Archive for the ‘レポート:スピーカー’ Category

Mark & Daniel Maximus-Mini+

木曜日, 9月 10th, 2009

引き続きスピーカーのレポートとなりますが、最近第3のリファレンスとなりつつあるのが、
この『Mark & Daniel Maximus-Mini+』という色々な意味で一風変わったスピーカーです。

【稀に聴く綺麗な高域と、音像の定まった中低域が絶妙に交わったサウンド。】

特徴だらけのスピーカーではありますが、その代表格になるであろうと思われるのが「人工大理石(コーリアン)」を用いたエンクロージャーです。(※メーカーでは合成大理石と表示しています。)
オーディオという世界では、(なぜか)旧来から木製の箱にスピーカーユニットを取り付けて鳴らすという定石(常識)が長く続きましたが、最近やっと非木製のエンクロージャーが台頭(受容)してくるようになりました。

(昔は「箱鳴き」なんて言葉が当たり前に使われていたくらいだから、「箱も鳴らすもの」ということだったのかもしれませんが、)
このコーリアンで形成されたエンクロージャーは(いわゆる木と石の差で)硬く、音が響いたり、漏れたり、箱が振動したりすることがほぼ皆無となり、結果、スピーカーユニットから発せられる音だけでサウンドが形成されています。

そのことから、オーディオをよく知る人向けに一言で云えば「バスレフ型なのに、密閉型のようなタイトフォーカスなサウンド」と言えば伝わると思いますが、音に(取り方によっては無駄な)響きや被りが無く、端正でストレート。とも言えるサウンドです。

ここで肝心になるのが各スピーカーユニットということになりますが、高域を担うツイーターユニットは「ハイルドライバー」と呼称されるタイプなのですが、非常に繊細な高音を出すことが出来るリボン型にこだわり何度もTry and Errorを重ねながら開発されているようです。
中域~低域を担うウーハーユニットもわずか約10cmという小口径ですが、かなり奥行きのある形状となっており、このストロークを高速にピストンさせることによって、ハイスピードながらも最低域をしっかりと描き出すことが出来るように考えられています。
双方共に自社製ということもあって、「自信のあるユニット開発」→「ユニットの特性を最大限に引き出すためのエンクロージャー」という流れが伺え、これはスピーカーブランドとして非常に大切なポリシーではないかと感じています。

…と、大体ここまでの流れで音の傾向は分かってくるかと思いますが少しまとめてみます。
●スピード感はGood. (S-1Gには一歩及ばずですが、遅い音、速い音の鳴らし分けが非常に巧みです。)
●高域がとにかく繊細。 (「キンッ」と鋭利に切れ込んでくるというタイプではなく、「ピンッ」と張り詰めて出た音が「サーッ」と霧状に消えていく感じ。)
●中低域の音像感が秀逸。 (音の輪郭や定位が明瞭で、音の位置関係などが際立っています。)
●少し芯の太い音で、肉付きは薄め、輪郭はやや強め。 (「シャープな音」とは言えませんが、「タイト」という言葉がとても合います。)

決して「足して2で割った音」とは言いませんが、「立ち位置的には」ATC SCM7とVienna acoustics HAYDN (S-1G)の中間にポジションする感じです。

物足りないと言いますか、もう少しと言いますか、実はまだ本格的に鳴らし込んで(追い込んで)ないので、黒江的にどう鳴らすかということを挙げると…、
●高域の出方と中域~低域の出方を揃えたい。 (高域は綺麗なのは良いんですが、切れ込みがないのでソリッドに、中低域は芯が強めなのでもう少しシャープにしたい。)
●広がりがない音なので、もう少し広く? (高さ方向には広めのサウンドステージがあると思います。左右方向は狭めかと感じましたが、個人的にはコレくらいが好きなのでこのままでも良いかな?…と。)
●少し音が重いので、明快/軽快に。 (これも好みですが、もう少し明るいサウンドに出来たらな…と。)

こんなところですが、結論としては「久しぶりに欲しくなってしまった」ので、黒江的にはアリです。
(僕が好むのですから)もちろんメタルもイケますが、SlipknotのようなタイプよりはIN FLAMESのようなタイプがより合いそうです。(音にシャープさを出せればSlipknotもかなり良くなるハズ!)
あとは、高域が綺麗なので女性ヴォーカルもイイ感じです。

リファレンスが3機種もあるのは嬉しいような気もするし、悩みの種でもあるし…ですが、みなさんにも自分の一番好きな音を探し出してもらえれば幸いです。

http://www.mark-daniel.jp/

商品のお問い合わせ/ご注文/その他は黒江直通メールにてお願いします。
manager@digitalside.net

ATC SCM7

火曜日, 9月 8th, 2009

前回に引き続き、現在のザ・ステレオ屋リファレンスモニターのもう一角となるモニターのレポートです。

【速攻のHAYDN vs 堅守のSCM7】
何となくそんなフレーズを書きたいような気になったので書いてみましたが、俊敏で鋭利でキリッとしたHAYDN(S-1G)に対し、安定感やバランス感が良く、力強くもあり穏やかさや包容力のあるようなサウンドであるのがSCM7です。

そもそも、ATCというブランドは一頃前まで「鳴りも(重量も)重く、大変なアンプ喰い」というのが定説であったくらいに「吹き出すような鳴らし方」をするのが大変なブランドでした。
僕個人の経験談や印象としては「(今回紹介しているSCM7とほぼ同じ大きさ/価格の)もっとも小型なモニターでさえ、300W~500Wも出せるような大型なパワーアンプでドライブしないと鳴ってくれない。」…といった印象で、当然アンプの価格がモニターの数十倍になってしまうので「随分身の丈に合っていないモニターだなぁ…。」と思いつつ、(ハイスピードを好む僕としては)かなりの投資をしなければ思い描く音にならないため、なかなか選択肢にすら入っては来ませんでした。

しかしながら、上手にドライブできるアンプを大前提とした「ハマった流れ」を作れた時の“分厚くも明瞭で、大胆ながら精密”といったサウンドがとても印象に残っていて、決して嫌っていたりしたブランドでもなかったことを覚えています。

…それから少し年月が経って、ある時の製品発表会でのことです。
正直言って最初の印象は「カッコ悪くなったんじゃない?」としか覚えていない、まるでマスクをしたような新型が登場したのです。
でも、(中身が良かったから?)一気にカッコ良く見えはじめたのは、そのヴェールを何枚も何枚も剥がしたような音。
思わず、「はじめっからコレ作っておけばいいのに!」と思ってしまった(言ってしまった)かもしれません。

その音は、今までのATCブランドに抱いていた既成概念をさっぱり忘れ、いつか思ってたATCにしか出せない理想に近かったのです。
その後すぐに店頭に迎え入れ、より好みに追い込むことが出来ることを確信し、気が付けばリファレンスの一角を担うモニターとなりました。

冒頭の通り、S-1Gとは別の性格であり、良い意味で好対照ながら(黒江が好みそうな)共通点も多くあります。
特徴を幾つか挙げていくと…
もちろん、基本的にはハイスピード。([S-1G]や(殿堂入りの?)[PMC LB1]にはもうちょっと及ばないけど。)
低域がタイト。(且つS-1Gには無い深さがあって、5弦ベースなんかもしっかりと聴き取れる。)
定位が良好。(クリア/繊細といった要素が先に来るS-1Gよりも、こちらの方が音の存在感は強い。)
帯域がフラット。(高域が走ったり、低域がもたついたりという印象は受けません。)
力感のあるサウンド。(やや芯は太め、肉付きも筋肉質な感じでしっかり、雄々しく、骨太で、パワーのあるサウンド。でも荒っぽくない。)
…と、こんなところでしょうか。

ちなみに、Yahoo!ブログにて番外編を書き続けている「僕の弟分であり、ドラマーであり、もちろん熱心なオーディオユーザーであるS君」はSCM7の方が(僅差で)お気に入り。僕は僅差でS-1Gがお気に入り。
(ウチで試聴をされて)購入される確率もほぼ五分五分で、
(メタルも聴くけど)ハードロックやジャズ、プログレッシブも好まれる方はSCM7を、
(ロックも聴くけど)ヘヴィメタルが中心で、Jポップやエレクトロニカ(テクノ)も好まれる方はS-1Gに軍配が上がりやすい傾向です。

が、「あの曲はあっちの方がいいんだよなー。」と最後まで後ろ髪引かれている方をよく見かけます。(笑)

…いや、本当にどっちも良いモニターなんですよね…。僕もどっちも欲しいです。はい。

http://www.electori.co.jp/atc/SCM7.pdf

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Vienna acoustics HAYDN (S-1G)

木曜日, 9月 3rd, 2009

現在のザ・ステレオ屋リファレンスモニターの一角を成している[S-1G]ですが、タイトルを見てあれ?っと思う方も少なくないかもしれません。
…実はこのスピーカー、本国オーストリアでは「HAYDN(作曲家のハイドン)」という名前で呼ばれている(売られている)のです。
加えてブランド名も「Vienna acoustics」(ウィーンアコースティックス)ときていますから、ハイドン以外にも名だたる作曲家を輩出したクラシック大国のオーストリアから「クラシックを聴くために」生まれたスピーカーであると容易に想像できるものです。

実際に、専門誌やサイトで取り上げられる際には「クラシック」中心の話題/賛辞/評価ばかりであり、J-POPやHR/HMを聴いての感想はほとんど見受けられません。(見かけたらウチのユーザーかな?)
そんなモデルでありながら、当店では随分と以前からこのモデル(&前身モデル)に着目していましたが、輸入代理店の方は随分と「?」だったそうです。

…と、僕が気に入るくらいですから、それなりに理由があるわけですが、
●とにかくクリア。
 音に濁りや滲みがなく、とにかく鮮明、フレッシュという形容がハマります。
●とても明瞭な音の輪郭。
 加えて、音の形が目に浮かぶほどクッキリとしたエッジを描きます。
●モタつきの無い、スピード感/キレ。
 気持ちいいくらいビシビシ/スパスパと音が刻まれていき、高レスポンスです。
●高い分解能。
 音の輪郭だけではなく、中身(音の粒子感)も高精細。
などなど、僕にとっては大好物の特性だらけです。

もちろん、完璧なもの(音)はないと思っていますし、オーディオにおける特性は「相反する要素を両立できない」バーター形式となると考えていますので、ウィークポイントも多々あります。
●低域のレンジが狭い。
 いわゆる超低音は再生できていません。
●厚み/伸びに欠ける。
 高域の余韻はありますが、中域~低域の伸びがなく、音は軽め。
●全体的に硬質。
 良い部分が総じて悪い部分とも言え、かなり緊張感の高い、悪く言えば神経質なサウンドとも言えるのでちょっと聴き疲れするかもしれません。
●女の子ウケが悪い。(笑)
 my-musicstyleを通じて、かなりの人数の(主に20代の)女の子に聴いてみてもらいましたが、やっぱり女の子は軟らかめの(優しい)音がお好みのようです。

でも、ディストーションサウンドのギザギザ/ガジガジのエッジと、ザラッザラ/ガリッガリの粒子感をこれだけ気持ちよく聴かせてくれるモニターは今までに無かったので、僕にとっては唯一無二の魅力を持っているのです。
ボーカルの口元もビシッと定位してくるし、(深さはないけど)ベースラインは微塵にも崩れずにブリブリと鳴ってくれるし、これはこれで言うこと無しです!

BURRN!でも似たようなことを書きましたが「英才教育を受け、クラシックばかり聴いてきた普段大人しそうで清楚なイメージの令嬢が実は○○だった!」みたいなトコロがまた素敵です。

くだらないシメではありますが、先入観など持たずに一度聴きに来てみてください。

P.S.
S-1Gの兄弟機である、T-2G/T-3Gあたりは黒江的(HR/HM)にはナシです。(良くも悪くも低域がS-1Gにあった良さを消しています。)
ただ、低域はしっかりしているのでロースピードな曲/ジャンルには向いていると思います。(こちらの方はクラシック用と言われても納得。)

http://www.cec-web.co.jp/products/va/s_1g/s1g.html

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