本日は表題のスピーカーをレポートさせていただきます。
【ドライでアグレッシブ、“畳み掛ける系”サウンドの急先鋒。】
Klipschを一言で言えば、↑こんな感じなのではないかと思っておりますが、今日はこのKlipsch新シリーズの3兄弟をご紹介いたします。
まず、共通のポイントとしては…
●ウェット感が少なく、非常にドライなサウンド。
シンバルなら『スプラッシュよりライド(クラッシュ)』、ギターなら『ディストーションよりオーバードライブ』、ボーカルなら『色気のある女性ボーカルより(しゃがれた)ハスキー』、『擦る弦楽器(ストリングス)より打楽器』などなどの方がフィットしているかな…と思っている次第です。
(ただし、ラッパ[トランペット・サックス・他]は金管の艶もよく出ていてとても好印象です。)
●とにかくアグレッシブ。
音(も唾も)が飛んでくるような前へ前へと迫ってくるサウンドな一方、(見通しの良い)奥行き感を作り出すタイプではなく、眼前を音で埋め尽くされるようなラッシュ系のサウンドです。
●熱っぽい(情熱的)サウンドで、黒江的には『赤・黄』といった暖色系のイメージ。
決してウェットな音や冷たい(感じの)音が出せないわけではなく、よりハマる音の傾向がしっかりしているという感じです。
●スピード感は上々。
キレのあるスピード感というよりは、噴き出すようなドライブ感の高いスピード感。
●荒さ(粗さ)が感じられ、クリアさにも一歩欠けるのがウィークポイント。
JBLのモニターと同様、鳴りっぷりの良いハツラツ系の代償ですので仕方が無い点だと思います。
●高能率!
これだけスペックの話になっちゃいますが(笑)、特にビギナーには嬉しい(高能率なのでミニコンポなどの出力の小さなアンプでも充分に鳴らせるのが)ポイントです。
…という点を踏まえていただき、3兄弟をそれぞれレポートします。
■RB-41II
【Klipschらしくないものの、もっともバランスの取れた名小型モニター。】
●ウーハーサイズの関係からやや低域がさみしいところもありますが、その分キレがあり、高音~低音まできれいに揃っていて定位も良好です。
●音の細かさ(分解能・粒立ち・粒子感)も3機種で随一。このRB-41IIだけはスッキリとした見通しを感じさせてくれます。
●ただし、Klipsch独特の響きやドライさも少なく、癖が非常に少ないので“Klipschらしくない”サウンドなのでご注意ください。
●このキレとスピードならHEAVY METALもバッチリです。
●黒江的には今年の(新製品?)スピーカー群ではベストかもしれません。
黒江的好み度:A(~A+)
■RB-51II
【3兄弟の中ではもっとも気難しい(性格?の)真ん中次男モニター。】
●試聴前は最も(バランスが取れているだろうと)期待していましたが、(黒江的には)中途半端に感じられてしまい残念な結果となりました。
●低音(重低音)を無理に出そうとしており、結果的にブーミーに。
●低音を出そうとするため、中音が(マスキングされたり、鳴りきれずに)伸びず、ボーカルやギターが遠く感じられます。
●一方で、高音は吹き出すようにギンギンと鳴りますので、高音と低音が主張されたドンシャリサウンドの感が否めません。
●低音の解像度が今一つなので全体的に混濁気味になってしまっている印象です。
黒江的好み度:C(~E)
■RB-61II
【RB-41IIとは対照的にKlipschらしいハツラツサウンド。】
●RB-51IIと比べてもエンクロージャー(筐体)が一気に大きく感じられるようになり、大型モニターの部類に入るサイズが象徴的です。(購入前にサイズのチェックは必ず!)
●伴ってウーハーサイズが大きくなりますが、(ウーハーサイズの恩恵で)低音にRB-51IIのような無理やり感がなく、締まりのあるしっかりとした低音がポイントです。
●中音域もしっかりと鳴っていて、帯域バランスが良く、ベースやバスドラがブリブリと聴こえる上にボーカルやギターが埋もれることなくバシッと飛んできます。
●スピード感も上々で“ごきげんなハードロックサウンド”といった無骨さと、アッパーな鳴りっぷりはこのRB-61IIにしか出せないサウンドです。
●音像(特にボーカルの口の大きさ)は大きめで、ちょっと散らかったような、ややまとまりに欠ける(エッジが明瞭でシャープに定位するタイプではない)面もありますが「これぞKlipsch!」と頷いてしまうサウンドなので、Klipschサウンドの支持者にはぜひご一聴いただきたいモニターです。
●黒江的にはHARD ROCKや80年代のLA METALなどはコイツで聴きたいです。
黒江的好み度:A-(~B+)
■総括
“黒江的好み度”でお分かりかと思いますが、3兄弟の中ではRB-41IIが断トツにハマりました。
…が、(黒江はJBLの4312系も結構好きだったりするので)「ザ・Klipschサウンド」のRB-61IIも正直に言って捨てがたいです。(買うとしたらRB-61IIかも。)
RB-51IIは個人的にはダメでしたが、逆に「(3兄弟で)これが一番いい!」という方も多いのではないかとも思っておりますので、RB-51IIユーザーさんは誤解の無きようにお願いします。
強いて言えば(3兄弟)すべてバスレフ型なので「密閉タイプも作っていただけたら」と思っている次第です。
(※特にRB-41IIはリアバスレフなので壁から30cm~50cm程度は離して置いてあげられるとベストなのですが、小型モニターを検討されているユーザーこそ、それが出来ないんですよね…。せめて棚に押し込めたりしないでください。)
(※※RB-41IIの密閉型orフロントバスレフ型が出たら絶対に買います!)
…ということで、Klipschのサウンドにならって「ちょっとアツめの」レポートでした!