Archive for the ‘レポート:アンプ’ Category

Nmode X-PW1 MKII

火曜日, 12月 24th, 2024

今回はNmodeからリリースされたロングセラーモデルの新機種を紹介させていただきます。

【順当・正統な進化を遂げたコンパクトボディの決定版。】

黒江が個人的にも愛用しているNmode X-PW1 MKIIが終息し、MKIII(MK3)にリニューアルされました。
フォルムが(MK2とMK3ではフロントパネル以外)まったく同じであることから一見するとマイナーチェンジに思えるのですが実際はアンプのエンジン部となる増幅回路が入れ替わっており、内部的には大きなモデルチェンジと言える更新です。

この「エンジン部」というのは1bitアンプと呼ばれるデジタルアンプ技術のことを指していて、(元祖は)SHARP開発の技術が原点となっています。
どんな技術かと言いますと(難しくなるので簡潔にしますが)CDやレコードから送られてきたアナログ信号を高速回路で測定し、デジタル信号に変換してから増幅段を介してスピーカーへと送るのですが、この”測定”の回数が初期の1秒間に280万回からはじまり、第二世代で倍の560万回、第三世代で(第二世代の)更に倍で1,120万回と進化を遂げてきております。

今回のX-PW1 MKIIIには第三世代のエンジンが搭載されており、第二世代エンジンであったX-PW1 MKIIと大きく異なる点となりますが、エンジン部の例えにならうと第一世代は単気筒(一気筒)、第二世代は二気筒、第三世代は四気筒(初期の4倍)と考えれば違いの明白さが分かりやすいかと思われます。

…が、(車やバイクの)エンジンに置き換えると普通に考えれば「馬力が上がる」イメージとなり、アンプの場合は出力(ワット数)が上がることとイコールになりますが、MK3の出力はMK2よりわずかに下がっていますので、ここでのエンジン部はあくまでも「中核となる部分」とお考えください。(そもそもエンジンに例えるのが間違いなのかもですが…。)

口直しになるか分かりませんが、初期の280万回から今回の1,120万回はサンプリング数(の上昇)であるため、(エンジンよりも)メッシュの細かさが向上したイメージの方がしっくりくるかもしれません。
網でも毛糸でも絹糸でも綿糸でも構いません。同じ大きさのザルや袋を編んだとき、糸が太いと糸の総数は減り、糸が細いと系の総数は増えて、目(メッシュ)が細かくなることは容易にイメージできるかと思いますが「目が粗いと小さなものはすり抜けてしまい、目が細かいと小さな粒もこぼさない」といった解釈でよいかと思います。(※メッシュ部=「中核を成す部分」というイメージは無いものですから…。)

以上を踏まえてMKIIとの比較をしつつレポートさせて頂きたいと思います。

■Nmode[X-PW1 MKII]
●一聴して感じられたのは「間違いなくPW1のサウンド、けれど少しおとなしい」といった印象でした。MKII(MK2)がなりふり構わないような鳴り方だったのに対し、MKIII(MK3)は少し落ち着きをもった鳴り方をしています。
●MK2と比べて明らかなのは情報量・解像度・音の広がりが向上している点で、アンプとしての基本性能は間違いなく向上していることが分かります。
●S/N感も少し上がったように感じられますが、それよりも(特に高出力時に於ける)歪みっぽさが(ほぼ)無くなったポイントの方が(個人的には)印象が強かったです。
●(MK2比較ではなく)現行の他メーカーアンプと比べてもスピード感、キレ、帯域バランスは上々で緩さや弛みのないタイトでシャープなサウンドの傾向です。
●MK2と比べるとアグレッシヴさは後退しましたが、その分スムースさは向上しており、(ビシビシというよりは)スーッと1音1音が突っかかりなく出てくるイメージです。
●硬質・寒色・ややドライ傾向であったMK2に対し、MK3は“やや”硬質・“わずかに”寒色・ややドライといった印象で、ややドライな点以外はニュートラルな方向にシフトしています。
〇MK2と比べると情報量が向上したため、少し音の線が太くなり音場が濃くなっています。よく言えば密度感ですが、やや閉塞的に感じられるシーンがあるかもしれません。
〇上記とも連動しているように思えますが、低域の一部帯域が少し膨らんでいるように感じられることがあります。(一部または特定のベース音の時?のみで総じてタイトではあります。)
黒江的好み度:A+

…ということで、かなり完成度を高めてきた印象を持ちましたが、その分のトレードオフでスピード感・キレ・(よい意味での)アグレッシヴさはMKII(MK2)より少しダウンしているように思えました。

これはアンプの原理や理屈的にも(サンプリング数が倍になれば情報量が増え、音が滑らかになるので)妥当ではありますが、従来機に見られた「とんがった個性」が少し薄れてしまったとも言えそうです。
ただ、前述の通り、他メーカーと並べ比べるとそれでもクリアでシャープでスピーディな分類であり、(無難に鳴るタイプに比べると)十分に個性的だと思います。(MK2が尖りすぎていた…のかな?笑)

ですので、締めくくりとしては「あくまでも正当であり、正統であり、正常である」進化を遂げたMKIIII(MK3)であると言わせてください。

こちらのアンプも目下ブラッシュアップポイントを模索中です。お買い求めはぜひ当店(ザ・ステレオ屋)にてお願いいたします。(購入後のチューニングは当店からの購入者限定となります。)

New Reference. そして再始動します。

金曜日, 12月 6th, 2024

概要は表題の通りですが、ようやくの再始動・再起動となります。

色々とありすぎて一言ではなかなか表すことができそうにないのですが、大きかったのはVienna acoustics [HAYDN GRAND Symphony Edition]の終息、そしてリニューアルされた新型HAYDN(SE Signature)が(構造の変化も伴い)これまでのサウンドからはかけ離れてしまったことでリファレンスとなるスピーカーを失ったことが挙げられます。

折しも世の中はコロナ禍を経て、戦争・円安・物価高・不況(業種間格差)・国政の変化や不安定化などなどと、先の見通しがつかず、当業界も不安定さが目立つ情勢が続いておりました。
そんな事情もあって元々あった製品(とその後継機種)は次々と値上がりし、または前述のように元来のサウンドから遠ざかってしまうプロダクトが多く、新しいスピーカー探しは思いのほかに大変なものとなりました。

…ということで、今回は機種名だけのお披露目となりますが、今後は以前のようにブログ(テキスト)や動画でレポート・紹介をさせて頂きますのでご参照よろしくお願いいたします。

ザ・ステレオ屋 New Reference.

SPEAKER :
REVIVAL AUDIO [SPRINT 3]
KEF [LS50 Meta]
ECLIPSE [TD508MK4]

AMPLIFIRE :
Nmode [X-PW1 MKIII]

D/A Converter :
MYTEK [LIBERTY DAC II]

SYSTEM AUDIO :
TRANSPARENT SOUND [TRANSPARENT SPEAKER]
TRANSPARENT SOUND [SMALL TRANSPARENT SPEAKER]
TRANSPARENT SOUND [Light Speaker]

TURNTABLE :
TRANSPARENT [TRANSPARENT TURNTABLE]

& Other…

とりあえずのザっとリストですが、当店のリファレンスと現行品でおすすめしているアイテムの一部です。
様々聴き比べた結果、スピーカーは3者3様の良さがあるということで3ラインナップとなりました。

少しずつレポートを進めますのでまたご覧いただけると幸いです。

Nmode X-PM5

木曜日, 4月 7th, 2022

今回はNmodeからの新製品をレポートさせていただきます。

Nmode X-PM5 の動画はこちら↓
https://youtu.be/FqoSKfflpY4

【兄はしっかり者、弟は少しやんちゃなスポーツマン?】

前段として述べておくべき点に当店は長らく(本来はステレオパワーアンプである)Nmode X-PW1 MKIIを(プリメインアンプ代わりに)使っていたことが挙げられますが、これはX-PW1 MKIIにボリューム機能(この場合、正確にはアッテネーター機能)が搭載されており、X-PW1 MKIIのスピーカー出力を増減させることで音量調節の役割を担えるというもので、本来アッテネーターはMAX(フルボリューム・フルテン)近くの状態で最も良い音質で鳴るはずのため視聴時の適量(大きめにしてもせいぜいMAX値の半分)では音質面にデメリットを抱えることになっていました。
(仔細は割愛しますが、こういったパワーアンプ搭載のアッテネーターはその多くがあくまでも簡易的なものであり、出力をMAXの頂上付近で微調整するために設けられています。)

つまりX-PW1 MKIIはあくまでもパワーアンプですので、本来は音量調整を主に司り音質面に優れたプリアンプ・コントロールアンプをあてがってあげたいところでしたが(音が良いだけなら幾らでもあったのですが)、サウンド面でPW1のスピード感やキレを活かせなかったり、(高額過ぎて)価格面で釣り合わなかったりと、なかなか良きパートナーと巡り合わせられずにいました。

そんな中、先日のMYTEK LIBERTY DAC IIの登場により、ようやく最高の相棒と引き合わせてあげられたところでしたがタイミングをほぼ同じくしてX-PM5が登場してきます。
LIBERTY DAC II with X-PW1 MKIIのレポートはこちら↓
http://www.digitalside.net/?p=1199

このX-PM5は、先発の(兄機分)X-PM9のノウハウをベースにコストダウンを図ったモデルとのことで、PW1のエッセンスを色濃く受け継がせたわけではないようですが、Nmodeブランドという面に於いては(MYTEKとの混血ではなく)純血のサウンドということで果たしてどういったサウンドに仕上がったのでしょうか…。

(※以下は主にPW1単体との比較、またはLIBERTY DAC II&X-PW1 MKIIを基準にしております。)

■Nmode [X-PM5]
●当然と言えば当然なのですが、PW1単体使用時に比べるとS/N感・セパレーション・高域~低域のレンジ感などなどの基本的音質を備えていることが容易に分かります。
●PW1単体使用時では最も顕著なウィークポイントの一つであった低音の量感・低域方向への伸びが改善され、躍動感やアグレッシブさを向上させる要素にもつながっています。
●わずかに大味感がありますが、鳴りっぷりが良く、キレやスピード感もとても良好で(そのやや大味な感じが上手く働き)音ブレの無いマッシブさも感じさせてくれます。
●やや(低音寄りの)低重心ではあるものの、高音~低音まで帯域バランスも良く、各帯域が(突っ込み、遅れ無く)しっかり揃っている印象です。
●PW1単体では(粗さを除けば)ハイスピード・シャープさが先頭に立つサウンドでしたが、PM5はハイスピード・シャープさよりもドライブ感・アグレッシブ感が先頭に立つ傾向です。(その後にキレ・スピードが着いてきますが、シャープさの印象はやや薄い方になります。)
○強いて言えば(価格的に仕方のないことになりますが)、透き通るようなサウンドステージといった印象は薄く、比較的に各パートがひしめき合っている印象を受けます。(まとまっているとも言えますし、やや分離が甘いとも言えます。)
黒江的好み度:S (A++~-S)

…ということで、前回のLIBERTY DAC II with X-PW1 MKIIに続いて、またもやアンプに強力な選択肢が加わることになりました。
(動画でも紹介した)X-PM9がかなりの完成度であったのは記憶に新しいところでしたが、「好み」という点に於いてはこちらの方が好きになってしまうほどのサウンドです。
(「好み」が上なだけで、総合評価や完成度はX-PM9の方が上だと思います。見出しの通り、X-PM9は総合的な完成度が非常に高いアンプです。)

前述の通り、当プロダクトX-PM5はX-PM9の弟機(コストダウンモデル)という位置付けのようですが、個人的な見解としてはX-PM9とX-PW1 MKIIの中間に入るような音の傾向に感じました。
強いて言う難点としては入力が3系統(総てRCA)しかない点でしょうか。

決して安くはありませんが、価格も抑え気味に設定されているので多くの方に使っていただけると幸いです。

P.S.
LIBERTY DAC II with X-PW1 MKII

X-PM9
のアンプvs企画もレポートする予定です。

MYTEK LIBERTY DAC II

金曜日, 3月 4th, 2022

今回はリリースが解禁されたばかりのMYTEK(マイテック:国内ではMytek DigitalまたはMytek Audioと称されている場合もあります)からの新製品をレポートさせていただきます。

MYTEK LIBERTY DAC II の動画はこちら↓
https://youtu.be/P-OL3T8MWsY

『水を得た魚か、魚を得た水か。』

まずはじめに、当プロダクトの基本的な機能は単体のDACまたは(DAC機能内蔵の)ヘッドフォンアンプとなっておりますが、当レポート(当店)ではDAC機能付きのプリアンプとして採用しております。
同社の兄弟機に於いては同様の製品仕様にてプリアンプとしても機能する旨の記載があり、大きく趣旨から逸れている訳ではないものの、メーカー公認の使用方法でないことは先に触れておこうと思います。

なお、単体DACで使用する際はLIBERTY DAC IIのボリュームを最大(または最大付近)にしてRCAまたはXLRのアナログ出力をアンプの入力部に入れます。
一方、ヘッドフォンアンプで使用する際は機体前面のヘッドフォン端子にヘッドフォンを挿すことでボリュームはヘッドフォン出力のレベルになります。
この時、(日中と夜などで)ヘッドフォンアンプ使用とDACないし、プリアンプでの使用を兼務している場合はヘッドフォンに過大な出力が送られてしまうなどの危険性がありますので注意が必要です。(←仔細未確認ですが。)

また、当レポート内(動画)に於いては当店の現リファレンス機の1つである『Nmode X-PW1 MKII』をパワーアンプとして使用した際のサウンドについて述べさせていただいており、他のパワーアンプとの組み合わせとは見解が異なる可能性がありますこと予めご理解いただけますと幸いです。

■MYTEK Audio [LIBERTY DAC II] with Nmode X-PW1 MKII
●一聴してすぐに感じられるS/N感の高さが印象的であり、(PW1単体使用時に比べ)背景ノイズが皆無とも言えるほどに収まっていて、非常にクリアな見通しのサウンドとなっております。
●1音1音、各パートの展開が前後左右上下すべてに於いて高分解・高解像度になっており(PW1単体使用時では)やや散らかっていたり、しっかりセパレーションし切れていなかった箇所などのセパレーションや定位感が非常に向上しております。
●高域~低域にかけての量感・帯域バランスも良好であり、(PW1単体使用時ではやや低域方向に伸びがなく、薄かった)低音の量感も一伸び~二伸びしつつもぼやけることは無く、しっかりと定位するタイトさと安定感を感じます。
●(PW1単体使用時では良くも悪くもジャギジャギとした荒々しい立ち上がりでしたが)LIBERTY DAC IIを介することでスパッとした、スッとした、切れを保ちつつもスムースで鋭敏な立ち上がりに昇華した印象で、全体のスピード感も“荒々しいスピード感”から“空間を切り裂くようなスマートなスピード感”へとイメージチェンジしています。
●(動画でも述べていますが)全体を通して、1音1音の鮮度感、純度、クリア感が(PW1単体使用時に比べて)改善されており、それでいてシャープさや音の抜けなどもより鮮明になっているため、これといった悪影響・デメリットは一切感じさせません。元来、X-PW1 MKII単体のサウンドも非常に気に入っておりましたが(動画のリファレンスとしても採用)、X-PW1 MKIIのウィークポイントを「ほぼ総て補完した」と思わせられたほどにX-PW1 MKIIとの相性は高いと考察しております。
(※そもそもX-PW1 MKII自体がパワーアンプであり、簡易ボリュームを搭載していることからプリメインアンプ代わりに使っていたのですから[→そもそも簡易ボリュームに高い音質を望めない]当然と言えば当然の結果とも言えます。)
○強いて言えば、高域のギンギン、ギャンギャンとした荒々しさ、刺々しさがたまに欲しくなるような気もします…。
黒江的好み度:S (但し、LIBERTY DAC II with X-PW1 MKIIの組み合わせ前提で。)

…ということで、久しぶりの大ヒットとなりました。
(動画でも述べていますが)ロック・メタル・ポップス系(&ビート系やトラック系も)などにはぜひオススメさせていただきたいと思っております。

また、当然の如く、店頭導入を決めましたので今後の動画は『LIBERTY DAC II with Nmode X-PW1 MKII』をリファレンスアンプとして登場させる予定ですので今後の動画でも引き続きサウンドの傾向は聴いていただくことができるかと思います。
(やっとX-PW1 MKIIの相棒が見つかりました。)

お問い合わせ等、気軽にお願いいたします。
manager@digitalside.net
または
0459033900

P.S.
そういう意味合いでの見出しであったわけですが、元々PW1のサウンドに惚れ込んでいたわけですから『魚を得た水』が正解なのかもしれませんね。

LUXMAN L-507Z

水曜日, 12月 8th, 2021

大変久しぶりの投稿になってしまいましたが…
「メインPCの故障」「そもそものネタ不足(「ぜひ書きたい」とまで思えるものが無かった)」「動画がややメイン化してしまった」などなどの理由から停滞しておりました。

中でも「PCの故障」の影響は非常に大きく(動画の方も停滞させてしまうことになり)、ここまでにかなりの時間を掛けることになっしまいましたが(以前ほどではないかもしれませんが)、ここからまた活動再開を本格化させたいと思っております。

…ということで、復帰第1弾はLUXMANからの新製品をレポートさせていただきたいと存じます。

【圧倒的な駆動力が成す、圧倒的な存在感。】

まず先に個人的な雑感で恐縮ではありますが、このところのLUXMANサウンドとはとても相性が良く、かなりの確率で動画やレポート化をさせていただいております。

特に最近?で強烈な印象を残したのが、(2020年11月5日投稿の)L-595A LIMITEDというアンプでしたが、物づくりに於いて“ノウハウ”は脈々と受け継がれていくものだと思いますので、(A級アンプとAB級アンプの違いはあれど)直感的に期待を持たずにはいられない気がしておりました。
L-595A LIMITEDのリポートはこちら↓
http://www.digitalside.net/?p=1169

事実(先入観ありきでの比較試聴はしておりませんが)、増幅回路“ODNF”やボリューム回路“LECUA”(L-507Zでは“新LECUA1000”)などのアンプの中核を成すアーキテクチャには共通性も多く見受けられ、しっかりと血が受け継がれている様子をうかがい知ることができます。

…と、ハードルを上げるだけ上げておいてからの実聴となってしまいましたが、そのサウンドの実力は…。

■LUXMAN [L-507Z]
●(前述にてA級・AB級について触れておりますが)一聴して「507ってA級じゃないよね?」と思うほどにパワフル、且つスピーディな鳴りで1音1音がビシビシと体を叩き付けてきます。(かと言っても、荒々しさや押しつけがましさは無く、基本的には極めてクリアでストレートなサウンドです。)
●繊細で、シャープな線を描くような傾向ではありませんが、音のキレや立ち上がりの鋭さ、鮮明さは高く、躍動感や鮮度感にも優れています。
●しっかりめの低音でありながらダブつきのないタイトさがあり、深さ、解像度が良好で高域~低域の帯域バランスも自然です。
●(当店特有の表現ですが)いわゆる“アグレッシブ系”に属し、パワー・ドライブ感が高い「鳴りっぷりの良いタイプ」でありながら、小音・少音時などの静寂感も抜群に良好で、基本的なS/N感や制動力にも優れ、見通しの良い「上質なサウンド」をもたらしてくれます。
○強いて言えば「わずかに低音寄り」と言える傾向であり、ソースや好みによっては最高域にもう一伸びあればと思うことがあるかもしれません。そのため、サウンドは「やや雄々しい」といった印象があり、(特に)女性ボーカル再生時には少しBASSを落として聴いた方が個人的にはフィットしました。
黒江的好み度:S

…と、期待通り、期待以上のプロダクトではないかと思われます。(当店の環境にはありませんが、鳴りが重めの大型スピーカーも軽々駆動しそうな予感がします。)

ラインナップ的には先代の「L-507uXII」のモデルチェンジ版となるのですが、当方の記憶に違いが無ければ『かなり印象が異なる→ほぼ別のサウンドと思ってよい』との認識であり、L-507uXIIの後継機種というよりはL-507uXIIの(価格帯的な)リプレースモデル(フルモデルチェンジ版)と考えております。
(L-507uXIIはもう少しマイルドで伸びやかなサウンドがベースにあった記憶です。)
(当ブログなどで幾度となく言及させていただいておりますが、LUXMANのアンプはこの5~6年くらい(L-550AXIIあたりから?)でサウンドの傾向がかなり変わっている印象です。)
よって、ご検討の際は以前のL-507uXIIや従来のプロダクトの印象から一旦離れてご試聴・ご検討いただけますと幸いです。

動画もぜひご覧ください。↓
LUXMAN L-507Z ■ザ・ステレオ屋 レポート動画 『フルモデルチェンジ(L-507uXIIの後継モデルではありますが)もはやまったくの別物アンプです!』
https://www.youtube.com/watch?v=zBsJzMXI4Ks

YAMAHA A-S1200 and A-S2200 part2

月曜日, 12月 21st, 2020

前回の続きになりますので、未読の方は先に下記をご覧ください。。

前回のエントリーはこちら
http://www.digitalside.net/?p=1178

【流石あの弟のお兄さん、順当・妥当なクラス上位モデル。】

前回はA-S1200を主にPioneerのA-70(※AやDAの付かない無印)と比較したレポートになっておりますが、今回はA-S1200と(一つ上位の兄弟機)A-S2200との比較レポートになります。

■YAMAHA [A-S2200]
●パッと聴きの基本的音質(S/N感など)は1200と2200でそこまで大きくは変わりません。(逆に言えば1200も十分、十二分に基本的音質が備わっており明らかに2200に差を付けられている感じではないと言えます。)
●その上で「流石にクラス上だな」と感じられた点をまとめさせていただくと…もっとも高く感じられたのは情報量の高さです。
●情報量といっても「1200で聴こえない音が2200で聴こえる」といったことではなく、1音1音の密度感が高く感じられる傾向であり、1200ではやや細く、軽く感じられたような音が2200ではしっかりとした音として描かれているといった感じになります。
●この密度感の相乗効果でもありますが、パワー感・ドライブ感はより高く、(よく車やバイクで言うところの)1クラス2クラス程度リッター数の高いサウンドとなっております。
●音のスケール感、音場性なども1クラス高い印象で2200の方が部屋全体に音が広がるイメージです。
○シャープさ、キレ、抜けなどは1200の方が高く感じられ、スピード感を重視したい場合は1200を選びたいところです。
黒江的好み度:A

個人的な好み度はA-S1200のシャープさが好きなので1200に軍配が上がりましたが、1200のエンジンの排気量をアップさせたようなA-S2200のサウンドは正に順当なクラス上といった印象です。

…ということで、当店ではパワーを取るならA-S2200、スピードを取るならA-S1200を推奨させていただきます。
ショッピングサイトではご購入いただけませんので、お問い合わせやオーダーはmanager@digitalside.netにお願いいたします。

YAMAHA A-S1200 and A-S2200

金曜日, 12月 18th, 2020

今回は少し遅ればせながらになりますが、YAMAHAの新アンプ群をレポートさせていただきます。

【“あひるのこ”転生?…新種のモンスターアンプ。】

(動画でも述べておりますが、個人的にレジェンドアンプの1つに思っている)某アンプによく似たサウンドであり、非常に高く評価させていただいております。
その某アンプとはPioneerのA-70(※AやDAの付かない無印)でありますが、まずはそちらのエントリー(レポート)をご覧いただけますと幸いです。
動画はこちら↓
https://youtu.be/TDojmWGZOTI

Pioneer A-70
http://www.digitalside.net/?p=727

…といった内容でしたが、端的に言えば「ただし、BASSを絞った状態でのレポートとなりますのでご注意ください。」この部分が今回まったく同じ状況であります。
(YAMAHAさんに関してはパッと聴き野暮ったい、デザインも野暮ったいとは思いませんでしたが…。当時のレポートのテンションが高くてお恥ずかしい…。笑)

なお、特に気に入ったのがA-S1200の方ですので、まずはA-S1200を中心にレポートし、その後1200との対比でA-S2200をレポートさせていただきます。

■YAMAHA [A-S1200] ※BASS(低音の量感)を少し減衰(デフォルト時計12時位置を10時半~11時に)させた状態です。
●音場のノイズ感(フロアノイズ)も非常に低く、クリアな見通しでトータル的な解像度も十分、基本的な音質がかなり高いアンプとなっています。
●A-70に比べると硬質度はやや軽減され、非常にクールな印象だったA-70よりもノーマル寄り、とは言えファット・ウォーム感は無く、クール寄りの分類です。
●ひたすらシャープでキレッキレだったA-70に比べるとミドル付近に張りを感じられ、ビシッ・バシッとしたアグレッシブ系の要素も上手く含み溶け込んでいます。
●適度な硬さで硬過ぎないため音色のニュアンスが絶妙であり、ドラム(スネア・タム・バス・金物)やギターの音の描き分けがバランス良く保たれています。(ニュアンスが少し偏るとスネアの皮の表現が良い分、金物の響きが抑えられてしまったり、ディストーションギターの歪みがリアルでも重いバスドラムが軽めになってしまうなどのトレードオフが起きやすい。)
●トップクラスとは言えないもののスピード感やキレはかなり高い方に分類され、鋭敏な立ち上がり、雑味の無い粒子感、しっかりとしたエッジ感で1音1音が描き出されてはスッと消えていくのでシンプルながらも無理(矢理感)を感じさせないスムースな印象です。
●それでいて、A-70よりはパワー感・ドライブ感が高く、(繰り返しになりますが)ハイスピード系を基調に適度なアグレッシブ系が溶け込んだような、個人的にはかなり理想的なサウンドになっております。
○(黒江的には)もう少しだけ高域(特に超高域)の伸びが欲しかったです。(こちらもTREBLEで少しだけ持ち上げてあげれば良さそうですが。)
黒江的好み度:S (BASS DOWN時)

A-70同様、初見(一聴)時では「んんん?」といった印象だったのですが、A-70の経験が活き、すぐにBASSを下げることに辿り着けました。
そして、BASSを下げた後の出音には感嘆です。

なお、(先入観を持って欲しいわけではありませんが)こちらのA-S1200はアンプの主要な動力部に昔ながらのMOSFETとトロイダルトランスという組み合わせを採用しており、これまで数多の(MOS-FET+トロイダルトランス)アンプを聴いてきたわけですが、この組み合わせで「紛れもなくハイスピード」と言えるようなアンプには出会ったことがないため非常に驚いてしまいました。(アグレッシブ系ならあり得ると思いますが、組み合わせ的には鈍足になりがちでしたので…。)

今となっては、何をどうすれば、どこをどうしたのでこのようなサウンドになったのか、興味津々ですのでいつか開発・技術の方にお伺いできたらしてみたいと思っております。

…ということでYAMAHA A-S1200は2020年のベストアンプの1台になりそうです。
ショッピングサイトではご購入いただけませんので、お問い合わせやオーダーはmanager@digitalside.netにお願いいたします。

次回、A-S2200とA-S1200の比較レポートを追記させていただきます。

LUXMAN L-595A LIMITED

木曜日, 11月 5th, 2020

今回はLUXMANの新製品をレポートさせていただきます。

【遂に出会ってしまった…(黒江的)史上最高のA級アンプ!】

まず先に幾つか述べさせていただきますが、プライスが税別98万円と高額なモデルでありますのでビギナーさんには大変恐縮でありますこと、加えて製品名にLIMITEDが付いている通り限定数300台とのことなので常時入手可能ではないモデルになりますことを予めご理解いただけますと幸いです。

…と、見出しで既に匂わせていますが、少しハードル(敷居)が高いプロダクトでありながらも強行にレポートを書かせていただきたくなるほどに素晴らしいサウンドであったので早速レポートしたいと思います。

■LUXMAN [L-595A LIMITED]
●純A級、クラスAのアンプというと(やや安直なイメージですが)力強さ、音の吹き出しの勢いなどは優秀だけれど(AB級やクラスDに比べると)濃密でややクリア感には欠ける(物も中にはあるかな…といった)イメージがありましたが、このL-595A LIMITEDはそんなイメージを払拭させてくれました。
●もちろん、A級らしい力強さ、音の吹き出しなどはしっかりと(抜群に)備えており、1音1音が引っ掛かりを感じさせず“スッ”“バッ”“ドンッ”“ガッ”と鮮烈に明瞭に明確に放たれます。
●その上で特筆したいのがA級アンプの土壌・基調をベースにしつつも、S/N感・クリアさの高さと高音の伸び、キレの良さと突き抜けるスピード感といった音調が上乗せされており、(当店でいうところの)アグレッシブ系(の中低域)にハイスピード系(の中高域)をアドオンしたようなサウンドになっております。
●とは言え、無理やり乗せた(合せた)ような違和感は無く、低域~高域まで見事に調和されていて不自然さはありません。
●低域はしっかりと引き締められていてタイト、ビシッと定位しブレがありません。中域は音の切れ、立ち上がりが鮮明で張りがありながらもシャープに分解されています。高域は(今まで聴いてきたA級の中に於いても)驚くほどによく伸びていてキンと高く張り詰めながらも歪みっぽさの無い透明感を感じさせてくれます。
●加えて音の抜けも良好、スピード感もハイスピードと呼べるレベルでありハイレスポンス、スピーカーからリリースされた音が一瞬で(耳の中で)消えてなくなるような印象です。
○強いて言えば「逆に言えばあまりA級らしい(分厚くて、濃厚で、熱い)サウンドではない」ように感じられました。
黒江的好み度:S (~S+→括弧付きの理由は最下段にて)

…ということで「久しぶりにすごいアンプ聴いてしまった…圧巻だ」と思わず呟いてしまいましたが、非常に能力の高いアンプではないかと思います。
ただ、前述の通り(当店の試聴音源・環境では)ホット・ウォーム系のサウンドには感じられず、むしろクール系のサウンドの印象の方が強い点や、そのルックスなどからもオールドLUXを想像しやすいのですがオールドLUX(LUXトーン)には程遠いと思われるため、その手のサウンドを期待されている方にはベストなチョイスとはならないのかもしれません。

個人的には(以前から高く評価させていただいている)L-550AXIIを最高峰・極限までブラッシュアップさせたサウンドなのではないかと感じておりますのでL-550AXIIのレポートも併せてお読みいただけますと幸いです。
LUXMAN L-550AXIIのレポートはこちら↓
http://www.digitalside.net/?p=922

しっかりとしたサウンドでありつつ、こんなに抜けやキレ、スピードを併せ持つアンプから放たれるサウンドは今までに感じたことのない感動・感激・感嘆でした。

製品のお問い合わせ等は↓こちらのアドレスまでお願いいたします。
manager@digitalside.net

P.S.
(黒江的感性ではございますが)デザイン性を無視すれば好み度は「S+」ということになります!
(オーディオの評価に「デザインを含めてもよいのかどうか」でS~S+ということです。個人的には音だけでよいと思いますが…。)
このままサイズダウンとプライスダウンとデザイン少し変えた廉価モデル出ないかしら…。笑

ELAC DS-A101-G

金曜日, 10月 30th, 2020

今回はやや遅ればせながらになりますが、以前から非常に気に入っているリファレンスアンプをレポートいたします。

【機能性・機動性と抜群のサウンドに省スペースとGoodデザインの名品。】

まずはじめに動画配信(下記URL)の詳細欄でも述べている通り、このアンプのサウンドは旧モデル(EA101EQ-G)とほぼ準じているためレポートを率先して書いておりませんでしたが、その後使い続けてゆくにしたがって“どんどん魅力に取り込まれる”プロダクトでもありましたので少し遅ればせながらになりますが題材とさせていただきました。

動画URL
DALI OPTICON 1 and ELAC DS-A101-G
https://www.youtube.com/watch?v=75Y6XwqZKsY

Nmode X-PW1 MKII vs ELAC DS-A101-G
https://www.youtube.com/watch?v=P2X6YDIeTVA

旧モデルEA101EQ-Gのレポート
http://www.digitalside.net/?p=967

サウンドの特徴などはEA101EQ-Gのレポートを参考にしていただければと思いますが、改めて聴き直してみると新モデルDS-A101-Gは旧モデルEA101EQ-Gよりもクリア感、抜け感が改善されていてよりハイレベルのサウンドになっている印象があります。
(クリアさと抜け感が向上することで、1音1音のキレや定位感、スピード感も相乗的に改善されており(黒江的に)より好みに近づいてはおりますが、旧モデルでも既に好み度[S]とさせていただいておりますので好み度は引き続き[S]にしたいと思います。)
とは言え、やはり全体的にパワフル・ドライブ感・アグレッシブといったワードの方が直感的に浮かびやすいサウンドが基調となっておりますが、その分歌物やアコースティックなどはより自然なナチュラルテイストとも言えますし、硬質系・寒色系のサウンドではないことからも(ジャンルを選ばない)“ストレートな傾向のアンプ”といった位置付けでよいかと思われます。

…と、今回あえてレポートを書こうと思った最大の動機ですが、見出しの通り、その機能性・機動性が1つにあります。
まずは豊富な入力端子(機能)として、LINE入力(2系統)・同軸デジタル(COAXIAL[COAX])・光デジタル(OPTICAL)・有線LAN(ETHERNET)・無線LAN(Wi-Fi)・Bluetoothなどを装備しており、(おそらく)オーディオ周りほぼすべてのプレーヤーなどを接続することが可能です。
中でも注目なのがネットワーク対応という点であり、音楽サーバー(DLNA/UPnP)やSpotify、AirPlayやRoonを気軽に手軽に楽しめるのが「正直こんなに有意義だったとは」実は最近まで気が付いておりませんでした。
※音楽サーバーの再生は各種別アプリを使用(アプリに拠って操作に難点が生じることもございますが、環境依存の問題でもありますので詳細なサポートは出来ない場合がございます。)

なお、この有意義さにはもう1つのポイントがあるのですが、それが(スマホ)アプリの存在です。
製品と同名のDS-A101-Gというアプリでは「各種入力の切り替え」「ボリューム制御」などの機能は当然のこと「(高音・低音の加減を調整できる)イコライザー機能」「(サブウーファー端子に繋いでいれば)サブウーファーの音量調整」「スピーカーの左右バランス」「ディスプレイの輝度調整」などなど、ほぼすべての機能をアプリだけでコントロールできるので、アンプに触ることなく(近寄る必要も無く)思い通りに使うことが可能です。

…ということで(元々はサウンドだけでも高評価だったので)サウンドは抜群でありましたが、使い込んでみたら「機能の充実さ、便利さに驚いた」ということで、多くの方にお勧めしやすい1台ではないかと思っております。

P.S.
個人的にはデザインも非常に好みです。
デザインの好み度:S (笑)

marantz SACD 30n and MODEL 30 (postscript)

月曜日, 10月 12th, 2020

新しいラインナップとなるmarantz 30シリーズ、3連載の最終編です。
新製品をカップル(つがい)で聴いた時のまとめを簡潔にレポートさせていただきます。

【相性は良好、お互いのウィークポイントを補完し合える関係。】
(…とはいえ、ウィークポイント(弱点・欠点)と言うほど双方レベル・クオリティが低いことはないので、あくまで見出し的な表現ということでご理解ください。)

個別のレポートを読んでいただけると分かるかと思いますが「MODEL 30は鳴りっぷりが良いけれどやや低重心」「SACD 30nは少し穏やかだけれど高音~低音まできれいな伸び」といった感じであり、2機種を対で繋ぐことでブレンドされ、よりナチュラルなサウンド傾向としてアウトプットされます。

MODEL 30は(ドライとは言いませんが)やや(良い意味で)カラッとした傾向なのでSACD 30nのウェットさで上手く調和されています。高域のレンジ感もSACD 30nはきれいに伸びており程よく補完されている印象です。

SACD 30nは上質できれいな鳴りですが、その分音が前に向かって来ず、少し穏やかで落ち着いた音調なのでMODEL 30でドライブすると音にメリハリが付いて躍動感が付随します。やや平面的だった音場(サウンドステージ)も立体的になる印象で良いフィット感だと思います。

…と、音調・傾向的には上記のようなマッチング・フィット感となり、黒江的には好印象のペアだと考察しております。

なお、SACD 30nが多彩なデジタル入力・デジタルソースに対応しており、デジタルステーションとしての活躍が見込めるため、この『SACD 30n と MODEL 30』にお気に入りのスピーカーを組み合わせるだけでシステムがほぼ完結するので非常にシンプルで高音質・高機能なオーディオを構築することができる点もお勧めしやすいポイントとなっております。
(リモコンも1つでプレーヤー・アンプ両方の操作が出来るので扱いやすく便利です。)

ぜひセットでのご検討もよろしくお願いいたします。

P.S.
こちらの製品はショッピングサイトではご購入いただけませんので下記メールアドレスまたはお電話などで直接お問い合わせください。
manager@digitalside.net

marantz SACD 30n and MODEL 30の動画はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=2GKrInNqJrw