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JERN 12 WP

木曜日, 2月 28th, 2019

今回はデンマークのブランドJERN(と書いてヤーンと読む)から個性的なスピーカーをご紹介させていただきます。

【鉄ダルマから放たれる破壊的サウンド。】

まるで雪だるま(達磨)のような個性的なフォルムだけに非ず、頭に「鉄」と付けたようにエンクロージャー(筐体・キャビネット)が鉄製であることも非常に大きな特徴です。
(片方12.2kgとなかなかの重量ですので、取り扱い、落下などには注意が必要です。)
このフォルムとマテリアルから繰り出されるサウンドは、まさにナンバーワンよりオンリーワンといった感じであり(変態ものによくある、ユニークさ優勢ではなく)クオリティも十二分に持ち合わせているのでぜひ注目していただけたらと思います。

■JERN [12 WP]
●超繊細といった印象は薄いのですが、S/N感・分解能(解像度)など基本的音質は十分なレベルにあります。
●当店的な系譜で示すといわゆる「アグレッシブ系」に属するタイプであり、リスナーめがけて音が襲い掛かってくるような突進系のサウンドになります。
●1音1音はタイトでありますが、シャープ過ぎる傾向ではないので硬質過ぎず、エッジ(音の輪郭が)が立ちすぎないイメージです。
●鉄製キャビネットということで「キンキン・カンカン」の超寒色系かと思いきや、そこまでオーバーな描写は無く、意外にも自然な発色(発音)を感じさせてくれます。
●無駄な余韻が無く、キレや立ち上がりは極めて秀逸であり、音像感が強めでハッキリとしたサウンドを得ることができる傾向となっています。
●スネアやバスのインパクト音、皮のアタック音、ディストーションギターの巻き弦のピッキング音などなどが非常にリアルであり、小気味よく、ノリよく聴かせてくれます。
○前面に張り出すようなサウンド感であるため、縦方向や奥行きを使って大きく描いてくるタイプではありません。
○高音域の上の方、低音域の下の方はやや抑え気味となっています。
○特徴的にも微細音・微小音を(拾って拾って)聴かせようとする傾向ではありません。
黒江的好み度:A+ (~-S)

ほぼ「S」と言ってもよいくらいですが、(試聴時間に限りがあり)詰め切れていませんでしたので暫定的に「A+ (~-S)」といたします。

鉄を使うことによって、その剛性さと自重を利用し、キャビネットでフィジカル的にユニットを押さえつけて不要な振動を制御し、且つ(キャビネット全体が振動してしまう、いわゆる)箱鳴りを極限まで抑えることによって得られるそのサウンドは正にオンリーワンのサウンドでした。
リスニングポイント(左右のスピーカー間)の外側ではかなり音量が落ちることからも箱鳴りがほぼ無いことを実感させてくれます。もちろん後方にも音漏れがあまり無いため、狭所での壁際設置にも強そうであり、スピーカーの(首振り)確度によってもステレオ感や広がり、音像感の調整が充実しそうなモデルです。
重さと強度でユニットを押さえつけ、ユニットだけが鳴るようなイメージなので2wayにも関わらず(点音源となって)シングルっぽさもあるのが更に魅力を感じるところでしょうか。

魅惑の鉄ダルマ、なかなかのプロダクトの様です。ぜひご検討いただけると幸いです。