポート”形式でご紹介したい気もするのですが、前回にも触れたとおり、このSONNETEER [Sedley USB]に関しては別の切り口でお勧めしたい点が“強く”ありますので、サウンドの比較については端的にまとめてしまいたいと思います。

前回の抜粋ですが…
■TRIGON [VANGUARD II]
“キレ・クリアさ・スピード”と3拍子揃っており、鋭利に、アグレッシブに切れ込んでくるようなサウンドです。
…に対しSedley(セドレー) USBのサウンド傾向は…

■SONNETEER [Sedley USB]
●ベースは良くも悪くも普通のフォノイコといった印象で「キレキレでもなければ、伸びのあるサウンドでもなく、シャープな音像を出してくるわけでもなく、広大なサウンドステージを描くわけでもなく」という傾向です。
●かといって「どんくささや濃い味付けを強要してくるタイプでもなく、しっかりしたクリアさのあるタイトなサウンド」なので黒江的にはメタルもこなせるオールラウンダー的な印象です。
●(弟分のブログでは「低域がやや膨らむといった印象を持った」とありますが)元々低域がタイトな(HAYDNなどの)モニターで聴く分には低域が膨らむなどの「アナログにありがちな暑苦しさ」を感じさせません。(むしろ、フォノイコの中ではややクールよりではないかと。)
 (弟分は自宅のATC [SCM19]でのモニタリングだったので、お使いのスピーカーやアンプ次第では印象が異なるのかもしれませんね。)
●レンジ感はやや高域がおとなしめで、ミッドレンジ(中音域)をしっかりと押し出してくる傾向です。(この点が「アナログらしさ」を醸し出しているような気がします。)
●スピード感は鈍足傾向ではありませんが、ハイスピード系にエントリーはできない、“中速タイプ”といったところでしょうか。
●総じて癖の少なめな傾向で「ここが良くない」「(音に癖が乗って)この音はおかしい」などのネガティブな印象は皆無です。なので、パッと聴いて「セドレーらしい音だね」といった感想にはならないので「存在感の薄い(けど、かなりの)優等生」サウンドであると思っていただければ幸いです。
黒江的好み度:B+ (黒江的にはVANGUARD IIとの2台持ちを検討中です。)

そして、このSONNETEER [Sedley USB]の真骨頂と言えるのがPC/Macを使用したUSB接続でのアナログ(レコード)音源のデジタルフォーマット化なのですが、その使用方法などを次回でレポートする予定です。

※「使い方などはマニュアルを見れば分かるよ」という方は下記URLの本国サイトのマニュアルをご覧ください。
http://www.sonneteer.co.uk/pics/sedley%20usb%20manual%20v1.pdf

アナログPCオーディオのススメ。

5月 31st, 2012

タイトルを見ると「何のこっちゃ」と思われそうですが、今回(からしばらく)は黒江的?黒江流?のアナログの楽しみ方をご紹介したいと思います。

(弟分のヤツと連動企画になっているのは意図でもあり、たまたまでもあります。弟分は以前からアナログにのめり込んでいたので「blogで取り組んでみたらどうかな?」と言っていたので…。)
http://blogs.yahoo.co.jp/digital_side

【HARD ROCKやHEAVY METALのハイレゾ音源が無いなら、作っちゃえばいいんじゃん!】

少し前のレポートでも書いている通り、以前から黒江は「聴きたい音源が無いからハイレゾ(high resolution:ハイレゾリューション)は興味が無い」と声高に申しておりました。

ハイレゾ音源とは…一般的なCDの音質を数値で表すと『16bit/44.1kHz/1411kbps』という3項目に分かれ、音の高さと低さや1秒間あたりのデータ量などを示しています。
これらの項目をより高精度にし、例えば『24bit/96kHz/2000kbps』などにすることで音の元になるデータ量を増やした音源を“ハイレゾ音源”と呼んでいます。

逆に、MP3などは例えば『16bit/22.05kHz/128kbps』などとCDよりもデータを省く(圧縮する)ことで音楽データファイルの大きさを小さくし、iPodなどにたくさんの曲が入るようにサイズダウンすることができます。
※実際のMP3は『16bit/44.1kHz/128kbps~192kbps』(と前者の2項目は同じまま、ビットレートのみを下げるの)が主流で、128kbpsの場合はビットレートが“約11分の1”になるのでファイルサイズもだいたい11分の1になります。

そんな中、(見ていただいた方もいると思われます)BURRN!誌で『アナログの特別企画』を書かせていただくことになりましたが、「何事もやってみるもんだ」…と、この特集を手掛けることで“ちょっとした開眼”をしてしまいます。

まずは、かなり気に入った3製品を軽めに紹介しておきます。(詳細は個別のレポートで紹介させていただきます。)

●Pro-Ject [Essential]
定価で5万円程度とターンテーブルの中ではかなりお安いモデルですが、(黒江にしては珍しく)自信を持ってお勧めしたい高い音質です。
ただし、(特にアナログを知っている人ほど)薄っぺらい筐体なので見た目にはあまり期待をしないでください。
加えて、トーンアームは(かなり器用な人でないと)標準装備品しか使用できず、ヘッドシェル一体型なのでカートリッジの交換も制限・制約があります。
(つまり、たぶん、誰もが「こんなんじゃ良い音出るわけないんじゃ?」と思われそうな第一印象なのです。)
しかしながら、出音はストレートでS/Nが高く、帯域バランスも良好(フラット)です。『ターンテーブルで余計な味を乗せない』という印象は今までのどのテーブルよりも強く感じました。
ストロボでの回転チェックも安定度は良好でした。(※ただし、当店の電力環境の場合です。ACアダプター駆動ですので、お住まいによっては回転がやや不安定になる場合がございます。)
なお、フォノイコ・USB搭載モデルがありますが、こちらは異なる音になりますのでご注意ください。(黒江がお勧めしたいのはターンテーブルのみのモデルです。≒要フォノイコです。)

●TRIGON [VANGUARD II]
こちらはEssentialに比べるとちょっとお高くなってしまうのですが『もう、最初で最後だから奮発して買ってしまいたい』と思わせてくれたフォノイコライザーです。
黒江の好む“キレ・クリアさ・スピード”と3拍子揃っており、鋭利に、アグレッシブに切れ込んでくるようなサウンドです。

●SONNETEER [Sedley USB]
Essentialとは逆に、こちらは「USB搭載モデル」です。
VANGUARD IIと同じくフォノイコライザーなのですが、ちょっと用途が異なります。
「USB搭載モデル」にしかできないこと…『アナログレコードの音をPCに取り込む』という機能が非常にエクセレントなのです。
詳細は次回以降に書かせていただきますが、この『アナログレコードの音をPCに取り込む』という機能を長所に謳った製品は昨今とても増えており、もちろんその殆どが『アナログを高音質に取り込めます!』と張り切ったコピーを掲げているのですが、黒江的には『まともに取り込めた製品が1つも無かった…』というのが本音・本心でした。

単体のフォノイコとしてはVANGUARD IIの方が好きなのですが、この取り込んだサウンドには脱帽でした。
黒江も(いつかはやろうとしているアナログを取り込む作業は非常に骨の折れる作業なので)せっかく取り込むのであれば『この先絶対に後悔しない音質』で取り込みたいなぁと思っていましたので、“これなら聴ける!”という音質で取り込める相棒が見つかったのはとてもラッキーでした。
…ということで、見出しの通り『アナログレコードをハイレゾで取り込んでUSB DACやネットワークオーディオで聴く』という1つの完成系を見つけられた気がしています。

それぞれのレポートはまた次回以降をご覧ください。

HEGEL HD11

4月 24th, 2012

【Aggressive系の『決定版的』1台。】

見出しの“アグレッシブ系”に関しては1つ前のレポート(エントリー)にて書かせていただいていますので、先にそちらを読んでいただければ幸いです。

その上で今回は(現時点で)“黒江的好み度”が最も高い2機種を「vs レポート」にてご紹介させていただきます。

■HEGEL [HD11] vs north star design [Essensio]
●HD11はEssensioと比べるとやや低重心ですが、逆にEssensioの方が高重心であるとも言え、黒江は低域がやや薄めの方が好みなので一般的にはHD11の方が“フラットな帯域バランス”という位置づけになるかもしれません。
●前回のレポートの通り、HighSpeed系の決定版的1台であるEssensioはその名の通りのハイスピードサウンドなのですが、HD11も負けず劣らずのスピード感です。
●音のキレ・細かさ・透明感のEssensioに対し、アタック音・(タイトな)低音の定位感・中音域の張り出しのHD11と言った印象で、HD11の方はより(音が)向かってくるサウンド傾向にあります。
●高音域はEssensioの方が一伸びあるように感じ、その分HD11はEssensioと比べるとわずかに暗く感じられます。
●HD11は音の芯・骨格がしっかりしていて、「双方ともに輪郭は非常に明瞭な前提で」HD11は輪郭線がEssensioよりもやや太く(しっかり)感じられます。
(こちらも逆を言えばEssensioの方が輪郭線が細く・華奢であるとも言え、現にEssensioの輪郭は明瞭に感じられる中に於いても強調されたように感じられることはなく、背景にスッと解け出す・ほぐれるような輪郭を描いています。)

…と、このような印象から『HighSpeedのEssensio・AggressiveのHD11』と正に甲乙つけがたい2機種という“黒江的”評価となっております。

なお、HD11だけに的を絞って感想を述べると、とにかくアタック音がとても良好で、打音の質感・インパクトのピーク音・材質の厚みや張りなどが明瞭で、且つキレもあるのでBPMが200近い曲でも高速ビートがスムーズに聴けて気持ちがいいです。
また、黒江的には“巻き弦の歪み”が最高!という感想であり、これは「今までに聴いたことが無いかも」…というくらいイメージ通り(≒録音通り)のギターサウンドが楽しめます。
Shout(Growl/DeathVoice)も唸り感・力感が高く、迫力のあるボーカルが迫ってくる傾向なので、スピードがありつつも暴力的なタイプのサウンドにぴったりフィットします。
黒江的好み度:A+ (黒江はnorth star designとの2台使いで購入しようと思っています!)

ちなみに、このHD11は兄弟機にHD20というモデルを持ち、このHD20はHD11にプリ機能を持たせたモデル(…と言うか、HD20からプリ機能を引いたのがHD11)になっており、先行発売されたHD20はボリュームを最大にして使用することで「HD11と同等のDAC性能を引き出せるはず」なのですが、両者をDACとして聴き比べたところHD11はHD20よりも明瞭・鮮明・クリアであり、プリ機能を必要とされない方には(価格も幾分お安くなりますので)HD11をお勧めさせていただいております。
(HD20の方が低音の量感が高く、音が濃い傾向なのでそういった面も加味していただければと思います。)
(少なくともHD20は「上位互換」といった様子ではありませんのでその点はご注意ください。)

■north star design [Essensio]
…については以前のレポートをご覧ください。
http://www.digitalside.net/?p=444
黒江的好み度:S- (以前に書いていなかったので。)

Aggressive vs HighSpeed

3月 27th, 2012

当ブログを度々ご覧いただいている方にはすでに十分、十二分にご承知いただいていることと思いますが、たまには書いておかないといけないことなので久しぶりに黒江の試聴スタイル…と言いますか、好んでいるサウンドやレポートの書き方などを今一度お知らせしておきます。

まずジャンルですが、基本的にロック…というよりはメタルが軸です。更に言えば一口にメタルと言っても細分化されていて、かなりの子ジャンル・孫ジャンルまで派生しています。
…が、ここで細かいことを述べるのはナンセンスですので、大まかなポイントだけで表しますと『ボーカルがシャウト・グロウル・デスボイスを用いて、ギターのディストーションがエグくて、BPMが大体160~200以上くらいのハイスピード(ハイテンポ)なサウンド』のメタル(DEATH/CORE)が主食となっています。

具体的なバンド名は多過ぎて挙げられませんが、『The Black Dahlia Murder/SliPKnoT/Bullet For My Valentine』あたりをリファレンスとしており、他にもJ-POPやポピュラーな歌ものも結構好んで聴いております。
激しくて速いのはメタル、単音系やアコースティック、女性ボーカルはPOPSでチェックするといった感じでしょうか。
※Bullet For My Valentineはオーディオのリファレンスにするには録音がイマイチなのですが、なぜか頂いたサンプル盤(THE POISON)はやけに録音が良かったので長らく愛聴しています。

加えて言えば、自身が務めるバンドのボーカルスタイルも好んで聴くサウンドと同様であり、ミディアムテンポの歌ものやスローなバラードも(手がけて)歌いつつ、メインのスタイルはシャウトといった感じです。

そんな黒江がオーディオに求めるサウンドは「ピークを削らず、丸めず、音に手を加えず、美しさ・きれいさ・軟らかさ・なめらかさ・聴きやすさを“求めない”サウンド」であることをまずはご承知ください。

要は、録音されている音がそのまま出てくればシャウトもギターもベースも歪みはしっかりと再現され、鮮度感が落ちることが無いので結果的にハイスピードなサウンドになるであろうという考えです。

その上で、当ブログにはよく登場する『黒江的好み度』という(身勝手にも程がある)指標を設けておりますが、お好きなサウンドが異なる方は(参考にもならないと思いますので)ご注意ください。
また、『黒江的好み度』はあくまで僕の好みということなので、お好きなサウンドが(一部でも)一致する方も参考程度に読んでいただけると嬉しいです。
(なお、好みとは別に『高く評価したい』という機器はきちんと前置きをした上でレポートさせていただくことがあります。)

【アグレッシブ系か、ハイスピード系か。】

その『黒江的好み度』が高い機器のレポートを見ていただくと分かりますが、黒江の好みのサウンドにもやはり“細分化ジャンル”が存在します。(…って言っても今のところは2種類ですが。笑)

-アグレッシブ系-
●最近だと「TEAC/PRIMARE/Klipsch/Aura [groove]/S.S.T. [SON OF AMPZILLA 2000]/PASS Laboratories」あたりがその傾向にあたると位置づけています。
●サウンドを受け止める時の印象を『無数のパイを顔に投げつけられるような・(音で)殴られたような・ビンタ(平手打ち・張り手)・お腹にくる・大砲(バズーカー・ランチャー)』のように表現することが多いです。
●(黒江はスピード感の高いサウンドを好むので、高い好み度を付けている時点で)十分にスピード感はありますが、それよりも音の押し出し感(パワー感)や音の骨格と肉付き感(エネルギー感)にウエイトのあるタイプを定義しています。
●アタック音が明瞭でしっかりとしている傾向で、ギターも低音弦(巻き弦)をかき鳴らした時のガガガガ・ゴシャっとした歪みがとても好きです。
●すっきりとしたサウンドというよりは部屋に(耳に)充満するような厚みのあるサウンドです。しばらく聴いていると音でお腹がいっぱいになる感じがします。(本当です。)
●音を表現するときに「ビシッ・バシッ・バチッ・タンッ・ドッ」のような擬音をよく使います。(笑)

-ハイスピード系-
●最近だと「Aura [neo]/Vienna acoustics [HAYDN GRAND SYMPHONY EDITION]/north star design [Essensio]/ONKYO [A-7VL]/Aura [vivid & vita]/Pioneer [N-50]/NuForce」あたりがその傾向にあたると位置づけています。
●サウンドを受け止める時の印象を『音の(すごい勢いで真横に噴き出すような)シャワー・レーザー・ピストル・針・(かまいたちの様な)鋭い風』のように表現することが多いです。
●前述の通り、(黒江が好んでいる時点で)アグレッシブ系も十分にハイスピードでありますが、こちらは看板となっているだけあって更にその上をゆくスピード感です。キレや音の細かさでも優位なことが多く、クリアで見通しの良い傾向です。
●スッと耳に入ってきた瞬間に溶けてなくなるような感じで、次から次へと音が耳に(ハイスピードに)飛び込んでくるような息を切らせぬサウンドです。ちょっと緊張感の高いサウンドの傾向であり、しばらく聴いていると人によっては耳鳴りがするかもしれません。聴き疲れしやすい傾向でもあると思います。
●音を表現するときに「キーン・ダッ・ザー・カッ」のような擬音をよく使います。(笑)

※ブランド名だけのものはそのブランドが全般的に同じような傾向であるもので、ブランド名の後に製品名があるものは「この製品に限り」という限定的なものであるということを表しています。

…と、何でこんなことを書いたのかというと…いくつか理由があります。
1つはある製品のレポートを書いていたら、この「アグレッシヴ vs ハイスピード」のコラムになってしまったこと。
もう1つは…もう少しで分かる方には分かると思いますので、そのうちに気が向きましたら書かせていただきます。

rDAC vs M-DAC vs QBD76HD

2月 18th, 2012

なぜか検索にかからなくなってしまったので再投稿しております。
内容は前回と全く同じですので予めご了承ください。

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本日は(またもや)USB DACを3機種レポートさせていただきます。
(しかし、たくさんの新製品が次から次へと投入されているとは言え、ホントに「またもや」ですね…。)

今回は一気に3機種ということもあり、いつもの見出しも無しで“ややvs形式”のリレーリポートになります。
(※リレーリポートとは…A→B→C→Dの順に聴いてゆき、BならAとの比較、CならBとの比較をレポートする形式です。)

まず、リファレンスとして不動の『ザ・ステレオ屋イチオシDAC:north star design/Essensio』を基準として聴きました。
「※耳の記憶だけに頼らず、(その日によっても微妙に音は異なるので)毎回ちゃんと聴きなおして再度耳に(当店の基準を)刻み込んでから比較しています。」

その上で、まずは(女の子や子供用の)お弁当箱サイズくらいの「ARCAM rDAC」からです。

■[ARCAM rDAC]
●きわめてニュートラルという第一印象で、非常に癖の少ないサウンドです。
●1音1音もサウンドステージもクリアで明瞭、スッキリしていて見通しの良い傾向です。
●反面、音の密度感や重厚感といったテイストは無く、高い解像度を感じさせるタイプでもありません。
●「薄化粧」あるいは「すっぴん」的なサウンドなので「面白みがない」「優等生的」と感じられる方も多いかもしれません。
●黒江的には「スピード感が無い」という点だけが、ただ1点の残念な点でありますが、非常に高く評価させていただきたいモデルでした。
黒江的好み度:B (音は◎です!)

次に英国ではメジャーブランドである「audiolab M-DAC」です。主にrDACとの比較とお考えください。
■[audiolab M-DAC]
●rDACを聴いた直後にM-DACを聴くと、ニュートラル系であるとか、変に癖のないサウンドであることが共通項として感じられます。
●その上で、M-DACは「グッと音を濃くしたような傾向」であり、当店的にはrDACを「スッキリ系のAura neo」とし、M-DACをアグレッシブ系の「TEAC AG-H600 (or PRIMAREの旧シリーズ)」と位置付けるような感じです。
●ただし、このM-DACも高いスピード感を感じさせるサウンドではないので、前述の位置づけはあくまで1音1音の質感ということになります。
●そのため、rDACに比べると全体的に暗めのサウンドに感じ、やや低重心とも言えるサウンドです。
黒江的好み度:B-

最後に、かなり高価(約70万円)になってしまいますので「参考までに」という程度ではありますが「CHORD QBD76HD」を聴きました。
■[CHORD QBD76HD]
●M-DACを更に濃厚にした感じで、非常に高い情報量を持っていることが分かります。
●(前の2機種もドライとは言えませんが)前の2機種に比べると非常に音に艶があり、総じてウェットな傾向のサウンドです。
●同社の傾向からして「とてもエレガントなサウンドなのでは…」と予測しておりましたが、(メタルなどを聴くと)非常に音が飛んできて、かなりのアグレッシブさを感じさせるサウンドです。
●こちらも(決して鈍足ではないのですが)ハイスピードと言えるタイプではなく(中速~やや速め)、黒江的には“もう一抜け欲しい”印象でやや分離感に欠ける面がありました。(METAL/CORE/DEATHを聴いた場合ですが。)
●「OFF/MIN/MAX」と3段階に切り替えることが出来るバッファーは「MIN」の印象がもっとも良く、「OFFの時よりもS/N感が上がり、ウィークポイントに挙げた抜けが改善され、総じて見通しが良くなります」。
●ただし、「MIN」にするとわずかにスピード感は落ちますので、せっかくの長所を少し犠牲にする感じです。
●「MAX」は「MIN」よりS/Nはさらに向上するものの、余韻が強くなり、少し癖っぽいサウンドになってしまう印象です。スピード感もより落ちてしまうので黒江的には「OFF or MIN」を常用にしたいと思います。
黒江的好み度:C

…ということで、一気に3機種を聴いた感想・考察でした。
いずれも“黒江的好み度”の通り、あまりツボにハマるタイプではありませんでしたが、[ARCAM rDAC]のサウンドとCPには太鼓判を押させて欲しいと思っております!
(M-DACとQBD76HDはrDACに比べると好みから遠かったので、他の方のレポートも参考にしていただければと思います。…どなたかが書いていれば…ですが。^-^;)

rDAC vs M-DAC vs QBD76HD

2月 14th, 2012

本日は(またもや)USB DACを3機種レポートさせていただきます。
(しかし、たくさんの新製品が次から次へと投入されているとは言え、ホントに「またもや」ですね…。)

今回は一気に3機種ということもあり、いつもの見出しも無しで“ややvs形式”のリレーリポートになります。
(※リレーリポートとは…A→B→C→Dの順に聴いてゆき、BならAとの比較、CならBとの比較をレポートする形式です。)

まず、リファレンスとして不動の『ザ・ステレオ屋イチオシDAC:north star design/Essensio』を基準として聴きました。
「※耳の記憶だけに頼らず、(その日によっても微妙に音は異なるので)毎回ちゃんと聴きなおして再度耳に(当店の基準を)刻み込んでから比較しています。」

その上で、まずは(女の子や子供用の)お弁当箱サイズくらいの「ARCAM rDAC」からです。

■[ARCAM rDAC]
●きわめてニュートラルという第一印象で、非常に癖の少ないサウンドです。
●1音1音もサウンドステージもクリアで明瞭、スッキリしていて見通しの良い傾向です。
●反面、音の密度感や重厚感といったテイストは無く、高い解像度を感じさせるタイプでもありません。
●「薄化粧」あるいは「すっぴん」的なサウンドなので「面白みがない」「優等生的」と感じられる方も多いかもしれません。
●黒江的には「スピード感が無い」という点だけが、ただ1点の残念な点でありますが、非常に高く評価させていただきたいモデルでした。
黒江的好み度:B (音は◎です!)

次に英国ではメジャーブランドである「audiolab M-DAC」です。主にrDACとの比較とお考えください。
■[audiolab M-DAC]
●rDACを聴いた直後にM-DACを聴くと、ニュートラル系であるとか、変に癖のないサウンドであることが共通項として感じられます。
●その上で、M-DACは「グッと音を濃くしたような傾向」であり、当店的にはrDACを「スッキリ系のAura neo」とし、M-DACをアグレッシブ系の「TEAC AG-H600 (or PRIMAREの旧シリーズ)」と位置付けるような感じです。
●ただし、このM-DACも高いスピード感を感じさせるサウンドではないので、前述の位置づけはあくまで1音1音の質感ということになります。
●そのため、rDACに比べると全体的に暗めのサウンドに感じ、やや低重心とも言えるサウンドです。
黒江的好み度:B-

最後に、かなり高価(約70万円)になってしまいますので「参考までに」という程度ではありますが「CHORD QBD76HD」を聴きました。
■[CHORD QBD76HD]
●M-DACを更に濃厚にした感じで、非常に高い情報量を持っていることが分かります。
●(前の2機種もドライとは言えませんが)前の2機種に比べると非常に音に艶があり、総じてウェットな傾向のサウンドです。
●同社の傾向からして「とてもエレガントなサウンドなのでは…」と予測しておりましたが、(メタルなどを聴くと)非常に音が飛んできて、かなりのアグレッシブさを感じさせるサウンドです。
●こちらも(決して鈍足ではないのですが)ハイスピードと言えるタイプではなく(中速~やや速め)、黒江的には“もう一抜け欲しい”印象でやや分離感に欠ける面がありました。(METAL/CORE/DEATHを聴いた場合ですが。)
●「OFF/MIN/MAX」と3段階に切り替えることが出来るバッファーは「MIN」の印象がもっとも良く、「OFFの時よりもS/N感が上がり、ウィークポイントに挙げた抜けが改善され、総じて見通しが良くなります」。
●ただし、「MIN」にするとわずかにスピード感は落ちますので、せっかくの長所を少し犠牲にする感じです。
●「MAX」は「MIN」よりS/Nはさらに向上するものの、余韻が強くなり、少し癖っぽいサウンドになってしまう印象です。スピード感もより落ちてしまうので黒江的には「OFF or MIN」を常用にしたいと思います。
黒江的好み度:C

…ということで、一気に3機種を聴いた感想・考察でした。
いずれも“黒江的好み度”の通り、あまりツボにハマるタイプではありませんでしたが、[ARCAM rDAC]のサウンドとCPには太鼓判を押させて欲しいと思っております!
(M-DACとQBD76HDはrDACに比べると好みから遠かったので、他の方のレポートも参考にしていただければと思います。…どなたかが書いていれば…ですが。^-^;)