Archive for 7月, 2019

Aura vivid Premium Black Edition

木曜日, 7月 18th, 2019

今回はAuraのLimitedモデルをレポートさせていただきます。

【鮮やかに、鮮烈に、鮮明に。】

まず結論から述べますが、前回のTEAC AP-505に続いての大プッシュモデルになっております!(続くときは続きますね。)

限定モデルということで、しっかりとしたレポートを書くことに少々迷いもあったのですが、今となっては数少ないCDプレーヤーのプッシュモデルとなりますので意を決しました。
(なので、後々このエントリーを読んでいる方、すでに入手は困難かと思われます…。)

…と、まずは今回のvivid Premium Black Editionのベースとなったノーマルのvivid(and vita)のレポートも参考にしてください。
http://www.digitalside.net/?p=667

以前のvividは『ハイスピードだけれど低音が明らかに薄め』であり、ちょっと物足りないサウンドではあったのですが、変化はあったのでしょうか…。

■Aura [vivid Premium Black Edition]
●元祖vivid(↑)でのよかったポイントはそのままにしっかりと継承されております。(その上で以下に続きます。)
●いわゆるハイスピード系であり、ハイスピードの中でもかなり上位に位置します。(“超”が付くほどではありませんが…。)
●帯域バランスは(元祖vividで薄かった)低域までしっかりとフォローされ、高音までバランスのよいサウンドとなっております。
●S/N感・分解能も上々であり、1音1音がシャープかつ鮮明に実像感の高い鳴り方をします。
●(輪郭線は細いながらも)エッジ感があり、立ち上がりも鮮烈で、「ビシッ」とクイックな印象を持ちます。
●(TEAC AP-505で「アグレッシブにハイスピードが溶け込んだ」と喩えましたが、vividは逆で)ハイスピードをベースにアグレッシブが絶妙に溶け込んだようなサウンドであり、緩みや丸みを含ませない“「無」付帯音系”の属性です。
○こじんまりとしたサンドステージではありませんが、大きな広さはなく、比較的タイトな音場感となります。
○S/N感・解像度は高いクオリティを見せながらも(クラス上のモデルに比べてしまうと)“超”が付くようなレベルにはあらず、価格帯なり(以上には感じられますが)の中では優秀な方かと思われます。
○もっとも注意していただきたいのは「ただのCDプレーヤー」であることです。USBも無いですし、SACDなども再生できません。
黒江的好み度:S

…と、(16bit/44.1kHzの)CDプレーヤーとしては最後?の(黒江的)名機指定と言っても過言ではないプレーヤーです。
vividという言葉が、鮮やか・鮮明ということは理解していましたが、他にも「目の覚める(ようなサウンド)」であったり、「はつらつ・躍動感(も持ち合わせている→鈍足サウンドには出せない)」などの意味もあり、正に『名は体を表す』でありますし、設計者がちゃんと名前に沿った音を作れる(その逆で音から名前を考えたのかな?)のがすごいな…と思わされます。
(「明るく輝く」という意味もありますが、明るさ・派手さはそんなには無いかな…。)

(毎度恐縮ですが…^-^;)メタルだとギターの歪み、シャウト系のボーカルは抜群であり、シンバルや金物の「キンキン」感や倍音なんかがとても気持ち良く耳に刺さります。(→刺さる系のサウンドです。)
すでに残数の少ない状態のようですが、ぜひぜひチェックしてみてください!(もちろん、このモデルはvitaと組み合わせなくても大丈夫です。ぜひ単体でお求めください。)

2019年、黒江の心に「強烈」に残った1台でした。

TEAC AP-505

火曜日, 7月 9th, 2019

前回に続いてTEACのNewラインナップをご紹介させていただきます。

【目立たず、騒がず、問答無用サウンド。】

「久々のヒットが来ました!」しかもパワーアンプです。
(※最近はDACにプリアンプ機能が付随しているものが多いので、気に入ったDACプリがより活かせるようになるし、DACプリ兼ヘッドフォンアンプからのスピーカーデビューもしやすいのでこれ以上の喜びはありません!)

前回『モニター調でガツンとくるのに決して雑にならないのはTEACサウンドの大きな魅力の1つ』と述べさせていただきましたが、正にこのAP-505も同様(以上)のTEAC気質を持ちあわせています。
そのサウンドはあのReferenceシリーズを彷彿とさせながらも、同シリーズを凌駕してくる(もちろん組み合わせるプリアンプの影響も多大ですが)といった印象であり、黒江が推奨するアグレッシブ系の新たな一角を成すモデルです。

■TEAC [AP-505]
●アグレッシブ系譜らしく、一聴してすぐにアタック感(の鮮烈さ、明瞭さ)が際立ち、スピード感に乗った音の立ち上がりが印象に残ります。
●サウンドの全景は前回のUD-505・NT-505とある程度は共通しており、タイトで帯域バランスが良く、ドライブ感の高い駆動力です。
●UD-505・NT-505に比べるとAP-505はタイトさだけに留まらず、シャープさやクリアさを併せ持っており、より引き締められて精悍なサウンドとなっています。
●抜けや切れ、スピード感も上々であり、アグレッシブにハイスピード系が溶け込んだような絶妙なポジションに位置します。
●決して華やか、艶やか、派手な分類にはありませんが、高域の伸びも良好で、低域もしっかりと最深部までフォロー、ぼやけず、ブーミーにならずに高い解像感を感じられます。
○強いて言えば少し低音の量感が多めでありますが、質の良い低音であることも手伝い、許容範囲ではないかと思われます。(周知の通り、黒江は“薄めの低音”が好きなので、人によっては“ちょうどいい”のかもしれません。)
○悪く言えば、モニター調であり、地味目で特徴的なサウンドではありません。(もちろん硬質寄りのサウンドです。)
黒江的好み度:S

…といったところですが、やはり「ガッ」「ダッ」「ジッ」といった『インパクト音』と、勢いよく放たれる『ドライブ感』は魅力的です。
繊細すぎず、シャープすぎないところからも、いわゆる男っぽいサウンドといった印象で、ハードロック・メタルにはうってつけではないかと。(もちろん女性バンドもGoodです!)
ちなみに、正面のメーターですが、ランプ・メーター(動作)共にオフにすることができるのですが、双方をオフにするとS/N感はもちろん、抜け、切れ、高域の伸びが2ランクくらい向上しますので、両方オフはマストではないかと思われます。
ランプは消灯(目立たず)、メーターは動かず(騒がず)、「男は黙って」(問答無用)といったところでしょうか。(←この状態にすると電源が入っているのかが分かり辛いので消し忘れに注意してください!笑)

久々のヒット製品、ぜひぜひご検討ください。

TEAC UD-505 and NT-505

月曜日, 7月 1st, 2019

今回はTEACのNewラインナップをご紹介させていただきます。

【近くで聴くか、遠くで聴くか。】

『UD-505』はヘッドフォンアンプ重視のD/Aコンバーター、『NT-505』はネットワーク対応のD/Aコンバーターといった位置づけで、DAC部分はほぼ共通となっています。

■TEAC [UD-505] and [NT-505]
●双方共通の第一印象は“TEACらしいサウンド”で、いわゆるアグレッシブ系でありつつも上々のスピード感を併せ持っています。(かなりのハイスピード~超ハイスピードではありませんが。)
●音の粒が向かって飛んできつつも面で押し込んでくる“圧”があり、たたみ掛けてくるタイプですが、粒が粗目(粗暴)になることなく解像感や分解能もしっかりと感じられます。
●帯域バランスが良く“低音が目立つ”“高域がうるさい”といった特徴的な鳴り方の少ない「モニター系」アンプの位置づけです。
●S/N感(1音1音や音場のクリアさ)も上々ではありますが、キャラクター的には『高精細&クリア系』ではなく、『アグレッシブ&ドライブ系』といった印象です。
●ヘッドフォンアンプ重視のUD-505はバランス型のヘッドホンにも対応し、名に恥じない高音質のヘッドフォン出力を搭載しております。
○UD-505はNTよりもやや低重心で、NTよりも1音1音の質量感が重め(強め)に感じられます。
○アタック音もUDの方がNTよりも「ガッ」と強めに立ち上がる感じで、NTは「スッ」ともう少しソフトに立ち上がってきます。
○NT-505はUDよりも軽い感じになりますが、「軽快・すっきり」とも捉えることができるので好み次第ではNTの方が魅力的に感じられることも。
○煌びやかさ、開放感、高い音の抜け感などはあまり感じられず、しっかり鳴る傾向のサウンドです。
(※いずれもDACやDACプリとして試聴した場合のレポートとなります。)

…といった感じですが、いわゆるアグレッシブサウンドということでロック・メタルとの相性は良好に思えました。
モニター調でガツンとくるのに決して雑にならないのはTEACサウンドの大きな魅力の1つではないかと再認識しております。

なお、2機は共通部分(部品)が多いため、ほぼ兄弟機(双子機?)と言え、非常に似たサウンドとなっておりますが、ヘッドフォンもよく使う方『近くでも聴く方』にはUDを、ネットワーク機能が欲しい方『遠くの音源(NAS)も聴く方』やUDよりも少し軽やかなサウンドが欲しい方にはNTをお勧めしたいと思います。
(NTにも簡易タイプではありますがヘッドフォン出力が搭載されています。)