Archive for 3月, 2013

LUXMAN DA-06

火曜日, 3月 26th, 2013

少し間があいてしまいましたが、前回の「vs レポート」より、今回はLuxman DA-06をピックアップしてレポートしたいと思います。

【新世代LUXトーンはじまりの音。(?)】

まず、はじめに結論として述べておきたいのは(DSDがどうのこうのという点を抜かしても)この『Luxman DA-06はD/A Converterとして十分な音質を備えている1台』という点です。
巷ではどうしても「DSD対応DAC」としての評価が色濃くなってしまいますが、前回にも“(もしこれが揃えば黒江的にはパーフェクト?!と言えるかもくらい)全体的な基本音質は高いと思います。”こう述べているくらいですので、その真価は「DSD対応」という小さなものだけで決めていただきたくないというのが本音でもあります。

(…って、読んでいただければ分かりますが、僕のレポートはDSD再生を聴いてのものではありませんしね…。笑)
そのくらい完成度の高いDACであると思いますが、(感情的にならず)まずは淡々と印象を述べていきたいと思います。

■LUXMAN [DA-06]
●S/N感が高く、見通しが良いです。
●“超”ではありませんが、かなりのハイスピードサウンドで、抜けも上々です。
●…が、エッジ感・インパクト感・アタック音・鋭利で俊敏な立ち上がり、といった音の切れに繋がる項目は強くないので『切れ味のあるサウンドとは言えません』。
●…ですが、逆に「音(の先端)に丸みがある」「骨太・肉付き」「膨よか(ふくよか)」といった印象でもなく、「1音1音がスッとソフトに立ち上がってくる印象」を持ちます。
●「高音が硬質で低音がブーミー」「高域が寒色で低域が暖色」といった、各帯域の音にバラつきが少なく、一貫して繋がりの良いサウンドです。
●前方に押し出すサウンドでもなく、後方に広がるサウンドでもなく、その中間といったところですが、定位感も良好で(ボーカルものなら)センターにピシッと口元が浮かび上がります。
●ステレオ感を強調することもなく、(そのせいか)音場感はやや狭い印象です。
●高音はサラサラと粒子の細かいクリア系、中音は癖の少ないストレート系、低音はルーズさのないタイト系と比較的モニター調よりではないかと思います。

○悪く言えば「これといって面白みのない、特色や個性に欠けるサウンド」「どんなジャンルでもこなせるけど、図抜けて合うジャンルが無い」とも言えます。
○ハイスピードで抜けも良い割りには、音が走ってこないので「その辺(スピーカー辺りで)で鳴ってる感じ」のサウンドになりやすい傾向です。
○伴って、高い(前後に長い)奥行き感を感じさせてくれるサウンドではありません。(定位がいいと感じるので決して平面的ではないのですが…。)
※「特色や個性に欠けるサウンド~」に関してはCLASSIC / JAZZからJ-POP / ROCKなど多岐に渡るジャンルを一手に担うことの多いPCオーディオという用途には向いている(長所である)とも考えます。

…と、前回と被っている表現・内容もありますが、やはり何度(EssensioやNA-11S1などと)聴き比べてもこのような見解となりました。
当ブログでもLUXトーン・LUXサウンドという言葉を時折使わせていただいておりますが、サウンドを表現すればするほどに、往年のLUXトーン・LUXサウンドとはイコールにならないサウンドであることは確かなようです。

(…ですが、音が細かく綺麗であることや、きついエッジ感が無いことなどから『長く聴き続けていられるサウンド』『耳にやさしく、聴き疲れしないサウンド』であることには間違いがなく、トータル的なサウンドのまとめ方には往年のLUXトーン・LUXサウンドと相通ずるところがあるのではないかと勝手に結論付けています。
濃厚・濃密だった『往年のLUXトーン・LUXサウンド』から、(薄味だけれど美味で素材を活かした?)さっぱり系の『新世代LUXトーン・LUXサウンド』への一つのシンボルとなるサウンドなのではないかと決めつけてみましたが、みなさんはいかがに感じられますでしょうか。)

いずれにしろ、音質については『黒江的評価:◎』ということで、滅多にない高評価となっております。(黒江的オススメの1台)ぜひご検討に加えていただけると幸いです。

P.S.(オマケ)
デジタルフィルター(DF1~DF3)の傾向ですが…
DF1:(結果論として)DF2とDF3の中間に感じられました。
DF2:高域が華やいで(目立って)更にサウンド全体の見通しが良くなるも、(ただでさえ前に来ない音像・音場が)全体的に少し引っ込んでしまいます。
DF3:DF2とは逆にサウンド全体がややせり出し、(黒江的には)課題であったアグレッシブさが(結構)補完されます。その分やや荒くなる傾向はありますが、著しく基本音質を落とすことはありません。(オススメのセッティングです。)

このフィルターに関しては「一切の前知識のないままで3種を聴き、それぞれの印象を前述のように整えました」。
その後、DF1~DF3の波形や傾向を答え合わせいたしましたが、概ね一致したようです!
(証人は弟分とLUXMANの方くらいしかいませんが…。^-^;)
超極端に言えば、DF1はプレーンとして、『DF2は余韻型・DF3は立ち上がり型』に波形を少しシフトする感じ…のようですが、結局はDF2とDF3の中間がDF1なのだと思うので当を得ているとは思います。(よね?)

LUXMAN DA-06 vs marantz NA-11S1

土曜日, 3月 2nd, 2013

すでにPCオーディオ/ネットワークオーディオを実践されているユーザーさんの中では期待の新製品ではないかと思われる2機種ですが、別々のレポートを書くにあたって「どっちを先に書けばいいんだ!(笑)」といった葛藤に悩まされてしまったので、とりあえず「vs レポート」形式にて2機種をダイジェストにレポートしたいと思います。

(※ご周知のことと思われますが、「vs」とは「2つを比較する・対して述べる」という意であり、「優劣を決める」という意味ではありませんので予めご了承ください。)

まずは『2機種の見出し合戦(?)』でいきます。(※試聴はUSB接続でのWAVファイル再生とCDプレーヤーをCOAX接続での再生です。)

DA-06
【スピーディーで切れのある(テキパキ動ける)才色兼備(なでしこ)ガール】

NA-11S1
【スーツもユニフォームも着こなす体育会系メンズ】

…正直ちょっと適当ですが、大きく述べたいことは伝わるかな…と思っております。
そんな前置きをご覧いただきつつ、それぞれのサウンド傾向を大まかにレポートしてみますと…

■LUXMAN [DA-06]
●一聴して「キレイな音」。雑味がない・透明感があるといったスッキリ系の傾向です。
●S/N感が高く、分解能・定位・レンジ感も良好です。
●高域~低域のバランスもきれいで、「高音が走る、低音がもたつく、ボーカルが引っ込む」などの帯域間でのスピードの差異がありません。
●“かなりのハイスピード”とまでは言えませんが、ハイスピードの部類であり、抜けや切れも上々です。
●(これが叶ったらLUXサウンドではないと思いますが…)強いて言えばアタック感がソフトめで、歪み感を筆頭に、ザグり・エグみなどの“アグレッシブさに欠ける”といったところですが、(もしこれが揃えば黒江的にはパーフェクト?!と言えるかもくらい)全体的な基本音質は高いと思います。
●逆に“マイルドで、しなやかで、柔らかくて…”のような(往年の)LUXトーンを期待されている方にはやや不向きなサウンドの傾向ではないかと思います。

■marantz [NA-11S1]
●一聴して「パワフル・マッシブ・エネルギッシュなサウンド」。高い情報量で密度感のある傾向です。
●解像度と音場感(サウンドステージ)が高く、深さのある低域です。
●高音域がやや抑え目になっており、少し低重心の傾向に聴こえます。
●こちらも“かなりのハイスピード”とまでは言えませんが、十分にハイスピードの部類であり、もたつきのない立ち上がりの良いサウンドです。
●少し難しい表現になってしまうのですが、1音1音が「シャープなアタック音から、一瞬でグッと膨らみ(掛け)、ギュッとタイトに絞られつつ余韻を帯びて消えてゆく」といったような“デジタル的”と“アナログ的”を掛け合わせたような印象もあり、このあたりの聴こえ方で好みが分かれそうな傾向と思われます。
●こちらも、“艶やかで、高音が伸びて、すっきりめの…”といった(黒江が抱いていた)marantz的な印象は薄く、“アグレッシブに畳み掛けてくる”サウンドに感じられたので試聴等でご確認いただけると幸いです。(ゴワゴワしたヘヴィロックやグラインド・デスあたりはかなりハマってました。重厚なサウンドのソースと密度感の高いボーカルは非常に高評価です。)

…と、こんな風に並べ書くと「DA-06は音場が狭い?」「NA-11S1はS/N感に難あり?」と勘繰られるかもしれませんが、双方共に「S/N感・解像度・レンジ感」などの基本的音質は十分、十二分ですのでご安心ください。

見出しで表現したかったことがなんとなく伝わったのではないかと思いますが、
(すべて“どちらかと言えば”ですが)
DA-06は女性的・NA-11S1は男性的
DA-06は文系/理系(非体育会系)・NA-11S1は体育会系
DA-06はスピード感・NA-11S1はパワー感
DA-06は和風顔(さっぱり顔・薄化粧)・NA-11S1は洋風顔(ソース顔・彫りが深い)
など、双方には真逆の印象・感想を持つことも多くありました。

(こんなレポートで参考になるか分かりませんが)ご検討の際に少しでも役立てれば幸いです。