Pro-Ject Essential II

my-musicstyleの準備を進めつつも、少しでも製品レポートが書けるようにがんばりたいと思います。

【ロック・メタル系のアナログファンは必聴の秀逸機!】

(…って、“必聴”って書くと盤の話にしか見えないですね…。笑)

BURRN!誌をご覧いただいている方や黒江の読み物をマメにチェックしていただいている方にとっては、既にご周知のアイテムなのかもしれませんが、久しぶりに“ゴリ押し”したいくらいの黒江的オススメ機と出会いましたのでレポートさせていただきます。

■Pro-Ject [Essential II] (付属カートリッジ使用)
●第一印象は「ストレート」、非常に癖がなく、明快・軽快なサウンドです。
●S/N感も良好で、無駄・ムラの無いすっきりとした“クリア系”のアナログプレーヤーです。
●トレースノイズも目立つようなことはなく、(別途ストロボ使用での測定にて)回転もほぼほぼ完璧でした。
●高音の伸び、低音のピックアップも十分過ぎるほどに良好で、レンジの狭さを感じるような“廉価モデル”要素はありません。
●全体的に1音1音はシャープでやや細めのサウンド、濃さや重厚感を感じるタイプではないので、“よりアナログらしいアナログサウンド”をご所望される方には物足りないのではないかと思います。(フォノイコでカバーできる要素もあるかと思いますが。)
●分解能も良好ですが、雄大・広大な音場感は期待できません。
黒江的好み度:S

…と、“クリア系”のアナログプレーヤーとしては(黒江的には)文句の付けようがなく、実勢売価を考慮するとビギナーには「これ以上ないくらいの存在」になるのではないかと太鼓判を押したいくらいのモデルです。

そのサウンドの秘訣を黒江的に考察してみると…
★ショートストレートアーム…一般的なアナログプレーヤーは(ショートではない、またはロング)S字型アームがポピュラーですが、Essentialのアームは真っ直ぐで短い分、レコードの信号をよりフレッシュに出力できるのではないかと推測しています。
★薄めの筐体…一般的なアナログプレーヤーはかなり肉厚の筐体であるものが多く、自重も重めなのに対し、Essentialの筐体は薄めで(ギターなどと同じく、ボディが鳴らないので)音離れが良いのではないかと推測しています。
★薄めのプラッター(回転台)…こちらも一般的なアナログプレーヤーは厚めのものが多いのですが、Essentialのプラッターはやや薄めであり、筐体と同じようにレスポンスの早さに繋がっているのではないかと推測しています。
…と、要は一般的なアナログプレーヤーとは真逆の構成であることが、結果的に(黒江的に)は功を奏しているのではないかという考察です。

なので、“よりアナログらしいアナログサウンド”とは決して言えませんし、“クリア系”を求めていない方にとっては「これ以上ないくらいの駄作」にもなり得る気もしています。(実際にアナログマニアさんの中には“ショートアーム否定派”という方もいらっしゃるみたいです。)
ただし、決してEssentialがアナログらしくない、CDみたいなサウンド…ということではなく、音の質感やダイナミックレンジなどに代表されるアナログならではのサウンド感というものはしっかりと出せていると思います。

なお、初代EssentialとEssential IIの主な変更点はアームの改良(仔細は割愛しますがかなり改善されました。)とDCモーターに変更されたモータ部で、初代Essentialでは50Hz/60Hz(東日本/西日本)仕様が別々にラインナップされていましたが、50Hz/60Hzが共通となり、より使いやすくなったのも評価できる点だと思います。

…と、最後に2つ注意点があります。
1つ目は、Essential IIにはフォノイコ(USB)内蔵モデルが存在していますが、こちらの音質に関してはノーコメントということで、今回のレポートはEssential II(フォノイコ非搭載モデル)であることにご注意ください。(USBモデルは内蔵フォノイコをスキップできないんですよね…。)

なので、このEssential IIには必ずフォノイコライザーが必要になるのですが、もう1つの注意点は(オチでこんなことを言うのは気が引けますが)今回の高評価は、そのフォノイコライザーにTRIGON [Vanguard II]を用いた場合の評価であることにもご注意ください。
(つまり、TRIGON Vanguard IIがEssential IIと同じくらいに高評価ということです。…Vanguard IIって本当にすごいモデルだと思います。)
Essential IIとVanguard IIをセットでお求めいただくと10万円を超えてしまうのでビギナー向けとは軽く言いたくないのですが、1万円以下のフォノイコもありますし、アンプによってはフォノイコを装備しているものも少なくありませんので、まずはEssential IIを購入し、また予算が貯まったらVanguard IIを購入するのもよいプランだと思います。
(もちろんVanguard IIも“黒江的好み度:S”です!)

とにもかくにも、久しぶりに黒江がこれだけ“イチオシ”を全面的に出すくらいの製品ですので、ぜひご一聴いただけたら嬉しいです!

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