Archive for the ‘レポート:PC(USB)/ネットワーク系’ Category

Pioneer A-70 [postscript]

水曜日, 11月 21st, 2012

(採用にあたり条件付きながらも)数年ぶりに『ザ・ステレオ屋リファレンスアンプ』の座を射止めた「Pioneer A-70」ですが、当店のユーザーさんからも一様に好評をいただいておりますが、ぽつぽつと購入された方、ほぼ購入決定の方も増えてまいりましたので前回に書ききれなかったことを幾つか追伸させていただきます。

●USB接続やデジタル入力でのサウンド
原則的には前回のレポートの通り、「ハイスピード・クリア系・硬質傾向・エッジ感・キレ」といった“アンプのベーシックなサウンド”を感じさせますが、DACを経由するためかややサウンドに変化(エッセンス・スパイス)が乗っているようです。
USBやデジタル接続時のサウンドは(ライン入力時に比べ)「ややおとなしく、平面的」といった印象で、きれいではあるのですが少し棘が取れて丸くなる傾向なのでUSB接続などをメインに検討されている方はご注意ください。(スピードやキレも少し落ちます。)

●BASSの絞り加減
前回は“9時半~10時”と書かせていただきましたが、少し大げさでした。(ごめんなさい。)
(黒江的)ベストは“10時~10時半”あたりで、繋げるスピーカーの元々の低音量によって9時半や11時あたりをお好みでお使いいただければと思います。
(BASSのデフォルトはセンターの12時ですが、11時あたりで一気に低音が減衰するので試聴の際は「大体○時で」などと適当にせず、ぜひ微調整をしていただければと思います。)

●A-50との違い
「A-70とA-50の主要な部分は共通」とのことですが、実際に同時比較試聴を行った結果、(少なくとも黒江には)「とても同じようなサウンドには聴こえなかった」ので、「A-70のレポートや評価を見聞きしてA-50を購入するのは(A-50が良い悪いではなく違ったものなので)回避していただくのが賢明と思います」ということを今一度、明言させていただきたいと思います。
(「A-50とA-70は似たような音だけどA-50の方が安い分、やっぱり少し粗いかな…とか、解像度やS/N感に劣るかも」程度の差であれば、そう書かせていただきますので…。)
…ですので、(予算的に)A-50を検討されている方は必ず試聴していただければ幸いです。(できたらA-70との比較試聴もしてみてください!)

●サウンドの捕捉
(前回は特筆し忘れてましたが)S/Nが非常に高いのもポイントの1つで、何も再生していない状態の“無音時”に於ける(スピーカーから「スッー」と小さくノイズが聴こえてくる)残留ノイズもほぼ皆無であり、(音が出ている間は)その無音の空間に(次から次へと)ポッと音が浮かび上がってくるのが目に見えるよう、手に取れるような高い音像感も持ち合わせています。
逆に「1音1音の芯や肉付きはやや華奢な傾向」であるため、TEAC AG-H600や(旧機種の)PRIMAREのような“エグってくる感”はあまり持ち合わせておらず、“鋭利感”はあるけど“暴力的”ではないといった「無骨なマッシブさ、マッチョさ」は求め辛いかもしれません。(低音を上げれば少しカバーできますが…。)
とは言え、女々しいサウンドのアンプではありませんので、アグレッシブなジャンルをお好きな方も安心してお求めいただけると思います。(これで聴くSliPKnoTがめちゃくちゃ気持ちいんです…。)

…と、とにもかくにも(いい加減しつこいのはわかっていますが!笑)、条件付きであれば“黒江的サウンド”の間違いない今年(ここ数年)のベストアンプです。
しばらくは『ザ・ステレオ屋リファレンスアンプ』として長めの付き合いになりそうなので、ぜひ皆さんにもご検討いただければ幸いです。

Cambridge Audio Stream Magic 6

金曜日, 9月 21st, 2012

久しぶりに『ヒット機の予感!』をさせてくれたネットワークプレーヤーと出会いましたので緊急レポートさせていただきます。

【All-Around and All Genre】
“オールラウンド・オールジャンルのダークホース機”
(秋冬の注目機になってほしいかも!)

まずはいつものようにサウンドの分析です。
(弟分が似たようなことを書いてしまっているので面白みに欠けますが…。)

■Cambridge Audio [Stream Magic 6]
●(ほぼ同じ仕様ということと、当店のリファレンスである)N-50と比較すると「N-50は硬質・寒色系・シャープ・タイト・スッキリ系」のサウンドであることがより明確に分かります。
かと言って、Stream Magic 6はその対極である「軟質・暖色系・ファット・マイルド・美音系」ということではなく、その中間でもなく…「限りなくN-50寄りのサウンドだけれど、N-50よりは全体的に音の濃い傾向」と言えるポジションです。
●「ニュートラル・フラット・ウェルバランス」と言った形容が似合いそうなサウンドで、「んんー、この手の曲はグズグズだなぁ」と思うようなことがありません。…が、「ああ、このジャンルがピッタリだな」と思うこともなく、“どんなジャンルでも普通に鳴ってる”という感想に尽きます。(もちろん、褒め言葉として。)
●N-50に比べて“やや厚く、やや濃い”という印象ですが、「低音が緩い、音が丸い、エッジがぼやけている、低音が強い、高音がきつい」などのネガティブ要素は無く、(くり返しになりますが)どんなジャンルでも安心して聴けるのが本機の(音的な)最大のウリではないかと思います。
●S/N感はまずまず良好、見通しも上々、音場も広すぎないのが個人的にはgoodです。
●“超”が付くようなハイスピードではありませんが、“上の下”~“中の上”くらいのスピード感なのでメタルやアグレッシヴなナンバーもお手の物です。
●強いて言えば、若干高域の伸びが弱いので高音域を重要視したい方は(ネットワークプレーヤーじゃありませんが)Essensioの方を強くお勧めいたします。
黒江的好み度:A- (総合評価は◎です。)
…と、サラッと書き出すとこんな感じでしょうか。

サウンドの傾向を踏まえて幾つかのポイントを挙げさせていただくと…

○ネットワークプレーヤーにとって“どんなジャンルでも普通に鳴ってる”ということは最大の武器ではないかと考察します。
USB DACにも同様のことが言えるかもしれませんが、家族や兄弟、恋人などと音楽ライブラリーを共有していることが多い方は様々な音楽ジャンルがそのライブラリーには詰まっているはずですし、
(僕はこのタイプですが)複数で共有していなくても「メタルやハードロックや歌物を筆頭にJ-POP・ELECTRONIC・ACOUSTIC・COUNTRYとか、クリスマス時期用にクリスマス系など幅広いプレイリスト」を所持している方も少なくはないはずです。
こういった面を考えると「あるジャンルに突出したサウンド傾向より、オールジャンルが好ましい」と言えるのではないかと思うのです。

○豊富な機能(接続)がデジタルステーションとしての役割も果たします。
いわゆるUSB DACとしても使用できますし、USBメモリーやUSBハードディスクも接続でき、光デジタル入力・同軸デジタル入力も可能なのでレコーダーやCDプレーヤーなどを接続しておけばデジタル入力の切替機としても重宝します。
さらに無線LANも搭載しているので、ネットワークラジオや(ハイレゾリューション音源などの)高レートな音楽データ再生しないライブラリーのシャッフルプレイ程度であれば余計な配線を1本減らすことができます。(ハイレゾはUSBメモリーやUSBハードディスクなどで聴くのもよいと思います。)

○1つ大きな注意点を述べますと「iPhone/iPad/iPod touch/Android」をリモコンとして用意できない方は購入を控えていただきたいという点です。
ご周知の通り、輸入品であるこのモデルは『本体がまったく日本語に対応できていない』という状態です。
本体のディスプレイでは“ひらがな・カタカナ・漢字”はすべて文字化けか空白でしか表示されませんし、フォルダやファイル名などでの操作もままなりません。
その代り…と言ってはなんですが、コントローラーアプリである“Stream Magic”というアプリケーションはなかなか出来が良く、(N-50とは違って!笑)NAS[DLNA]と直接やり取りをするためアプリ上では日本語もバッチリ表示されますし、動作もなかなか軽快です。(Android版では時折不安定になることも。)

…こういった特徴を持っておりますが、総合的には非常に総合力の高い製品であると思います。
デザインも数あるネットワークプレーヤーの中では(黒江的には)トップクラスに入るのではないかと…。(大好きな黒もありますしね!)

ぜひぜひご購入の検討に加えていただければと思います。

SONNETEER Sedley USB

土曜日, 6月 30th, 2012

前回の予告通り、アナログ関連製品のレポートを書かせていただきます。

【中庸でモダンなテイストを匂わせつつもアナログらしいサウンド。】

本来であればTRIGON [VANGUARD II]との“vs レポート”形式でご紹介したい気もするのですが、前回にも触れたとおり、このSONNETEER [Sedley USB]に関しては別の切り口でお勧めしたい点が“強く”ありますので、サウンドの比較については端的にまとめてしまいたいと思います。

前回の抜粋ですが…
■TRIGON [VANGUARD II]
“キレ・クリアさ・スピード”と3拍子揃っており、鋭利に、アグレッシブに切れ込んでくるようなサウンドです。
…に対しSedley(セドレー) USBのサウンド傾向は…

■SONNETEER [Sedley USB]
●ベースは良くも悪くも普通のフォノイコといった印象で「キレキレでもなければ、伸びのあるサウンドでもなく、シャープな音像を出してくるわけでもなく、広大なサウンドステージを描くわけでもなく」という傾向です。
●かといって「どんくささや濃い味付けを強要してくるタイプでもなく、しっかりしたクリアさのあるタイトなサウンド」なので黒江的にはメタルもこなせるオールラウンダー的な印象です。
●(弟分のブログでは「低域がやや膨らむといった印象を持った」とありますが)元々低域がタイトな(HAYDNなどの)モニターで聴く分には低域が膨らむなどの「アナログにありがちな暑苦しさ」を感じさせません。(むしろ、フォノイコの中ではややクールよりではないかと。)
 (弟分は自宅のATC [SCM19]でのモニタリングだったので、お使いのスピーカーやアンプ次第では印象が異なるのかもしれませんね。)
●レンジ感はやや高域がおとなしめで、ミッドレンジ(中音域)をしっかりと押し出してくる傾向です。(この点が「アナログらしさ」を醸し出しているような気がします。)
●スピード感は鈍足傾向ではありませんが、ハイスピード系にエントリーはできない、“中速タイプ”といったところでしょうか。
●総じて癖の少なめな傾向で「ここが良くない」「(音に癖が乗って)この音はおかしい」などのネガティブな印象は皆無です。なので、パッと聴いて「セドレーらしい音だね」といった感想にはならないので「存在感の薄い(けど、かなりの)優等生」サウンドであると思っていただければ幸いです。
黒江的好み度:B+ (黒江的にはVANGUARD IIとの2台持ちを検討中です。)

そして、このSONNETEER [Sedley USB]の真骨頂と言えるのがPC/Macを使用したUSB接続でのアナログ(レコード)音源のデジタルフォーマット化なのですが、その使用方法などを次回でレポートする予定です。

※「使い方などはマニュアルを見れば分かるよ」という方は下記URLの本国サイトのマニュアルをご覧ください。
http://www.sonneteer.co.uk/pics/sedley%20usb%20manual%20v1.pdf

HEGEL HD11

火曜日, 4月 24th, 2012

【Aggressive系の『決定版的』1台。】

見出しの“アグレッシブ系”に関しては1つ前のレポート(エントリー)にて書かせていただいていますので、先にそちらを読んでいただければ幸いです。

その上で今回は(現時点で)“黒江的好み度”が最も高い2機種を「vs レポート」にてご紹介させていただきます。

■HEGEL [HD11] vs north star design [Essensio]
●HD11はEssensioと比べるとやや低重心ですが、逆にEssensioの方が高重心であるとも言え、黒江は低域がやや薄めの方が好みなので一般的にはHD11の方が“フラットな帯域バランス”という位置づけになるかもしれません。
●前回のレポートの通り、HighSpeed系の決定版的1台であるEssensioはその名の通りのハイスピードサウンドなのですが、HD11も負けず劣らずのスピード感です。
●音のキレ・細かさ・透明感のEssensioに対し、アタック音・(タイトな)低音の定位感・中音域の張り出しのHD11と言った印象で、HD11の方はより(音が)向かってくるサウンド傾向にあります。
●高音域はEssensioの方が一伸びあるように感じ、その分HD11はEssensioと比べるとわずかに暗く感じられます。
●HD11は音の芯・骨格がしっかりしていて、「双方ともに輪郭は非常に明瞭な前提で」HD11は輪郭線がEssensioよりもやや太く(しっかり)感じられます。
(こちらも逆を言えばEssensioの方が輪郭線が細く・華奢であるとも言え、現にEssensioの輪郭は明瞭に感じられる中に於いても強調されたように感じられることはなく、背景にスッと解け出す・ほぐれるような輪郭を描いています。)

…と、このような印象から『HighSpeedのEssensio・AggressiveのHD11』と正に甲乙つけがたい2機種という“黒江的”評価となっております。

なお、HD11だけに的を絞って感想を述べると、とにかくアタック音がとても良好で、打音の質感・インパクトのピーク音・材質の厚みや張りなどが明瞭で、且つキレもあるのでBPMが200近い曲でも高速ビートがスムーズに聴けて気持ちがいいです。
また、黒江的には“巻き弦の歪み”が最高!という感想であり、これは「今までに聴いたことが無いかも」…というくらいイメージ通り(≒録音通り)のギターサウンドが楽しめます。
Shout(Growl/DeathVoice)も唸り感・力感が高く、迫力のあるボーカルが迫ってくる傾向なので、スピードがありつつも暴力的なタイプのサウンドにぴったりフィットします。
黒江的好み度:A+ (黒江はnorth star designとの2台使いで購入しようと思っています!)

ちなみに、このHD11は兄弟機にHD20というモデルを持ち、このHD20はHD11にプリ機能を持たせたモデル(…と言うか、HD20からプリ機能を引いたのがHD11)になっており、先行発売されたHD20はボリュームを最大にして使用することで「HD11と同等のDAC性能を引き出せるはず」なのですが、両者をDACとして聴き比べたところHD11はHD20よりも明瞭・鮮明・クリアであり、プリ機能を必要とされない方には(価格も幾分お安くなりますので)HD11をお勧めさせていただいております。
(HD20の方が低音の量感が高く、音が濃い傾向なのでそういった面も加味していただければと思います。)
(少なくともHD20は「上位互換」といった様子ではありませんのでその点はご注意ください。)

■north star design [Essensio]
…については以前のレポートをご覧ください。
http://www.digitalside.net/?p=444
黒江的好み度:S- (以前に書いていなかったので。)

rDAC vs M-DAC vs QBD76HD

火曜日, 2月 14th, 2012

本日は(またもや)USB DACを3機種レポートさせていただきます。
(しかし、たくさんの新製品が次から次へと投入されているとは言え、ホントに「またもや」ですね…。)

今回は一気に3機種ということもあり、いつもの見出しも無しで“ややvs形式”のリレーリポートになります。
(※リレーリポートとは…A→B→C→Dの順に聴いてゆき、BならAとの比較、CならBとの比較をレポートする形式です。)

まず、リファレンスとして不動の『ザ・ステレオ屋イチオシDAC:north star design/Essensio』を基準として聴きました。
「※耳の記憶だけに頼らず、(その日によっても微妙に音は異なるので)毎回ちゃんと聴きなおして再度耳に(当店の基準を)刻み込んでから比較しています。」

その上で、まずは(女の子や子供用の)お弁当箱サイズくらいの「ARCAM rDAC」からです。

■[ARCAM rDAC]
●きわめてニュートラルという第一印象で、非常に癖の少ないサウンドです。
●1音1音もサウンドステージもクリアで明瞭、スッキリしていて見通しの良い傾向です。
●反面、音の密度感や重厚感といったテイストは無く、高い解像度を感じさせるタイプでもありません。
●「薄化粧」あるいは「すっぴん」的なサウンドなので「面白みがない」「優等生的」と感じられる方も多いかもしれません。
●黒江的には「スピード感が無い」という点だけが、ただ1点の残念な点でありますが、非常に高く評価させていただきたいモデルでした。
黒江的好み度:B (音は◎です!)

次に英国ではメジャーブランドである「audiolab M-DAC」です。主にrDACとの比較とお考えください。
■[audiolab M-DAC]
●rDACを聴いた直後にM-DACを聴くと、ニュートラル系であるとか、変に癖のないサウンドであることが共通項として感じられます。
●その上で、M-DACは「グッと音を濃くしたような傾向」であり、当店的にはrDACを「スッキリ系のAura neo」とし、M-DACをアグレッシブ系の「TEAC AG-H600 (or PRIMAREの旧シリーズ)」と位置付けるような感じです。
●ただし、このM-DACも高いスピード感を感じさせるサウンドではないので、前述の位置づけはあくまで1音1音の質感ということになります。
●そのため、rDACに比べると全体的に暗めのサウンドに感じ、やや低重心とも言えるサウンドです。
黒江的好み度:B-

最後に、かなり高価(約70万円)になってしまいますので「参考までに」という程度ではありますが「CHORD QBD76HD」を聴きました。
■[CHORD QBD76HD]
●M-DACを更に濃厚にした感じで、非常に高い情報量を持っていることが分かります。
●(前の2機種もドライとは言えませんが)前の2機種に比べると非常に音に艶があり、総じてウェットな傾向のサウンドです。
●同社の傾向からして「とてもエレガントなサウンドなのでは…」と予測しておりましたが、(メタルなどを聴くと)非常に音が飛んできて、かなりのアグレッシブさを感じさせるサウンドです。
●こちらも(決して鈍足ではないのですが)ハイスピードと言えるタイプではなく(中速~やや速め)、黒江的には“もう一抜け欲しい”印象でやや分離感に欠ける面がありました。(METAL/CORE/DEATHを聴いた場合ですが。)
●「OFF/MIN/MAX」と3段階に切り替えることが出来るバッファーは「MIN」の印象がもっとも良く、「OFFの時よりもS/N感が上がり、ウィークポイントに挙げた抜けが改善され、総じて見通しが良くなります」。
●ただし、「MIN」にするとわずかにスピード感は落ちますので、せっかくの長所を少し犠牲にする感じです。
●「MAX」は「MIN」よりS/Nはさらに向上するものの、余韻が強くなり、少し癖っぽいサウンドになってしまう印象です。スピード感もより落ちてしまうので黒江的には「OFF or MIN」を常用にしたいと思います。
黒江的好み度:C

…ということで、一気に3機種を聴いた感想・考察でした。
いずれも“黒江的好み度”の通り、あまりツボにハマるタイプではありませんでしたが、[ARCAM rDAC]のサウンドとCPには太鼓判を押させて欲しいと思っております!
(M-DACとQBD76HDはrDACに比べると好みから遠かったので、他の方のレポートも参考にしていただければと思います。…どなたかが書いていれば…ですが。^-^;)

ネットワークオーディオ report 4 【LANケーブル編】

金曜日, 11月 11th, 2011

タイトルは異なりますが、昨日の続きです。

さて、「これにて一件落着」と思っていたのですが、もう1つ妙に引っかかります。
「NASの音と(PCとの)USB接続の音が何でこんなに違うんだろう…。」
個人的には『長いLANケーブルやハブ・ルーターを介する分、音質が低下するネットワークオーディオ』に対し、『OSやPC/Macという(音質に悪影響を及ぼす)コンピューターというハードを介したPCオーディオ』は一長一短のような気がしているので、“どちらかが極端に高音質となる”のは少し違う気がしているのです…。

これまた、ふと思い立ちます。
「そういえばルーターとNASを繋いでいるLANケーブルがものすごーくチャチなモノだったなぁ…」と。

そこで(まずはルーターとNAS間を)FRUTECHのLANケーブル『LAN-10G』とTIGLONのLANケーブル『MGL-1000L』に交換して聴き比べてみることにしたわけですが…。
(他のブランドも数種試していますが、文脈的に端折っていますのでご容赦ください。)

「…………(USBケーブルに続いて)何で?何で音がこんなに変わるの…………。」
しばらく唖然としてしまいました。

…が、よくよく考えると膨大なデータを送受信するための大動脈とも言えるケーブルなのですから、USBよりは変わることにも頷ける気がします。
(しかも、交換前のケーブルは随分前に購入したハブか何かの付属品でとってもボロな「Category 5e」に対し、『LAN-10G』と『MGL-1000L』は「Category 6a」と「Category 7」ですしね…。)
現に、LANケーブルを交換した後はNASとのやりとりのレスポンス(スピード)も飛躍的と言っても良いくらいに向上しています。
(交換前が「モッタリ」だとすれば、交換後は「サクサク」って感じです。)

ただ、やっぱりそれでも納得できないのは「音質(特に情報量・S/N感・解像度)が向上するのはともかくとして、音の傾向やバランスが(ケーブルのブランド毎に)変わる」ことです。
USBケーブルの時と同様に、LANケーブル(内)で高音や低音、シンバルの音やディストーション、クラッシュやシャウトを選り分け(聴き分け)られるはずもないのに、こういった1音1音の出音がケーブルごとに異なるのです。

…ので、“納得できない”とは言いつつも、特に気に入った2本を軽めにご紹介してみます。

■FRUTECH : LAN-10G
『同社のUSBケーブルやロジウムメッキACプラグのような、シャープさとキレ、スピード感。』
●やや明るめで、スパッとした鳴りです。
●低域はタイト、高域はややキラキラ(ギラギラとも言えるかも)とした輝度の高いタイプ。
●ハッキリ、クッキリの明瞭系。
●音場はやや広めな感じです。
●バッと前に向かって来るサウンドですが、鳴りっぷりが良いという傾向ではなく、スピードとキレで突き抜けるような傾向。

■TIGLON : MGL-1000L
『S/N感・解像度・情報量が高く、中庸で堅実なサウンド。』
●(LAN-10Gなどと比べても)頭抜けてS/N感が高く、曲中の静寂感や微弱音が非常に繊細に再現されています。
●LAN-10Gよりもトーンは落ち着いた感じ(暗め)で、スピード感も中速。
●低域はやや(濃く・太く)厚めで、ガチっとした輪郭を描くタイプではありません。
●高域の分解能は抜群と言っても良いと思います。(若干、伸びが足りませんが…。)
●音場はやや狭い感じです。
●音の傾向は少し控えめですが、安定感が高くてバランスも良く、定位感も良好です。

…と、要約すると(双方ニュートラルに限りなく近い前提で)「キレやスピード感に長ける(やや)ライブなLAN-10G」と「解像度やS/N感に長ける(やや)デッドなMGL-1000L」といったところでしょうか。
(同じく双方ニュートラルに限りなく近い前提で、ややコールド[寒色系・硬質系・無機的]寄りなLAN-10G、ややウォーム・ホット[暖色系・重厚系・有機的]寄りなMGL-1000Lとも言えるかもしれません。)
ただし、双方ともに黒江が採用を決めたくらいですので、基本的には「ゆるゆる・もったり・味や化粧の濃い」傾向ではなく、モニター的なサウンドであることには間違いありません。

…で、なぜ2本いっぺんに紹介したかと言いますと「どちらか一方に決められなかった」ので『これらをハイブリッドして使用するのがベスト』という結果となったためです。
なので、結果的には「LANハブからPCへはLAN-10G」を用い、「NASとLANハブの間はMGL-1000L」を用いて、両者を足して2で割ったサウンドで落ち着いています。
(MGL-1000Lが高いから短くて済むところに入れたのは内緒です!笑)

くどいようですが、USBケーブルといいLANケーブルといい、(こんなに音が変わること自体)黒江自身がなんだか未だに理解できないのですが、変わるものは変わるので自信を持ってオススメしたいと思います。
僕と同様に“疑って仕方がない”という方にはお貸し出しなども出来るものがございますので、まずはお問い合わせください!

Pioneer N-50 [postscript]

木曜日, 11月 10th, 2011

昨日に書いたばかりの「Pioneer N-50」レポートですが、もう少し書き足させて頂こうと思います。

【クールとワイルドが同居したようなアグレッシヴサウンド。】

まずはじめに、少しお詫びを申し上げなければいけません。(お詫びしたり、フォローを入れるような内容ではなかったですが。)
この「Pioneer N-50」を昨日のレポートでは『(音の傾向は好きだけど)音質は価格相応・価格なり』と断言しましたが、もう少し褒めてあげても良さそうです。
いえ、黒江的にはちょっと褒めてあげたいです。「Pioneerさん、よいモノ作ってくれました!」と。

ことの経緯はと言いますと…
本製品は『ネットワークプレーヤー』という主眼である製品ということもあって、実は試聴の際にはNAS経由での再生ばかり聴いておりました。
レポートを書くにあたって十分な情報が得られたので昨日のレポートを書いたのですが、ふと「USB接続をちゃんと聴いてないかも」と気が付きます。

※当店では、例えば当機のような「USBメモリ(前面ポート)・USB DAC(背面ポート)・ネットワーク(NAS)」などといった、同じフォーマット(MP3・WAV・FLAC・AACなど)が聴ける装備がある場合、すべてのモードで同様のファイル(例:“XXXXXXXXXXXXX”という曲で44.1kHz/16bitのWAVファイル)で聴き比べるのが基本です。(当然ですが。)

こうなると気になって仕方がないので、レポートをUPしてからすぐに再び聴き比べをしてみたところ…。
「あれ?USB接続がめちゃくちゃ音いいじゃん…。」

…ということで、NAS経由とUSB DAC(PC)経由で同じ曲を聴き比べた印象を述べていきます。

●“やや速い”感じでハイスピードではないと書きましたが、なかなかのハイスピードサウンドです。(「ぶっちぎり」ではないけど、満足できる感じです。)
●気になっていた抜け、キレもだいぶん良好な感じです。
●S/N感も1ヴェール、2ヴェール拭ったように見通しが改善しましたが、解像度とレンジ感はそこまで改善せず。
●全体的な音の印象・傾向はあまり変わらず、より洗練・ブラッシュアップされたサウンドに。

専用ドライバーが優秀なのか、今のところ非公開?のDACチップ(Pioneerオリジナル?)が優秀なのかは分かりませんが、しばらくアレコレ色々な曲を聴いてしまうくらいイイ感じです。

もう一回まとめてみます。
●音の傾向は「元気・アグレッシヴ・ハイスピード・タイト」といった感じ。
●(Essensioなどの高価格帯と比べると)S/N感・レンジ感・解像度にはやや難あり。それでも価格には見合ったクオリティ。
●エッジを立ててきたり、鋭い切れ味のあるサウンドではなく、アタックのしっかりしたパンチのあるサウンド寄り。(“寄り”とあるように、もちろんエッジがボケているワケでもなく、キレも十分あります。)
●低域・高域ともに伸びきってはいないものの、帯域バランスも良好で、定位感も上々です。
●AirPlayが地味に便利です。(^-^;
黒江的好み度:A(~A-)

…と、見出しの通り、基本的にはモニター調でクールに淡々と鳴っている感じですが(価格の分、少し粗っぽいせいか)、所々にちょっとヤンチャな感じがあるのが個人的には好きです。
「Essensioはまだちょっと高価だな…」という方、マルチな機能が欲しい方、とりあえずUSB DACだけでも欲しい方(他の機能は手にされてから有用なことに気が付くと思います)などに、ちょっと強めにオススメしておきます。

※その後、NAS経由の音もかなり改善するプロセスがありましたので次回のレポートに。

製品紹介ページ
http://pioneer.jp/components/networkaudio/
専用ドライバーダウンロードページ
http://pioneer.jp/support/download/home/n-50/

Pioneer N-50

水曜日, 11月 9th, 2011

先日の「LUXMAN DA-100」に引き続き、2011年秋冬モデルのUSB/ネットワーク系のDAC(D/Aコンバーター)を数機種ご紹介したいと思います。

【現時点でのネットワークオーディオ(エントリーモデル)大本命!】

もちろん『黒江的』にですが、見出しの通り現時点でのラインナップの中では非常に僕の好みのサウンドとなっています。

●音質面に関しては解像度とS/N感に加えてもう一抜け欲しいところなので、「(価格が)倍以上もするような機種をも凌駕する」といったような圧倒的なクオリティではありません。
●…が、『こもってる・にごってる』などといった『ちょっと聴けたものじゃないサウンド』ではなく、最低限のS/N感や解像度を持っており、価格よりは高いクオリティの印象です。
●サウンドはとってもストレート(素直)な印象で味付けや癖が非常に少なく、どんなジャンルも録音に逆らわず、違和感を感じさせないサウンドです。
●比較的モニター調であり、低音はタイトにくっきりと鮮明、高音はやや抑え気味ではあるものの、プレゼンス(高音の強調)を効かせたような“いやらしさの感じられるサウンド”ではないので、いかにも「いい音でしょう?」なんて感じのサウンドがお好きでない方には好印象だと思われます。
●自然な中にもメリハリがあって、ちょっと元気な感じ。
●(黒江の大好きな)スピード感は“やや速め”といったところで(これまたお好きな)“キレッキレ”といったタイプではなく、“ビシビシッ”とクッキリ・しっかり・ハッキリと畳み掛けてくるタイプです。
●音の繊細さ、分解能・解像度はもう少し欲しいところです。(…が、この価格なら十分です。)
●繰り返しになりますが、強いて言えば解像度とS/N感、総じて抜けがもう少し良ければ…といったところでした。

なお、この「N-50」は豊富な入出力を持っておりますが、メディアファイルを再生した場合は(前面の)USBメモリーが最も音質が良好で、PCやMacとのUSB接続とNAS経由に関しては環境次第といった感じです。

操作のレスポンスは上々で、(※一足先にレポートをUPした弟分のblogでサンプル機の操作レスポンスを量産機と誤解して「非常にレスポンスが悪い」と書いてしまいました。この場を借りて訂正・お詫びいたします。)評価の高かった「marantz NA7004」とも双璧をなすレベルですが、肝心の選曲メニュー時の操作性・操作感が今一つなので紹介しておきます。
この「N-50(N-30も)」は本体のディスプレイは“リスト部が”4行表示となっているのですが、例えば曲名を表示させた場合に…
1.AAAAAAAA
2.BBBBBBBB
3.CCCCCCCC
4.DDDDDDDD
…と表示され、4曲目から下のリストにアクセスすると…
5.EEEEEEEE
6.FFFFFFFF
7.GGGGGGGG
8.HHHHHHHH
…と、ページ送りになってしまうのです。
つまり、
3.CCCCCCCC
4.DDDDDDDD
5.EEEEEEEE
6.FFFFFFFF
といった、好きなところでリストを止められないので、感覚的な操作が出来ません。

なお、iPhone/iPad/iPod touch用のアプリでも同様の操作感であり、iPhone/iPad/iPod touchのディスプレイにはまだ余白があるものの4曲(4アルバム・4アーティスト)ずつしか表示されません。
(※最初は「なんでこんな仕様に…?」と思ったのですが、このアプリは本体とシンクロさせて本体の表示をアプリに送っている仕様であると気が付きました。)
修正の余地および可能性は高いと思われますが、本体のファームウェアとアプリを連動してアップグレードさせなくてはいけないので少し時間が必要かもしれません。
(Pioneerさんに期待しておきましょう。)

もう一つ言うならば、この機種には(テレビと同様に)主電源とスタンバイ(スリープ)機能があり、リモコンや一定時間の無操作でスタンバイ状態に切り替わるようになっていますが、スタンバイ状態から「本体のどのボタンを押しても復帰できない!&アプリからも復帰できない!」という残念なところがあるので、こちらもアップデートに期待したいところです。

総括としては、音質・操作性などには一定の不評があるものの、価格を考えれば満足のゆく仕上がりです。(特に音の傾向が好みなので。)
黒江的にはNASやPC経由ではそこまで音質にはこだわらず、(リビングなどで)気軽に聴ける方が良いと思っているので一気に購入意欲が湧いてきてしまいました。
ネットワークはもちろん、USB DACとしても使えるし、DVD/BDレコーダーなどからデジタル入力も出来るしなのでマルチな活躍をしてくれると思います!
みなさんも、ぜひ要チェックでお願いします!

N-50/30用アプリの表示例1:下の余白がもったいない…。

N-50/30用アプリの表示例1:下の余白がもったいない…。

N-50/30用アプリの表示例2

N-50/30用アプリの表示例2

LUXMAN DA-100

水曜日, 11月 2nd, 2011

話題の新製品を軽めにレポートいたします。

【ほんのりLUXトーンの省スペース実力機!】

はじめに黒江的ポジションからの結論を述べておきますと…
黒江的好み度は“C”前後(“B-”に入るか入らないか)ではありますが、音質という面ではかなり高く評価したいモデルです。
もちろん、価格(定価71,400円)が価格ですので『100万円クラスと聴き比べても引けを取らない!』なんてことは言いませんが、お好みに合えば倍近くの製品よりも魅力的なサウンドに感じられる方がいらっしゃっても何ら不思議ではないくらいに『サラッとさりげないハイクオリティ』なサウンドの印象です。

「サラッとさりげない」とある通り、音は比較的スッキリ系で、滑らかに・しなやかに・緩やかにといった濃密さを感じさせるサウンドではなく、(ちょっと他の方とは意見が異なるみたいですが、)いわゆるラックストーン(ラックスマントーン)・ラックスサウンド(ラックスマンサウンド)とは異なる癖の少ないサウンドの部類に入ると思います。

具体的には…
●(価格的に突出したのもではないが)高いS/N感と解像度で繊細かつ丁寧に1音1音が作られている印象です。
●帯域のバランスは(黒江的には)極めて自然であり、低域が持ち上がったり、キンキンとした高音を入れ込んでくる傾向ではありません。
●ラックストーンではないと言いつつも、ややしっとりしていたり、(ややウェットな感じに)艶がかっていることからも(見出しにある通り)ほんのりとラックストーンを感じさせる“薄化粧サウンド”と呼びたいイメージです。
●スピード感は“鈍足”ではないですが、お世辞にも“ハイスピード”とは言えず、“普通くらい”といったところです。
●サウンド全体も“シャープ”とは言えませんが、緩々としているワケでもないので“ややタイト”といったところです。
●総じて、音に個性(キャラクター)を加えてくるタイプではなく“ニュートラル”“ナチュラル”といった印象の方が勝ります。
●J-POPや歌物・アコースティックなどは相性バツグンだと思います。

…と、ここまでは注目の機能である『デジタルフィルター』をデフォルトの“df1”(FIR)で聴いた印象なのですが、“df2”(IIR)に切り替えると…
●しっとり感・ウェット感などが抑えられて、音抜けが1抜けも2抜けも向上します。
●音がシャープになり、ちょっとエッジが立ってビシッとしたサウンドに傾きます。
●ギターの歪みやシンバル、シャウト系のボーカルのザラザラ感といった分解系のサウンドが鮮明になります。
(悪く言えばスカスカした感じ、粗っぽくなった感じとも言えますが、これにスピード感が加われば黒江の好み度は一気に“A-”くらいまで上がりそうな感じです。)
●今時の疾走系メタルはちょっと無理そうですが、ハードロックやトランス、テクノなどあまり速すぎないサウンドであれば気持ち良く聴けそうです。
(“df1”(FIR)を“薄化粧”と称するなら、“df2”(IIR)は“(近所で見かけるような=お高くない)すっぴん美人”とでも呼びましょうか。)

…ということで、聴いてみる前は「大人向けのサウンドかなぁー」と思っていましたが、『デジタルフィルター』のおかげもあって10代~40代くらいまでの「J-POPやロックが好きな世代」にもオススメしやすい1台です。
黒江自身も「歌物を中心で聴く時用に1台買おうかな…」と思ったくらいですので、ぜひ「はじめての1台に」「2台目のサブに」と、ご検討いただければと思います。

黒江流『PCオーディオ/USBオーディオ』のススメ report 8 【USB DAC編】

水曜日, 10月 19th, 2011

ペースは遅いですが、順調に第8回目まで進んでまいりました。
(途中の紆余曲折・試行錯誤はかなり端折っていますが、)ここまで『リッピングソフト(CDからデータへの変換ソフト)・再生ソフト・USBケーブル』とそれぞれの(黒江的)マイベストを紹介してきておりますが…、(※以前のレポートもご覧ください。)
今回は表題の通り『USB DAC』のマイベストをご紹介させていただきたいと思います。

■north star design : Essensio
まずは、以前にも「大絶賛」させていただいた『north star design : Essensio』です。
以前のレポートは↓コチラをご覧ください。
http://www.digitalside.net/?p=444
以前のレポートでは主にCDプレーヤーからS/PDIF(=同軸デジタル・COAXIAL)での接続によるサウンドの印象を述べておりますが、USBによるサウンドも“vsレポート”の『Aura design : neo』とのCDプレーヤー比較と同様にEssensioの方がS/N・分解能・解像度・レンジ感など、軒並みに(Essensioの方が)上回ります。

更に言えば、Essensioは“192kHz/32bit”という音楽用のデジタルデータ(フォーマット)では現時点での最高峰の規格にまで対応しており、この音質・デザイン・価格などを総合して考えると向こう数年のロングランが見込めるモデルだと思います。
つまり、今買っても「しばらく買い替える必要はない」ということでもありますし、これからコツコツと貯めていただいてからでも遅くはないとも言えると思います。
ただし、ネットワークオーディオには対応していないのでネットワークを必要とされる方や、ネットワークラジオ・AirPlayなどに魅力を感じている方はその辺りの検討もしつつ、入手をご検討いただければと思います。(黒江としては、いずれ外付けのネットワークオーディオデバイスが各社から発売されるのでは…と思っておりますが。)

※同north star design社の兄弟機・上位機種である『usb DAC 32』はアナログ回路用とデジタル回路用の電源トランスを分けたダブルトランス仕様となっており、Essensioをより高S/N・高解像度・高情報量とベースアップさせたサウンドになっております。(キレやスピード感はEssensioの方が良好ですが、)こちらも非常に優秀なDACだと思いますので併せてご検討いただければと思います。

■NuForce : μDAC2
こちらも以前にレポートを書いていますので↓コチラも併せてご覧いただければと思います。
http://www.digitalside.net/?p=432
…が、こちらはあまり気合いの入ったレポートじゃなかったので、もう少し書き足してみたいと思います。

【やや粗く、情報量不足気味ではあるものの、精悍でクリアなハイスピードサウンド。】

端的に言えばこんな感じですが、価格(15,750円)を考えると驚異的な音質であると言えると思います。以前のレポートでもお分かり頂ける通り、数万円~10数万円までのモデルをかなり聴き比べていますが、CP(コストパフォーマンス)という面でμDAC2を凌駕出来たものには出会えていません。(黒江個人ならμDAC2の次はEssensioを買うと思います。)
全体的にスッキリ系のサウンドで、音の輪郭や粒の細かさ、音抜け・キレが良い爽快なサウンドです。

ウィークポイントは低音が薄めであること、(やはり低価格なりに)音が粗めであることや、それなりのS/N感であることに加えて音の濃さ・密度感などは低く、情報量を感じさせてくれるサウンドではありません。
しかしながら、決して他のモデルより見劣りするサウンドでもなく「クリア・シャープ系」の最右翼とも位置付けることが出来ると思います。

ちなみに、初代モデルのμDACは(μDAC2と比べると)『(やはり)やや粗めだけど、もう少し身の詰まった感じで、力強くタイトなサウンド』とった印象で、μDAC2はより明瞭になって線を引き締めた(ら、少しガリッとしすぎちゃった)感じの「μDACの余計な贅肉(=音的には付帯音)をシェイプアップさせた」ようなサウンドになっています。
「ちょっとガリッとした」「情報量不足気味」とあるように、初代μDACと比べて少しスカスカした感じと低域の量感がやや薄いので、これを良しとするかは好みによると思いますが黒江的にはかなりの高評価・好印象のサウンドです。

価格が価格ですので、(黒江的サウンドがお嫌いでない方なら)「絶対に買って損はしないと思う」モデルとも言えるのではないでしょうか。
なお、μDAC2はPCやMacからUSBを介してS/PDIF(=同軸デジタル・COAXIAL)信号に変換する“D/Dコンバーター”機能も持ち合わせているのですが、これがまた秀逸なので「お気に入りのDACは持ってるんだけど手ごろなDDCが無くって…」という方にもオススメです。(ただし、96kHz/24bitまでなのでご注意を。)

P.S.
黒江は初代のμDACとμDAC2を自宅用にも購入しており、(途中USBケーブルもaudioquedt[CARBON]とKIMBER KABLE[silver USB]を何度も何度も交換しながら)15,750円のUSB DACを何度も何度も繋ぎ変えては聴き比べたのですが…、なかなかハマっちゃうもんですね…。^-^;&今までなら「この音・音質がガマンできない!」となって辞めてたと思うのですが、uDAC2が本当に高CPだったおかげでお安く楽しませてもらいました(今でも楽しませてもらってます)。