Archive for 12月, 2009

LUXMAN D-38u 【DR. JEKYLL AND MR. HYDE(ジキルとハイド)】

金曜日, 12月 18th, 2009

またしても当たりが出ちゃいました。
黒江が(好きで)オススメできるコンポーネントに1つでも多く出会える(発売される)ことは本当に嬉しいことです。
(試聴がなかなかできない方も多いかと思いますが、)それぞれのレポートを見比べて、ご自身に一番合いそうなサウンドを選択する一助になれれば光栄です。

今回はLUXMANからの新製品である「D-38u」です。
往年の名機のアンプ「SQ-38」復刻モデルの「SQ-38u」のつがいとなる位置づけで発売されたCDプレーヤーですが、
出力の際に通る回路に「真空管と半導体」を切り換えて聴くことが出来るという画期的な機能を搭載しています。

【THE STRANGE CASE OF DR. JEKYLL AND MR. HYDE】

2つの出力方式の印象をそれぞれ書き出してみます。

solid state (半導体)
●スッとした切れ味と、タイトな音・音像。(Aura neoほどではありませんが、十分にハイスピード・シャープ・抜けのあるサウンドです。)
●音の立ち上がりが明快で、良好な定位感。(伸びのある、絡みつくような、いわゆるLUXトーンではなく、堅牢さ、真面目さ、丁寧さなどはありつつも思いきりの良い張り出すようなサウンド。)
●バランスの良いレンジ感。(キンキンなヒステリック高域でもなく、ズンズンの重量級低域でもなく、ウェルバランスでフラットなレンジ感。)
…と、何はともあれ黒江が好きになるには、ポップやメタル・ロックが鳴らせなきゃはじまりませんが、全然イケます。
LUXMANのCDプレーヤーと言えば、ハーフサイズの小型CDプレーヤー「D-N100」も好印象でしたが、やはり同様のメカニズム・回路を使用されているそう。
加えて言えば、(一般的な16bitの)CD専用機。SACDは掛からないタイプなのです。やっぱり専用機だよ!と。

かなり印象が良かったので、今度は真空管に切り換えて聴いてみたところ…
「うわー、全然違うじゃん!つーか、明らかな違いを付けすぎでしょー。(笑)」
と思わず笑っちゃうくらいの違いなのです。

vacuum tube (真空管)
●音の伸び・余韻が長く、ふわーっとした温もりのあるサウンド。
●音の線がやや太く、芯にしっかりとした(良い意味で)肉付きが感じられる。
●音に厚み(皮の厚みなど)があり、グッと密度の高いサウンド。
●(半導体がドライというわけではないが、)暖かくしっとりとした音色。
…と、(まあ)一言でいえば「歌もの・バラード・ストリングス・R&B」なんかを聴いたら一発でやられちゃいそうな感じなんです。
真空管はいかにも真空管らしいサウンドと言えばそうなのですが、ちょっと音作りし過ぎ?でも、(素直に真空管を通せば)これが自然と出てくるサウンドなのかも…。と、色々考えてみたものの、余計な詮索はやめにしました。

「これ、ちょっと反則でしょー。」「でも、こういうの欲しかったですよー。」なんて、かなり物欲をかき立てられるサウンドでした。

二重人格というか、まったく共存しないはずの音色が1つの体に共存してしまったという「ジキルとハイド」なヤツでした。

ちなみに、(カタログでも高音質を謳う)ちゃんとした独立回路部を持ったヘッドホン出力が搭載されているのですが、このヘッドホン出力にも「vacuum tube と solid state」の切り換えが有効です。(実際音質もかなり良く、各キャラクターの違いが耳に取るように感じられました。)

メタル良し、バラード良し、深夜のリスニングも良し、お値段もそこまで高くないと思います。(CPは抜群です!)
あとはデザインさえ気に入れば!ってところでしょうか。(TEAC/NuForce/Auraなどの小型アンプとの方が合っている気がします。)

http://www.luxman.co.jp/product/dp_d38u.html

商品のお問い合わせ/ご注文/その他は黒江直通メールにてお願いします。
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NuForce IA-7 V3

火曜日, 12月 15th, 2009

現在、注目度ナンバーワンと言っても過言ではないだろうと思われる、NuForceのインテグレーテッドアンプ「IA-7 V3(Version.3)」のレポートです。

【熱しにくく、冷めやすい、クールなアイツ。】

しかし、早くも第3世代ですね…。なんだかペースが早過ぎる気がするんですが。
SHARPの1bitアンプのそれを思い出すのは僕だけでしょうか。
SHARPの1bitの時は(サンプリングの回数≒速度が)2.8MHzからはじまって、第2世代で倍の5.6MHzに、第3世代では更にその倍の11.2MHzになったのですが、僕は世代が進むごとに好きな音ではなくなってしまったので…

『当時、SHARPの1bitアンプは第1世代は「デジタルアンプらしい」立ち上がりの早いすっきりとした音だったのに、専門誌とかで「デジタル臭い」みたいに言われたからか世代が進むごとに「わざとらしいアナログ感」を作ったような音になってしまったのです。』

…今回のNuForceにもあまり期待を寄せてはいませんでした。
とは言え、とにかく聴いてみなければ何とも言えません。早速いつものようにアグレッシヴなメタルを聴いてみました。

「…はぁ、やっぱダメかな。」第1世代のNuForceは僕も所有しているくらいに「もの凄くクリアで精密、細かいのにハイスピード。」ここ数年の中では(同価格帯的に)「これ以上はないんじゃないだろうか…。」というくらい好きだったのですが、第2世代では”らしさ”は残すものの随分とお上品になってしまったのです。
パッと聴いた印象は更に好きではない傾向になっている印象で、やはり前述の1bitアンプに通ずるものがあります。
いや、それ以下かもしれません。なんだかどうとも言えない不完全燃焼気味のサウンドなのです。

そう言えば(第1世代の)IA-7Eも立ち上がりはグズグズでした。(うちはプリアンプとして使用していたので、そこまでは気にならなかったのですが。)
「暖まらないとダメなのかも。」と思い、とあるスピーカーのエージングを兼ねて(爆音で)ザクザクのギターとシャウトで暖機運転をさせておくこと1時間。

(当たり前ですが、)全然違いました。これかなりスゴイです!
音がしっかりと揃っていて、吹き抜けるようなサウンド。
「直線的で突き刺さるような」第1世代に比べると、「少し広がるようなハイスピードの音場タイプ」になっていますが、特に低域の解像度が高く、全体的にも(以前から定評だった)解像度が更に向上しています。

以前は(もう少し鋭角な音場だったので)奥から頂点に向かった奥行き感がバンドサウンドからボーカルを剥がしてくれていましたが、IA-7 V3は音がやや前に来ず、これに関しては以前の方が優勢であった印象です。
ただ、線の細いイメージだったIA-7E(ないしP-8)に対し、力強さが加わっているので兼ねてからのクールな印象と相まって絶妙なバランスではないかと思います。

以前から引き継いでいるものは…
●S/N感の高さ(情報量が上がっている分、すっきり感は以前の方があったかな?)
●解像度の高さ(特に低域は更に向上しています。)
●嫌味のない広がり(スッと自然に広がるのが同社の持ち味だと思います。)
●ハイスピード(突っ込んでくるタイプのハイスピードというよりは、抜けの良いタイプのハイスピード。)

V3で加えられた要素は…
●情報量(やや厚みが出て、パワフルに。)
●”クール”に、やや”熱気”が加えられた。
●全体的に(良くも悪くも)バランスが取られた。

結論…
第1世代と同じものだと思うと期待はずれかもしれませんが、受け継ぐところはしっかりと受け継ぎつつ、第3世代にしかない仕上がりになっています。
(またすぐに第4世代になっちゃうかもしれませんし、)とりあえず第3世代は”買い”です。

P.S.
なんとなくですが、プリや(特に)パワーはまた別のサウンド傾向であるような気がします。
このレポート(だけ)を読んで、プリ(単体)やパワー(単体)を慌てて買われないようにお願いします。

http://www.nuforce.jp/products/ia7v3_01.html

商品のお問い合わせ/ご注文/その他は黒江直通メールにてお願いします。
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marantz SA-13S2 PM-13S2 PM-15S2

木曜日, 12月 10th, 2009

今回はmarantzの今秋冬の新製品をレポートします。

それぞれ単品で聴いておりますが、「SA-13S2&PM-13S2」はセットでの試聴もしています。

比較対象は同価格帯のCDプレーヤーは「Aura neo」、アンプは同じく「Aura groove」となります。
「vs方式」ではなく、感じたこと(取ったメモと頭の中)を書き出すだけにいたします。

【僕の思う「marantz色」が変わってきてる印象】
…marantz色と言っても、従来から僕の思うmarantz色っていうのは「ほんのり、わずかな色付け(なので癖の少ない、嫌味のない)」という位置づけで、僕自身「PM-14(SAにアップグレード済み)」を所有しているくらいなので(現在はパワーアンプ部のみ使用)、当時のあらゆるモデルからセレクトした理由でもある個性を押し付けてくる感じがなく、「中庸的」なサウンドを支持してきました。

そんな印象から、”少し”変化が訪れる日が来ます。
現在の「M-1」(お笑いのアレではなく)フォルムの原型となった「ニュープレミアムデザイン」というフォルムを採用しはじめた頃からmarantz的な色付けの度合いは「ほんのり、わずかな」から「少々、薄口な」くらいになったかなぁ…なんて思っていたのですが、現在の「M-1」になってからは「やや、比較的」くらいまで進んでいるように思います。

【marantz的な色付けとは】
●「しっとり」という言葉が一番フィットすると思います。
●艶・しなやかさがあり、すっきりとした音場を描き出します。
(各機種が同価格帯に並ぶ、もっとも比較対象になりやすいDENONと比べると…)
●パンチ・ボリューム感・密度・低域(の量感)に劣りますが、僕の感覚ではmarantzの方が極めてナチュラルでバランスの良い音。(≒音作りが濃くない。)
●DENONの方が雄々しく、marantzは女性的。なので、(僕は)女性ボーカルがかなり好印象・高得点です。
●DENONが原色であれば、marantzはパステル。
●DENONが油絵であれば、marantzは水彩画。
…と、こんな感じです。(伝わります?)

そんなmarantz色なんですが、前述の通りフォルムの変化につれ、どんどん(marantz色が)濃厚になっている気がするのです。
僕が持っている「PM-14」はこれらのmarantz色がいずれも「ほんのり、わずか」でパステル色でも限りなく「白=透明」に近いので「景色をほぼそのまま=ほぼ録音の通り」見ている(聴いている)感じだったのですが、この度の「SA-13S2&PM-13S2」は「やや、比較的」なのでパステル色は「ややパステル調=リアルな風景画」というくらいに感じられます。
女の子が年を重ねるたびにメイクが濃く、厚くなる「傾向にある」のと同じかな…。なんて思ったりして。

これを良しと思うか、思わないかは好みの問題だと思いますが、個人的にはもう少しmarantz色が弱い方が好きかな…と。
(ちゃんと個性があるんだけど、それを押し付けてこない清楚な感じが好きだったんです。ケーブルなどで調整しやすいですしね。)

「SA-13S2」と「PM-13S2」をセットで組むとmarantz色は更に相乗しますので、どちらか片方を購入されてみてサウンドの傾向が気に入られたらもう片方を買い足す購入方法をオススメしたいです。

なお、「PM-15S2」はお兄さん機の「PM-13S2」の排気量を下げただけ、…という印象で正直言って目をつぶって聴き分けられる自信がありません。
能率の悪いスピーカーを組み合わせる場合や、大音量で聴かれる方は「PM-13S2」を、それ以外の方は「PM-15S2」でも十分かと思います。
付け足すと、すっきり感は「PM-15S2」の方が良く、情報量や音の厚みは「PM-13S2」の方が上回っています。(なかなかパッと聴いて判るものではないですが…。^-^;)

長くなりましたが、marantzの新製品3機種でした。

http://www.marantz.jp/ce/products/audio/sacd/sa13s2/index.html
http://www.marantz.jp/ce/products/audio/amplifier/pm13s2/index.html
http://www.marantz.jp/ce/products/audio/amplifier/pm15s2/index.html

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B&W CM5

金曜日, 12月 4th, 2009

今までに相当数のB&W製スピーカーを聴いてきましたが、この「CM5」は久しぶりに個人的なヒット(好き)でした。
(もちろん、良いなあと思ったことはたくさんありますが、自分のツボではなかったので。)

【サウンドクオリティはNautilus800シリーズ譲り、サウンドカラーは600シリーズ譲り。】

600シリーズと800シリーズの中間なのですから、700シリーズ(一昔前で言うNTシリーズ)なのでは?…と思われるかもしれませんが、ミッドレンジに厚みを持たせた700シリーズとは異なり、レンジの広さを感じさせる800シリーズの血をより濃く受け継いでいる印象があります。

加えて、800シリーズのエレガント且つウエットなサウンドに対し、どこなく暖色系のサウンドを狙っていたように感じていた700シリーズでしたのが、このCMシリーズは「エレガント&クール」を狙っている印象でした。
そういったことも含め、サウンドのルーツは800シリーズから来ているのではないかと思うのです。
(無論、あのちょんまげのようなNautilusツイーターを搭載していないのですから、よほど700シリーズの方が800シリーズの直系と考えられて自然だと思いますが…。)

下位の600シリーズは(前身のDMシリーズより)以前よりホームシアター用途を強く意識して製作されている印象が強く、そのサウンドもB&Wのイメージらしからぬドカンとした音作り。
メリハリが強く、バンバン鳴ってくるタイプで”おしとやかなNautilus”に対して”ちょっとじゃじゃ馬”感のあるサウンド傾向です。
その分、ロックやポピュラーなんかは元気に、それでいてほんのりB&Wらしさを感じさせてくれたので僕は意外と支持していました。(主にDMシリーズの時ですが。)

本題に戻りますが…
【メリハリが利いてコントラスト・スピード感に優れたサウンド。】
CM5は一言でいうとこんな感じです。
とにかく「ハリ出してくる」という印象が強く、それでいてB&Wらしく繊細さも持ち合わせています。

実は、下位機種にCM1という小型モデルがありますが、(発売以前からかなり期待していたんですが…)無理して出しているような低音の印象が(僕は)好きではないので、このCM5にも実は期待をしておらず…。(随分遅くなりました。)

…が、このCM5は帯域バランスが素晴らしいです。
苦しそうに鳴ってしまうことがあるCM1に対して、何とも自然でスムーズな低域。
全体的に鮮やかで、ちょっと華やか、明るめのサウンドですが、派手とかケバイという印象は皆無でとても「良い加減」ではないかと。
その鮮やかさ、発色の良さから、少し音が滲みっぽく、細かさがもう一声欲しかった部分もありますが、僕の総合的な評価は上々でした。
(CM1とこのCM5も然り、N801~N805も然り、シリーズってやつはテイストは同じでもそれぞれまったく異なった鳴り方をするので、長所・短所は共通せず、横一線で評価できませんが)Nautilus805を若者向け?にした感じ…加えて言えば、「ATC SCM7とrevolver MUSIC1の中間的サウンド」と思いました。

こんな事ならもっと早く聴いておけば良かったです…。
…と、よくある「シリーズ中1つだけ聴いて良し悪しを判断してしまった悪い例」だと改めて勉強になりました。
その逆も然りで、「シリーズ中1つだけ聴いて良いと思ったからすべて良いはずと思い込む」や、
「(前述の通り)シリーズを横一線・同列に、一様に、褒めちぎっている(評論家やレビュー)」のは僕は間違いだと思っているので、(こんな感性で申し訳ないですが)僕のレポートを参考に「1人1人それぞれの」自分に合う音、好きな音を探してもらえたら幸いです。

ちょっと製品レポートとは関係なくなってしまいましたが…。(^-^;

僕は「CM5」結構好きです!

http://www.bowers-wilkins.jp/display.aspx?infid=3978

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