今回は(スピーカーで有名な)ドイツのオーディオメーカーELACから発売されたアンプをレポートいたします。
ELACと言えば“スピーカーの専業メーカー”という印象が強い(しか無い)方も多いと思いますが、あのELACが独自開発したアンプということに間違いはないようです。
果たしてどんなサウンドを奏でてくれるのでしょうか。
【旧PRIMARE・旧TEAC・Aura groove系統の正統派アグレッシブ。】
結論から述べますと(前回のTEAC AI-503に続いて、黒江的には)“もう1つのリファレンス機”となれる高評価(高好み度)のアンプとなりました。
(価格も突出して高額ではなく、お勧めできるアンプがAI-503と一気に2台増えました!…と、LUXMAN L-550AXIIもお忘れなく。続くときは続くものですね。)
いつものようにレポートしていきます。(レポートはAI-503やA-70との比較レポート「気味」に述べていきます。)
■ELAC [EA101EQ-G]
●S/N感、クリア感は(黒江が好む最低条件の1つでもありますし)もちろん上々ではありますが、A-70の“非常に高かった”クリア感には一歩及ばずといった印象です。(※考察後述)
●サウンドステージはタイトめ(広くない)で音のエッジは(A-70のような超シャープではなく)A-70よりもややしっかり(見える)タイプです。
●音像はA-70・AI-503に比べるとわずかに大きく、しっかりめ、定位は良好で前方に定位する(後ろに広がらない)タイプです。
●低域は(A-70・AI-503よりも)深さと量感がありますが、タイトで緩みやブーミーさがないため好印象です。(黒江的には「しっかりめの低音が出るアンプ」ではかなりの高評価です。)
●アグレッシブ(畳み掛けてくる)系の通り、切り裂くような…ではなく、つぶてを投げつけられるような、前に向かってくる(飛んでくる)サウンドです。
●良くも悪くも派手さはない傾向で、(A-70やAI-503に比べると)1音1音の重みや濃さがほんの少し高い印象です。
○レンジ感は十二分にありますが、前述の通りわずかに地味に聴こえるのは高音域がわずかに大人しいためです。(良く言えばA-70のようなキンキンさがない。よってクリア感も少し落ちているように聴こえてしまう。)
○音のつぶて(塊)と称したように、粒立ちや分解能などの音の細かさは少し及ばずといった印象です。(その分、他にはないパワー感・ドライブ感がありますが。)
黒江的好み度:S
…といった感じでした。
見出しの通り、旧モデルのTEACやPRIMAREに近い感じのサウンドで正に“ザ・アグレッシブ”といったイメージの良質・上質サウンドとなっております。
(前回のレポートで書き忘れましたが、見出しの【ハイスピード&アグレッシブの血統健在!】は「旧モデルのアグレッシブさを受け継ぎつつ、ハイスピードさも加わっています。」という意でした。)
AI-503は旧モデルのTEACサウンドを少しモディファイしたような印象でしたが、どちらかと言えばこのEA101EQ-Gの方が音的には旧TEACサウンドに近い気がしています。
(例えば)HAYDNをシャープに鳴らしすぎると「ちょっと線が細く感じる」「もう少し雄々しく鳴らしたい」のような感想をお持ちの方などには最適なアンプになりそうです。
ぜひ一度ご試聴をお試しいただければと思います。
P.S.
最後に『ELAC EA101EQ-G vs TEAC AI-503 vs Pioneer A-70(完了品)』を簡潔な相関・相対比較しておきます。
見方は…
=:ほぼ互角
>=:わずかに、ほんの少しだけ(左側が)上回る
>:やや、少し(左側が)上回る
>>:(左側が)上回る
…ですが、(相関関係の序列が後ろになっていても)3機種はいずれにしても、高S/N・ハイスピード・硬質より・シャープ系の(黒江が好む)サウンド傾向であることを予め述べておきます。
クリア感:A-70 > AI-503 >= EA101EQ-G
スピード感:A-70 = AI-503 >= EA101EQ-G
ドライブ感:EA101EQ-G >= AI-503 > A-70
アグレッシブ感:EA101EQ-G > AI-503 > A-70
エッジのシャープさ:A-70 >= AI-503 > EA101EQ-G
音のキレ・立ち上がり:AI-503 >= A-70 >= EA101EQ-G
キリがないのでこの辺にしておきますが、A-70(低音絞り)がクリア・ハイスピード系、EA101EQ-Gがマッシブなアグレッシブ系、その中間が(前回レポートした)AI-503といった傾向です。
スピードやキレを重視するとA-70がよく映るかもしれませんが、(前述の通り)3機種はそれぞれが(数多あるその他のアンプの中では)いずれも「ハイスピードかつアグレッシブ」ですので、この辺りのサウンドを好まれるなら(今さらながら生産完了したA-70が欲しいなどといったことはせずに)AI-503またはEA101EQ-G(またはL-550AXII)からセレクトしていただいて問題ありません。