Archive for 9月, 2009

KIMBER KABLE 4TC vs NORDOST WYREWIZARD SPELLBINDER

火曜日, 9月 29th, 2009

本来は先日ご紹介した『MONITOR AUDIO RX1』のその後のお話を…と思っていたのですが、その過程でタイトルにある2種類のケーブルの聴き比べに思わず没頭してしまったので、先にレポートさせて頂こうと思います。

【ハイスピード頂上決戦?分解能の4TC vs 輪郭のSPELLBINDER】

先に述べておきたいのは、上記にもある通り、双方共にハイスピードであるということです。
加えて「輪郭のSPELLBINDER」と書きましたが4TCの輪郭も当然、しっかりとしています。
価格は1mあたりでKIMBERが5,250円、NORDOSTが1,260円とこの差は大きい!(4TCは以前は4,000円くらいだったのです。)
その上での解説となります。

【4TC】
●S/N感・音抜け・解像度などなど、どれを取ってもさすがに1枚上手です。
●何より頭抜けてリードしたのが分解能。音の細かさ、粒子感は大袈裟に言えば「4TCを砂粒とするならば、SPELLBINDERは石ころ」とでも言えるくらいに『SPELLBINDERが粗いのではなく、4TCの粒子感が細かい』のです。
●音の切れ、エッジの鋭さ、歪みの乗り方もやはり1枚も2枚も上手。
●ただし、非常に質素というか、無機質というか、響きや余韻も(録音されているものよりも)削られているかな…?と思うほどに華やぎの無い傾向です。

【WYREWIZARD SPELLBINDER】
●さすがに僕の大好きな単線(導体が1本だけ)のサウンドで、インパクト音・アタック音が明瞭でストレートに音を放出しくる傾向です。
●音の切れは「切れてはいるけど4TCに比べるとやや滑らかな切れ」といった印象。(4TCが直角カーブならSPELLBINDERは丸い急カーブ。)
●エッジも「鋭利な感じではなく、輪郭線の太い」という印象。
●歪みの乗り方は4TCでは明確に聴こえる「ディストーションが、『ほんの僅かに』オーバードライブより」といった感じ。
●輪郭もシャープ、低域もタイトで、メリハリがあって明るめで「テンションが高めの音」とか「ハジけた感じのサウンド」なんて言い方がハマりそうです。
●スピード感はわずかにWYREWIZARD SPELLBINDERの方が優勢かな…?
●ただし、(僕の基準からすると)音が全体的に膨張気味(付帯音というか、ベールが掛かっているというか、皮の厚い音というか)で芯も太く、鈍く響くような傾向があります。
●それでも、数々の(黒江的には)使えないSPケーブルの中においては優秀ですし、ロック/ポップ/メタルに使える1本として堂々のラインナップ入り決定には間違いありません。
●なんたって、見た目も細身でシンプルでカッコいいし、価格も手ごろではないかと。

【結論】
さすがに4TCは良いです!が、CPはWYREWIZARD SPELLBINDERの方が良いと判断しました。
なお、4TCの利点は音数が多ければ多いほど、歪みが強ければ強いほどリードする傾向ですので、ご予算や一番よく聴くジャンルに合わせてセレクトしていただければと思います。

P.S.
まだ未確認ですが、WYREWIZARD SPELLBINDERは6Nとか7Nじゃないのかな…?と思うのです。
(僕は)「膨張気味」と捉えた音の音色が濃厚になったり、艶が乗って(わずかに)ギラギラしたような感じが、何ともそう思えて仕方がありません。
4N~5Nくらいで作ってくれないかなぁ…。

あ、『WYREWIZARD SPELLBINDER』はザ・ステレオ屋でご購入いただけます!(メールください!)

商品のお問い合わせ/ご注文/その他は黒江直通メールにてお願いします。
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ジャケ弁 with タモリ倶楽部

土曜日, 9月 26th, 2009

先日ご紹介させて頂いた「ROCK! ジャケ弁スタイル」ですが、けっこうなビッグニュースを発見してしまいました!

ちょうど昨日の放送「カニカマ(vs 本物のカニ)」を観ていて、「(タモさん料理好きだし)ジャケ弁を取り上げたら面白いんじゃ?!」…と思ったところだったのですが、なんと妄想が現実になってしまったようです!

【タモリ倶楽部:あの名盤が弁当でよみがえる!ジャケ弁クッキング】
●テレビ朝日●10月9日(金)24:20~24:50
が放送されるそうです!
すっげえ!びっくり!たぶん面白いと思うので観てください!(タモリさんが何作るのかが楽しみ。たぶんエロ系だな!)

詳しくは先日もご案内した『BeatSound誌』のサイトにて!↓
http://www.stereosound.co.jp/bsweb/topics/200909250932452.php
(なんでBeatSound誌のWEBサイトをチェックしているのかって?…さあ、なんででしょうね。笑)

MONITOR AUDIO Silver RX1

金曜日, 9月 18th, 2009

3連続投稿ラストはモニターオーディオ期待の新製品のRXシリーズから、「Silver RX1」の登場です。

まず、(比較的傾向の近い)「Vienna acoustics HAYDN (S-1G)」との比較を軸に書かせて頂きます。
(※無論、価格が倍近く違いますので単純な「vs形式」と同じようには解釈されないようにお願い申し上げます。)

●音が明るい!(派手とも言える、活発的な、元気な音。聴いてすぐに「元気だなー!」って言ってしまった。笑)
●音が飛んでくる飛んでくる!(前に前に飛び出すような鳴り方はMONITOR AUDIOらしいです。)
●シリーズ中、もっともコンパクトなRX1なのに低域は必要十分。(RX2以降がモリモリ低域なら残念だなぁ…。[未試聴])
●元気で明るい分、繊細さはあまり感じられません。(1音1音も、音像もちょっと荒っぽく描かれ放たれる印象です。)
●ハイスピード。(…と言うよりはA級アンプっぽいスピード感です。(キレがあって軽快というよりは、ブレーキがなくアクセルだけという印象。))

などなど、最近のモニターオーディオ(Silver/Gold/Bronze/Radius)らしいと言えばそれだけなのですが。
前身モデルとは直接比較が出来ていませんが、広がりを持たせて来ているような印象です。
ひょっとしたらフルオーケストラなどを広大に鳴らす意識で、音を大きく大きく描き出そうとしているため、(もともと激しいソースばかり聴いているので)僕らが聴くと音が荒っぽく聴こえるのかもしれません。

…と、なんだか悪口ばかりでは?と思われるかもしれませんが、全然そんなことはなく、むしろメタルにもポップにも合いそうなので好印象です。
むしろ、まだ鳴らし始めたばかりなのになかなかのポテンシャルを持っていると思っています。
これから、もっとも適したケーブルなどを探しながらエージングさせていって「どうだ!」ってサウンドを鳴らしてやれればと思っています。
(タイトにタイトにしてあげなきゃな…KIMBER KABLEとかの方が良いかも。)

http://www.hifijapan.co.jp/Silver%20RX.htm

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LUXMAN D-05

金曜日, 9月 18th, 2009

3連続投稿の2つ目です。

久しぶりにLUXMANを取り上げてみたいと思います。

最初に肝心なことを1点。
黒江的には「好きな」サウンドではありませんでした。
が、オーディオ機器としての評価は高く、僕とは異なった好みの方であれば気に入られる方も多いかと思いますので、参考になれば幸いです。

【耳に優しい、しっとりした音。】

暖かみのある、柔軟なイメージの往年のラックストーン(ラックスサウンド)ではありませんが、通ずるものがあるような聴き心地の良いサウンドです。
暖かいか冷たいかで言えば「すっきりとして涼しげ」な方で、音や音像に厚みや太さ、派手さや濃さがないので絵で例えると水彩画調?と言えば良いのでしょうか、パステル系とも言える傾向です。

音像や音場は主張の少ないタイプで、音が飛んでくることがなく、スピーカーのすぐ前に描かれているものを少し離れたところから眺めるようなイメージです。
個人的には音色の傾向と合っていて好印象でした。
(ブリブリ/バキバキ系のサウンドが、遠くで佇んでいるようでは困りますが…。)

「ひかえめな、おしとやかな、落ち着いた」などの形容も合っている感じで、極めてエレガンスです。
もちろんS/Nや解像度、情報量などの基本性能は当然のごとく高く、SACDはもちろんCDの再生も非常に高音質なのでしっとりめのプレーヤーを探されている方はぜひご検討ください。

http://www.luxman.co.jp/product/dp_d05.html

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TIGLON MS-12A改 [ザ・ステレオ屋ver.]

金曜日, 9月 18th, 2009

今日は3連続の投稿です!

タイトルの通りですが、先日ご紹介したTIGLON MS-12Aに当店オリジナルのカスタマイズモデルが誕生します!
…って、カスタマイズなんて言ってもただプラグを上位モデルに交換しただけですが。(笑)

プラグには「FI-20 R&FI-20M R/FI-25 R&FI-25M R」と当店のベストプラグとして君臨し続けるフルテック社の新たなロジウムモデル「FI-28(R)&FI-28M(R)」です。

このザ・ステレオ屋オリジナルの『MS-12A改』をノーマルのMS-12Aと比べると…
●S/Nがかなり向上しています。
●高域が(出ていなかったところまで)伸び、低域も(出ていなかったところまで)沈み込んでいてレンジ感が増しています。
●解像度(音の細かさ)が改善しています。
…と、項目的にはたったこの3点です。
(飛躍的に向上!とか、別次元です!なんてことは言いません。)

が、伴う(良い意味での)副作用と言いますか、相乗効果も多く、
●音像定位が向上しています。
●音から余計な贅肉(付帯音)が落ち、1音1音も明瞭に。
●抜け、キレ、立ち上がりが明確に。
●いわゆるハイスピードに。
などなど、かなりの進歩/進化をしています。

前回のレポートで僕がもう少しと思っていた点や、書いていた点が上手く改善されていると思います。
…って、ノーマルモデルを聴いて「このプラグにすればこうなるだろうなぁ」とすぐ思ったので、実行したまでなのですが。

近々に正式な発表をさせて頂きます。ご期待ください!

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PRIMARE CD21 vs HEGEL CDP2A

水曜日, 9月 16th, 2009

昨日に引き続き、TEAC PD-H600をレポートしようかと思っていましたが、先にリファレンスのCDプレーヤー2機種をレポートします。

【バーッと覆い被さるCDP2Aにピシピシと粒を投げつけるCD21】

いつものように「分かったような分からないような」例えからで恐縮ですが、HEGEL CDP2Aの熱気があって包容力のあるサウンドに対し、PRIMARE CD21は音の見通しが良く吹き抜けていくようなサウンドです。

ググッーっと深みのある低音やボーカルの力感(熱気)はCDP2Aの方が重厚で情報量があるので優勢ですが、重なり合う音数が多ければ多いほどその重厚さと情報量ゆえに暑苦しく、ゴチャゴチャした中の見通しに難があります。
逆にググッーっと深みのある低音やボーカルはやや淡泊に感じますが、切れのあるギターやシャウトなどは粒の細かさでCD21の方が優勢に感じ、重なり合う音数が多ければ多いほどゴチャゴチャした中でも1音1音の存在感や位置が聴き取れるという印象です。

一見、このように書くと「CDP2AはホットでCD21はクール」とも取れそうですが、基本は双方共にホット(…というよりはエモーショナル系と言った方が適当かな?)で、音がお上品に、おしとやかに、遠慮がちに鳴っている(草食系?な)感じではなく、グイグイと迫ってくる、襲いかかってくる(肉食系?な)感じです。

ただし、(前述の通り)CDP2Aは迫ってくるとは言ってもどこか包容力のある音でありアンプにも共通する開放的な大らかさを感じますし、CD21も吹き抜けていくような爽やかさがあるので「肉食系=がさつ」みたいなワケではありませんので…。(人間の肉食系も然り!)

当店での実績では正統派のプログレッシブなどを筆頭に幅広いジャンルを好まれる方はCDP2Aを、僕のように狂ったようなサウンド(失敬!^-^;)を重要視している方はCD21を好む方が多いようです。(個人的にはPRIMAREのサウンドが好きです!)

ちなみに、レポートの内容はブランドカラー(音色)にも通じるところがあり『タイトで張り出すような弾け飛ぶようなPRIMARE』『一旦(一瞬バッと)大きく広がった音が(一転して一気に)グーッとリスナーを包み込むようなHEGEL』というのが僕の総合的な印象です。

PRIMAREの上位機種との「vs形式」もレポートしたいですね。

http://www.noahcorporation.com/primare/primare_01.html
http://www.electori.co.jp/hegel/CDP2A.pdf

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TEAC AG-H600

火曜日, 9月 15th, 2009

(なにせ、METALやJ-POPを主体に鳴らそうなんて感覚のお店は他にないわけですから)『ザ・ステレオ屋系サウンド』を求められるユーザーからは日々「お勧めはなんですか?」と聞かれているのですが、座右の銘?口癖?の如く、「お勧めはありません。○○さんが聴いてて一番フィットする、しっくりくるものがお勧めです。」と答えるしかありません。

…が、『ザ・ステレオ屋系サウンド』でXX円くらいで買うとしたら何がありますか?と、聞かれればその時々で一番(僕が)好きだったモノをご紹介してきました。
要は、そんなモノ達がこれまでのザ・ステレオ屋リファレンスを形成してきたのですが、意外に少ないのが国内ブランドの(インテグレーテッド)アンプでした。

結構な以前までさかのぼるとmarantzのPM-14(SA)&PM-17(SA)を息長くお勧めしていて、随分と間があってONKYO A-1VLが登場するまではUNISON RESEARCH Unico iやARCAMあたりの輸入物くらいしか候補が無かったな…と、そんな中(思い出話はよいとして)久しぶりに国内ブランドでイチオシ出来るアンプがリリースされました。

(「よいとして」と書いておきながら)思い出話に(ロックに合うと評判の)あのメーカーが無いんじゃない?と思われた方、まずメタルというジャンルは=ロックではありません。
ロックというジャンルをベースにしていますが、メタルというジャンルなのです。(最近は更に細分化が著しく、僕の好むのは極端に激しくてテンポの速いもの。)

なので、(ロックに合うと評判の)DENONというメーカーはハードロックにこそ合うと思っていますが、ヘヴィメタルには合わないと考えているのが僕の以前からの持論です。
(理由は、低域重心で鈍足、加えて音が濃い傾向なので、エッジの立ったキレのある音ではないため。)
(コクがあるとか、マイルドとか、どっしりしているとか、情報量の多い、なんて表現も当てはまると思います。)
たぶん、ロック=低音が必要で、重厚なサウンド(ヘヴィ=重々しいという意から?)でなくてはならないという解釈から、ロックとメタルを一緒くたにしての意見ではあると思うのですが、ちょっと安直なのではないかなぁ…と思ったりしています。

なんでこんなことを書いているかというと、今回紹介するTEAC AG-H600が正に「DENONはロック向き」と誤解されてきたサウンドの傾向を納得できるサウンドとして実現していると考えているからなのです。

…と、本題のAG-H600のサウンド傾向を書いてみます。

【和製PRIMAREといった印象の押しの強いサウンド】

DENONと共通するのは…
●厚みのある、やや芯と肉付きの太い音。
●重心は低めで、華のある明るいサウンド傾向ではない。
●霧状にめいっぱい広がるようなサウンドステージではなく、音が四方八方に放られるようなイメージ。
●艶のある色気や水気を帯びた音色ではない。
などが挙げられます。

DENONと共通しないのは…
●音の輪郭はやや厚め(の皮)で硬すぎない(弾力的)が、しっかりとエッジの見える傾向。
●上下左右への音の拡散が小さく、前面に音を張り出してくる感じ。(やや荒っぽい。)
●低域の存在感は十二分にあるけど、量感が過ぎるようなことはなく、(高域のレンジがやや狭いのを除けば)フラットなバランス。
●余韻が乏しい分、音の立ち上がりやインパクトが明確でキレがある。
などでしょうか。

総論としては「広がりがあって、音が部屋いっぱいに充満するような傾向がある(ちょっとファット)」DENONに対して、「音場は狭めだけど、ストレートに飛んでくる傾向がある(ややマッチョ)」TEACという感じで、その分、スピード感に優れているTEACの方が(特に僕の好む)メタルに合っていると思うのです。

シャープでソリッドでハイスピードなアンプを『無数の音の針(orレーザー)が耳に目がけて飛んでくる』とすると、AG-H600は『音の(パイ)生地が顔面に叩きつけられる感じ』とでも言えばよいのでしょうか、この感じがPRIMAREのアンプに似ているので和製PRIMAREと称してみました。

最後に、DENONを悪く書いているように見えるかと思いますが、そんなつもりは一切ありません。
万が一そうであったとしても、それは僕の感覚であり、僕の好みというだけです。
(※今回は比較対象として書いているだけであり、実際にDENONサウンドが合うと思った方にはDENONをお勧めしています。)

http://www.teac.co.jp/audio/teac/agh600/index.html

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NODOST MAGUS

土曜日, 9月 12th, 2009

この度、NODOST社の電源ケーブルがPASS(Laboratories)のオプションケーブルとして販売開始されました。
オプションケーブルと言ってもPASSの製品にしか使えないわけではなく、通常のコンセントプラグ(3P)にインレット(IEC 15A)ですのでどんな機器にも使用可能なのですが、ノードスト社の線材構造上、日本のPSE規格に通らないため、このような扱いとなっています。

逆に言えば、「通常は入手し難い構造=規格品では出せないサウンド」とも言えますし、確かにその構造から来るメリットを感じさせてくれます。

【NODOSTらしいスピード感とNODOSTらしくないワイルドさ。】

ちょっと意外かもしれませんけど、一言だとこんなイメージです。
※はじめに断っておきますと、この「最も下位のモデルは」ということです。

ノードストって、以前からハイスピード、ハイ・スピードって自称していましたけど、僕にとっては(まず先に言うほどの)ハイスピードではなくて「音が細かく、あっさり系で、抜けが良い。」といった印象で、スピード感は「とっても」ではなく、「まずまず」という感じでした。

そんな今までの印象を持ちつつ、今回のMAGUSを聴いてみた(主に「GRACE design m902/NuForce Stereo 8.5」にて)のですが…
●今まで聴いてきたものよりもレンジは狭め、だけど、中域がしっかりしていて高域、低域がでしゃばらない。
●きめ細かいという感じではないけど、もちろん目が粗いということではなく、神経質すぎない程度に分解されているといった感じ。
●音がピシッとかたどられて、張り出す感じ。
●輪郭がしっかりしていて、キレが良い。
●今まで聴いてきたものよりも断然ハイスピード。
…と、そんな感じです。

約40万円(!)という、VALHALLAも聴いてみましたが、このMAGUSはどうやらNODOSTでありながらも少し異端児のサウンドを持っている様子。

先にVALHALLAの方のショートレビューを書いちゃいましょう。
●一番「珍しい!」&「これ面白い!」と感じたのは、高級モデルなのに低域の量感が全然無い(少ない)こと。
 (オーディオ機器もそうだけど、ケーブル類も普通はやたらと低域が主張してくるモノが多いのに…。)
●なので、帯域バランスは高域が一番強めで、低域が一番弱めの「▽逆三角形タイプ」。
 (高価な大型フロアスピーカーを使用されていて、低域がブンブン/ボンボン(失礼かもだけど)バカ鳴りしている方にはぜひ一度聴いて頂きたいです。)
●さすがに解像度、S/Nなんかは抜群。
●音はしっとり、少し水っぽくて艶のある傾向(=シルキー?)。
●余韻なんかもかなり細やかで綺麗です。
それで、2モデルを聴き比べて分かった(感じた)のですが、
「そうか、NODOSTの言うハイスピードっていうのは音場のスピード感(超端的に例えれば、パラパラマンガをめくる速さ)だったんだ。」
と思ったのです。

でも、MAGUSは立ち上がりが速く、インパクト音も良好、エッジもしっかり、キレも上々なので、僕の思うハイスピード。
ひとしきり聴き終えたので、最後に資料に目を通してみるとMAGUSだけは銅線で、その他は純銀線です。
「なるほど(MAGUSは異端児的だったり、VALHALLAは艶っぽかったり)」と思う点も多く、なんとなく納得しました。
(でも、銀だからこう、銅だからああ、とは決めつけてません。)

…(銀線を使った高級モデルが代名詞であるブランドなのに)最廉価モデルで銅線のケーブルを高評価しちゃうのが僕らしいというか、なんというか…。(^-^;

輸入元エレクトリの公式サイトなどに情報が掲載されていませんので、価格表を掲示しておきます。

MAGUS (2m) 28,350円 ※MAGUSは2mのみの展開。(長尺の特注も無し。)
SHIVA (1m) 43,050円
SHIVA (2m) 52,500円 +12,600円/1m
VISHNU (1m) 86,100円
VISHNU (2m) 94,500円 +21,000円/1m
BRAHMA (1m) 189,000円
BRAHMA (2m) 210,000円 +42,000円/1m
VALHALLA (1m) 388,500円
VALHALLA (2m) 430,500円 +94,500円/1m
ODIN (1m) 1,470,000円
ODIN (2m) 2,100,000円 +682,500円/1m
★特別販売価格などお問い合わせください!

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Mark & Daniel Maximus-Mini+

木曜日, 9月 10th, 2009

引き続きスピーカーのレポートとなりますが、最近第3のリファレンスとなりつつあるのが、
この『Mark & Daniel Maximus-Mini+』という色々な意味で一風変わったスピーカーです。

【稀に聴く綺麗な高域と、音像の定まった中低域が絶妙に交わったサウンド。】

特徴だらけのスピーカーではありますが、その代表格になるであろうと思われるのが「人工大理石(コーリアン)」を用いたエンクロージャーです。(※メーカーでは合成大理石と表示しています。)
オーディオという世界では、(なぜか)旧来から木製の箱にスピーカーユニットを取り付けて鳴らすという定石(常識)が長く続きましたが、最近やっと非木製のエンクロージャーが台頭(受容)してくるようになりました。

(昔は「箱鳴き」なんて言葉が当たり前に使われていたくらいだから、「箱も鳴らすもの」ということだったのかもしれませんが、)
このコーリアンで形成されたエンクロージャーは(いわゆる木と石の差で)硬く、音が響いたり、漏れたり、箱が振動したりすることがほぼ皆無となり、結果、スピーカーユニットから発せられる音だけでサウンドが形成されています。

そのことから、オーディオをよく知る人向けに一言で云えば「バスレフ型なのに、密閉型のようなタイトフォーカスなサウンド」と言えば伝わると思いますが、音に(取り方によっては無駄な)響きや被りが無く、端正でストレート。とも言えるサウンドです。

ここで肝心になるのが各スピーカーユニットということになりますが、高域を担うツイーターユニットは「ハイルドライバー」と呼称されるタイプなのですが、非常に繊細な高音を出すことが出来るリボン型にこだわり何度もTry and Errorを重ねながら開発されているようです。
中域~低域を担うウーハーユニットもわずか約10cmという小口径ですが、かなり奥行きのある形状となっており、このストロークを高速にピストンさせることによって、ハイスピードながらも最低域をしっかりと描き出すことが出来るように考えられています。
双方共に自社製ということもあって、「自信のあるユニット開発」→「ユニットの特性を最大限に引き出すためのエンクロージャー」という流れが伺え、これはスピーカーブランドとして非常に大切なポリシーではないかと感じています。

…と、大体ここまでの流れで音の傾向は分かってくるかと思いますが少しまとめてみます。
●スピード感はGood. (S-1Gには一歩及ばずですが、遅い音、速い音の鳴らし分けが非常に巧みです。)
●高域がとにかく繊細。 (「キンッ」と鋭利に切れ込んでくるというタイプではなく、「ピンッ」と張り詰めて出た音が「サーッ」と霧状に消えていく感じ。)
●中低域の音像感が秀逸。 (音の輪郭や定位が明瞭で、音の位置関係などが際立っています。)
●少し芯の太い音で、肉付きは薄め、輪郭はやや強め。 (「シャープな音」とは言えませんが、「タイト」という言葉がとても合います。)

決して「足して2で割った音」とは言いませんが、「立ち位置的には」ATC SCM7とVienna acoustics HAYDN (S-1G)の中間にポジションする感じです。

物足りないと言いますか、もう少しと言いますか、実はまだ本格的に鳴らし込んで(追い込んで)ないので、黒江的にどう鳴らすかということを挙げると…、
●高域の出方と中域~低域の出方を揃えたい。 (高域は綺麗なのは良いんですが、切れ込みがないのでソリッドに、中低域は芯が強めなのでもう少しシャープにしたい。)
●広がりがない音なので、もう少し広く? (高さ方向には広めのサウンドステージがあると思います。左右方向は狭めかと感じましたが、個人的にはコレくらいが好きなのでこのままでも良いかな?…と。)
●少し音が重いので、明快/軽快に。 (これも好みですが、もう少し明るいサウンドに出来たらな…と。)

こんなところですが、結論としては「久しぶりに欲しくなってしまった」ので、黒江的にはアリです。
(僕が好むのですから)もちろんメタルもイケますが、SlipknotのようなタイプよりはIN FLAMESのようなタイプがより合いそうです。(音にシャープさを出せればSlipknotもかなり良くなるハズ!)
あとは、高域が綺麗なので女性ヴォーカルもイイ感じです。

リファレンスが3機種もあるのは嬉しいような気もするし、悩みの種でもあるし…ですが、みなさんにも自分の一番好きな音を探し出してもらえれば幸いです。

http://www.mark-daniel.jp/

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ATC SCM7

火曜日, 9月 8th, 2009

前回に引き続き、現在のザ・ステレオ屋リファレンスモニターのもう一角となるモニターのレポートです。

【速攻のHAYDN vs 堅守のSCM7】
何となくそんなフレーズを書きたいような気になったので書いてみましたが、俊敏で鋭利でキリッとしたHAYDN(S-1G)に対し、安定感やバランス感が良く、力強くもあり穏やかさや包容力のあるようなサウンドであるのがSCM7です。

そもそも、ATCというブランドは一頃前まで「鳴りも(重量も)重く、大変なアンプ喰い」というのが定説であったくらいに「吹き出すような鳴らし方」をするのが大変なブランドでした。
僕個人の経験談や印象としては「(今回紹介しているSCM7とほぼ同じ大きさ/価格の)もっとも小型なモニターでさえ、300W~500Wも出せるような大型なパワーアンプでドライブしないと鳴ってくれない。」…といった印象で、当然アンプの価格がモニターの数十倍になってしまうので「随分身の丈に合っていないモニターだなぁ…。」と思いつつ、(ハイスピードを好む僕としては)かなりの投資をしなければ思い描く音にならないため、なかなか選択肢にすら入っては来ませんでした。

しかしながら、上手にドライブできるアンプを大前提とした「ハマった流れ」を作れた時の“分厚くも明瞭で、大胆ながら精密”といったサウンドがとても印象に残っていて、決して嫌っていたりしたブランドでもなかったことを覚えています。

…それから少し年月が経って、ある時の製品発表会でのことです。
正直言って最初の印象は「カッコ悪くなったんじゃない?」としか覚えていない、まるでマスクをしたような新型が登場したのです。
でも、(中身が良かったから?)一気にカッコ良く見えはじめたのは、そのヴェールを何枚も何枚も剥がしたような音。
思わず、「はじめっからコレ作っておけばいいのに!」と思ってしまった(言ってしまった)かもしれません。

その音は、今までのATCブランドに抱いていた既成概念をさっぱり忘れ、いつか思ってたATCにしか出せない理想に近かったのです。
その後すぐに店頭に迎え入れ、より好みに追い込むことが出来ることを確信し、気が付けばリファレンスの一角を担うモニターとなりました。

冒頭の通り、S-1Gとは別の性格であり、良い意味で好対照ながら(黒江が好みそうな)共通点も多くあります。
特徴を幾つか挙げていくと…
もちろん、基本的にはハイスピード。([S-1G]や(殿堂入りの?)[PMC LB1]にはもうちょっと及ばないけど。)
低域がタイト。(且つS-1Gには無い深さがあって、5弦ベースなんかもしっかりと聴き取れる。)
定位が良好。(クリア/繊細といった要素が先に来るS-1Gよりも、こちらの方が音の存在感は強い。)
帯域がフラット。(高域が走ったり、低域がもたついたりという印象は受けません。)
力感のあるサウンド。(やや芯は太め、肉付きも筋肉質な感じでしっかり、雄々しく、骨太で、パワーのあるサウンド。でも荒っぽくない。)
…と、こんなところでしょうか。

ちなみに、Yahoo!ブログにて番外編を書き続けている「僕の弟分であり、ドラマーであり、もちろん熱心なオーディオユーザーであるS君」はSCM7の方が(僅差で)お気に入り。僕は僅差でS-1Gがお気に入り。
(ウチで試聴をされて)購入される確率もほぼ五分五分で、
(メタルも聴くけど)ハードロックやジャズ、プログレッシブも好まれる方はSCM7を、
(ロックも聴くけど)ヘヴィメタルが中心で、Jポップやエレクトロニカ(テクノ)も好まれる方はS-1Gに軍配が上がりやすい傾向です。

が、「あの曲はあっちの方がいいんだよなー。」と最後まで後ろ髪引かれている方をよく見かけます。(笑)

…いや、本当にどっちも良いモニターなんですよね…。僕もどっちも欲しいです。はい。

http://www.electori.co.jp/atc/SCM7.pdf

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