Archive for 1月, 2011

ネットワークオーディオ report 2 [YAMAHA NP-S2000]

火曜日, 1月 25th, 2011

前回の続きです。

今回は前回の「後述」と、大まかな使い勝手などをまとめて行きたいと思います。

まず、(前回のレポートでの)YAMAHA NP-S2000の評価には賛否あるのではないかと思いますが、個人的な感想として「MP3/WAVE/FLAC」などのデジタルフォーマットのサウンドが一様に「アナログを聴いているようなサウンド(の印象)」になってしまっている点が気になりました。
どういうことかというと…特に“128kbps~192kbps程度の高圧縮されたMP3”が顕著でしたが「良くも悪くもMP3のスカスカした感じが無く、密度のある濃厚な音」になっているのです。

これは無圧縮であるWAVEに於いても同様で、CDプレーヤーで聴いているサウンドよりも遥かに情報量の高いサウンドとなっている(ように感じられる)のですが「黒江的には音作りが激しくてとてもついていけないなぁ…」と感じてしまったのです。
具体的には「低音の量感が上がり、1音1音に濃さが出て余韻や滑らかさが向上する」といった印象です。しかしながら「元の音よりも音の1粒1粒が大きく、音場も広大ですが、音像(ボーカルの口の大きさや、バスドラムの口径)も広大(肥大)している」とも言えます。

もちろん、何の先入観も持っていませんでしたし、発売前にYAMAHAさんのショウルームで聴いた時はもう少し色付け・癖の少ないサウンドだった気がしていたのですが…。(そう言えば、もう少しチューニングされるようなことを言われていたような…。)
…と、そんなところで、今さらですが内部の豪勢な回路を思い出します。トランスを2機積んで、ディスクリート?!と言わんばかりのアナログステージ、何と言ってもあの重量。(YAMAHAショウルームではじめて中身を見たときは「アンプと見間違うくらいのぎっしり感」でしたしね。笑)…何となく、出てくる音の重厚感につながってくるような気がしました。

…と、と、もちろん決して悪く言いたいのではありません。繊細な音はよく拾ってくれていますし、ダイナミックレンジも上々です。くどいようですが、デジタルフォーマット(ファイル)を再生しているようには感じないアナログ的なサウンドを良しとするかでこの製品の評価は変わってくると思います。
ちなみに僕はご存じの通り、ROCK・METAL・J-POPなどを好みますので、クラシックを主に聴かれる方とは音の趣向が相対しやすいです。その辺りもこのNP-S2000をご購入検討されている方には注目していただければと思っております。

それから、もう1点だけ。正直に言いますと「操作性」はちょっと悪いです。本体のディスプレイは表示窓(ディスプレイ)が小さく、読み込み・検索・切り替えなど(iPhone用のアプリ経由などでも)動作にモタつきが感じられます。(先日のアップデートで改善されたのかもしれませんが。)
この手の製品は「一見、ただハードを購入しているように捉えがちですが、実はソフトウェアやサポートも(同時に)購入している」という性質の製品です。
「使いやすさ」「ストレスのないインターフェース(直感的に操作できるか)」も重要なポイントになってきますので、今後のアップデートに期待したいところです。

なお、僕のイチオシのolive 3HDも「操作性はイマイチ」ですが、marantz NA7004はかなり完成度の高いインターフェース(本体操作もiPhoneアプリも)となっております。
この辺はまた続きで書きたいと思います。

ネットワークオーディオ report 1

火曜日, 1月 18th, 2011

昼ごろに起きた時などに使う「お早う」で言うところの「遅よう」みたいに、「明けましておめでとうございます」も明けてから随分経った頃の挨拶がないものかと、新年も早半月が経った頃にそんなことばかり考えていますが、とりあえず「すっかり明けきっちゃいましたが、おめでとうございます」…とでも。(笑)

今回は前回の続きとなるPCオーディオ/ネットワークオーディオレポート、ネットワークオーディオ編です。

早速、前回と同様にまずは一覧リスト&ワンポイントでご覧ください。(先頭の◎○△×は大まかな評価です。黒江的好み度はSランク→A+ランク→Aランク→A-ランク→B+ランク…と続きます。)

■ネットワークオーディオ
試聴機
YAMAHA : NP-S2000
marantz : NA7004
Pioneer : PDX-Z10
olive : 3HD
※すべて同じNAS・LANケーブル(汎用カテゴリー5)・HUBを使用し、WAVファイル(もちろん同じ曲)を再生しての比較です。

とりあえずはサウンドについてとなりますが、ネットワークプレーヤーには『操作性』というもう一つの大きな課題があります。
具体的には「本体(&リモコン)での操作性」「iPad/iPhone/iPod touch(アプリ)などでの操作性」「その他(ブラウザーなどから)の操作性」と分類することが出来ると思いますが、これらについては今回は割愛させていただき、機種個別のレポートで仔細をレポートする予定です。

○YAMAHA : NP-S2000
かなり濃密で重厚なサウンド。LINNの対抗馬としては現在もっとも力の入った国産機として、さすがの物量投資からもうかがえる高音質(高品質)サウンドです。…が、黒江的にはちょっと物申したいので後述します。黒江的好み度:C(~D)

△marantz : NA7004
ややしっとり、ふわっとしたような音場を描きますが、総じてニュートラルなサウンド。決して安物の音、ミニコンポ並み…などと言うワケではありませんが、(CDプレーヤーなどと比べても)USB接続時と同様にどこかボケたようなサウンドです。こちらも後述します。黒江的好み度:B

○Pioneer : PDX-Z10
試聴は(ネットワーク再生部を他のプレーヤーと同列に比較するため)LINE OUTにて外部のアンプ(いつものTEAC AG-H600)にて聴きました。1音1音がしっかりとしていて明確。NA7004とはまた少し違ったニュートラル感で、こちらはストレート(素直)といった表現の方が合いそうです。(この中では)発売時期が最も古いモデルですが、予想以上に検討してくれました。アンプ・CDプレーヤー・AM/FMラジオチューナー・インターネットラジオまで搭載していますので、これから一式揃えようかと検討されていた方にはこれ1台で済んでしまうかもしれません。黒江的好み度:A-

◎olive : 3HD
前回のPCオーディオ(USBオーディオ)のレポート時にも「(最初は)やっぱりUSB接続の音は良くない」と書いたように今回も「(最初は)やっぱりネットワーク経由の音は良くない」といった印象でしたが、このolive 3HDなら『今すぐにでも欲しい』と思えるほどに悪いイメージを払拭してくれました。サウンドは僕の好きなクリア&シャープ&ハイスピード系。…というよりも、CDの音をそのまま聴いているような感じ(詳しくは後程)です。黒江的好み度:A

…と、こんな感じです。
「後述」とある通り、もう少し色々と書きたいことがありますので次回に続きます!