今回は北欧スウェーデンから日本初上陸となった(ブランド名)TRANSPARENT SOUNDの(商品名)TRANSPARENT SPEAKER(SMALL TRANSPARENT SPEAKER)をレポートさせていただきます。
【デザインと感性の向こう側に見える音。】
まずは“TRANSPARENT SOUND”のプロダクトを見たことが無い方ばかりだと思われるので(正規)輸入代理店のページをご覧いただくところから、このレポートを読み始めていただけたらと思います。
https://navys.jp/transparentspeaker/
一見してお分かりいただける通り、黒江のブログでは非常に希少となる「ALL IN ONE」タイプの製品です。(オールインワンと呼ぶには少々物足りない気もしますが…。※後述)
この手のALL IN ONEタイプは、これまでにもオーディオ専門・専業メーカーからも数多の製品が生み出され、その度に当然のこととして試聴を重ねたものです。…が、その上で過去に殆ど取り上げてこなかったのは、正直に言って『単品コンポーネントから得られるサウンド・機能・自由度にはおおよそ程遠い』『デザインコンシャス(素材の質感)に傾倒しており音響面への配慮がおろそか』といった、あくまでファニチャー・ラグジュアリー・インテリア路線がメインなのだと感じ取れてしまうからです。
その上で、決して期待を持たずにTRANSPARENT SOUNDと対面の日を迎えることになりました。
一見すると水槽っぽくも見えるガラス張りのキャビネットに無造作(…ではなく計算されているのでしょうけど)にスピーカーユニットとアンプが搭載され、(黒江的には)シンプルイズベスト的ないわゆる「無機質系デザイン」(好み)の部類です。あらためて実物を見ると(家具調などとは異なり)意外とオーディオらしいルックスなことに気が付きますが、インテリアとして見ても、ガジェットとして見てもくどさが無く強烈な存在感があるわけでもないのがプラスポイントでしょうか。
WHITEのSMALL TRANSPARENT SPEAKERはA4用紙を横にしたくらいのバッフルサイズに左ch・右ch1つずつのユニット、BLACKのTRANSPARENT SPEAKERはA4用紙を縦に2枚分(つまりA3用紙)くらいのバッフルサイズに左ch・右ch1つずつのユニットに加えてウーファーユニットが搭載されています。
やはり所詮インテリア(重視に音が出せるオマケ機能)なのか、それともオーディオとして認められるパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか…。
(まずは小型のSMALLからです。)
■TRANSPARENT SOUND [SMALL TRANSPARENT SPEAKER]
●パッと聴きで思わず「悪くないじゃない!」と笑いこぼしてしまったくらいに“普通(以上)に聴けるサウンド”になっています。(あくまでもオーディオ機器ブランドでは無いため、頂いた資料では仕様等不明な点が多いのですが)構造は至ってシンプルでキャビネットは「金属フレーム」に「ガラス板(強化ガラス)」で形成されており、筐体底部に搭載されたデジタルアンプから(おそらくネットワークを経由せず)ガラスバッフルにマウントされたユニットからサウンドが放たれます。
●キャビネットに木材やプラスチックなどが使われていない事や、金属とガラスの硬質系が素材の中心であることなどから緩みのないサウンド傾向が産み出されていると推測しており、加えてユニットが(おそらく)シングルコーンタイプの全帯域タイプを使用し、アンプからストレートな信号を送り出すことによって色付けの無い素直なサウンドを実現していることと思われます。
●シングル(1way)ユニットで高域~低域をカバーしていることからも、1音1音のシャープさはあまり高くはないもののスピード感・切れ・抜けなどは上々であり、クリアで疾走感の高いハイスピード系が基調となります。加えて、音が抑え込まれる様子もなく鳴りっぷりも良好であるためアグレッシブさも感じさせてくれるのは高評価でした。
○あくまでもシングルユニットのサウンドですので、高音の伸び、重低音あたりのレンジ感は多くを望むことができません。また、大音量時にはアンプの非力さも手伝って(シングルゆえに)少し歪みっぽくなってしまうことも…。
○バッフル面が(前述の通り)A4サイズ程度あるためサウンドステージが狭く、(キャビネット全面にしかサウンドステージが展開されないため)奥行き感もいま一つといったところです。また、音場の狭さに比例してサウンドのスイートスポット(エリア)が狭いのも難点の1つです。
黒江的好み度:A
■TRANSPARENT SOUND [TRANSPARENT SPEAKER]
●“基本的”には(これもおそらくですが)SMALL TRANSPARENT SPEAKERにウーファー加え、その分アンプの出力を上げた仕様ではないかと推測しておりますが、ウーファーユニットが加わることでシングルユニット部の担う周波数帯域の負担が減り、帯域バランス・レンジ感が良好になっている印象です。
●バッフル面もほぼ倍(のA3サイズ)となるためSMALLの良い部分はそのままに音場のセパレーション、1音1音のセパレーションが向上・改善され、1ランク上のオーディオ性能を発揮してくれます。
●少し一生懸命に鳴っていた印象のSMALLに比べ、楽に鳴らせており、大音量時の歪みっぽさも解消されております。
●伴って1音1音のシャープさや分解能もかなり向上しており、かなり“ちゃんとした”オーディオで聴けるサウンドの部類に入っております。(黒江的には下手な単品コンポーネントより評価してしおります。)
○簡易EQ(トーンコントロール)が搭載されておりますが、(黒江的には)BASSは時計の9時~11時、TREBLEは10時~12時辺りがベストポジションと考えており、これ以上・これ以下になると帯域バランスが悪く、一気に混濁化してしまうように思えました。
○SMALLに比べてバッフル面がほぼ倍とは言え、やはりスケール感には乏しく、奥行き感も高望みはできません。また、(ある意味1番のウィークポイント?になるのが)ウーファーが少し右にオフセットされている関係で正面に対峙してシングルユニット側の定位を取るとウーファーから出ているサウンド(中低域)が右に寄ってしまい、ウーファーの定位を優先するとシングルユニット(中高域)の音像定位に“少し”違和感を覚えることになります。
黒江的好み度:A+
…と、あまり解説し慣れていないタイプのプロダクトゆえ色々と述べさせていただきましたが、黒江的には『これなら欲しい!』と思わせてくれるサウンドとなりました。
音的には絶対に大きい方のTRANSPARENT SPEAKERが欲しいのですが、(個人で所有するならセカンド・サブで使うことになるので)スペースファクター的にはチビ(SMALL)の方を購入することになるかと思います。
(卓上やニアフィールドであまり大きな音を出さずに普段使いするのであれば、チビの方がよりシンプルなサウンドで使いやすそうです。)
…が、1つ2つ弱点があり、1つは入力端子(方式)の乏しさで基本はBluetooth(がメイン?)にミニジャック×2のみ、USBもありますがPC/Mac連携のUSB DAC機能では無いようです。
(せめてRCA端子があってセレクターがあれば…と、どうしても思ってしまうのはオーディオ業界じみてしまっているからかな…と。笑)
冒頭で「ALL IN ONE」タイプの製品と書かせていただいているものの、機能面を加味すると「HALF IN ONE」くらいが適当かもしれません。
また、レポートの通り「サウンドの真価を感じるには真正面(耳の高さも)がベストポジション」であるわけですが、製品の方向性としてはインテリア的にさりげなく設置して音楽を楽しめるもの…とも思えるため位置付けが少し悩ましいところです。(普段はさりげなく・ながら聴き・BGMで、集中したい時は正面でガチ聴きもできるかなと。)
ギャンギャンのディストーションもビシビシ鳴るし、金物・スネア・バスも(丸くなったり、寝たりせずに)しっかり立ち上がります。(チビはさすがに控えめですが)ベースラインも緩みなく聴き取れ、シャウトも上々…といつものワードが並べられるのに絶対的なオーディオ製品ではないのは初めてかもしれません。
ホームユースであれば何かとデザイン問題・スペース(配線)問題の出易いリビングやキッチン・寝室を筆頭に、オフィス・カフェバー・美容室・アパレルなどなど、(お問い合わせの多い)「いい音で聴きたいけどオシャレでデザイン的なオーディオ」をお探しであればぜひご検討いただけると幸いです。
なお、(当ブログを以前からご覧いただいていない方)音質面のレビューは激しめのロックやメタル系、ポップス系を主に聴いての分析となりますので予めご理解ください。
トランスペアレントスピーカーの販売はこちら↓で行っております。
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P.S.
コンポーネントのオーディオが“非”オシャレとは思っておりません!